第244話 『新システム実装!(予告)』
「さて、揃ったな。急な呼び出しだったが、来てくれてありがとう」
メイの招集によって【島】に集まり、【島】の真の力とメイが『地下洞窟』を完全掌握した様子を目の当たりにした【カグラ】一行は、その翌日。
今度はトーカの招集によって【島】に再び集まっていた。
ちょっと話があるから【島】に集まって欲しい。そうトーカからの連絡があってから急いで作ったのか、あるいは元から作っていたのか、メイド・イン・メイの『なんか敵幹部が集まって会議してそうな円卓』に一同が揃うと、まずはそんな言葉から始まった。
「いやいや、気にしなさんなってお兄さん。十中八九あの件でしょ?これで集まんなきゃウソってもんよ」
「タイミングが悪かった……いや、逆に良かったのかな?変に地下の紹介と被ってたらそれどころじゃなかったもんね」
真っ先に反応したのは、連絡があってからなんかそれっぽい円卓を作って待っていた生産狂いのメイとそんな彼女のストッパーとして気付けば常識人ポジションに収まっているリーシャだ。
一応はPvP大会でチームを組んだ縁から一緒にいることの多い【カグラ】だが、別に固定パーティという訳では無い。
そう言った関係性の中で、前もって予定を合わせるならともかくいきなり招集をかけたことを少し気にしているトーカにリーシャは手をヒラヒラと振ってケラケラ笑う。
その横では、自分が【島】に招待するのを1日ずらせば2日連続で集める事にならなかったかも?いやでもそうすると自慢の地下施設の紹介とバッティングしちゃうしな……と、そんな事を考えているメイも、急な招集を気にしている様子は無い。
なお、昨日お披露目されたゴーレム三人衆は本日はお休みだ。
「むしろ、俺としては呼んでもらって嬉しいな。一応前の大会からつるんでるとはいえ、なんだかんだ1番部外者感があるのは俺だろ?そんな事はさすがにないと思いつつ、もしハブられたら立ち直れねぇな……とかちょっとネガってたし」
「んな寂しい事言うなって!らしくねぇネガティブシンキングじゃねぇか!」
「うむ!我らは共に死地を駆け抜けた戦友であろう!?悲しい事を言ってくれるな!」
この場で唯一、現実側での絡みがないリベットはむしろこの緊急招集の対象に含まれていた事にほっとしていた。
半分は冗談だろうが、トーカ達と年齢が少し離れていることもあって両者共にそんなつもりはなくとも何となく疎外感のようなものを感じていたのだろう。
いくら特殊な例とはいえ、トーカ達もまだまだ学生の身。社会人であるリベットとは、身にまとう空気が少し違うのだ。
そんな弱気な考えを吐露するリベットを、明るいバカ筆頭であるリクルスとカレットがなにそんなこと言ってんだと笑い飛ばす。
こういう時物怖じせずに、あるいは空気を読まずにガンガン突っ込んで行けるのが2人の良い所だ。
「あれ、もしかしてなんで呼ばれたか分かってないの私だけ……?」
何やら共通した前提の元でこの場に集まっている様なみんなの空気に、なんか呼ばれたから来たくらいの感覚でやって来たサクラが気まずげにキョロキョロとしている。
「む?サクラは知らなかったのか?」
「うん……何かあったの?」
「あぁ、昨日の夜に新システム実装の予告があってな。てっきりリクルスから聞いてると思ったが……」
「……てへ?」
「そういうのは可愛い子がやるから許されるのよ?私みたいなね!」
「まぁ……リクルスに期待した俺が馬鹿だった。じゃ、すり合わせも兼ねて改めて確認するか」
「待ってお兄さん!スルーはさすがに辛い……!」
「……あれ?俺もしかして今バカにされた?」
最初のどことなく真剣そうな雰囲気はどこへやら。すっかり空気はいつもの賑やかなものへと変わっていた。
「改めて。昨日の夜……メイが開拓してた『地下洞窟』の成果を見せてもらった後だな。運営の公式ホームページにとあるお知らせが記載されたんだ」
トーカはそう言ってウィンドウを操作すると、公式ホームページにアクセスする。
基本的に使わないため忘れられがちだが、ゲーム内からでも公式ホームページと掲示板にはアクセスできるのだ。
「あったあった。じゃあ読み上げるぞ」
確認を取るようにトーカは円卓を見渡し、聞く姿勢になっている事を確認すると、何やら覚悟を決める様に1度深呼吸をすると、すうっ……と息を吸い込み、ウィンドウに書かれた文字を読み上げ始めた。
「『ギルドシステム』とそれに伴う『土地システム』の実装が決定!
『ギルドシステム』ではプレイヤーは自身の『ギルド』を作成し、自分達だけの組織を作る事ができるように!
パーティの最大の違いは自分達だけの拠点、『ギルドハウス』を所有できること!
『ギルド』には複数のランクが存在し、高ければ高いほど様々な特典が!
仲間と協力してギルドを発展させよう!
俺は誰ともつるまない……な孤高の一匹狼でも大丈夫!1人だってギルドは作れるよ!
『土地システム』では一部エリアを獲得する事で自分専用のエリアとして所持する事ができるぞ!
『土地』はギルド所有と個人所有の2種類があり、ギルド所有の土地を手に入れることでそこに『ギルドハウス』を構える事ができるぞ!
土地は広ければ広いほど、立地が良ければ良いほどお高くなるぞ!良い土地を手に入れたかったらじゃんじゃんバリバリ稼ぎまくろう!ひと狩り行ってこい!
え?良い土地に立派なギルドハウスを建てたい?
大きな夢を持つことはいい事だ!でもお財布は大丈夫?多分想像の100倍くらいお高いよ?こんなの読んでる暇があったらちょっとでも稼ぐために今すぐ狩りに駆り出そう!(激ウマギャグ)
本実装は1週間後(この部分はこのお知らせを読むタイミングによって自動で更新されるよ!優しいね!)!詳しい情報は徐々に解禁していくから楽しみにしててね!
著:みんなの可愛い妖精ちゃん
………………おおっと!こんな下の方のちっさい文字にまで目を通すなんてさては説明書はすみっこまで読むタイプだな!?あるいはめちゃくちゃ暇だな!?狩りはいいのか!?1週間後には金欠待ったナシだぞ!?
そんなあなたに耳寄り情報!『土地』を手に入れる手段は購入だけじゃないよ!探してみよう!」
そこまで読み上げると、トーカは大きく息を吐き、天を見上げる。
そして、盛大なため息と共に顔を下ろすと、心底疲れ果てたような声音で『以上だ』と告げる。
「と、まぁそんな訳で新たなシステムとしてギルドと土地が実装される訳だが」
「妖精ちゃんクオリティの文を真顔で読み上げられるとめちゃくちゃ不気味なのな。目が死んでたぜ?」
「アレに感情込めて読むのは嫌だ」
リクルスの感想を、トーカは即否定する。
「ってな訳で、改めて。土地ってのは……多分この【島】みたいなエリアの事なんだろう。あるいは、フィールドや町の一部を占拠できるのか。これについては置いとくとして、本題はこのギルドシステムの方だ」
そこで、一旦言葉を区切る。
「それで、だ。今日集まってもらったのは他でもない。少し気が早いが、俺たち【カグラ】としてギルドを組まないか、というお誘いをするためだな」
若干緊張した様子のトーカは、頼れる仲間たちへと改めて誘いをかける。
その返答は…………
『もちろん!』
当然のように、全員の声が重なった。
新システムは『ギルドシステム』&『土地システム』でした!
仲間とギルドを立ち上げ、土地を確保して立派なギルドハウスを手に入れよう!
え?土地はもうあるしハウスならメイが作ったって?
あれはエレベーターだから……
ちなみに、トーカが読み上げたのは原文ママです
これが妖精ちゃんクオリティ
なお、「ちょっと!なんで『妖精ちゃん』って括られてるの!?こんなノリなのリーリアだけなのに!」「あっはっは、あのバカ最近見かけねぇと思ったら向こうで仕事してんのか。あのバカは妖精はともかくとして『妖精ちゃん』は自分を表すと思ってる節があるからなぁ」「いーえ、お姉様。あの愚妹は絶対にわかってて妖精という言葉をつかっています!そういう子です!」と一部の真面目な性格の妖精が憤ったり、細かいことは気にしない性格の妖精が笑ったりしていたとかいないとか
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