第31話 蹂躙跡に忍者参上ッ!
予想よりたくさんの人が前回の問に答えてくれて驚きです。
そして皆様ほぼ正解をたたき出してくれました。
(2)の答えも様々でしたが少なくとも普通の神官では無いようで、一体トーカはどこまで突き進むのか……もはや作者にも分からない状態です
回答してくださった皆様、本当にありがとうございます!
さて、答え合わせのお時間です。
どこぞの神官が諸々の強化を乗せた状態で
地上10mの高さからの落下の衝撃を乗せて
【グラビトンウェーブ】を放ちました。
Q.この場合、地上はどうなりますか?
A.こうなります
◇◇◇◇
着地から一拍の間を置いて、辺りを蹂躙する衝撃波がモンスター塗れの美しかった草原の中を荒れ狂う。
現在のトーカのレベルは25、もし仮に全てのSPをSTRにつぎ込んだとしてもSTRは371、それだけなら放たれた【グラビトンウェーブ】はここまで恐ろしい蹂躙は引き起こされる事は無かったであろう。
しかし、諸々の効果で超強化されたトーカが地上10mと言う高さからの落下の衝撃を全て乗せて放った【グラビトンウェーブ】は、そんな生易しい物ではなくなってしまった。
半径100mにも及ぶ広範囲に致死の衝撃波が吹き荒れ、しかもそれら全てが『一撃粉砕』、『外道』、『不意打ち』の三コンボで8倍に強化されている。
当然そんな攻撃がトーカの普通の一撃(称号効果全部乗せ)すら耐えられない有象無象共に耐えられるはずも無く……
四方八方から破壊音とモンスターの断末魔の叫びが響き、辺り一面がモンスターの残光で満たされていく。
その幻想的な光景とは裏腹に、今この場所は《EBO》内で最も死が溢れている地獄となっている。
「ふぅ、スッキリした」
辺りに満ちる残光の中、一仕事した直後の様に清々しい顔で腕で額を拭うトーカの周囲には、およそ生命と呼べるものはトーカを除き、何一つとして無くなっていた。
《称号『大量殺戮者』を取得しました》
《称号『意志を持った災害』を取得しました》
《称号『破壊の権化』を取得しました》
《レベルが上昇しました》
《レベルが上昇しました》
《レベルが上昇しました》
……イベント始まってから物騒な称号貰い過ぎじゃないか?普通はこんなにポンポン貰えるものなのか?
※貰えません。何度でも言いますがトーカが特殊なだけです。
インフォメーションに続き、今回の殺戮の結果がウィンドウにまとめられ、目の前に出現する。
出るのが少し遅かったな、処理が多かったのか?
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暴走兎の角×21《ポイント換算》
暴走兎の肉×19《ポイント換算》
暴走兎の脚×6《ポイント換算》
暴走狼の毛皮×16《ポイント換算》
暴走狼の牙×16《ポイント換算》
暴走狼の尾×7《ポイント換算》
暴走牛の皮×14《ポイント換算》
暴走牛の角×28《ポイント換算》
暴走牛の蹄×4《ポイント換算》
暴走牛の肉×2《ポイント換算》
暴走熊の毛皮×9《ポイント換算》
暴走熊の爪×6《ポイント換算》
暴走熊の牙×8《ポイント換算》
暴走熊の掌×3《ポイント換算》
暴走獣の魔核×4《ポイント換算》
暴走兎……10P×41
暴走狼……20P×36
暴走牛……30P×21
暴走熊……50P×13
一撃討伐……50P×111
討伐距離……103m×1P
アイテム換算
10P×70
20P×59
30P×15
50P×10
80P×5
150P×4
合計 9444P
総合 13675P
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「わぁお……これはまた……なんという……」
周囲一帯が消し飛んだ空間で自身が引き起こした蹂躙の結果が映し出されたウィンドウを呆然としながら眺める。
本来ならこんな場所で立ち尽くしていれば一瞬で袋叩きされるのだが……今この周囲には生命の気配がまるで無いので存分に立ち尽くす事が出来た。
「いやー凄いでござるなぁ」
「ッ!?誰だ!?」
声が聞こえた瞬間、亀甲棍を構え、いつでもアーツを放てるように身構える。
あまりの結果に呆然と立ち尽くしていたせいか、歩み寄ってくる気配に気付く事が出来ず、声を掛けられたことに過剰に反応してしまった。
「のわッ!?拙者は敵ではござらんよ!だからその破壊兵器を収めてくれでござる!」
俺がつい亀甲棍を振りかぶってしまったせいでその声の主は焦り出す、先程の蹂躙を起こした武器だと分かっている様で怯えた声で必死に亀甲棍を下ろすように懇願してきた。
その人物は全身を黒装束に包み、頭部も目元以外を隠しており、額には『飛』と書かれた鉢金を巻いている……言わゆる忍者装束に身を包んだ男性だった。
「す、すまん……いきなりだったからつい……」
「そこは急に声を掛けた拙者も悪かったでござる、立ち尽くしていた様でござったから」
「それは本当に助かった、場合によってはそのまま袋叩きもありえたからな」
この人は出来た人だな……ぼーっとしてたのは完全に俺が悪いのに……でも流石にぼーっとし過ぎだな、気を引き締めねば。
「お役にたてた様でなによりでござる、ところでお話があるのでござるが……」
「話?なんだ?」
「それは……」
忍者男がもったいぶる様に言葉を切る。そのまま数秒、流石にしつこいと思い始めた頃、ようやく再び口を開いた。
「拙者と共に忍者道を行こうでござる!」
「ざっしたーさよならー」
「のわぁぁ!待つでござるぅぅぅぅ!」
踵を返し歩き出すと忍者男が慌てた様にガッ!と肩を掴み、呼び止める。
「忍者!カッコイイでごさろう!?」
「あぁ、確かにカッコイイな」
「そうでごさろう!?そうでござろう!?」
「だけど別になりたくは無い」
「ござるぅぅぅぅぅっ!」
俺の言葉に崩れ落ちる忍者男。いや?忍者がカッコイイのは同感だよ?ただ別になりたいとは思わないわな、リクルスとかなら喜んで忍者になる様な気もするけど。
「もったいないでござるよ!お主のその身のこなし!空中で熊を足場にもう1度ジャンプするなんてまさに忍者のためにあるような技術!是非拙者と忍者道を歩もうぞ!」
「だとしてもその後の行動が忍者じゃねぇだろ、周囲一帯を破壊し尽くす忍者ってなんだよ、忍べてねぇじゃねぇか」
「最終的に目撃者がゼロならそれは忍んでるでござる!」
「ざっしたーさよならー」(2回目)
「のわぁぁぁぁッ!待たれよ!待たれよ!狐面殿!」
狐面殿、忍者男は俺をそう呼んだ。そう、俺は今いつもの装備の他にももう一つ装備を付けている。それがこれだ。
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『白狐面』
白い狐を象ったお面
顔の上半分だけを隠す仕様になっている
INT+10 VIT+10
『認識阻害』
製作者【メイ】
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『認識阻害』はそこまで強力な物ではなく、お面で隠れていない顔の下半分を覚えにくくする程度の者らしい。
『白狐面』はイベント前夜に『鉄糸弓』を受け取りに行く時、メイが何かに影響を受けた様で、こんなのも作ってみた、と言って渡してきた物だ。頭部の装備は無かったし、丁度良かったのでありがたく受け取っておいた。
そんな訳で俺は今素顔を晒していない、しかし別段視界が遮られるなどの仮面を意識させるデメリットが無かったため、一瞬だけ判断が遅れた。
「?あぁ、俺か」
「拙者とお主以外ここには居らんでござろう!?」
「そうだな、なんなら今から俺も居なくなる」
「そんなに!そんなに忍者になりたくないでござるか!?」
再び立ち去ろうとすると、必死の形相(目しか見えないが眼力が強すぎる)で俺の肩をガシィッ!と掴む。
「そろそろしつこいぞ」
流石にうざったらしくなってきた俺は振り返るとスッと亀甲棍を振り上げる。瞬間、目元を真っ青にして距離をとる忍者男、その反応は忍者を自称するだけあってとても素早いものだった。
引き際もそれくらい素早ければいいのに……
「のっわぁぁぁ!わかった!わかったでござる!だからそれをしまってくれでござる!」
「はぁ……じゃぁ俺はもう行くぞ、じゃあな」
「あっ!拙者はフィローと申す!狐面殿のお名前を教えてくれでござる!」
今度こそ移動しようと背を向けると肩を掴まれる事こそ無かったがフィローと名乗った忍者男が名前を尋ねてくる。教えても構わないが……
「なんか教えると今後も絡んできそうだから却下」
「なぜバレたでござるッ!?」
この駄忍が……むしろ何故バレないと思った……
「どうしたら教えてくれるでござるかッ!?」
「教えないって言ってんだろ……」
「そこをなんとかぁぁぁぁぁぁぁッ!」
「しつけぇぇぇぇッ!」
またしてもしがみついて来たフィローの腕を掴み投げ飛ばす、のわぁぁッ!と叫びながら転がっていくフィローを尻目に今度こそ歩み出す。
「ならどうすれば教えてくれるでござるかッ!?」
歩み出させろッ!
「あーうん、あれだ、イベントにランキングあるだろ?なんかそれで活躍して来いよ」
「そうすれば教えてくれるでござるねッ!?」
「あぁ、考えといてやるよ」
「おっしゃぁぁぁいッ!忍者道を広める為に死ぬ気で戦うでござるよぉぉぉぉッ!」
俺が言うとフィローはダッシュで駆け出していく。いや、忍者道とやらには進まないからな?更に言えば考えるとは言ったが教えるとは言ってないからな?
勧誘は程々に!
フィローの忍者口調はキャラ付けなので相当焦った時や掲示板等でメッキが剥がれる事がありまする
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!
今後も当作品をよろしくお願いします!




