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ヒャッハーな幼馴染達と始めるVRMMO 【書籍版発売中!】  作者: 地雷酒
第3回イベント『ギルド対抗戦【蠱毒】』
301/310

第281話 『蠱毒・2日目《獅子奮迅》』

前回で300話達成していたらしい

番外編とか挟んでたからズレてたのか……まったく気付かなかった

おめでとうコメントありがとうございます!最近は特に牛歩な当作品ですが今後ともよろしくお願いします!


そして約1ヶ月ぶりの更新ですね

なんかもうね、更新がー更新がー毎回言ってる気がします

ちょっと今回はサクラちゃんが強過ぎてどうしようか色々こねくり回してました

ついでにヒスイの冒険とか危機契約とかマインなクラフトとかがね……?


なのでお詫びがてら情報とクイズをば


【厳冬】

この盾を介して受けるダメージと■■■■によるダメージを2倍にする


サク……桜鎧の持っている盾に付いている、最初の方に桜鎧が使ったスキルですね


Q.タンクが被ダメを増やす理由はなんでしょう


考えながら本編を読んでみてね!


そして、今回では読者様から頂いたアイディアを使用させて頂きました!アイディアをくれた方、ありがとうございます!

 

『さぁ、第2ラウンドの始まりだよ』


 巨大な刃を振るい猛進する雄牛は、己が血霧の中に斃れた。

 雄牛の猛攻を耐え凌ぎ、なおそこに咲き誇る桜樹は朗らかに笑う。


 それはまるで、悪い夢でも見ているかのような景色だった。


 ◇◇◇◇◇


『ッ……!これは無理(・・)だ!俺が抑える、お前らは先に進め……!』


 未だ健在の桜鎧にレオが苦渋の決断を下す。

 それは、己を犠牲に捧げ他を生かす生贄戦法だった。


 それを聞いて、他のメンバーは何を思ったのだろうか。しかし、その反応を見る前にレオは既に駆け出していた。


『俺の仕事なんてなぁ!【対神楽連合(お前ら)】を集めた時点で終わってんだよ!使い終わった駒はお役御免だ、使い捨てて先に進め!』


 叫び声と共に、その手握る直剣に深紅の光を灯し桜鎧に斬り掛かる。


『はんっ!タウラスの後じゃ物足りねぇかもしんねぇけどよ、ちょっくら付き合ってくれや!』

『あは、いいよ。キミとは前から遊んで見たかったんだ』


 縦横無尽に動き回り、常に攻めの手番をこちらに固定する。相手のあらゆる動きに自身の攻撃を差し込み、防戦一方を強要する。

 レオの猛攻はその名の通りライオンの狩りのように、王者の威容を醸し出していた。


 だが、圧倒的に、力が足りなかった。

 タウラスという暴の化身の様な力の嵐すら生き延びたこの桜鎧に、レオの猛攻はせいぜいが大雨程度にしかならないだろう。


 そのHPバーは悲しいほどに遅々としてしか削れて行かない。しかも、その積み重ねたダメージすらも何もせずとも時間と共に回復していく。

 継続回復系の効果を持つスキルなり装備なりを持っているのだろう。このままでは、100年かけようが桜鎧を討ち取ることなど出来やしない。


 それでも。レオの猛攻は確かにその場に桜鎧を縫い止めていた。


『皆さん!今のうちです!レオがアレを止めている隙に、極力距離を取りつつ城の中へ!あの壁は先程消滅したままです!再び行く手を阻まれる前に、1人でも多く城の中へ!』


 リーダーの覚悟を受け取ったヴァルゴが迷っている様に動き出せずにいた仲間へ叫び声の様に指示を出す。

 その声音にはこれまで余裕綽々と言った様子のヴァルゴからは想像出来ないほどに必死さが溢れていて、誰もがその声に背を押され城へと駆け出す。


『レオ!参謀からの作戦司令です。…………楽しみなさい!』

『ッ!くはははは!最っ高の指示だぜ参謀様よ!おっしゃ、こっからはフルスロットルだ!付いてこいよ桜鎧ィ!』

『そうだよ。楽しまなきゃ、勿体ないよね!』


 本来守るべき城の中へと雪崩打って進む人々を意にも介さず、桜鎧は楽しそうに剣戟の音を奏でる。

 振るわれる豪剣をその大盾で遍く受け止めその音を響かせ続ける。


 一進一退、なんて間違っても言えないだろう。

 進むも退くもない。完全に膠着している。


 それでも、それこそがレオの望む状況だ。

 敵は、【カグラ】は、強い。だからこそ、必死にならない。


 楽しむ事を忘れない。そこに、勝機がある。


『俺の剣も温まって来た、もっともっと、加速するぞーーー!』


 直剣の深紅がより強く、より鮮やかに光を灯していく。なびく剣軌は緋色の閃光の様に。鮮やかに空を彩り、加熱していく。


 それでも、桜鎧の命に届かない。総合力に優れるレオでは、様々な状況に対応は出来ても純粋な力押しは難しい。


 独り壊れぬ壁を殴るが如き孤独は、徐々に精神を蝕んで行く。

 もういいんじゃないか?ここで一旦退いて、後は先に進んだ仲間に任せれば。そんな考えが徐々に徐々に思考を埋め尽くす。


 こんな事を考えてしまうくらいなら、いっそ。


 そんな思いすら湧き上がり……。


「HAHAHA!いいねアンタ、気に入ったZE☆」


 底抜けに明るい陽気な声に吹き飛ばされた。


『な!?アンタは……!え、誰!?』

『わぁ!映画の陽気な外国人みたいな人が増えた!』

「おいおいヨロイガールそんな褒めるなよ、照れるじゃないか。オレっちはマイケル、【唄う幸運(コーラスクローバー)】のリーダーだZE☆」


 手にした棒で桜鎧の背後を取って一撃を決めたその男は、金髪碧眼にやけにキラリと輝く真っ白い歯で笑うまさに『コメディリリーフの外国人青年』だった。

 しかし、そんな彼は決して明るいだけが取り柄の青年などでは無い。


『【唄う幸運(コーラスクローバー)】、Aランクギルドじゃねぇか!城の中に行きゃもっと暴れられんだろうに、なんでこんな負け戦なんかに!?』


 Aランクギルドを率いる、列記とした猛者なのである。


「おいおいリーダーさんよ、そいつァ言っちゃいけねぇよ。漢が1人強敵に立ち向かってんだ。なら諦めんなよ、オレっちはお前のその漢気に惚れ込んで助太刀に来たんだぜ?」

『ってもコイツクソ硬ぇしよ……!』

「なぁに、今のオレっちは最強無敵のスーパーマンよ。何せ……」


 マイケルは棒を構えニヤリと笑う。

 それはもう、自信満々に。

 勝利の女神は我が背にありと言わんばかりに。


 そして、声高に叫ぶ。己が勝利の確信を。


「愛しのソフィーとこの戦いが終わったら結婚すると約束してるからNE☆」

『いやそれ死亡フラグゥ!』

「そうさ、だからこそオレっちはソイツを打ち破って見せるのさ!そうしてこう言うのさ、『運命からも君を守るよ……(イケボ)』と!」

『うっわ加勢してもらってアレだけどコイツ鬱陶し!』


 ともあれ、喧しい加勢のおかげもあってかレオのメンタルも持ち直した様だ。

 精細さを欠き始めていた剣筋も勢いを取り戻し、いきなり増えたマイケルとの連携もそつ無くこなしている。


『うわっ、人が増えると急に大変になるね!』


 盾で防がれずとも鎧の堅牢さに本人のステータスの高さからほとんどダメージが出ないのは変わらないにもかかわらず、桜鎧は全ての攻撃を律儀に大盾で防御している。


 それでも、人が増えれば純粋に手数が増える。

 段々と防御が追い付かなくなり始めた様だ。


 問題はだからといってダメージが増える訳では無いという事だが、全てを盾に防がれるよりは希望が見える。


 そして、その時は来た。


「よっ!今だZE☆レオぴょん!」

『おうよ!あとその呼び方やめろ!』


 マイケルの棒が桜鎧の大盾を弾き飛ばす。

 流石と言うべきか、手は離していないが大きく体勢が崩れ、無防備な状態を晒している。


『さぁ獅子よ牙を研げ、万象噛み砕き覇を示さん!【制限解除(リミットリリース)】!』


 飽和した深紅全てを限界を超えてその身に宿した直剣が、悲鳴にも似た咆哮を上げ桜鎧のがら空きの胴体へと振り下ろされる。


『わっ、これはまずいかな……?【プロテク』

『させんぞ、サクラ……!』


 流石に危険と判断したのか、【プロテクション】を使おうとした桜鎧を、衝撃が襲う。


 血霧に塗れ地に伏せていたタウラスがこの瞬間のために残していた最期の一太刀。

 不意を着くための起き上がり際の一撃は体勢も最悪で、他のプレイヤーならまだしも桜鎧にはなんの痛痒も与えられないだろう。


 しかし、それでも質量による衝撃は確かに存在する。

 その衝撃が生み出す、1秒にも満たない反射とも言える硬直。

 それで、十分だった。


『最高だぜタウラス!さぁ喰らいな、俺の全力だ!【獅子ノ御業(ザ・レオ)】!』


 荒れ狂う力を集約した獅子の牙が、桜の大樹へ突き立てられた。


 ガキャリと、鳴るはずの無い音が鳴る。

 とある生産狂によって【不壊】を付与されていたはずの鎧が音を立てて砕け散る。


 獅子の牙は止まらず、その先にある生身の肉体を引き裂き。

 その命を、確かに摘み取った。















































『あは、あはは、あははは。あぁ、凄いや』


 HPバーを空にした桜鎧が。

 その中にいた少女が笑う。


 鎧を失い盾だけを手にした、タンクの少女が。


「想像以上だよ、レオ。本当なら使う予定は無かったんだけど……。ここまでの健闘を魅せてくれた君達相手に出し惜しみは失礼だよね」


 ふらりと、少女は大盾を水平に構える。


「蓄積された全てのダメージは、より大きな花を咲かせる糧になる」


 ガシャンと、大盾の下半分程が縦に割れ広がってゆく。

 その姿は、抽象化されたクワガタのように見えるだろう。


 その一対の鎌の間に、バチバチと音を立てて桜色の球体が精製される。


「さすがに巻き込まれたら私もタダじゃ済まないけど……まぁ負けたようなもんだしね。強引に引き分けにさせてもらうよ。いや、勝者を闇討ちした、の方が近いのかな?」


 えへ、と可愛らしく笑い、桜色の少女は大盾を地面に向ける。

 頬を引き攣らせ笑うマイケルを、今度こそ力尽きたように倒れ伏すタウラスを、ゆっくりと残心を解きヘルムの奥で笑うレオを。

 そして背後の城へ突入した多くのプレイヤー達を。


 全てに敬意を表し、少女は笑う。


「次はみんなと一緒に相手をするよ。だからその時は、勝たせてもらうね?【因果桜砲】」


 桜色のエネルギーが爆ぜ、辺り一帯を飲み込んだ。

過剰機巧(オーバーロード)』と『制限解除(リミットリリース)』は別物です

代償ありの超強化という点は同じですが


前書きの黒塗りは『■■■■=因果桜砲』です

【因果桜砲】は【仕返し】の盾限定かつ遠距離版ですね

盾で受けたダメージを蓄積して発射します。線状のビームと球状のエネルギー弾の2種類があって今回使ったのは後者です

【厳冬】を使えば被ダメ2倍だけど【因果桜砲】で与えるダメージも2倍

つまり普通に【仕返し】する場合の4倍のダメージが出ます

小出しは出来ないので一括返済になるのが玉に瑕

相手は死ぬ

なお、蓄積上限や時間軽減は無いので気が済むまでチャージできます

今回は地面に撃って諸共ドカンしましたが、やりようによっては

ヒャッハー共が攻撃する→ひたすら耐える→適当なタイミングで切り上げる→目標を遠距離に捉える→発射!

も出来ます。身に覚えのない因果応報で殺られる他プレイヤーの見にもなって欲しいクソコンボですね

つまり受け手が硬くなればなるほど最終威力が上がります。マッチポンプも出来ます。

とんでもねぇや


ちなみに、最後にサクラちゃんが動いていたのは『命の雫』というアクセサリーの効果です

効果としてはHPが0になってから少しの間行動が可能になるというものですね

その間に回復してもHPは0で固定なので復活は出来ません


もちろんメイが作りました。自動自然回復も別のアクセサリーでメイが略


次回からは城内に視点を移します

他のヒャッハーはどう出るのかな……?


バケモン揃いのヒャッハー達が書籍版でも大暴れ!

書籍版1巻&2巻が発売中!素敵なイラストで彩られたヒャッハー達の冒険をお楽しみください!

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
[気になる点] タウラス『させんぞ、サクラ……!』 俺(???????) [一言] タウラスの正体はゴーレムと予想してたけど実はリクルスなのか??? もしくはゴーレムの自我を乗っ取って…?(←いやい…
[一言] 門の前に佇む1人の儚くもしっかり立つ桜あり。多くの理不尽を越え、守ることに全てをかけた番人は確固たる意志と僅かなる言の葉を持ってそこに根付く。しかし盛者必衰の因果の元に桜は尽きた。 ???「…
2022/03/29 01:33 しおりすぐ無くす読書好き
[一言] えーと、某日本一やりすぎゲー並ダメージかな? 連合の皆さん、さらなる発展をお祈り申し上げます
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