第21話 ドロップアイテム確認!
すいませんっ!ホントは昨日投稿出来たはずなんですけど……書いていた話が自分探しの旅に出てしまいまして……半狂乱状態で書き直していたのですっかり投稿忘れてました……
俺とクレイジー状態が解除されたリクルスが呆然としている中カレットのドヤ顔だけが生き生きしている。それはもう清々しいほど見事なドヤ顔だ。もし仮にドヤ顔選手権と言う物ががあったら間違いなく1位だろう。
「どうだっ!私がトドメを刺したぞ!」
そして洞窟にコダマするカレットの自慢気な声、ポカーンとする他3人、少し奥で待っている岩蜥蜴の残光……と言う謎空間が形成される。
「お、おう。凄い……な?」
「な、ナイス?カレット」
「お、おめでとう?」
「3人とも何なのだ!?」
俺達3人の曖昧な返事にカレットが半ば叫びながら詰め寄ってくる、さらにはカレットの目が若干涙目になっている。
「冗談だよ、最後にいい所持ってかれたからさ」
「いいとこ取りはんたーい!」
「むぅ〜」
悪ノリするリクルスを宥めながらカレットをメイと2人がかりで慰める。少しするとカレットがまたドヤ顔を取り戻す。
両極端だな……0と100の間はないものか。
《レベルが上昇しました》
《蜥蜴洞窟のフィールドボス『ロック・リザード』を討伐しました》
《称号『岩蜥蜴殺し』を取得しました》
少し遅れて岩蜥蜴(やはり正式名称は《ロック・リザード》だった)を倒した旨のインフォメーションが流れる。
「コイツ、フィールドボスだったのか」
フィールドボスと言ったら今のところ草原の《ロックゴーレム》しか発見されていなかったからその1体しかいないと思っていたが……これはもしかしたら一つのフィールドに1体はフィールドボスがいるって言う事か?
「って事は俺らフィールドボス倒したってことか!?」
「おおっ!それは凄いじゃないか!」
「ボクなんか何もしてないんだけど、いいのかな……」
リクルスとカレットの2人がフィールドボスを倒した事にテンションを上げていて、逆にメイは何もしていないのに同じパーティだからと討伐者認定された事に後ろめたさを感じている様だ。
「まぁいいんじゃないか?」
「そうかな……?」
「メイは生産特化で戦闘力は低いんだろ?」
「そうだよ」
「なら生き残ったのだって立派な戦果だ、システムも認めてるんだ、それでいいだろ」
「そう……だね。前向きに行こう!」
メイのフォローをしてからドロップ品の確認を行う。フィールドボスだと言うなら良いものが落ちてるんじゃないだろうか?
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・蜥蜴岩×15
・蜥蜴鉄×8
・岩蜥蜴の尻尾
・岩蜥蜴の爪×4
・岩蜥蜴の肉×2
・蜥蜴の緋水晶〈初討伐〉
・岩蜥蜴の心臓石〈MVP〉
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おお、結構色んな物がドロップしたな。特に〈初討伐〉と〈MVP〉のアイテムなんかは凄そうだ。他にも称号もいくつか貰ったしな。
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『身体破壊』
モンスターの体を破壊する者の証
部位破壊効率上昇
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また凄い称号を貰ってしまった……『外道』、『一撃粉砕』、『通り魔』、『身体破壊』と称号だけ見たら完全にヤバイ奴じゃないか……
信じられるか?コイツ神官なんだぜ?
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『岩蜥蜴殺し』
《ロック・リザード》を初めて討伐した証
蜥蜴洞窟内での取得経験値が1.5倍
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これもまた……なんというか。物凄い効果の称号だな。
初めてと言うからには今後《ロック・リザード》は復活するのかもしれないな。そして経験値1.5倍はとてつもなく大きい。
レベリングが捗りそうだ。ただ、今後この情報が出回ったらフィールドボス初回討伐の取り合いになりそうだな。
まぁ、しばらくは内緒にしとくか。自分が得た情報、それも重要そうな情報をばらまく趣味は俺にはない。他の3人は分からないが。
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『岩蜥蜴の緋水晶』
岩蜥蜴の真紅の瞳だった水晶
鮮やかな緋色をしておりとても美しい
強力な炎の力を宿していて、ほのかに暖かい
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初討伐報酬はなんと《ロック・リザード》の目ん玉でした!
けど緋色って言うほど赤かったか?そう言えば後半赤くなってた様な……
更に《ロック》なのに火の力とはこれ如何に。
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『岩蜥蜴の心臓石』
《ロック・リザード》の核にして力の源
強大な大地の力を宿している
これを土に埋めれば畑も喜ぶでしょう
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こいつもこいつで……今は使い道も思いつかないし後で考えるか。……畑には埋めないぞ?畑持ってないしな。
ちなみに他の素材は大体『岩蜥蜴の〜』みたいな説明に少し補足があった程度だった。蜥蜴鉄や蜥蜴岩は武器防具の素材に使えるそうで、メイ曰く普通の岩や鉄より性能がいいらしい。お肉は歯応え抜群の淡白な味らしいです。
「みんな、ドロップどうだった?」
「俺は岩とか鉄とか爪とか肉とかそんな感じだ、後は初討伐って書いてあって岩蜥蜴の声帯ってのがあったぞ」
「私もリクルスと大体おなじだったな、ただ初討伐枠は大地の指輪って言うアクセサリーだったぞ」
「ボクもそんな感じで初討伐は蜥蜴炭って言う石炭だったよ、鍛冶に使えそうかな」
それぞれが別の〈初討伐〉ボーナスがドロップしているらしい。俺も聞かれたので『岩蜥蜴の緋水晶』を貰った事と〈MVP〉としての『岩蜥蜴の心臓石』がドロップした事を素直に言う。
「MVPなんてのもあるのか、それで今回はそれがトーカだったと」
「みたいだな」
「くうぅぅぅ!くやしいぃぃ!トドメ刺したの私なのに!」
「それなら俺だってずっと《ロック・リザード》の注意を引き付けてたぞ!」
カレットの言葉がきっかけになってリクルスとカレットの2人が今回の戦闘の自分の活躍を次々と言い出す。曰く右前足を砕いた、曰く石の槍を撃とうとする度に阻止した、曰くいっぱい殴った、曰くいっぱい魔法撃った……etc
更に言えば後半は語彙力のない言い合いになっていて、終盤になると「俺の方が凄かった!」「私の方が凄かった!」と小学生どころか園児レベルの言い合いになっていた。いや、最近の園児はもっとまともに言い合いできるか?
「あれっ!?トーカあそこ見て!」
「どうしたんだ?」
リクルスとカレットの園児レベルの言い合いを生暖かい目で見守っているとメイが何かに気がついた様で声をかけてくる。
「あそこ、岩蜥蜴の体がまだ残ってない?」
「そんなことあるのか?」
メイの指さす方に目を向けると確かにそこには岩蜥蜴の亡骸が残っていた。今までは倒したモンスターの亡骸が残る事なんて1度も無かったが……フィールドボスだからだろうか?
「ちょっと気になる事があるからいいかな?」
「何が気になるんだ?」
「もしかしたらだけど……あそこ、採取ポイントになってるんじゃないかなと思ってね」
岩蜥蜴の亡骸に近づいていき、少し感慨深い物が浮かび上がって来たので戦った証として岩蜥蜴の亡骸をスクリーンショットに収める。パシャッ!と音がして撮った写真が保存される。
《EBO》でスクリーンショットをとる方法は二種類あり、一つは視界をそのまま写真として撮る方法。もう一つはメニュー画面で確認しつつ第三者視点で撮影する方法。
簡単に言えば現実で写真を撮る際に自分が撮影する側か映る側かの違いだ。
なお、他プレイヤーを勝手にスクリーンショットする事は出来ず、許可をしてもらうか、そのプレイヤーがスクリーンショットを受け入れる設定にしている場合のみスクリーンショットに撮ることが出来る。
岩蜥蜴の亡骸を写真に収めた後に確認すると、メイの予想通り採取ポイントになっていた。採取ポイントだと分かるや否やメイが目を輝かせ岩蜥蜴の亡骸にツルハシを叩きつけ始める。
「ッ!凄いよトーカ!ここからも蜥蜴岩が取れるよ!」
「おぉ、それはよかったじゃない……かッ!」
採掘音に反応してバカ正直に真正面からやって来た《ケイブ・スパイダー》に『縮地』で駆け寄り頭部に【アースクラッシュ】を叩き付けながら返事を返す。
現最強の【アースクラッシュ】に『不意打ち』『一撃粉砕』『外道』の補正が掛かり、一撃で《ケイブ・スパイダー》を光に変える。
「どうしたの?」
「あー気にせず続けてくれ」
採取中でこちらを見ていないメイが尋ねてくるが採取を続けるように言う。採取音に寄ってくるモンスターを倒していけば『岩蜥蜴殺し』の効果で効率よく経験値稼ぎが出来るんじゃないかと考えた結果の判断だ。
その後、メイは何も知らずに、言い方は悪いがモンスターを引き寄せる餌役を続け、俺はそれに寄ってくるモンスターを片っ端から粉砕していく。と言う行動がメイが岩蜥蜴の亡骸を採取し尽くすまでの、約30分の間続けられ、俺のレベルが早速1上がった。
ちなみにリクルスとカレットの2人はまだ言い合いをしている……と思いきや何故かドロップアイテムの自慢大会を始めていた。
結果、俺は《洞窟の天敵》と言う称号をいただくことになり、メイは『一心不乱』と言う称号を入手する事となった。更には2人とも『集中』と言うスキルも習得した。
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『洞窟の天敵』
洞窟に出現するモンスターを一定以上討伐し更に洞窟のヌシを討伐した証
洞窟内に出現するモンスターに与えるダメージと洞窟内に出現するモンスターから得られる経験値が1.5倍になる
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『洞窟の天敵』、これはまんま『ウサギの天敵』の洞窟バージョンだ。ただ効果対象の範囲が広いので重宝する。
恐らくヌシって言うのがフィールドボスの《ロック・リザード》だろう。
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『一心不乱』
一つの事に一心不乱に取り込んだ証
同じ作業を連続して行う場合
効率と結果が継続時間に比例して上昇していく
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この称号は生産職であるメイにとっては大変嬉しいものなのではないだろうか。まぁ、メイはこの時は入手した事にも気付いておらず、ただひたすら称号が示す通りに『一心不乱』に岩蜥蜴の亡骸にツルハシを振り下ろし続けていて、終わった後にステータスを見て驚いていたが。
『集中』と言うスキルは発動すると、その時している事ーー今回の場合俺は戦闘、メイは採掘ーー以外の情報で必要の無いものは遮断される、と言うものだ。なので俺とメイは全てが終わるまでリクルスとカレットの自慢大会には全く気が付いていなかった。
「お前ら……ずっとソレやってたのか?」
「あっ!トーカ!」
「どこ行ってたんだ!?」
自慢大会をしているリクルスとカレットに声をかけると2人とも自慢大会をやめて声をあげる。どこに行ってたかって?経験値稼ぎだよ。
「それよりもそろそろいい時間だ、帰るぞ」
《ロック・リザード》戦が以外と長丁場になった事もあり、遅い時間になって来ている。早く町に戻らないと翌日に響くだろう。
「うおっ!ホントだ!」
「もうこんな時間じゃないか!」
時間を確認した2人が現状を把握した辺りで洞窟から出るために歩き始める。10分程で洞窟から外に出る。そのまま雑談したりしながらたまに現れるウサギを倒しながら町に帰還した。
「今日はありがとね!イベントの二日前には仕上げるから!」
「あぁ!私の杖楽しみにしてるぞ!」
カレットがそう言いながらログアウトしていく。リクルスもそれに続き、俺達もログアウトしようとする直前に、俺はある事を思いついてメイを呼び止める。
「あっ!メイちょっと待ってくれ!」
「どうしたの?」
「これなんだが……カレットの杖の素材に使えないか?」
そう言って俺は《岩蜥蜴の緋水晶》を取り出しメイに見せる。
「えっと……どれどれ?」
メイが《岩蜥蜴の緋水晶》を確認する。その時のメイの目は職人の目と言っても過言では無い程、しっかりと素材を見極めている瞳だった。
「どうだ?」
「確かカレットさんのメイン属性は火属性だったから……これは凄い使えるよ!」
「なら良かった、じゃあそれも使ってくれ」
「わかった、でも……いいの?」
俺が《岩蜥蜴の緋水晶》をメイに渡すとメイはこちらの様子を伺う様に聞いてくる。多分〈初討伐〉報酬なのにいいのか?という事だろう。
「構わないさ、俺は特別報酬をもう一つ貰ってるしな」
「うーんでも……」
「あぁ、じゃぁ余裕があったらでいいから俺の防具も作ってくれないか?今回もそうだが打撃が有効手段になる敵相手には俺も前線に出ざるを得なくなるだろうし、防具はあった方がいいからな」
「そういうことなら、わかった!頑張るよ!」
メイは俺の話を聞いてやる気が出た様で手を握りこんでいる。どうやら『緋水晶』を貰うことの後ろめたさは払拭出来た様だ。
そうだ、防具を作ってもらうなら多少要望も伝えとかないとな。流石に無いとは思うが全身鎧なんか作られても逆に困るしな。
「それで防具なんだが」
「うん、どんな感じのがいいの?」
「出来ればあまりがっちりして無いのがいいな、普段は後衛な訳だから、要所要所に鉄板が入ってる服……みたいな感じかな?あまり防具めいたものじゃなくて服兼防具……みたいな感じの方がありがたい」
こちらのリクエストを伝えるとメイがメモ機能で要望をまとめてくれた。最後に「こんな感じでいい?」と聞かれたのでメモの内容を確認して大丈夫だと伝える。
「そうだ、必要か分からないけどこれも使ってくれ」
俺はそう言って岩蜥蜴の素材をメイに渡す。正直言って素材系アイテムは今の所俺には使い道がない。普通の素材なら売ってしまっても構わないのだがフィールドボスの素材となるとそれも惜しい、なのでメイに有効活用してもらおうと言うわけだ。一応《岩蜥蜴の心臓石》は記念として取っておくが。それと防具には関係無さそうな『岩蜥蜴の肉』もこちらで持っておく。何時か料理とかしてみたいな……
「こんなに貰っちゃっていいの?」
「あぁ、依頼料って事でな」
「わかった!ってあれ?元々は『緋水晶』のお礼じゃ……」
「じゃっ、じゃあ俺はログアウトするから!カレットの杖と俺の防具頼んだぞ!」
メイが気付きそうになったので急いでログアウトする。あのままだと遠慮合戦になりそうな雰囲気だったからな。
襲い来るモンスター群の中で採掘……メイって結構肝が座ってるのか……初めて知ったぞ
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!
今後も当作品をよろしくお願いします!




