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第49話 ようやく本題に


「明楽ぁ……そろそろ食べていいか?」

「あっ!すまんすまん、完全に忘れてた」

「忘れッ!?なんて奴なんだ……あ、美味しい」


ガックリとしながらもリンゴをしゃくしゃくと食べる瞬。ただ……食べるのはいいんだけどフォークで首切り落として脳天にフォーク突き刺して食べるか?普通。コイツにも後遺症はある様だ。


「2人とも……くれぐれもゲームと現実を一緒にするなよ?」

「?あぁ、分かった」

「?うむ、了解だ」


首を傾げている幼馴染み2人を見て、これからもちょこちょこ注意はして行くか、と決める護であった。まぁ流石に決定的な所で混同はしないだろうと、長年の付き合いで信用はしているのだが。


「それで……イベントの話だったっけ?」

「そうだ!すっかり忘れてた!」

「むもっ!むむむぐももっ!」

「瞬は飲み込んでから話せ」

「んぐんぐ……ぷはぁ!忘れてた!」


俺の言葉に反応を見せる瞬と明楽。どうやら2人の中ではイベントの話<うさちゃんリンゴ、らしい。


「こんな時間に押しかけて来て本来の目的を忘れるなよ……」

「すまんすまん、リンゴが可愛くてな」

「明楽がリンゴ食べさせてくれないから」

「人のせいにするな!」

「実際そうじょのいこ!」


気が付いたらすぐに口論を始めている瞬と明楽。この2人は本当にしょっちゅう喧嘩してるよな……それでも仲が悪いとは思わないし、学校でもそう言った噂は聞かないのだが。


「なにぃ!?」

「なんだとぉ!?」

「はいはい、落ち着けもちつけ」


とりあえず2人のをなだめる為に、瞬には手頃なタオルを顔に引っ掛けて目を覆い、そのまま向こう側の端っこも掴んで後ろに引っ張り体を倒し、明楽にはどうどうと言いながら頭をぽんぽんとする。


この技は、まだ俺達が小さい時に、紗栄子さん(明楽の母親)がよく、怒った明楽を宥める為に使っていたのを紗栄子(さえこ)さん直々に伝授して貰った技なのだが、高校生になった今でも通用したりする。流石に紗栄子さんは実の娘にどうどうとは言ってなかったが。


ちなみに瞬にしたのはオリジナルの技だ、首を狙えば相手に命の危機すら感じさせられる優秀な技だぞ。やんないけどな。

上手く相手の重心を崩せれば簡単に倒せるので、相手を止めるのにぴったりだ。瞬をなだめる時や、イタズラがしつこい時、なんとなくイラッとした時などに使っていた為、今では結構上達していると自負している。自分以外にやっている人がいるかは知らないが。


「落ち着いたか?またすぐ喧嘩始めるなよ?」

「むぅ……了解だ……」


紗栄子さん直伝の沈静術をやると、明楽は若干むくれながらも落ち着くので、今でも重宝しているのだ。むぅと唸りながら恨めしげに後ろに倒された瞬を見ている姿が、小さい子供みたいでなんか可愛いな……


「扱いの差が酷い!」

「だって瞬だし……」

「えぇッ!?」


転倒からすぐに復活していた瞬は、自分と明楽の扱いの差に声を上げる。しかしその訴えは、瞬をチラッと横目で見た護のため息と共に零された言葉に否定される。


瞬が驚きの声をあげるが……いくら付き合いが長くてほぼ家族同然とは言え、女子にタオルアタックは出来んでしょう……そもそもの話、タオルアタックよりも効率のいい技がある訳ですし……あ、でもあまりにしつこかったらやるかもしれないな……


「瞬も明楽もそろそろ本題に入ろうぜ」

「そうだよ!イベントの話だよ!」

「そうだった!私は特にボス戦で大活躍だったからな!」


俺の一言でようやく話題は本題に入る。イベントの話をしに来たのにリンゴに話題を持っていかれるとか……まぁそこはもういいか。


「所で、イベント始まった直後辺りに来たメッセージってマジ?」

「あぁ!あのメッセージ!」

「ん?覚えてたのか、てっきり忘れてるもんだと……」

「「ひっどい!」」


瞬と明楽の声を合わせた非難をさらっと流しながらイベント開始直後に送ったメッセージの内容を確認する。


「それで?お前等はいいか?」

「いいってあの勝負のやつ?構わんよ」

「私もウェルカムだ!」

「分かった、なら勝負とと行こうか。内容は送った通り、最終ポイントが一番低かった奴が一番高かった奴にアイス奢りな」


これが俺がイベント開始直後に2人に送ったメッセージだ。勝負と決まった時から、何か賭けたいな〜と思い、手頃なアイスを賭けてみた。ハーゲンなアイスから、名称とマスコット(?)の少年の見た目が真逆なアイスまで、幅広い選択が可能なのである。

流石にパーティ用アイスなんてのはダメだが、どのアイスにするかは勝者の自由だ。


ちなみに、2位の奴は蚊帳の外である。勝者でも敗者でもない者は、何も失わないが何も得る事も出来ないと言う事だ。


「とは言っても……最後の方はポイントが伏せられていただろう?どうするんだ?」

「そこは大丈夫だ。さっき軽く公式サイト見てきたが、最終ポイントは後でメッセージで送られて来るそうだ。だからそのメッセージの数字で勝負だな」


「なるほど」、と2人が頷き、話題は自分のイベント時の動きの報告に変わる。


「2人はイベントの時はどうしてたんだ?俺は北東の方に行ってたが……」

「俺は北に行ってたぞ!」

「私は西でいっぱい焼き尽くしたぞ!」


ほぉ、綺麗にバラけたな。俺はほぼ北東に居たから……ちろっと東に行ったが、それはボス戦だけだしな。基本北東の奥の方で好き放題やってたな……今考えるとなんであんな事したんだろうな……


「ふふん!何を隠そう西エリアのボス(ワイバーン)にトドメを刺したのは私の【風炎槍】なんだぞ!」

「へぇ、明楽がねぇ……って【風炎槍】?そんな魔法あったか?」


瞬が驚いた様な、感心したような声で言い、直後に聞き慣れない魔法名に食い付く。

とは言え俺も【風炎槍】とやらは気になるな。明楽の《EBO》でのキャラクターのカレットは『火魔法』をメインに、サブは確か『風魔法』を使ってたはずだが……名前的に組み合わせ魔法か?


「むふふ、【風炎槍】は私のオリジナルの魔法だぞ!」

「オリジナル魔法?そんなん作れんの?」

「瞬がそれ聞く意味ってあるのか?リクルスって魔法一切使わないだろ」

「そうだけど!そうだけど!だったらお前のトーカだって……魔法使ってるわ……」


俺の指摘に瞬が反論しようとするが……残念、今更気付いた様だが、俺は魔法バリバリ使うんだよ。『回復魔法』と『付与魔法』に加えて新しく増えた『呪術魔法』もあるのだ。むしろ種類のバリエーションは明楽のカレットより多いんだぞ。まぁ攻撃魔法は一切無いんだけどな。


「魔法使えない仲間外れは瞬だけだな!帰っていいぞ?」

「ひでぇ!最近明楽の俺に対する当たりが強くない!?」

「あれ?瞬ってなんで今いるの?」

「護もひどかった!?」


いやぁ、瞬は元気だな。

やっぱり瞬は小さい頃から変わらず反応が面白いから揶揄(からか)い甲斐があるなぁ……こういったパターンの時はだいたい明楽も乗ってくるしな。


「それで、オリジナル魔法ってなんなんだ?言いたくなかったら別に言わなくていいけど」

「いや、大丈夫だ。二つ以上の魔法を組み合わせて使うとな、『魔法合成』って言うスキルが入手出来るのだ!」

「へぇー」

「だから瞬は必要無いだろ」

「まだそれ引っ張る!?」


瞬を弄りながら明楽の説明を自分なりに噛み砕いてみる。とは言え、そこまでややこしくも無いのでそこまで大変な事じゃ無いけどな。


二つ以上の魔法を組み合わせて使うって事は……明楽のカレットで考えると、『火魔法』の【ファイアボール】に『風魔法』のウィンドボールを組み合わせる……みたいな感じか。そう言えば岩蜥蜴戦の時に【ファイアボール】の炎が少し強くなった様な気がしたが……それだったのか。


名前と明楽の性格上さっきの【風炎槍】ってのは……まず間違いなく【ファイアランス】と【ウィンドランス】の合成だろうな。

どうせ明楽の事だから他にも【風炎〜】みたいな名前なんだろうなぁ……


「俺もやってみようかな……」

「おっ!護もやるのか!?」

「あぁ、とは言え俺のは攻撃魔法じゃないから、やれたらだけどな」


『魔法合成』とやらは『回復魔法』とか『付与魔法』、『呪術魔法』なんかには使えるのだろうか……『回復魔法』と『呪術魔法』の組み合わせとか想像出来ないんだが……


「他にもボス戦の後に出てくる様になった奴も大量に狩ったぞ!」

「へぇ、どんな奴だったんだ?俺の所(東エリア)はボスをちっさくした様な奴だったけど……」

「あぁ、西は《スタンピード・バード》と言う大型の鳥だったな!鷲や鷹みたいな猛禽類に似てたな!馬鹿みたいに大きかったが!ん?……鷹?」

「はいはい、俺は鷹嶺ですよっと。それよりそっち(西エリア)は鳥だったか」

「あ、北はトカゲだったぞ。《スタンピード・リザード》って名前の」

「あー、こっちは《スタンピード・スネーク》って言う蛇だったな、確定耐えスキル持ってるから厄介だったな」

「確定耐えスキルなら《スタンピード・バード》も持っていたぞ。とは言ってもそれが発動する事は滅多に無かったがな!」


どうやら他のエリアの新モンスター達も確定耐えスキルは持っていた様だ。他にも情報交換がてら色々話して分かった事だが、新モンスターの討伐時ポイントがそれぞれ違ったのだ。


《スタンピード・スネーク》は300ポイント、《スタンピード・リザード》は250ポイント、《スタンピード・バード》は200ポイントだった。


話を聞いた感じ、そこまで戦力差は無かった様だが……違いがあるとすれば該当エリアのボス討伐の順番か?《スネーク》に該当する東が一番で《リザード》の北が二番、《バード》の西が三番と、順番は一致する。


「瞬はどうだった?」


明楽の話を聞いた後は、先程の『魔法合成』の話の時から、いまだいじけているアピールをしている瞬に話を振る。

こっちの話には普通に反応はするのに、チラッと視線を向けると床に『の』の字を書くとかいう、いじけているアピールをしてるのが流石にうざくなってきたしな。



次回の更新は出来れば2日後、遅くても5日後には投稿出来ると思います。最悪でも一週間以上は空けないようにしまする


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!

今後も当作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 回復と呪術の組み合わせ…… 相手をリジェネレート状態にする代わりにステータスを大幅に下げる、とか 一撃で倒せなければモリモリ回復するけど一撃で倒せばいいじゃんみたいな 逆に倒さなければ回復す…
[気になる点] 「実際そうじょのいこ!」 これはわざと(口にリンゴが入ってるからとか)なのか誤字なのか
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