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第42話 そして、リベットは考えるのをやめた

前話の『呪術魔法』の件を修正しました。

コメント欄では流石に強すぎると言う意見がほぼ全てを占めていましたね……

流石に呪術オンラインはアカンとです『呪術魔法』を取るために『外道』に手を染めるプレイヤーが多くなって荒れそう……



俺渾身の【グラビトンウェーブ】は綺麗に《劣地竜(バジリスク)》の下顎にクリーンヒットしーー


ドガァオォォォォォォォンッ!!!!!


『ギシュァァァァァァァァァァァァァァッ!?』


完璧な不意打ちを下顎にモロに喰らった《劣地竜(バジリスク)》は面白い様に吹き飛んでいった。


「おっわぁ……派手に飛んだなぁ」


劣地竜(バジリスク)》に盛大な不意打ちを打ち込んだ俺は、スタっと地面に着地し、亀甲棍を肩に担ぎ直す。そして15mほど吹き飛ばされ、草原に仰向けに転がっている《劣地竜(バジリスク)》を左手を目の上に当てて眺める。


「っと忘れる所だった、【リヴァイブ】、続いて【ハイヒール】っと」


俺の近くで顔を引き攣らせて呆然と《劣地竜(バジリスク)》を眺めていたプレイヤー(霊体)を蘇生させる為に【リヴァイブ】を発動し、HPが1しかないのでついでに【ハイヒール】で回復させる。


回復させ終わったら、少なくなったMPを補充する為に味のしないMPポーションを喉に流し込む。【リヴァイブ】に限らず蘇生させる魔法は大量にMPを喰うのだ。


うっへぇ……味がしないって想像以上に不味いな。いや、不味いと言うか体が受け付けない感じか。さっきは気にならなかったけど平常時に飲むのは辛いな……『料理』もあるし味付けられないかな?イベント終ったら試すか。


っとその前に。


「おーい、流れで蘇生させちゃったけど大丈夫だったか?」


膝立ちのまま呆然としているプレイヤーに声をかける。もしかしたら蘇生させない方が良かったという可能性も無きにしも非ずだしな。


「……あ、え?」


自分達を今まで散々苦しめてきた《劣地竜(バジリスク)》が、目の前で勢いよく吹き飛ばさせれていくという光景に、脳の許容量が一瞬でオーバーしてフリーズしていたリベットは、《劣地竜(バジリスク)》を吹き飛ばしたと思われる神官服に身を包み、狐のお面を被ったプレイヤー……トーカに声をかけられて、彼の意識が現実に帰還する。


「何が……起こったんだ?」

「アイツか?俺が吹っ飛ばしたぞ。多分あれボスだよな?」

「……あぁ、だが……あれを吹き飛ばした?どういう事だ?」


現実に帰還したからと言って理解が追いつく訳じゃ無いので、未だに脳内に疑問符が乱立しているリベットは疑問を口にする事しか出来ない。


「いや、うん、まぁ色々スキルとかでブーストかけてな?」

「そ、そうか……」


当然の疑問に露出している口元を苦笑いの形に歪めながら倒れ込んでいるリベットにトーカが手を差し出し、リベットはその手を掴み立ち上がる。


「それで……蘇生させて大丈夫だったか?」

「あ……あぁ、むしろ蘇生してくれて助かったよ。俺はリベット、君は?」

「そうか、自己紹介がまだだったな。俺はトーカだ、よろしく」

「トーカって言うのか、こちらこそよろしく」


軽く自己紹介を交わし、2人とも《劣地竜(バジリスク)》に視線を戻す。そこでは、既に起き上がった《劣地竜(バジリスク)》が殺意を漲らせながら2人をーー主にトーカを睨み付けていた。


「俺は絶対に町を壊させる訳には行かないんだ。その為にはアイツを倒さなきゃ行けない。それで……トーカ、協力してもらえるか?」

「おいおい、ここに来てそれにノーって言う奴はいないだろ。俺もボスと戦いたくて来てんだぞ」


リベットの協力要請に是非も無く頷く。リベットにも言ったがここでノーって言ったら俺はただのバカだろ。


「ところでリベットの武器は……アイツの目に刺さってるあれか?」

「あぁ……目ん玉にぶっ刺したら怒り狂って尻尾で滅多打ちされたからな……」

「そりゃ目に槍をぶっ刺されたら怒り狂うだろ」


俺が軽く突っ込むとリベットは「確かにな」と軽く笑う。

っと《劣地竜(バジリスク)》がそろそろ戦闘再開しそうなので、先程までの若干緩んでいた気分を引き締める。


「予備はあるか?俺があれ()取ってくるまでの繋ぎだが……」

「一応前まで使ってたのがまだあるが……ん?取ってくるってどういう事だ?」

「それはーーこういう事だよッ!」


そう言うと俺は『縮地』と『跳躍』を駆使して《劣地竜(バジリスク)》の頭部の真後ろに移動する。そして『空歩』と『跳躍』を合わせて思いっ切り踏み込み、体を加速させる。


「ハァッ!【アースクラッシュ】ッ!」


ズガァァァァンッ!


『シュァァァァァァァッ!?』


先程の【グラビトンウェーブ】程の馬鹿げた威力では無いが、『不意打ち』に『外道』などがしっかりと発動した【アースクラッシュ】は的確に《劣地竜(バジリスク)》の後頭部に打ち込まれる。


「ヨッ!ハッ!ホッ!からの、喰らえ!【インパクトショット】ッ!」


『シュァブァッ!?』


劣地竜(バジリスク)》が強制的にお辞儀させられる瞬間に、『跳躍』と『空歩』で三角飛びの容量で移動して《劣地竜(バジリスク)》の降ってくる頭の下に回り込み、【インパクトショット】で頭をかち上げる。


「届……けッ!」


跳ね上がっていく《劣地竜(バジリスク)》の頭部を追いかける様に『跳躍』で飛び上がり、真上に向けられている《劣地竜(バジリスク)》の鼻っ面に足を引っ掛けて方向転換し、眼球に突き刺さったままの槍を手で掴む。


「よしッ!後は離脱だけ、だッ!?」


槍を引っこ抜こうと持つ手に力を込めると、《劣地竜(バジリスク)》がいきなり頭を振り回し始めたせいでバランスを崩し、投げ出されてしまう。


「あっぶねぇ!急に頭振るんじゃねぇよッ!」


なんとかバランスを取り、リベットの近くに着地し、《劣地竜(バジリスク)》に怒鳴りつける。どうやら変な熱が再燃し始めた様だ。


「トーカ……お前は神官なんだよな?」

「?あぁ、そうだが……それがどうした?」

「……いや、何でもない(あっるぇ?神官ってそんな動きするジョブだっけ?)」


神官ってなんだと頭を悩ませているリベットに悩みの原因ーートーカから声がかかる。


「ほれ、槍。なんとか取ってこれたぞ」

「あ、ありがとう……(うん、絶対に違う。でも……あれだ、気にしたら負けってやつだ。気にしないで行こう)」


若干頬を引き攣らせながらトーカから槍を受け取る。武器を手に持った瞬間にグッと気が引き締められる様な感覚を覚える。


(あぁ……やっぱり武器があると無いとじゃ感覚が全然違うんだな……)


改めて武器があるという事をのありがたみを実感させられたリベットは(それが現実で必要な実感かは別として)1度大きく深呼吸をし、気持ちを入れ替える。


「リベット、ダメージ量的にアイツのヘイトは俺に向いてる。だから俺とは別方向から攻撃してくれ。俺の攻撃の威力はさっきよりは落ちると思うが……ヘイト的にもまだ大丈夫だろう」

「そうなの……あぁ、そうだな。多分相当変な事しなきゃ俺にヘイトは回ってこないだろうな」


トーカの発言に一瞬訝しげに《劣地竜(バジリスク)》に目をやるが、そのHPが既に残り2割を切りそうになっているのを見て納得する。


(……いやいやいや!ダメージ量おかしくないか!?何で数十人でようやく3割削れる程度なのにトーカの数発で4割近くも削れるんだよ!?)


一瞬納得するものの、有り得ないダメージ量を見て心の中でパニックになるリベット。そして彼は……考えるのをやめた。


(いや、もうそう言うもんなんだろう。考えてもしょうが無い。それよりも今は《劣地竜(バジリスク)》を倒せる可能性が高くなってきた事を喜ぼう、そうしよう)


「よし!行くぞッ!【アタックアップ】、【アジリティアップ】!」


大きな声と共にトーカがリベットに『付与魔法』で強化を施してから、《劣地竜(バジリスク)》の真正面に向って走り出す。


「ハァァァッ!……って流石に何の補正も乗らないアーツすらない素の一撃じゃダメージらしいダメージは通らないか」


亀甲棍で何発か《劣地竜(バジリスク)》を殴り付けるが、トーカの攻撃力を頭おかしいレベルにまで引き上げている称号達が今回は珍しくほぼ何も発動していないので、自身にかけた【アタックアップ】と《劣地竜(バジリスク)》にかかっている【弱化の呪い・防】だけの攻撃ではろくなダメージが入っていない。


HPバーの減りを見ても、リベットの方もそうなのだろう。

さすがボスモンスターなだけはある。そもそも直径100m近くを消し飛ばす【グラビトンウェーブ】を不意打ちでモロに受けてHP4割ちょいしか減らないってのがおかしいのか。いや、そもそも直径100m近くを消し飛ばす攻撃手段を持ってる俺がおかしいのか?


それでもちまちまと削っていると、遂に《劣地竜(バジリスク)》のHPが2割を切った。


『シュァァァァァァァァァァァッ!!』


「危ねぇッ!」


HPが2割を切った途端に、《劣地竜(バジリスク)》がその巨体を振り回し始めたので、慌てて離脱する。リベットも同じタイミングで離脱したようで、《劣地竜(バジリスク)》から少し離れた位置に2人とも移動させられてしまった。


「HP2割切ったぞ、ここからが正念場だな」

「あと2割、されど2割って事か」


そう短く言葉を交わした俺達は、《劣地竜(バジリスク)》の巨体振り回しが終わったタイミングで再び突撃しようとするが、それよりも早く《劣地竜(バジリスク)》が新たな手札を切る。


『シュァァァァァァァッ!』


劣地竜(バジリスク)》がこちらを睨んだ瞳が一瞬チカッ!と光ったと思った瞬間、体が少し重くなった様な感覚に囚われた。


「なんだ、これ?」


そんな違和感に言葉を漏らし、視界の隅に出現したデバフアイコンに目がいく。そこには見慣れない、剣が中心からへし折れているアイコンが弱々しく、されど存在感を放って出現していた。


そのアイコンが何を示すかを確認しようとする前に、同じ事をしたらしいリベットが震える声で言葉を漏らす。


「トーカ、これはやばいぞ!STRがゼロにされてる!」

「はっ!?」


リベット曰く、ステータスにおけるSTRの基礎値(素のステータス)がゼロになってしまっているらしい。しかも効果時間は60分と超長い。装備などによる補正はそのままになっているので、攻撃しても全くダメージが無いと言う事にはならないらしいが……はたして《劣地竜(バジリスク)》に装備補正だけのSTRでの攻撃が効くのかどうか……


「厄介な状態異常だな……【キュア】!」


状態異常ならばと『回復魔法Lv.1』から使える状態異常を治す【キュア】を発動してみるが、エフェクトは起これど何も変わらないので効果は無いのだろ。


「ダメか……なら【キュアー】!」


【キュア】でダメならと『回復魔法Lv.4』で使えるようになる【キュア】の上位魔法である【キュアー】を発動する。

しかし、結果は先程と全く同じで、エフェクトは起これど状態異常は解除されなかった。


「ダメだ、回復出来ないっぽい。多分だけど当たったらダメな奴に当たっちゃったっぽいな」

「そんな……」


解除出来ないと言う俺の言葉に、リベットがショックを受けた様に俯く。それもしょうがないだろう。ようやく希望が見えてきた時に、その希望が更なる絶望で塗り潰されてしまったのだから。


『シュァァァァァァァァァァァッ!』


「何で……守れなかったんだろうなぁ……」


ここぞとばかりに飛びかかってくる《劣地竜(バジリスク)》にリベットは諦めたように、あるいは絶望したように乾いた笑みを浮かべる。


「ふむ、STRの基礎値がゼロ……か。問題無い(・・・・)な」


その横で、トーカは何故かまだ余裕そうな笑みを浮かべていた。



時には思考停止も立派な選択肢だと思います。

おかしい……トーカの動きが神官どころか普通のプレイヤーからかけ離れて来た気が……うん、イベント効果だ、しょうがない(諦め)


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!

今後も当作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] キュアの上位魔法がキュアーって運営手抜きしてるなぁ(笑)
[気になる点] 書籍版のヒャッハーを読んで、気になる部分があったのですが。 この話でバジリスクを吹き飛ばしたスキルは、【グラビトンウェーブ】ですよね。  けれど、書籍版の135ページでは【グラビトンウ…
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