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ヒャッハーな幼馴染達と始めるVRMMO 【書籍版発売中!】  作者: 地雷酒
ヒャッハー共、【島】に行く
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第212話 『メイの領地』

メイ は さくしゃのめにつきにくいこうだいなとち を てにいれた!

メイから『地下洞窟』を守れなかったよ……

 

「『地下洞窟』を……?」

「うん!」


 至近距離からキラキラした瞳に覗き込まれ、気圧されたように仰け反りながらオウム返しするトーカ。

 そんなトーカに抱き抱えられたままのメイは自動的に距離を詰めながら元気に頷く。


「この【島】自体は代表で交換したのが俺ってだけで、別に俺の物って訳じゃないからそんな改まって聞かなくてもいいんだが……随分と急だな。『地下洞窟』はそんなにいい所だったのか?」


 そんな訳は無いと、トーカも分かっている。

 確かに、生産だけでなくそのための採取も大好きなメイが、その中でも特に好きな採掘が出来る『地下洞窟』はメイにとって楽園のような場所である事に違いは無いのだが、それだけだとは思えない。

 もし本当に『地下洞窟』がメイにとって楽園のような場所で独占したいと思っているなら、合流した瞬間に言ってこないとおかしいだろう。


 そもそも、共用の物を独占しようとするタイプでないメイが独占したがるような事を言うのも不自然だ。当然、メイが独占するタイプではないというのは仲間内での話であって見ず知らずの他人に対しては別だが。


 そんなメイが独占宣言とも言える発言をした事に、トーカだけでなくこれまでのメイを知っているヒャッハー達……特にリーシャは嫌な予感をはっきりと感じ取っていた。


「うぇへへ……そりゃあもう……ってそうじゃなくて!」

「お、おう……」


 メイは小柄な体躯と幼さの残る顔立ちのせいでかなり幼く見えるが、それでもはっきりと分かる可愛らしい容姿をしている。

 そんな、美少女(美幼女?)と言っても過言では無いメイが恍惚の笑みを浮かべて『うぇへへ……』などと言っている様子は、見慣れたとは言えなかなかに衝撃的だ。

 その後の切り替えの速さもさることながら、切り替えた様でその実いまだに少し頬が緩んでいる程の採掘愛が凄まじい。


「なんて言うのかな……『地下洞窟』を欲しいって言ったのはね、そこを管理したいというか、改ぞ、じゃなくて、実け、でもなくて、開拓……もちょっと違うかな?整備したいというか」

「え、ちょ、メイ……何する気なの……?」


 メイは言い直したが、それで隠せる訳もない。メイの口から飛び出た不穏な発言に、リーシャの頬が引き攣る。

 長い付き合いから分かっているのだろう。テンションが上がっているからこその誇張した発言ではなく、メイは本気でそう言っていると。


「まだ机上の空論だけど、やってみたい事が出来たの。【蛇】さんの言ってた事が本当なら……上手くいけば、この【島】をずっと飛ばせそうだなって」

「………………ねぇ、【蛇】」

「………………なんでっしゃろ」

「どうなの?アンタが言ってた事って」

「そりゃあウチらは試練を突破した者への案内役でもあるからなぁ。嘘は付かんわなぁ」


 ヒャッハー達程では無いが嫌な予感を感じ取っているらしい【蛇】の言葉を聞いて、リーシャが大きな、それはそれは大きなため息を付く。


「そう。じゃあ多分この【島】は飛びっぱなしになるわね。理論上は可能でメイが実現出来そうって言うなら、もうそうなるのは確定よ。めちゃくちゃ強いボスを倒す必要があるとかでもない限り、メイは絶対に実現させるわ。だって目が爛々と輝いてるんだもの」


 なんなら、めちゃくちゃ強いボスを倒す必要があってもメイがヒャッハー達を出動させるだけなので、最終的には障害たり得ない。

 メイがやる気を出した時点でもう既に【島】が地上とお別れする事は確定してしまったのだ。


 メイの生産に関する特出した能力への諦めと、常時飛行する【島】への興味が入り乱れた顔でヒャッハー達はリーシャの言葉に頷いている。

 これもある種の信頼なのだろう。


「じゃあ、いいか?」

「俺には必要ないし、別にいいぞー」

「ずっと飛ぶ【島】!楽しみだ!」

「あはは……もうメイがどこまで行くのか見てみたいよね」

「俺らじゃ有効活用出来ないからな」

「もちろん、私も異議は無いわ」


 トーカの確認にヒャッハー達が頷く。

 本来はトーカの言っていた通り、全員のメダルを集めて交換した【島】なのだから気にし過ぎる事は無いのだが。


「決まりだな。今この瞬間から『地下洞窟』はメイの物だ。【島】をぶっ壊さない程度に自由にしていいぞ」

「ありがとう……!ふふふふふふふ……ゆめがひろがる……!」

「トリップしてるとこ悪いが、一応何か見つかったりしたら共有してくれよ?」

「もちろん!報連相は大事だからね!」


 こうして、メイ以外のヒャッハーが足を踏み入れる事無く『地下洞窟』はメイの支配地域となり、【島】の地下に巨大なメイの領地が誕生したのだった。


 ◇◇◇◇◇◇◇


「そういえば、私達の自己紹介ってしてないわよね?」


 歓喜と脳内設計でトリップしているメイを何とか現実に引き戻した後で、ふと気が付いたようにリーシャが呟いた。


「あぁ、そういやウチらの事は言ったけどあんさんらの事は聞いてへんなぁ」


 自分の攻撃を防いで見せたサクラの事が気に入ったのかサクラと会話していた【蛇】が、手のひらを握り拳でポンっと叩くというこてこての気が付いたジェスチャーをしている。


「こいつなんぞ白いので十分じゃ!」


 そんな【蛇】とは対照的に、未だにきゃんきゃんとトーカに噛み付いては【狼】になだめられていた【狐】が否定的に叫ぶ。


「やめとけやめとけ。ずっと白いのって読んでると3回に1回は【蛇】が絡んでくるぞ」

「うっ……それは……面倒じゃな……」

「あれぇ、なんかウチ、ウザがられてる?」


 精神面が子供な【狐】と姉御肌の【狼】は相性がいいのか、【狐】が騒ぐと必ず【狼】がなだめていた。

 今回は【蛇】を槍玉に上げていたが、そのおかげか【狐】も納得したようだ。


 普段の【試練の獣】達の関係性が透けて見える様である。


 ちなみに、ここまで会話に不参加の【鴉】はと言うと『岩山』を消し飛ばしたカレットから全力で距離を取って気配を消していた。


 カレットの『白龍崩』が【鴉】にはかなりトラウマになっているらしい。個人で使う事は出来ないとはいえ、マップを変える程の攻撃を放てる上にそれに躊躇いがないカレットに被害者である【鴉】がビビるのも仕方の無いことだろう。


「おい、白いの!お前ならあの赤いバカを制御できるんだろ!?絶対にもうこの【島】であんなの撃たせるなよ!?」


 ビクつきながら【鴉】がトーカに向かってそう言うが、彼はその白いの(トーカ)が姿を隠した【蛇】に声をかけられた時に声の主を見つける為にカレットに『白龍崩』を使わせようとした事を覚えているのだろうか?


「ほんじゃ、自己紹介お願いしますわ」

「あぁ。俺は……」


 そのまま、7人がつらつらと自己紹介をしていき、最後に隙あらばトリップしていたメイをリーシャが叩き起こして自己紹介させ、ヒャッハー達の自己紹介が終了した。


「みんなって【蛇】とか【狐】とかって呼ばれてるけど、個人の名前ってないの?もしかしたら私達が【人間】って呼ばれてるみたいな感じなんじゃないかなってちょっと気になって……」


 自己紹介を終えた後で、そう言えば、とサクラが【試練の獣】達に尋ねる。

 確かに、【蛇】も【狼】も【鴉】も【狐】も外見からそのように呼称しているだけに過ぎない。

 もしかしたら別に名前があるんじゃないかと、サクラがそう疑問に思うのもおかしくは無い。


「いんや。ウチら名前は【蛇】とかでいいんよ。言うなれば、【試練の獣】っちゅう種族の【蛇】っちゅう名前……みたいな感じやな」


 そんなサクラの疑問に、【蛇】はからからと笑って答える。


「ウチらはこの【島】に訪れた者に試練を与える守護者にして試験官。【試練の獣】(ウチら)の名は“与えられた役割”であって“個体名”なんや。気にしてくれたのは嬉しいけど、そこまで気にせんでもえぇよ」

「そうなんだ……」


 とまぁ、そんなこんなで【島】の真の力の解放や【試練の獣】達のと顔合わせも終わり、ヒャッハー達は【島】の探索を(ほとんど)終えたのだった。

報連相は大事。そうだね。大事だね。

君たち作者に一切報連相しないけど


それと、実はですね、霊脈結晶って採掘難易度はそこそこ高いはずなんですよ。採掘可能エリアに行く難易度を除いても純粋に鉱石としての採掘難度(発見難易度とそもそもの採掘難易度)が高いのです(マイクラのダイヤが黒曜石と同じ硬さになっているのを想像してもらえればそんな感じです)

画面外でメイが乱獲して来たから1ミリも伝わらないでしょうが


感想&アイディアをいただけると作者は泣いて喜びます


あとアレですね、面白いなーと思ったら下の方にある『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして頂けるとさらに狂喜乱舞します



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― 新着の感想 ―
[一言] その名も【超弩級宇宙戦艦神楽】
2024/10/05 09:16 路峰 詩音
[一言]  そのうち【島】に地下帝国ができて【島】自体は超弩級宇宙戦艦にでも改造されそう。  メイというたった一人の生産特化プレイヤーによって。
2024/10/05 09:13 路峰 詩音
[気になる点] 真の力:空が飛べる! だから?海で素材取れるかもしれないこと考えるとデメリットだし空飛んで他の空島にでも行けるんか? [一言] 実利プレイヤーからすると大外れの可能性大だな
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