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第59話 ランキング発表⑤

前話のアンケート(?)に沢山の回答ありがとうございました


②の現状維持が一番多かったので現状維持で行きたいと思います


他にも自分のペースでやればいいなどの暖かいお言葉もあり、とても嬉しかったです


これからも死なない程度に頑張っていくのでよろしくお願いします!

 

 スポットライトは間違いなく屋根の一角を照らしているのだが、そこにフィローの姿は見当たらない。


「どういう事だ?」


 そんな同様の声が中央広場からも湧き上がる。


 スポットライトが意味無く屋根を照らす事数秒、1度スポットライトが消えると、今度は先程照らした箇所から少し離れた別の屋根を照らす。


 そしてそこにいたのは……


「今度は丸太!?」


 ご丁寧にも忍者服を着せられ、2〜3箇所に手裏剣の突き刺さった丸太がスポットライトを独り占めしていた。


 またもやその丸太を数秒照らした後にスポットライトが1度消灯し、三度スポットライトが地上を照らす。

 さてさて、『二度ある事は三度ある』なのか『三度目の正直』なのか……


 スポットライトに映し出されたのは……


「ええっ!?俺!?違う違う!フィローじゃ無いから!確かに俺の名前がフイロウで似てるけど別人!」


 どうやら『二度ある事は三度ある』の方だったらしい。

 テーブル付きのベンチでパスタを啜っていた狩人装備に身を包んだ男性がフィローの変わりにスポットライトに照らされていた。


『もう……なんでいちいち逃げるのさ』


 プレイヤー達から笑いが起こり、エボ君も疲れた様にそう呟く。

 すると……


「スマンでござる。なにぶん拙者(忍者)は闇に生きる者故……あの様な(スポットライ)明るい(トの当たる)場所は好まぬのでござる」


 すうっ……とエボ君の真後ろからそんな声が聞こえた。


『うわぁっ!?』


 突如出現したフィローに、プレイヤー達も驚いた様だが、エボ君が一番驚いた様で、思わず悲鳴を上げてその場を飛びず去りながら振り返る。


 しかしそこにはフィローの姿は既に無く、夜の闇が広がるのみである。


「……アイツ、隠密と軽業のレベルが相当高いな。しかもそれだけに留まらずPS(プレイヤースキル)も相当高い。加えてしっかりと空歩も取ってあるな……」


 思わずトーカはそう呟く。初めてあった時よりも数段と忍者道とやらを進んだらしい。あの口約束だけでそこまで頑張れるのか……?

 いや、違うと信じよう。願わくばこれで忍者道に進む者が増えて俺の事を忘れてくれますように……


「すまないでござるが拙者の事は照らさないでいただきたい。それと出来ればマイクを貸して欲しいのでござるが……」


 再びどこからとも無く聞こえるフィローの声。徹底してるな……目撃者を消せばいいとか言ってたヤツとは思えない程完璧な身隠しだ。


『わ、分かったよ……だからちょくちょく後ろで気配出すのやめて貰っていい?』

「交渉成立、でござるな」


 わぁお、アイツ実はエボ君軽く脅してやがった。手段を選ばないとは……汚いなさすがニンジャ汚い。


『あーあー、ごほん。本来拙者はこういう事を好まぬ身の上故手短に……約束を果たされよ『コメン』殿』


 はいダメでしたー、ガッツリ覚えてましたー。

 でも俺忍者道なんかには行かないぞ!


 そのままスポットライトに照らされる事なく夜闇に潜み待機しているフィロー。手持ち無沙汰になったスポットライトは、彼が残した身代わりの丸太を照らしていた。


『あー怖かった、所で約束ってなんだろうね?コメン殿って誰なんだろうね?気になるなぁ……っと進めなきゃ。お次は第3位!火は猛り水は荒れ狂い!風は吠え大地は震え!光が照らし闇が覆う!摩訶不思議な六色世界!縦横無尽に変幻自在に襲い来る魔法群!火に水に風に土に光に闇、魔道士に許された六属性の攻撃魔法!その全てを司る異端児!最終ポイント38850ポイント!異端の六属魔道士、ノルシィ!』


 スポットライトに照らされたのは、その回数は間違いなく本日最多数であろう攻撃魔法のランキングをほぼ全て(火魔法以外)かっさらったノルシィである。


 ノルシィがチラッとカレットに視線を送り、手を軽くひらひらと振ると、カレットはとても悔しそうに地団駄を踏んでいた。

 その様子を見てケラケラとノルシィは笑っている。


(カレットは完全に遊ばれてるな……)


 そんな哀れな幼馴染みの姿を遠目に眺めていると、お次の発表が始まったようだ。


『おぉ!バチバチと火花を散らすノルシィとカレット!はてさて次回はどちらに軍配が上がるのはどちらなのか……今から楽しみだね!』


 どうやらカレットとノルシィは運営公式のライバル関係になったらしい。確かにライバル関係と言うのは見ていて面白いからな。少年漫画とかでもライバルとの戦闘シーンは一番盛り上がると言うか物も多いのではないだろうか。


 もちろん俺個人としてはカレットを応援するけどな。是非とも火風どっちも制覇して貰いたい。

 まぁそんな事言ったら特訓に付き合え!とか言われそうだけどな。言われたら当然付き合うけどね。


『お次は第2位!豪快の一言に尽きるそのプレイスタイル!薙ぎ払いぶった斬り吹き飛ばす!力強いプレイングに圧倒的な破壊力!その一刀の元に纏めて葬り去られたモンスターは数知れず!正統派(・・・)な超火力プレイヤー!最終ポイントは驚きの68450ポイント!3位以下のプレイヤー達に大差を付け2位の座を手に入れたのは彼の者の名はアッシュ!』

 

 エボ君の声がやけに明瞭に響いた直後、中央広場は二種類の声で埋め尽くされた。


「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」」」」

「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」」」」


 すなわち、盛り上がりの声と驚愕の声である。


 前者の声は有名人プレイヤーであるアッシュの登場に対する声、そして後者はアッシュがあのポイントでも2位だったと言う事に対する驚愕の声。


 当のアッシュは「この数字でも1位にゃとどかねぇか、今回は自信あった分余計に悔しいな」と言いながらヤケ酒をしていた。


 そしてその場のほぼ全てのプレイヤーが叫び声を上げている中、苦い顔をしたプレイヤーが1人。言わずもがなトーカである。


(あっれぇ……俺が最後に確認した時で3万程度だったから来るなら(2位)かな〜と思ってたのに……そんなポイント稼いでたかな……絶対グラビトンウェーブのせいだよな……)


『さぁさぁ最後を飾るのは総合ポイント第1位!つまりは単純に最も多くの強敵を狩ったという事!ザコをちまちま狩っていた程度では決して辿り着けない栄光の到達点!』


 エボ君が両手を広げ大仰に語る。純粋に1位の発表を待っている者や先程のアッシュ以上のポイントを叩き出せそうな者を脳内検索している者などがそんなエボ君を見上げている。


『暴虐の塊!意志を持った災厄!遍く敵を吹き飛ばし進み続ける彼の者を止められるモノは現れるのか!?人海戦術(数の暴力)も、強力な敵達も、ボスですらソレを止められるモノはいなかった!死にたいヤツからかかってこい!死にたくなくてもこっちから行って殺す!無情に無慈悲に蹂躙するその姿はもはや【死】そのもの!一切合切を容赦なく消し飛ばす悪魔の所業!驚愕の最終ポイント109580!今イベント唯一の六桁を叩き出し、全てのプレイヤーの頂点に立った者の名はトーカッ!』


 おい!紹介文!そこまで言うか!?


 脳内でそんなツッコミを入れつつも、折角の1位だし何かしようかな〜とか考えたトーカは、しかしカレットやフィローの様なパフォーマンスは思い付かなかったので、とりあえず1位の貫禄(全力威圧)でも出してみようかなぁと考え『隠密』を発動した。


 そして今までで一番強烈なスポットライトがトーカを照らす。

 めちゃくちゃ目立っている位置にいるので『隠密』の効果はほぼ出ていないが、気配と言うか存在感と言うかは確実に薄れている。


「アイツが……?」「なんかそれっぽく見えないけど……」「アレがアッシュより上?存在感もロクに無いのに……?」「ズルでもしたんじゃねぇの?」


 と言うような困惑の言葉が中央広場から聞こえてきたタイミングで、トーカは『威圧』を全力で解放した。


 《『威圧』のレベルが上昇しました》


 あっ、そうですか。


 ……レベルが上昇し、更に強力になったことに加え、称号の『恐怖の体現者』と『危険人物』を配合した『威圧』による圧倒的な存在感(オーラ)が撒き散らされる。


「うぉぉっ!?」「うひゃぃ!?」「ぶぶぉっ!?」「えぶろばっ!?」「ひぃっ!?」「うぇばっ!?」「なぁっ!?」


 静から動へ、緩から急へ、暗から明へ、人間とは突然の変化に弱い生き物である。

 止まってるモノが突然動き出したり、ゆっくりだったペースが急に早くなったり、真っ暗な中で突然明かりが灯ったりすればその衝撃は計り知れないだろう。

 みんなもこんな経験があるのではないだろうか?

 寝ようと思って部屋の電気を消して、なかなか寝付けずにゴロンゴロンした後にトイレに行きたくなったので、部屋の明かりを付けたらとてつもなく眩しくて目を開けられない……なんて事が人生で1度くらいは。


 今起こった現象は正しくそれである。

 ほぼほぼオーラの無い一般人Dみたいな存在感から急にラスボス然とした存在感を放ち始めたら……なかなかの衝撃ではないだろうか。

 更に言えば今回はエボ君の前口上とアッシュの大量ポイントでも2位だったと言う事から、いやでも1位(トーカ)に対する注目は高まっていく。


 とまぁ長々と語ったが、要約すればモンスターにも効いた存在感戦法がプレイヤーにも効果を発揮したというだけの話なのだが。


「おぉぅ……思った以上に効果てきめん……」


 ちょっとやり過ぎたかな?と思ったトーカであるが、それはもう今更である。既に運営なんてそれ以上の衝撃を受けているのだから。


「あっ、エボ君マイク貸してくれないか?」

『うひぃっ!?』


 存在感戦法がクリティカルでもしたのか半ば放心状態だったエボ君の真後ろからトーカがマイクを求める声が聞こえた。

 なんて事は無いただの『縮地』と『跳躍』と『空歩』の合わせ技でエボ君の真後ろまで一瞬で跳んだと言うだけの話だ。


『またぁ!?』


 そしてバッ!と振り向くエボ君、しかしそこにはトーカはいない。まるでフィロー事件の再現の様だ。


 しかしフィローは分からないがトーカがそこ(エボ君の背後)にいなかったのには実に単純な理由がある。

『空歩』では踏みしめる事は出来ても滞空は出来ないのである。全身のバネを使って『跳躍』のタメを作っても1度の『空歩』で滞空出来るのはせいぜい1秒程度である。

 なので、墜落すると言う恥ずかしい事態を防ぐためにも要件を伝えたらすぐに跳び立たなければならないのだ。


 まぁそんな事はエボ君には関係ない。フィローとトーカの2人に悲しいまでに同じ様に驚かされているのだから。


『驚かせるの良くない!』


 エボ君がそう言いながらこちらに向って何かを投げつけて来たので、思わず初心者のメイスで打ち返す。ノーモア危険物!


 俺が打ち返した物体Xは、とてつもない加速を付けてエボ君に飛び帰り……その物体Xは綺麗にエボ君の額を捉え、どぉぉぉぉぉぉぉぉん!と言う轟音を響かせる。


 やっちまった……


 額へのクリティカルヒットを受けたエボ君は『えっ?ちょっと君何してんの?』とでも言いたげなキョトン顔で額を抑えながらこちらを見てくる。


 いや、だってしょうがないじゃん。いきなり何か投げ付けられたと思ったらその物体Xがぶごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!って()央広場全体に響く様な(・・・・・・・・・・)風切り音(?)を奏でていたんだもの……誰だって危険物だって思うでしょ。


『君がマイク貸してって言ったんでしょ!?なんで打ち返して来るのさ!』


 いやあれマイクかよ!人に物を渡す時に投げて渡しちゃいけませんって習わなかったのか!?


「何故マイクを投げ渡す……」

『君が驚かせるのがいけないんだよ!』


 そして再び飛んでくるマイク。結構ガチで投擲してるよな?軽く放るとかそんなレベルじゃないぞ?現に全身を使っておおきく振りかぶって投げ付けて来てるじゃないか……メジャーリーガーもビックリの美しい投球ホームだよ!


 しかもマイクが風切り音をしっかり拾っているものだから辺り一帯に轟音が響くと言うね、もううるさくてたまったもんじゃないぞ……


「そっおい!」


 ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!


 流石にそのまま飛んでくるマイクはキャッチ出来そうも無いので、メイスで下から打ち上げる様に殴って上方へ軌道修正する。キャッチは出来ないが打ち上げるくらいは『見切り』のおかげでなんとか出来る。


 その際にエグい轟音が響いたが……気にしない気にしない。


 そのまま中央広場に落下音を中継しながら、いつの間にか厚い暗雲に飲み込まれていた夜空から降ってきたマイクをパシッとキャッチする。

 あっ、そういやこれ落としたら恥ずかしかったな……


『あーあー、よし、壊れて無いな』


 大丈夫だとは思うが、一応マイクテストをしておく。

 よし、大丈夫そうだ。


『特に語る事は無いけど一つだけ……約束は果たした(・・・・・・・)、その上で言おう。断る』


 それだけ言うと、マイクをエボ君に投げ返す。しかし半分程飛んだ後にパッと消えてしまう。必要無くなったから消したのだろう。


『ん〜彼の最後の一言はどう言う意味なんだろうね?言葉的にはフィローとトーカに何らかの因縁があるっぽいけど……まぁそこは他人が介入する所じゃ無いよね!』


 別に因縁もクソも無いけどな。

 俺が言った事だってフィローに向って『名前を教えるって言う約束は果たしたけど忍者道とやらに進むのは断る』って言っただけだし。


『多大な功績を残した5人に賞賛やっかみ妬み嫉み拍手声援応援負け惜しみなどなどをどうぞ!』


 エボ君がそう言うと、一瞬の浮遊感の後に俺達ランキング上位5人は各エリア貢献度ランキングの時の様に中央広場の上空に転移させられていた。

 そして、分厚い暗雲の隙間から降り注ぐ光が天然のスポットライトとなって上位5名を照らす。


 そんな幻想的な光景……だったのだが、フィローの姿は見当たらず、カレットとノルシィはバチバチと火花を散らし(物理)、アッシュからは「次は負けねぇぞ」と宣戦布告をされ、顔が隠れた(名前はもろバレ)事で少し強気になったのと、なんかもう吹っ切れた様でトーカは「受けて立ってやるよ、まぁ次も勝つけどな?」と挑発気味にメイスで肩トントンをしていた。


 誰一人として下の人達に手を振るなどのファンサービス(とは少し違うが)をする様子は無い。

 そのまま2分ほど謎空間が持続した後に元いた場所に浮遊感と共に転移させられた。


『さぁさぁ、長かったランキング発表もこれにて閉幕!ランキングに乗った人も惜しかった人もこのイベントに参加した1人1人に全く事なるドラマが存在している、それがコメディ系なのかシリアス系なのかバイオレンス系なのか、はたまたそれ以外なのかは分からないけどね』


 エボ君がそう言うと、最後は中央広場にいる人全員を含める程に大きなスポットライトが中央広場を力強く照らした。


『名が出た人もそうでない人も、みんながみんな変わらずこの町、トルダンを守った英雄さ!君達が歩む戦いの道に幸あらんことを!』


 エボ君が最後にそう〆ると、中央広場は盛大な歓声と怒号に包まれた。



















『ふはははは、なかなかに楽しい余興であったぞ』


ちょっと駆け足感あったかな?

けどこれ以上密度増やそうとすると歯止めが効かなくなってまた話数が伸びると言うジレンマ……



今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!

今後も当作品をよろしくお願いします!

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