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第51話 イベント結果発表(前座)

本当は掲示板回の予定だったんですが……

結果発表の後もどうせ掲示板は書くことになるだろうと思い、ならまとめてしまえという事で今回は普通に続きとなりました


掲示板回を楽しみにしてくださっていた方はもうしばしお待ちください


イベント結果発表と謳ってはいるけれど今回は現実での話です


 

 日曜日、それは大体の人が休みを満喫する休日界のドンである。

 祝日や夏休み、冬休みなどの長期休暇などもあるが、やはり休みと言ったら日曜日の印象が根強くある、そんな休日の王。

 キング・オブ・ホリデー、日曜日である。


 本来は労働をしてはならないと言われる安息日と言えば土曜日なのだが、何故か休み=日曜日の印象を持たれている、そんな日曜日である。

 もちろん、休日出勤や部活動、その他諸々の理由から日曜日が休みで無い人もいる事だろう。


 何が言いたいかと言うと、少なくともこの日曜日は鷹嶺 護は休みだという事は間違いない、と言う事である。


 しかし……


「いやっふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!」

「いぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいッ!」


 休日の朝と言う何物にも変え難い至福の時間は、突如としてあげられた叫び声にも似た大声によって終焉を迎えた。


 時刻は朝6時、日曜日とは言えこの時間帯から起き出す人も充分いるであろう時間帯だが、大体の人間はまだ夢の中、あるいは二度寝を決め込むであろう時間。


 そんな朝早くに自分以外がいるはずの無い自室で聞こえる、叫び声にも似た大声によって叩き起された護がまず初めに取った行動、それは……


近所迷惑(うるせぇ)ッ!」


 奇声の主である2人の侵入者への粛清だった。


 ガバッ!と布団を跳ね上げながら起き上がった護は、飛び上がった布団に目を取られた奇声の主①のアゴに下から片手を添え、足をかけると同時にその手で顔を後ろに落とす。


「へぶろぼすッ!?」


 奇声の主①をすっ転ばせた護は、倒れた人物があげた謎の悲鳴をまるっと無視し、奇声の主②の額に全力でデコピンを叩き込む。


「のるわばッ!?」


 一連の動作が終わった護の視線の先(下?)には、背中を抑えて転がっている奇声の主①改め瞬と、額を抑えて屈んでいる奇声の主②改め明楽がいた。


「「のわぁぁぁぁぁぁぁぁ」」


 各々の痛みに悶える2人に冷たい視線を投げかけながら、護は一言呟く。


「君たち……バカなの?」

「「バカとはなにさ!バカとは!」」


 護の言葉に反応し、ガバッと立ち上がる瞬と明楽。瞬はわざとらしく背中をさすっているが、床はカーペットだし昨日使ってた座布団の辺りに落としたのでそこまで痛くないはずだ。

 明楽はと言うとおでこを抑えて涙目になっている。子供か。

 その2人の抗議を聞いた俺は、はぁっとため息をつきながら、ニコッと顔を笑みの形にし2人を見る。


「今は何時ですか?」

「ん?うぇっ……いや……あの……」

「え?あっ……えーっと……」


 俺の質問に一瞬訝しむ様な視線を向けてくるが、顔は笑みの形になっているが、一切笑ってない俺の目を見て頬を引き攣らせ、言葉を濁らせる。


「What Time Is It now ?」

「えーっと……」

「その〜……」


 笑みすら浮かべずに告げた言葉に、流石にヤバイと思ったのか、言い訳しようとし始める瞬と明楽。しかし俺は言い訳を聞きたい訳じゃないぞ?今何時か聞いているだけだ。


「Который час сейчас?」

「へっ?なんて?」

「かっ……かとちゃん?」

「Τι ώρα είναι τώρα;」

「えっと……ごめんなさい」

「その……すいません」


 何度か質問すると、何故か2人が謝り出した。


「ハハッ、2人トモオカシイナァ。オレハタダ日本語ト、英語ト、ロシア語ト、ギリシャ語デ今ハ何時カ聞イタダケジャナイカ。別ニ謝ッテナンテ言ッテナイヨ?」

「あ、やばいこれ相当怒ってる……」

「あわわわっ瞬!どうする!?護ガチギレだぞ!?」


 瞬と明楽が遂には半ばパニックになり、あわあわし始める。

 そんな2人の行動に毒気を抜かれた俺は、はあっとため息を一つこぼし、あわあわしている2人に声をかける。


「2人とも落ち着け、落ち着け」

「あわわ……わ?ま、護?」

「お、怒ってない……のか?」

「とりあえず落ち着いて、話はそれからだ」


 昨日片付けたテーブルを再び引っ張り出してきて、未だにあわあわしている2人に座る様に促す。とりあえず2人が座ったのを確認してから自分も座る。


 俺はまだ寝巻きのままなんだが……ってよく見たら2人も寝巻きのままじゃないか。


 瞬は俺と同じでダボッとした少し大きめで、色は上が薄い青色で下が灰色の物を着ている。ちなみに俺は上下とも灰色だ。

 明楽のは……白地に薄ピンクの花柄の上下セットか、明楽にしては普通のを着て……ってよく見たら花柄じゃなくてハナカマキリ柄じゃないか。なんだハナカマキリ柄って……流石明楽だな。

 普段着は普通なのだが……寝巻き、と言うか他人の目(家族と米倉家、鷹嶺家は除く)に触れないものとなると急に趣味が変な方向に大暴走するのだが……まぁいいや。


「それで?今何時だ?」

「ろ、6時ですね……」

「そうだな、6時だな。それで?こんな早くに騒いだらどうなる?」

「き、近所迷惑です……」

「そうだな、俺の家はまだ左右がお前らの家だからまだしも……朝っぱらから叫ぶとか非常識だよな?」

「「すいません……」」


 とりあえず2人とも反省はしたらしい。普段はこんな事しないんだが……そもそも休日にこんな時間に起きてくること自体がありえない事なのだが……


「なんでお前ら今日はこんな早起きなんだ?」

「えっとぉ……それは……」

「えーっとだな……」


 言い淀む瞬と明楽。たまたま早く起きたならそう言えばいいだけなのだが……言い淀むって事は何か後ろめたい事があるって事だよな?……ちょっとカマかけてみるか。


「2人とも一晩中起きてたみたいだが……何してたんだ?」

「ぬわッ!?何故それを!?」

「なぬッ!?なんでしって!?」


 あぁ、やっぱり。コイツらに早起きは無理だからな……こんな時間に起きてるとなれば、寝てないと言うことしか有り得ないよな。

 学校での遠出する様な行事で集合時間が早い時もなかなか起きないからよく起こしてたし、なんなら《EBO》の初日も起きなかったからな。


「やっぱり起きてたか」

「カマかけたな!?」

「貴様!謀ったな!?」

「はいはい。大方(おおかた)イベントの結果発表が楽しみで寝れなかったんだろ?しかもイベント終了直後で興奮してたのもあるだろうし」


 どうやら図星だったらしく、わざとらしく口でギクッ!とか言ってやがりますよ?よく見れば2人とも目の下に隈作ってるし……


「はぁ……結果発表が楽しみなのは分かるが……発表は今日の午後7時だぞ?まだ半日以上ある、それにメンテナンスだかアップデートだかで《EBO》はログインも出来ないぞ?」

「いやぁ……それは分かってるんだけどな」


 瞬がぽりぽりと頭をかきながら言うと、明楽もそれに追随する様に同じ様な事を言う。まぁ寝られないって言うのは結構辛いものがあるからな……むしろ6時まで待ってたのを褒めるべきか。下手したら4時半は朝だ!とか言って突撃して来るまであるからな。……さすがに無いか?


「はぁ……二人とも、親はこっち(俺の家)来てるの知ってるのか?」

「私は2人とも寝てたから軽いメモを残してきたぞ」

「……俺もみんな寝てたからちろっと書いて来たぞ」


 俺が聞くと、明楽はしっかりと答えたが、瞬は回答までに一瞬間があった。ジーッと見ると目が泳ぎ始める。更に見続けるとそわそわしだした。明楽も加勢して2人でジーッと見続ける。ふひゅ〜ふひゅ〜と吹けていない口笛を吹き始めてもジーッと眺める。


 ジーッ、頬が引き攣り始めた。ジーッ、正座になった。ジーッ、まばたきのペースが上がる。ジーッ、目を反らした。ジーッ、こっちをチラッと見てビクッとして目を反らした。ジーッ、ジーッ、ジーッ……


「……す、すんません……なんもしてないです」

「はぁ……素直にそう言えばいいのに」

「……………………(ジーッ)」

「……明楽、止めてやれ。瞬が可哀想だ」


 瞬が自白したにもかかわらず、ジーッと見続ける明楽をなだめ、瞬には書き置きを残す様に言って追い返す。


 その様子を明楽と2人で見送る、ってあれ?俺寝る前に窓の鍵はしっかり閉めたよな……なんで2人は入ってこれてるんだ?


「なぁ、明楽……」

「ん?なんだ?」

「俺さ、寝る前に鍵閉めたはずなんだけど……なんで入れてんの?」

「え?普通に空いてたぞ?瞬の家の方は閉まってたから私が開けたが……」

「開けるな!」

「のぷっ!?」


 明楽のまさかのカミングアウトに思わず軽いチョップをプレゼントした俺は昨夜の記憶を呼び起こす。

 確か昨日は……明楽を帰して、瞬も帰そうとしたらごねたからベランダに無理矢理追い出して鍵閉めて……開けようとしてくる瞬に帰れって言ってカーテン閉めて、そのまま明楽の家の方の窓のカーテンも閉めて、シャワー浴びて着替えて寝て……


「ああっ!」

「!?ど、どうした?」

「あぁ、すまん。何でもない」


 そうだ……瞬の方は閉めたけど明楽の方は閉めてなかった……これは完全に俺の落ち度だな。だが勝手に侵入した挙句に瞬を呼び込んだ罪は重いぞ。


 少しして書き置きを残して帰って来た瞬と明楽と共にささっと作ったフレンチトーストを朝食として食べ、ついでに少し家事を手伝わせる。とは言っても、俺が掃除機をかけている間に食器を洗ってもらった程度だが。


 その後は買出しに行く俺に2人が付いてきて買い物が長引いたり、その時についでに買ってきたスナック菓子をかじりながらぐでぐでしたりしていた。


 そして、そろそろ太陽が高くなってきた頃、徹夜が響いたのか瞬と明楽が寝てしまった。


 ソファでぐぅすか寝ている瞬と、机に突っ伏してすやすや寝ている明楽にタオルをそっとかけ、それぞれの親に一応連絡を入れておく。


 朝からこっちに来ている事、今家で寝ている事を軽く伝えると、どちらの親にも「迷惑をかけてごめんね」と謝られたが、気にしないでくださいと言っておいた。

 実際2人が突発的に来る事はよくある事だし、なにより小さい頃に親が不在になる時ははよく俺がお世話になっていたのだ。これくらいで邪険にはしない。どちらの家族も久しぶりに静かな休日を過ごせると喜んでいた。


 結局、瞬と明楽が起きたのは午後5時半を少し回った頃だった。


 俺が夕飯の用意をしていると、匂いにつられたのか2人とももぞもぞと起き出してくる。


「おぉ、起きたか。夕飯どうする?うちで食ってくか?」

「んぁーいいのか?」

「ぬぅん……のかー?」

「あぁ、別に大丈夫だぞ。と言うか瞬はこっちで食ってけ、優奈ゆうなさんが久しぶりに静かに外食でも行ってくるって言ってたからな」


 優奈さんと言うのは瞬の母親だ。いつも騒がしい瞬に苦労してるのが目に浮かぶので、通話の時も軽く苦笑いしながらゆっくりしてきてくださいと言っておいた。


「母さんひでぇ!それが息子に対する態度か!それより夕飯本当に大丈夫なのか?」

「あぁ、パスタにしようと思ってたからな。人数が増えても茹でる量とソースの量が増えるだけだから楽でいい」

「ふーんじゃあ食ってくわ」

「私もぉ……」


 明楽はまだ少し寝ぼけてる様だな。欠伸をしながら目を擦っている。逆に瞬は起き上がって伸びをしている所を見ると目は覚めたらしい。



 明楽の返事を聞いて、紗栄子さんにその旨の連絡を入れていると瞬が声をかけてくる。メールの送信ボタンを押しながらその質問に答えるために二人のいるリビングに視線を向ける。


「ちなみに何?」

「カルボナーラかナポリタンで迷ってる、瞬はどっちがいい?」

「んー俺はカルボかなぁ」

「なぽぉ〜……」

「……明楽はナポリタンか。どうする?俺はどっちでもいいが……」


 結局この日はジャンケンで勝った明楽のナポリタンとなった。瞬、寝ぼけた明楽にジャンケンで負けたからって拗ねるなよ……


 夕飯を食べ終わったのは午後6時過ぎ、ログイン出来るようになるのが6時から、結果発表は7時からなので、とりあえず向こう(ゲーム内)で会う場所を決めてから2人を家に帰す。


 帰る2人を見届けてから食器洗いなどの軽い仕事を済ませる。それが終わったのは6時半過ぎになったので、急いで(と言うほど急いではいないが)《EBO》にログインする。


意外と何も無い日の話って書きずらいんですね……

あれ?コイツら《EBO》始まるまではどう過ごしてたんだろう?とか考えながら執筆してました


そして瞬と明楽(ついでに護)が色々な意味で変な方向に進み始めて焦ってる作者です、どうしてこうなった……

護はロシア語もギリシャ語も話せません(断言)今回使ったのはちょっとしたおふざけです


次回も早ければ3日後、遅ければ5日後あたりに、最悪でも一週間以上は開けないように努力しまする


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!

今後も当作品をよろしくお願いします!

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[一言] 何でも無い日万歳\(^_^)/
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