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ヒャッハーな幼馴染達と始めるVRMMO 【書籍版発売中!】  作者: 地雷酒
ヒャッハー共、【島】に行く
222/310

第208話 『大合唱』

すごい……メイの作ったボートが本当にただの超高耐久力なだけなのかめっちゃ疑われてる……

ご安心ください。リーシャが全力で監視したのでしっかりただの超高耐久力のボートです(この後改造しないとは言ってない)

 

 試練を全て終えた事で何らかの変化があるかと警戒していたが、特にそんな事もなく【祭壇】はヒャッハー達を出迎えた。


 東屋の中に佇む短い石柱……【祭壇】には、ひし形の各頂点に位置する場所にちょうど『宝珠』がはめ込めそうなくぼみが空いている。


 まず間違いなく、そのくぼみに『宝珠』を納めるのだろう。


「あれ、これさ、『宝珠』ってどれをどこに置くかってあんのかね?」

「そりゃ普通に考えれば『宝珠』を手に入れた方角だろ」

「それもそっか。んじゃいちばんのりー!」


 この【祭壇】を囲む東屋はおおよそ【島】の中心に位置している。マップと照らし合わせれば、どのくぼみがどの方角に対応しているかは一目瞭然だ。


 早速、リクルスが【祭壇】の4つあるくぼみのうちのひとつ、南に対応する1番手前側に海岸エリア(みなみがわ)で手に入れた『疾風の宝珠』を納める。


 と、その瞬間。


『ーーーーー』


 微かな音と共に、一瞬ではあるが【祭壇】が『宝珠』と同色に輝く。共鳴したと言うよりは、染み渡ったと言った方がいいようなその現象は、少なくとも少し前にリクルスが『宝珠』をくぼみに置いた時には起こらなかったモノだ。


「あれぇ!?前回置いた時はこんな事なかったよな……?」

「全部の試練を乗り越えたからか、あるいは正しい場所に置いたかだな。前回置いた時は今と同じ場所に置いたか?」

「あー、違った気がする」

「なら、そういう事だろ」


 リクルスがそう疑問に思うのも当然なら、トーカがその結論に至るのもまた当然と言えるだろう。


「じゃあ次は俺が持ってる『宝珠』を置くぞ」


 どうやら、試練を乗り越えた順番は関係ないようなので続いてトーカが砂漠エリア(きたがわ)で手に入れた『覚醒の宝珠』を1番奥に納める。


 すると、先程と同じような現象が再び起こる。

 2つ目の『宝珠』も無事に納められた様だ。


「では次は私の番だな!ほい!……ぬ?何も起こらんぞ?」

「カレット、逆だ。岩山は西側だろ?」

「おぉ、そうだったな」


 くだらないミスを挟みつつも、カレットが岩山エリア(にしがわ)で手に入れた『蹂躙の宝珠』を左側のくぼみに納める。

 そうすれば、今度はしっかりと【祭壇】が反応する。


 残す宝珠はあとひとつ、サクラの持っている『不滅の宝珠』だけだ。


「じゃあこれで最後だね。……ごくり」


 最後のひとつを持つサクラは少なからず緊張しているようで、【祭壇】の前に立つと小さく喉を鳴らす。


「念の為、戦闘準備だけはしておいてくれ」

「ほいさー!」「あいあい!」「はーい」

「……じゃあ、行くよ」


 静かな掛け声と共に、コトリ……、と小さな音を立てて最後の『宝珠』が【祭壇】に納められる。

 そして、これまでと同じように【祭壇】が『宝珠』と同色に輝く。


 そのまま数秒が過ぎ、これだけか?とヒャッハー達が疑問に思った瞬間。

 まるで、『そんな訳ないだろう』とでも言うかのように、【祭壇】がピシリと音を立ててヒビ割れる。

 突如として【祭壇】に刻み込まれた、亀裂と呼ぶにはあまりにも美しく紋様と呼ぶにはあまりにも規則性の無いそのヒビ割れから、淡く黄色い光が溢れ出す。


「うぎゃぁ!?」

「目がぁ!目がぁ!」


 目を焼くほどに眩く、しかし包み込むよう柔らかいその淡い黄色の閃光は収まる気配を見せず、煌々と輝き続ける。


 当然、この光は【祭壇】を見詰めていたヒャッハー達の目に大きなダメージを与える事となる。些細な変化も見逃さないよう警戒していた事が仇になったのだ。


 そんな意図せぬ目潰しを喰らい悶えているヒャッハー達の耳に、無機質な『聲』が響く。


『全ての試練の攻略を確認』

『全ての宝珠の存在を確認』

『霊脈結晶の存在を確認』





『…………………………………………』




『霊脈結晶の所持を確認』


『…………………………』


『霊脈結晶採掘可能エリアの未開放を再々々々確認』


未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)』『未開放(エラー)


「うぎゃぁぁぁ!?目の次は耳がぁ!?」

「なんだなんだなんなのだ!?怖いぞ!なんか、もう、めちゃくちゃ怖いぞ!」

「うひゃぁぁぁぁぁ!?なにこれぇぇぇ!?」

「ちょ!?なんかバグってない!?これもしかしなくてもメイが原因でしょ!?」

「霊脈結晶!?なにそれなにそれ!?あ、あれ!?あの文字化けした黄色い水晶のこと!?もっと詳しく教えて……!いや、調べさせて……!」

「興奮してる場合じゃないでしょ!?これどうすんの!?」


 耳を(つんざ)く様なエラーの大合唱に、さすがのヒャッハー達も焦りを隠せない。

 それどころか、心当たりがある分余計に焦ってしまう。


未開(エラ)……』

『第七妖精より特別申請を確認』

『特殊事例と判断』

矛盾(エラー)の特例処理……完了』

『通常処理続行』


「あえ?なんか、解決したっぽい?」

「なんかもう訳わかんねぇぞ……?」

「事前にGMコールで運営(マーシャ)が把握してたから対処してくれた……とかか?」


 が、数分ほど続いたエラーの大合唱が急に止まり、何やら『聲』が聞こえてくる。

 メイの捜索で運営に連絡した事でメイの所業が伝わっていたからだろうか。ともかく、解決したらしい。


『特殊エリアの解放……完了』

『全機能解放……完了』

『権限付与……完了』

『全行程終了』


 途中怪しい部分もあったが、どうにか作業は終わったようだ。

 無機質な『聲』がそう言うと、【祭壇】から溢れ出ていた光がトーカに吸い込まれて行き、次いで残りの6人にも吸い込まれて行く。


「終わった……の?」

「なぁなぁ、大丈夫だよな?これ、ぶっ壊れてねぇよな?」


 光が収まり視力を取り戻したヒャッハー達の耳には先程のエラーの大合唱が未だにこびり付いている。

 恐る恐る【祭壇】を確認するが、光が収まった後にはヒビ割れている以外に目立った変化は見当たらない。


 そのまま少し眺めていると、突然【祭壇】がズズズズ……と音を立てて地面に沈み込む。そして、【祭壇】が完全に沈み切ると今度はぽっかりと欠けた地面が再生するようにじわじわとせり出し、穴に蓋をしてしまう。


「お、おぉ……お?これで終わりか?『宝珠』が飲み込まれてしまったぞ!?」

「いや……どうなんだ……?正規の挙動なのかバグってるのか、いまいち分からないからな……」

「なんか……ごめんね?」


 エラーの大合唱の印象が強過ぎて正常に動作しているのか分からなくなって来ているヒャッハー達と気まずそうに呟く犯人(メイ)


 そんな彼らの不安を払拭するように、しっかりと次の変化が起こり始める。


 カチリ、とスイッチの押し込まれるような音と共に、地面が淡い黄色に光り始める。

 そして、その溢れ出る光が【祭壇】のあった場所で収束していき、人間1人くらいならすっぽりと収まってしまいそうなサイズの結晶を生み出していく。


 しかも、それだけのサイズの水晶が地面に付かずにふわふわと一定の高度を保って浮いている。


「わぁ……キレイ……」

「あ、これもしかして僕が採取した黄色い水晶と同じやつ?削ってもいいかな……」

「いっぱい持ってるでしょ!我慢しなさい!」


 その美しさに見入るサクラとズレた魅入られ方をしているメイの2人が言うように、その水晶はとても美しく、またメイが手に入れた物と同じ物質のように見える。


 だが、浮いている点も含めてとても普通の存在とは思えない。

 どうしたものかとヒャッハー達が反応しかねていると……


「はい、ご苦労さん」


 ぱち、ぱち、と、どこか気の抜けた拍手の音と共に、そんな声が背後から聞こえてきた。


【祭壇】が本来ありえない『未開放のエリアでしか手に入らないアイテムを既に所持している』という状況に大混乱してやがる……!

これだからヒャッハーは……


そして、今回の謎の声は事前申告があったから偉い……!

謎の声の主の正体とは……!?


ちなみに、最後に出てき水晶は進撃の巨人のアニが入ってる水晶の黄色(正確にはレモン色)をイメージしてもらえればちょうどいい感じです


感想&アイディアをいただけると作者は泣いて喜びます


あとアレですね、面白いなーと思ったら下の方にある『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして頂けるとさらに狂喜乱舞します

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― 新着の感想 ―
[一言] だからエラー吐いたらループせずに処理を中止してreturn0;しろって言ったのに!(言ってない)
[一言] 祭壇さんが、二度見している様が目に浮かぶようだ
[良い点] 遂に島の秘密が解き明かされた!   そして現れた謎の人物?! これぞ、冒険ですね♪ [気になる点] 後で削ろうと思ってません、メイさん♪ [一言] 一応誰かが言っていると思いますけど一…
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