第254話 『平然と限界突破しましたね!?』
たくさんの書籍化へのお祝いの言葉ありがとうございます!
ヒャッハー達の物語を書き続けてきた作者にとって、作品が多くの方に愛されている事ほど嬉しいことはございません
これからもヒャッハーはヒャッハーしていきますので、是非ともよろしくお願いします!
(この流れで言い難いけど長くなったのと待たせすぎたので分割投稿いたしまする)
「いい知らせと悪い知らせ?」
運営から届いた結果通知を読んだトーカのそのセリフに、サクラはこてんと首を傾げる。
「あぁ、いい知らせと悪い知らせだ。どっちから聞きたい?」
「映画みたいなセリフに私のテンションが跳ね上がっているぞ!?なんだそれはかっこいいではないか!」
「人生で1度は言ってみたいセリフランキング上位常連のセリフが……!ずりぃぞトーカ!」
「んー、でもいい知らせってSランク達成!って事でしよ?実質悪い知らせしかないじゃない」
そんな風にわいわいと盛り上がる2人を後目に、乗り遅れてちょっと斜に構えたリーシャがそう尋ねる。
「いや、違うぞ」
……が、どうやら違ったらしい。
「そもそも、Sランクは前提だ。クエスト完了報告出す前にみんなでミッション100%達成したのもポイントの要求値を満たしてるのも確認したろ?ポイントだって万が一メイのゴーレムによる生産がズルだ!ってなって0ポイント扱いになったとしてもSランクになれるようにメイ以外のみんなのポイント合わせればSランク要求値に達するようにしてあるし」
「そういえばそうだったわね。だとしたら、Sランクを踏まえた上でいい知らせと悪い知らせがあるって事なのね」
「そういう事だ。どっちも些細な事……とは言えない内容だからな。ちょうどいいし、カッコつけさせて貰ったぞ」
「トーカがそういう風にふざけるのって珍しいよな。んじゃ、結果発表タイムと行きますか。おーい、ウォルカス、メイ、そろそろなんかもうハイレベル過ぎて一周まわって幼稚園児みたいな会話するの辞めてトーカの話聞けー」
「「幼稚園児!?」」
何はともあれ、わいわいと雑談していた【カグラ】一行は改めて『敵幹部とかが集まって会議してそうな円卓』に腰を下ろし、トーカへ視線を向ける。
「改めて、いい知らせと悪い知らせがある。どっちから聞きたい?」
「「いい知らせ!」」
「お兄ちゃんとカト姉は好きな物から先に食べるタイプだもんね……そうだと思ったよ。でも私もいい知らせかなぁ」
「Sランクを前提にした上でのいい知らせってのに興味が湧いたわ。いい知らせからがいいわ」
「悪い知らせが僕の稼いだポイント0の報告だったらショックで寝込むから先にいい知らせでお願い」
「お、なんだみんないい知らせなのか?こういうのって悪い知らせから聞くのが鉄板だと思ってたんだが……なら俺もいい知らせで頼む」
「逆張りというヤツですかね?じゃあ僕もいい知らせに1票でお願いします」
それぞれの思惑はありつつも、満場一致でいい知らせから聞く事に決まった。
「んじゃいい知らせから。【カグラ】がSランクとして正式に認められました。ってのは前提として」
「盛り上がり!Sランクって結構な偉業だろ!?盛り上げようぜ!?」
「ここで盛り上がったらあれだぞ。前菜どころかお冷で盛り上がってる様なもんだぞ」
「Sランクがお冷かぁ……随分高級なお冷ね」
「ま、高級かどうかは受け手の感じ方次第だ。Sランクになった、ってのを前提としていい知らせに行くぞ」
雑談に脱線しかけた空気を咳払いで元に戻すと、改めてトーカがいい知らせとやらを伝える。
「この度、俺らのギルド【カグラ】が三冠を達成し、唯一のS+ギルドに認定されました」
「「「な、なんだってー!?」」」
「いや、本当にどういう事よ!?知らんもん達成して知らんもんに認定されたんですけど!?」
「というかSランクに認定されたって言っておきながらS+ランクって……?」
Sランクになった事を前提として話を進めながら、実際はSランクでは無いという矛盾にトーカを除く【カグラ】の全員の頭にはてなマークが乱立する。
「まぁ落ち着けって。順を追って説明するから。まず、今回のギルド結成クエストには秘密裏にランキングが行われていたらしいんだ」
「それって第1回イベントみたいなランキング形式で争ってたって事?」
「そう。そんな感じ。ランキングは『総獲得ポイント』『ミッション達成率』『総合スコア』の三種類。前2つは読んで字のごとくだな。それぞれ獲得したポイントのランキングとミッション達成率のランキングだ」
「おいカレット、お前ここまで説明しないと理解出来ない子だと思われてるぞ」
「何を言ってるんだ、これはリクルスに向けた説明だろう?」
「そこ、何でもかんでもケンカのネタにしない」
ナチュラルに煽り合うリクルスとカレットに、こめかみを抑えて首を振ることしか出来ないトーカであった。
「んで、3つ目の『総合スコア』がちょいと厄介でな。稼いだポイントとミッションの達成率、あとは稼いだポイントの分布だな。どのミッションで多くポイントを稼いだとかを算出して、ミッション事にランク分けされてその割合を云々してるらしい」
「お兄さんが説明投げた!」
「まぁまぁ、そういうものって理解でいいでしょ」
「あぁ。ざっくり総合的に判断されたランキングだって認識してくれればいい。そんで、その3つのランキング全てで1位を獲得した、つまり三冠達成したのがウチのギルド……【カグラ】っていう訳だ」
そう言って、トーカは3本の指を立てて見せる。
「なるほどなぁ……メイがいるからポイントランキングの方は納得だが、他も取ってたのか」
「ミッション達成率と総合スコアでしたか、まぁ隠しミッション探しがめんどくさくなって手当たり次第に倒したり作ったり行ったり集めたりしましたからね」
「そういう事だ。ちなみに、達成率は151%で見事1位の座を勝ち取ったな」
「平然と限界突破しましたね!?」
平然と100%をぶっちぎる結果に、ヒャッハー達のやらかしに慣れていないウォルカスが驚きの声をあげる、
「これについては、Sランクになるに当たって必ずしも必要では無いミッション……言わゆる高難易度のチャレンジミッションだな。それらをクリアして行ったからだ。ちなみに、2位は150%で同率なのが何組かあったな。【クラウン】とか【魔導研究会】もここにいる」
「ほむん?ではその1%の差はどこで出たのだ?」
「【ファジー】への最速到達だ。このミッションは達成した事すら秘匿されるタイプのミッションでひとつのギルドしか達成出来ない。これが決め手だったな」
「あーね、あのスライムもネタが割れるまで時間かかるし、割れてもそっからがめんどいもんな。俺らはなんかもうまとめて吹き飛ばしたけど」
記憶の中の無敵のダミーを思い出して、リクルスが意識的か無意識かガンガンと拳を打ち鳴らす。
まるで自分はやらかしてないとでも言いたげだが、出した威力で言えば3人の中で1番である。知らんぷりするな。
「そういうこった。ちなみに、総合スコアの方でもこのミッションの割合は高くなってるし、新フィールドボスの討伐も割合が高くなってるな」
「そう考えると到達系は反復横跳び防止に1回しかポイント稼げないから不利なのか?」
「いや、逆だな。1回しか稼げないからこそ割合が高めに設定されてる。色んなエリアを東奔西走してくれた2人には感謝だ」
「お役に立てたなら何よりです」
「硬てぇなぁ、お前も立派な仲間なんだからここは『当然です(キリッ)』でいいんだよ」
「キリッなんて言いません、よっ!」
「うぐっ……!小指の先を正確に踏み抜きやがった……!」
「ははっ、仲良いんだな」
「おうよ……」
そんなやり取りの最中もリベットはつま先を抑えてうずくまっている。VR内で痛みは無いはずだが、痛みの記憶を想起しているのだろう。
1話でいい知らせと悪い知らせどっちも書こうとしたけど全然収まらなかったの巻
ウォルカスは槍作りのヒャッハーであってもヒャッハーのノリにはまだ慣れてないウブなヒャッハーなのです
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