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第38話 人は優位に立った時性格が現れる

ちょっと吉野への「さすがにダメだろ……」という声が多かったので修正しました


「イベントボスか……」


ヒャッハー達が《劣火竜(サラマンダー)》や《劣風竜(ワイバーン)》と戦闘を開始する少し前、北東エリアのモンスターを蹂躙して回っていたトーカがボソリと呟く。


その呟きに覆いかぶさるように《スタンピード・ベア》の断末魔の叫びと爆発音が響き、同時に【チェインボム】によって周囲に自身の受けた最終ダメージと同じダメージをばらまく熊爆弾によって5〜6匹のモンスターが巻き込まれ光を散らしていく。


「ここは北東だから行くとしたら北か東だが……」


物思いに耽りながら片手間で現段階で最強クラスのイベントモンスター達を蹂躙していくトーカは、少し思案した後に自らが挑む(狩る)ボス(獲物)を決めた。


「北は多分リクルスが行くだろうし、俺は東かなっと」


そう呟くと同時に『跳躍』で跳ね上がり、『空歩』との合わせ技で恐ろしい速度で東へ向けて加速していく。

その姿はまるで白い弾丸の様であったが、プレイヤーモンスター含めそれを目撃できた者は居なかった。


◇◇◇◇


『シャァァァァァァァァァッ!』


鋭い咆哮と共に直径が2mはありそうな極太の尾を薙ぎ払い、数人のプレイヤーのHPを余さず消し飛ばしたのは、土色の鱗に体を覆われ、額に毒々しい紫色の王冠の様な紋様を持つ大蛇。


トーカが狙いを付けた東エリアのイベントボスーー《劣地竜(バジリスク)》である。


劣地竜(バジリスク)》は今現在、始まりの町の東門から真っ直ぐに2km程の地点に出現していた。

なので、何故か北東に15km地点で哀れなモンスター達を蹂躙をしていたトーカが辿り着くまでに少し時間がある。

結果、幸か不幸か《劣地竜(バジリスク)》はトーカに狙いを付けられた事は知る由もなかった。


「くっ!コイツも東にいる以上物理で攻めれば行けるはずだ!」


東エリアの絶賛《劣地竜(バジリスク)》と戦闘中のフィールドに焦りの中に僅かに絶望を孕んだ声が響き渡る。


エリアの性質(物理有効)から考えて、《劣地竜(バジリスク)》にも物理攻撃による大きなダメージが期待出来るはずなのだが、屈強な重戦士が大剣で切りつけようが、軽快な動きを見せる軽戦士がどれだけ殴りつけようが《劣地竜(バジリスク)》にはダメージらしいダメージを与えられずにいた。


そして、こちらの攻撃が通らずとも《劣地竜(バジリスク)》の攻撃の一撃一撃がプレイヤーに取っては即死級の攻撃なのだ。

結果、東エリアにおいてのリーダー役を務めているプレイヤーの必死の指示も虚しく、周囲のプレイヤー達は呆気なくやられていく。


「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」

「気を付けっ……うわぁぁぁぁっ!」


現に、今も《劣地竜(バジリスク)》はその巨大な尻尾を振り回し3人程のプレイヤーを吹き飛ばし、他の人達に警告を出そうとしたプレイヤーの上半身を噛みちぎり、一瞬にして4人のプレイヤーのHPを呆気なくカラにした。


「おかしいだろッ!?何で、何でこんな強いんだよ!」

「ここは東エリアじゃないのかよッ!?何で物理攻撃ですらほぼ効かねぇんだよ!?」

「みんな落ち着け!喚いたってどうにもならない!」


劣地竜(バジリスク)》のあまりの強さに心が折れかけているプレイヤー達が絶望の叫びを漏らし、それは強力な毒となって他のプレイヤーの心に侵食していく。


リーダー役のプレイヤーが何とか士気を保たせようと必死に声をかけるが、その声も一度折れ、絶望に沈んだ心を、再び奮い立たせるにはいたらなかった。


「喚かなくてどうにかなるなら俺だってピーギャー騒いでねぇよ!もう無理だろこんなん!」

「そうだよ!運営頭おかしいんじゃねぇの!?」


既に心が折れ、無様に喚き散らす事しか出来ないプレイヤー達を容赦なく蹂躙していく《劣地竜(バジリスク)》。

ある者は恐怖に負けて逃亡し、無防備な背中を尻尾で薙ぎ払われ、またある者はヤケクソ気味に剣を振り回し、ろくなダメージも与えられずに噛み殺された。


北エリアの《劣火竜(サラマンダー)》のように炎を纏っていて近付けない訳でもなく、西エリアの《劣風竜(ワイバーン)》の様に空を飛ぶ訳でもなければ、南エリアの《劣水竜(シーサーペント)》の様に水中に居るなんて事もない。


それなのに《劣地竜(バジリスク)》は圧倒的な強さをもって東エリアのプレイヤー達の前に立ちはだかっていた。


ちなみに南エリアのボス、《劣水竜(シーサーペント)》だが、南エリアには町から少し(1km程)行くとモンスターが出ない大きな湖があり、そこに出現した。

イベントに意味もなく湖がある訳も無いので、多少頭を捻れば何かあると充分予測できただろう。ついでに言えば今イベントでは最弱エリアに設定されている南エリアのボスなので、他の三エリアのボスと比べると一回り弱く設定されている。


話を戻すと、他のエリアのボスと比べると特筆すべき点がない《劣地竜(バジリスク)》が何故こんなにも猛威を振るっているのか、それはとある人物の思惑が関係していた。


その人物とは、吉野 明美あけみ(29)、モンスター作成担当で同棲している交際4年目の彼氏がいる、趣味はダーツ。である。


彼女はそ­の時(作成時)の彼氏との交際関係によってモンスターの強さが乱高下すると言う実に厄介な人物で、山田と斎藤がトー……とあるプレイヤーに胃を痛めつけられてる中、荒んでいる山田と斎藤を尻目に自身の最高傑作(彼氏と大喧嘩中に作成)の『番人熊』、正式名称《プロウル・ベア(徘徊する熊)》がトーカ達を蹴散らしてくれて満足し、満面の笑みで山田と斎藤に自慢している様な性格をしているのだ。

ちなみに自慢した直後に山田は虚ろな目で「イイナァ……」しか言わなくなり、斎藤からは無言で刃が出たカッターが投擲されて来たのでさすがに謝った。


そんな彼女が彼氏の浮気疑惑浮上中に作成したのが件のイベントボス、《劣地竜(バジリスク)》である。

結果、《劣地竜(バジリスク)》は他のイベントボスとは一線を画す強さを持っている、持ってしまっているのだ。


「ついカッとなってやった、後悔も反省もしていないし、する気は無い」とは彼女の弁である。


本来なら北エリアに配置されるべきであるレベルの強さを誇る《劣地竜(バジリスク)》であるが、吉野のSな部分が出てきてしまい、吉野発案で東エリアに配属される事となった。


東エリアが選ばれた理由としては、魔道士は大体が西または北に、物理攻撃をメインとする前衛職も一定の実力があるなら北へ、あまり自信が無いなら南へとプレイヤーが流ると予測される。

なので、最も強いプレイヤーが少なそうな東エリアへと《劣地竜(バジリスク)》が配属されたのだ。


そんな運営の思惑をプレイヤーが知る由もなく、異常に強いボスモンスターに彼らの心はへし折られてしまっている。


吉野の予測通り、東エリアに来ているプレイヤー達は《EBO》プレイヤー全体のせいぜいが中の上程度の実力のプレイヤー達しかおらず、北エリアに行くようなプレイヤー達でも相当な苦戦が予想される《劣地竜(バジリスク)》相手になす術なく蹂躙されていく。


もちろん、中には北エリアでも充分に戦える実力はあるが東エリアに来ているプレイヤーもいなくはない。しかし、その大半がパーティーメンバーの実力的に全員で北に行くのは厳しいので東エリアに来た、と言うようなパターンな上に、そういったプレイヤーの人数も少ないので、《劣地竜(バジリスク)》に有効打は与えられずにいる。



しかし、圧倒的な実力差を見せつけられ大体のプレイヤーの心が折れている中、《劣地竜(バジリスク)》を相手に一歩も引かずに勇敢に立ち向かっているプレイヤーがいた。


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!

今後も当作品をよろしくお願いします!

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