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ヒャッハーな幼馴染達と始めるVRMMO 【書籍版発売中!】  作者: 地雷酒
第3回イベント『ギルド対抗戦【蠱毒】』
283/310

第263話 『蠱毒・2日目《魔窟の深奥にて》』

投稿ペースボロボロなのユルシテ……ユルシテ……

来週からはペース戻るはずだから……

 

【2日目・朝】


 雑多に積み重なったガラクタ……にしか素人目には見えない、しかし見るものが見れば卒倒ものの宝の山を掻き分ける様にカツカツと足音が響く。


「ふわぁ……。メイ、おはよ」

「あ、リーちゃん。おはよう」

「また凄いことになってるわね……。こんな場所で一夜明かすなんて、なんか変な感じね。メイはよく寝れた?」

「あはは、そうだね。新鮮な感じ。でも、うん。ぐっすりだったよ」


 朗らかに朝の挨拶を交わすリーシャとメイ。しかし、2人がいる場所は『おはよう』の挨拶にはまるでふさわしくない、薄暗い場所だった。


「…………」

「リーちゃん?」

「メイ、本当に寝た?」

「……ナンデソンナコトキクノ?」


 どうやら『おはよう』が適さないのは場所だけではなかったようだ。一睡もしていないらしいメイを見て、リーシャはやれやれと首を振る。


「はぁ……。ひと段落は付いたでしょ?そうじゃなくてもウォルカスさんもいるんだし」

「でもそれを言ったら他のみんなだって……」

「サクラちゃんとリベットさんとウォルカスさんはちゃんと拠点(ここ)で寝てるわよ。外にいる2人は分からないけど、とりあえず死ぬまで暴れるって指示で帰って来てない以上は作戦続行だから例外よ」

「むぅ……」

「むくれてもダーメ。楽しくなっちゃってるのは分かるけど、まだ序盤なんだからここで無理して後半の楽しくなってきた時にバテてちゃつまんないでしょ?」


 楽しくてしょうがない!寝てる時間が勿体ない!とでも言いたげな様子でむくれるメイの頭に苦笑しながらぽんぽんと手を載せるとうりゃうりゃとじゃれるように揺らす。


「あわわわわわわ……」

「正直もうメイのやる事って自己満足の追求だけでしょ?急を要する案件は無いんだから休んどきなさい」

「……はーい」

「子守唄でも歌ってあげましょうか?」

「最近リーちゃんに幼児扱いされてる気がする……」

「幼児みたいなわがままばっかり言うからでしょ」

「ぐぅのねもでないや……」


 言い含められてしぶしぶと言った様子で自室へ向かうメイを見送ると、リーシャは軽く伸びをしてぽりぽりと頬を掻く。


「んー私はどうしようかしら。昨日やりすぎちゃったみたいでお客さん減っちゃったのよね……」


 目の前のパネルに目を向けても、森の中にプレイヤーモンスター問わず敵対反応は見つからない。

 少し視野を広げてみても、せっかくメイとウォルカスが張り切って用意した森も警戒されてしまったのか近付く気配は見つからない。


 ごうごうと燃える森から上がる火柱でカレットの様子を、切り立つ岩山がばごんばごん爆ぜる様子でリクルスの作戦継続を確認すると、本格的に暇になったぞとその場にどかりと座り込む。


 誰もいない&下がスカートでは無いという事をいい事にあぐらをかいて座り込んだリーシャは、ちんぷんかんぷんなガラクタにしか見えない物品の山を見渡し暇を潰す。


「便利過ぎるのも考えものね……」


 完全に暇を持て余している。さて、どうしたものか。

 暇潰しにテレビを見るような感覚で眼前に設置された大型のパネルと向き合い外の様子を流し見し続けるものの、自分達をほっぽって楽しそうだなぁという羨ましさしか出てこない。


 どうやら、初日から飛ばし過ぎたせいで『向こうから来ないなら関わらないようにしよう』という認識が広がってしまったらしい。


 正直、10倍のレートにもっと多くのプレイヤーが飛び付くと思っていたが、割に合わないと判断されてしまった様だ。


「誰か森を突破して攻めてくる様な気概のある人はいないもんかしら」


 外回りの役目を与えられたリクルスとカレットがまだ帰還していないため、作戦は未だに第1段階で止まっている。


 今日の昼までとはいえ、こんなに暇な時間が出来るとは思わなかった。


「休む暇もないハードスケジュールも大変だけどもう少し忙しなくてもいいのになぁ」


 元来リーシャは活発な性格だ。ボーっとしていると湧き上がる体のムズムズに耐えられず、拠点の探索をぶらぶらと散策する事にしたようだ。


「あらためて、すっごい凝ってるわね……。こんなのも作れちゃうって言うんだから凄いわ」


 カツカツと足音を反響させながら、5日間の宿にするには立派に過ぎる拠点をあてもなしに歩き回る。


 3時間ほどだらだらと拠点を散策して回った頃だろうか、ふと気が付く。


「………………そこの角。隠れてないで出て来なさい」


 十字路に差し掛かったタイミングでリーシャが角の向こう側へ声をかける。

 しばし待っても返事は無い。かと言って動く気配もなく、向こうが何か対応してくる様子はない。


「……そう。なら私も考えがあるわよ」


 そういうと、リーシャは警告は終わりだとばかりに口をつぐみ、弓を構える。

 矢が番えられていない弓を、まるでそこに矢があるように引き絞ると、躊躇無く手を離す。


「【    (虚構ノ矢)】」


 矢を射った。

 しかし、それに付随して発生するはずの音も無ければ物体が動いた様な揺らぎも起こらない。

 敏感な者ならば確かに感じ取れるだろう。これは透明な矢だとかそういうものですらない、と。


 仮に、仮にだ。そもそもの話からしてあらゆる現象を発生させない不可視の矢を射ったとしても、リーシャとその何某はそもそも射った矢が空中で曲がりでもしない限り中らない位置関係にあるのだ。


 あらゆる観点から判断して、この一連の動作は『矢を射ったふり』以外の何物でもないと判断出来るだろう。


 だからだろうか。反応は何も無い。

 だが、向こうも観念したのか角の向こう側から気まずそうな笑みを浮かべた人影が出てくる。


「……あはは、ごめんねリーちゃん」

「……はぁ。3時間くらい前に寝なさいって言わなかったっけ?今日はもうメイの仕事は無いから一日中寝てても良かったのに」


 気まずそうなメイの姿にリーシャは弓を下ろし、ため息を吐きながらジト目を向ける。


「それは嬉しいけど……寝ようとはしたんだよ?でも……寝付けなくてね?」

「……………………はぁ。全くアンタは……遠足前のガキかっての。寝れないなら部屋でこっそりなんかしてればいいのにわざわざ出歩くなんて、変なとこで詰めが甘いわね」

「あはは、ちょっとね。それもいいかと思ったんだけどね。気分転換にぶらぶらしようかなって」

「……そう。私もどうする?寝れないなら一緒に暇潰しでもする?」

「いや、ボクは戻って寝る事にするよ。散歩してたらいい感じに眠くなってきたしね」

「そう?じゃぁおやすみ」

「うん、おやすみ」

「…………」


 眠たそうに欠伸をするメイを見送ると、リーシャも踵を返し、歩き始めた。


 ◇◇◇◇◇


(……っふぅ、危ないところだったね)


 リーシャと分かれて少し歩いたメイは、ふぃーとわざとらしく額を拭って見せる。


 キョロキョロと()()()()()()周囲を見渡しながら外へと向かう。


(……ここいらが潮時、かな。しかし、これは……気付かれたと考えたって思ったほうがいいよね。リーちゃん、朗らかに会話しながらも弦から一度も指を離さなかったからなぁ)


 ◇◇◇◇◇


 メイと分かれたリーシャはその足でメイの部屋に突撃し、メイに会いに来ていた。


「メイー!メイー!起きてるんでしょー!」

「わっ、リーちゃんどうしたの?」


リーシャが部屋の扉をノックすらせずに開け放つと、そこにはベッドを撤去して工房を展開しているメイの姿があった。


「おはよ、よく寝れた?」

「うん。ぐっすり。ベッドにも凝ったから2()()()()|寝ちゃった」

「あら、だいぶしっかり寝たのね。いつもは1時間くらいしか寝ないのに」

「リアルのベッドより全然色々張り切っちゃったから疲れてたのもあると思うよ」

「ふーん。ほんと羨ましいわその体質」


 そう。(メイ)は生まれながらにして睡眠時間が常人に比べてはるかに短い体質……つまりはショートスリーパーなのだ。しかも、睡眠時間が極端に短いショートスリーパーの中でもさらに睡眠時間が短い。

 それこそ1日に1時間も寝れば十分なレベルであり、そんな彼女にとって2時間も寝たというのは寝すぎと言っても過言では無い。


「でしょ?おかげで作業時間が増えてとっても助かってるよ」

「謙遜しろとは言わないけどここで『でしょ?』って言えるの強いわよねぇ」

「パパもママもそうだし、遺伝なのかな。まぁこればっかりは謙遜も何も無いからね」

「つぁー、羨ましいわ。テスト期間だけでいいからその体質分けて欲しいわ」

「こればっかりはねぇ。リーちゃん一夜漬け苦手だもんね。そういえば、そんなに慌ててどうしたの?」


 カチャカチャと手元で何かを組み立ながら離すメイに言われて、ここに来た用事を思い出したリーシャは端的に告げる。


「あぁ、そうだったわ。侵入者よ」

「……へぇ?」


メイはショートスリーパーだったらしいですね

どこまで本当かは分かりませんがリアルでも2時間の睡眠が常人の12時間相当になる人とかいるらしいですから人体って不思議

そして、侵入者の正体とは……?


そんな訳でキャラデザ紹介第4弾!

今回の紹介は今話に登場したメイとリーシャの2人!


挿絵(By みてみん)

まずはメイ!

ちみっこい小動物感がたまりませんね……!

可愛い顔立ちなのにファッション性ゼロの野暮ったい作業服なところが本当にもう愛おしいです

書籍版をご購入いただいた方は分かると思いますが、挿絵のメイがどれもこれも可愛くて……!

最高ですね


挿絵(By みてみん)

続いてリーシャ!

妖精ちゃんに表紙の座を奪われた悲しき過去を持つ女……!

クールなイケメン女子って感じで最高ですね!

リーシャがメインになっている挿絵は作者が絶対にお願いしますと指定させてもらったお気に入りの1枚です。最高ですよ!


そんなヒャッハー達が書籍版でも大暴れ!

書籍版は……あれ?イラストが違う……?

挿絵(By みてみん)


という事で!2巻のカバーイラストの公開です!

見てくれよこの主人公の表情

笑ってんのに恐ろしい……目が笑ってねぇんだもん。次の瞬間には亀甲棍振り下ろして来そうですね

そして、見慣れぬキャラデザの人物が……

2巻の内容はイベント編。そこの新キャラでヒャッハー達と絡み多いキャラと言えば……


2巻は昨日の6/25日から予約が開始しています!

本当は昨日投稿しなきゃ行けなかったんですけどね!これだから作者は……

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 【カグラ】の拠点?に侵入した人物は誰なのか? 変装でメイに姿を変えたようですが、リーシャにはバレバレでしたね。 [一言] 拠点に侵入者と聞いて、メイはどう対応するのか。自分の作り上げた…
[一言] アッー(地獄の殲滅戦気配を察知) リーシャ…貴方テ○イルズにでも出演するの?
[一言] 侵入者に待っているのはホラゲー的な運命かアドベンチャー的な運命なのか!? 挿絵ではやっぱり主人公もヒャッハー組の目をしてるんですね……。
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