第47話 第1回イベント閉幕
今回でイベントは終了となります
ただし、イベントが終わったのであって、イベント編はもう少しだけ続きますのでお付き合いください
チカッ、チカッ、チカッ
「やっぱ見なきゃダメ?これ」
知ってたよ、なんか変なインフォメーションが一つ混じってるって。運営からのメッセージとか嫌な予感しかしないんだけど!
やり過ぎたとは思ってるよ?そもそもあんな馬鹿みたいな被害が出るとは思わなかった訳ですし……
「はぁ……」
心の中でどれだけ言い訳を重ねても視界の隅でチカチカと自己主張し続けるアイコンは消えてくれない。
手紙の封筒のマークを丸で囲んだ様なアイコンは、フレンドメッセージや運営からのお知らせなど、なんらかのメッセージが届いた事を伝えてくれる、アイコンだ。
そのアイコンが「こっち見ろ!」とでも訴えてくる様に、チカチカと自己主張を続けてくる。まぁ実際見ろって訴えてきてる訳だが……
悪気は無かったとは言え、他プレイヤーの横殴りとかやらかしちゃったっぽいしな……運営もキレたんだろうか。普通に考えていち個人へ運営からコンタクトがあるとは考えにくい。
ちなみにだが、今回のイベントがモンスターの討伐数が大きく関わるタイプのイベントであるため、ボスモンスターを除き、最初にHPを減らしたプレイヤー、またはそのパーティーが全滅するまでは他のプレイヤーはそのモンスターに手出しは出来ない仕様になっている。
なので、トーカが『横取り』したのは他プレイヤーが挑み、既に負け、フリーになっているモンスターなのでトーカの心配は杞憂なのだが……それをトーカはそれを知ら無いので、突如届いた運営からのメッセージに内心ビクビクさせているのだ。
そして悪い方の心当たりがある分余計気が重くなっている。
どうしようかなぁ、このまま無視して忘れるかなぁ……
「やっぱ見なきゃダメっぽいよな……見ない方面に心が傾くとチカチカが強くなるし……いや、でもなぁ……」
トーカは悩む、空を駆け、たまに陸継ぎしながら考え続ける。途中で西エリアのボスが討伐されたと言うアナウンスが流れた様な気もするが、反応すること無く考える。そして、ようやく結論を出す。
「よし、無視しよ『チカッチカッチカッチカッチカッチカッチカッチカッチカッチカッチカッチカッチカッ』すいません読みます」
とは言えここで読む訳にも行かない。こんな所で悠長にメッセージなんて読んだら即袋叩きで町まで強制送還されるだろう。どうした物か、もう一回【グラビトンウェーブ】を……いやいやいや!それはダメだ!【グラビトンウェーブ】は余程のことが無い限り全力で使うのは封印しよう!運営にBANされかねない!
自身に誓いを立てる様に握りこぶしを掲げるトーカ。その覚悟は果たしていつまで持つのか……それは神(官)のみぞ知るという事だろう。
「すぅぅ……はぁぁぁ……よし、行くぞ!」
一度深呼吸したトーカは三度程跳躍し、【グラビトンウェーブ】を放つ。誓いは数秒しか持たなかったようだ。
しっかりと『手加減』を発動させたので、被害としては半径10m程が陥没し、そこに居たモンスターが空を照らした程度だった。
「ふぅ、これで読めるな。……あっ」
誓いを立てて数秒で破った事に今更気付いたトーカは、辺りを見渡し、明らかに「やっちまった……」と言う様な顔をしていた。
だが、結果としては辺りのモンスターはいなくなり、10mも距離が空いていればモンスターの知覚範囲には入らないので、少しの時間ではあるが、モンスターのいない安地が出来上がった。
速攻の誓い破りは無かったことにして、さっきと全く同じように握り拳を作り、さっきと全く同じ誓いを立てる。
《称号『詐欺師』を取得しました》
……うるせぇやい。
運営からのメッセージを確認する前に、先ほど何故か取得した『詐欺師』を確認してみる。詐欺なんてしてないんだけどな……
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『詐欺師』
その手腕をもって多くの人間を騙した証
欺く系のスキル、称号の効果が上昇
運営からのコメント
騙したな!せっかく安心したのに!
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…………マジすいませんでした。
ちゃうねん、ここがメッセージ確認するためにはあまりに危険すぎたねん。だから少し辺りを平和にしただけなんねん。ほら、偉い人も言ってたやん、「邪魔する者は皆殺せ」って。
今回はノーカンやノーカン、次から気を付けるんで堪忍してや。
「えっと……結局メッセージは……」
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《個別メッセージ》
自重しろくださいお願いします
山田と斎藤を筆頭にした何人かの胃がヤバいとです
やるなとは言わないから自重してください
予想の斜め上に行くのは構わないけど
予想の斜め上を螺旋回転で駆け上がっていくのは勘弁
せめてフィールドの破壊は自重しろください
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…………マジすいませんでした。(2回目)
山田と斎藤が誰かは知らないけど運営の人間っぽいよな……俺もなんか変な方向に突き抜けてる感はあったが……
このメッセージの後に【グラビトンウェーブ】自重の誓いを立てて数秒で破ればそりゃ運営も『詐欺師』認定してきますわ。
でもなぁ……【グラビトンウェーブ】って広範囲殲滅にめっちゃ便利なんだよな、【チェインボム】も範囲攻撃だけどやっぱ攻撃範囲はどうしても【グラビトンウェーブ】に劣るし……
『手加減』でフィールドへの影響を全カット出来るらしいしどうしても【グラビトンウェーブ】を使うなら『手加減』で影響カットはするかな。
あ、でも1回でもいいから環境破壊全開で広範囲に【グラビトンウェーブ】で破壊をばらまいてみたいな……凄いことになりそう。
流石にやんないけどね。フィールドへの影響が全カットされてても数秒フリーズしたんだし、もし『手加減』無しで全力で【グラビトンウェーブ】打ったら処理落ちもありえる。いや、流石に無いか?
ブツブツと物騒なことを呟きながら、半径10mの円状に何も無い空間から少し進むと、そこは既にモンスターパニック状態だった。辺りに結構な量のモンスターがひしめき、唸り声や咆哮が響き渡っている。
「よーし、こっからは普通に戦うか」
砕けてしまった亀甲棍の代わりに装備した初心者のメイスを肩に担ぎ、たまたま視線の先にいた、これから死にゆく《スタンピード・ベア》に向けて宣言する。ただ普通の神官は基本的に前衛をしない事はトーカには関係の無い事だ。今のスタイルがトーカの普通なのだから。普通ってなんだ。
その後もトーカの普通の戦闘は続き、【チェインボム】で量産された兎爆弾やら容赦なく叩き込まれる各種『棍術アーツ』により、その草原は儚き命の残光と運営の胃痛が絶える事は無かったそうだ。
そんなトーカの殺戮劇は、最後のエリアのボス南エリアの《劣水竜》が討伐されてから30分を待たずに、午後10時を迎えて終了となった。
こうして、《EBO》初のイベント『トルダン防衛戦』は運営の胃に多大な影響を与えつつ幕を閉じた。
もはや防衛戦ではなく殲滅戦だったのは気のせいだろうか……
遂にストックが尽きた……イベントは走りったけども……今後更新ペースが落ちる可能性が高いとです
ただ死なない限りはエタりだけはしないのでお付き合いください。
この後は、イベント後の現実の話し、掲示板回を挟んで、結果発表回でイベント編は終了ですかね。
まぁ予定は未定であって決定ではないとも言いますし少し変わるかも知れませんが
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!
今後も当作品をよろしくお願いします!




