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第32話 神官は機動力を手に入れた!


1 2の …… ポカン!

トーカ は じょうしき を きれいに わすれた! そして……! トーカ は あたらしく こうそくいどう を おぼえた!


忍者男ーーフィローが「ひゃっほぉぉぉぁいっ!」と走り去っていき、辺りに静寂が戻る。

正確に言えばモンスターは再び湧き始めたのであちこちからモンスターの唸り声は響いてくるのだが。


「そろそろ動き出さないと不味いなっと」


【グラビトンウェーブ】の影響で、壮絶な破壊痕が残る元草原を更に奥の方へ駆けていく。元は見晴らしのいい草原だったのだが今や【グラビトンウェーブ】の影響があった半径100m程にかけて芝生が荒れ果て、地面が見えている箇所が多くある。更に所々に元岩と思しき瓦礫が散乱している箇所も点在しており、よく見れば所々に小さな地割れの跡も見える。ついでに言うなら着地点から半径10m程は深さ1.5m程のクレーターになってすらいる。


「うっわぁ……エグイな……」


ウィンドウを見てどのレベルの蹂躙を引き起こしたか分かっていたつもりだったが、それはあくまでそれはモンスターに対する【グラビトンウェーブ】の影響であり、地形に対する影響では無かった。


ちなみにだが……この地形の蹂躙において大きな影響を及ぼした称号が2つ程ある。


その称号はこちら。


======================


『破壊の権化』

圧倒的破壊を(もたらす)す者の証

破壊可能オブジェクトへのダメージ増加


======================


======================


『意志を持った災害』

人の身でありながら災害レベルの脅威である証

範囲攻撃の威力上昇

攻撃がフィールドに与える影響増加


======================


おわかりいただけただろうか?この2つの称号による効果、『破壊可能オブジェクトへのダメージ増加』、『攻撃がフィールドに与える影響増加』の影響により、通常の数倍の影響がフィールドに出てしまっているのだ。


もちろんトーカはまだ称号の確認をしていないのでこの事は知らないのだが……


「さぁて、もう1個の方も試してみたいな」


【グラビトンウェーブ】が引き起こした大惨事に普段のトーカなら流石に自らの行いに引いてしまう所だろうが、幸か不幸か今のトーカは過去最高にハイモードのトーカである。

自分が引き起こしたこの大惨事にこんな威力が出るのかと、むしろテンションを上げていた。


テンション高めのトーカは周囲に『威圧』を撒き散らしながら、奥へ奥へとぐんぐん進んでいく。

果たしてそれは勇敢な戦士の行進か、はたまた残忍な悪魔の侵攻か、壮絶な破壊痕の中をトーカは意気揚々と駆け抜けていく。


◇◇◇◇◇


「よし、ここなら丁度いいな」


相も変わらず威圧によって動きを封じられるモンスターを蹂躙し、稀に現れる威圧を跳ね除けてみせる強敵とのバトルに心を踊らせながらモンスターだらけの草原を突き進み続ける事数分、先程の場所より更に奥、町からの距離だけで見れば15km程離れた箇所に彼はいた。


奥に行けばいくほど敵のレベルが上がり強くなっていく。

しかもイベントの仕様上同じ種族である以上、取得ポイントは変わらないと言うこともあり、こんな所まで来ているプレイヤー(物好き)は他には見当たらない。


その結果、何十匹、下手すれば3桁に届きうる数のモンスターに狙いをつけられていながら、トーカは満足気に頷くばかりでまるで危機感を感じていない。

これが他のプレイヤーなら全てを諦め、開き直ったのかと思う所だが、彼は違う。彼にはこの場にいるほぼ全てのモンスターを殲滅出来る切り札を握っているのだ。いざとなったらそれを切ればいい。


切り札の正体は簡単、高所落下の衝撃を乗せた【グラビトンウェーブ】を放つだけだ。もちろん、1回の『跳躍』では先程の大破壊は引き起こせないだろう。

しかし、忘れてはいけない、トーカが手に入れた新スキル『空歩』、このスキルの効果は単純明快。【スキルレベル】×1回、空を踏みしめられる、と言う物だ。『踏みしめられる』であって空に足場を作るわけでは無いので空中に留まる事は出来ないのだが……空中で『跳躍』を再び使うには充分であった。


そして、移動がてら『空歩』の効果を確認をしたトーカは思った。思ってしまった。


「このスキルがあればモンスターを打ち上げなくてもいいのでは無いだろうか?」、と。


彼は思い付いた、思い付いてしまった。ならば後は早い。移動中にちょこちょこ『空歩』と『跳躍』を使いながら移動を続けるだけでスキルは成長し、どんどん火力がインフレしていくのだ。


移動方法はいたって簡単。

『跳躍』で飛び跳ね、最高到達点で体を少し斜めに倒し、『空歩』によって踏みしめられる様になった空を踏みしめ、『跳躍』を使い砲弾の様に前に突き進むだけだ。

《EBO》の落下ダメージと言うのは地面を基点とした『高さ』でダメージが決まる。なので上手く飛べば着地時に落下ダメージは受けなくて済む。もちろん、着地の時にバランスを崩せば途端に袋叩きの危険はあるのだが……

これを繰り返す事で、移動とスキルのレベル上げを両立させることが可能になったのだ。


普段のトーカならばこんな事はしないであろう……多分。

繰り返し何度でも言うが今のトーカはイベント熱にあてられたハイテンショントーカだ。思い付いてしまったらやらない理由が無い。

そんな訳で数分で10km以上もの長距離の移動を可能にしてしまい。更には立体的な機動の動きも習得させてしまった。

もしこれをフィローが見たら……勧誘がヒートアップする事間違いなしであろう。


しかもこの移動手段により、『跳躍』、『空歩』だけでなく、『集中』、『軽業』、『見切り』など、およそ神官の取得するスキルでは無いような物ばかりが育ってしまった。

加えて言えば、『跳躍』で飛び上がれる距離はSTRの影響で上下する。よって更に『跳躍』の効果がブーストされる事となってしまった。


今のトーカの『跳躍』はLv.5『空歩』はLv.4。

つまり、トーカはLv.5相当の跳躍を4回、空中で重ね掛け出来る事になる。更に言えば『空歩』による足場はしっかりとしている為、モンスターを足場にした場合よりもしっかりと『跳躍』出来てしまう事だろう。最後の1回を地上に向けて『跳躍』するために使うとしても3回のブーストが出来てしまう。しかもその場合は落下時に加速付きだ。その衝撃から繰り出される【グラビトンウェーブ】は一体どんな威力を発揮するのか……しかも未だに育ちきっていない状態だ。考えただけでも恐ろしいものである。


この事実を知った、《EBO》運営チーム、スキルバランス構成担当の山田 武吉(たけよし)(37)、二児の父で趣味は海釣り、最近の悩みは長女が構ってくれない、はあまりの情報にフリーズ、酒に逃げた結果相当な深酒をしてしまい、翌日は二日酔いで出社、最初は酒臭い彼は顔をしかめられていたが、事情を知った同僚から同情される事になるのだが……これはごまんといる《EBO》プレイヤーの中の1人にすぎないトーカにはあまり関係の無い話である。



「シッ!」


『グガァッ!?』


振るわれた亀甲棍に頭部を撃ち抜かれ爆散する《スタンピード・ウルフ》、彼(または彼女)の突撃を皮切りに、大量のモンスターがどんどん襲いかかってくる。


それらを時に殴りつけ、時に回避してモンスターを捌き続ける、するとトーカを中心にモンスターが群がり始める。そのタイミングを見計らい、トーカがアーツを発動する。


「シャオラッ!【チェインボム】ッ!」


アーツを発動させると共に、飛び込んで来た《スタンピード・ラビット》を地面に叩きつける。『ピギュエッ!』と言う叫びと共にそのHPバーをカラにした哀れなウサちゃんはその身を光に変えるーー事なく、《スタンピード・ラビット》は空気を入れた風船の様に膨らんで行き……限界点に達すると一瞬だけ動きを止める。


そして……


パァンッ!


気持ちいい程の炸裂音を響かせ、まるで風船が割るかのように破裂した。



常識は何処へ、山田の胃へのダメージは留まることを知りません。

そんな山田のココ最近で一番嬉しかったことは、誕生日に長女(11)と長男(8)が誕生日プレゼントに胃薬をくれた事だそうです。


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!

今後も当作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 空歩の最後の一歩をわざわざ下向きにしなくても ジャンプした瞬間の速度と着地する瞬間の速度は(空気抵抗を考えなければ)同じだから別にいいのでは?
[一言] 最初の文章について ・こんなモンスターを捕まえて、連れ歩きレベルを上げをしてはいけません。すぐにOキド博士に預け(押し付け)ましょう。 ・最初から常識なんてありませんでした。間違って何か別の…
[一言] 最初の文でまず『ンゴフォッwww』(痙攣付き) って吹いて、そのあとの本文で 『………っ!…………っっ!wwww』 (笑いすぎで息が出来ず過呼吸になりかけてる人の図) ってなりました。親に心…
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