表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒャッハーな幼馴染達と始めるVRMMO 【書籍版発売中!】  作者: 地雷酒
ヒャッハー共、【島】に行く
216/310

第202話 『え?普通食べるよね?』

いいえ、食べません


【お知らせ】

リアルがめちゃくちゃ忙しくなってきたので、しばらくは投稿ペースが不安定になります

 

「【バフセット:カグラ】!」


 地の底から現れた異形モグラと相対するヒャッハー達は、今までに感じたことの無いような不思議な感覚を味わっていた。


 トーカが仲間にバフをかけている間も、異形のモグラは動かなかった。

 あるいは、トーカ達に気が付いていないのか。


 さりさりと爪で砂に線を残しながら何かを探すように、異形モグラは陥没した穴の中をうろついている。


 穴の中心に吸い込まれていくような砂の流れも止まり、今はすり鉢状の穴の中心に陣取った異形モグラをヒャッハー達が上から見下ろしてるような構図だ。


 距離はそこまで離れていないし、高低差が極めて大きい訳でもない。

 それにもかかわらず、異形モグラはトーカ達を見つけられていない。

 あるいは、最初からトーカ達など眼中に無いのか。


「なんだアイツ……こっちに気付いてねぇのか?」

「のようだな!つまり今が勝機!トーカ、【サクリ……」

「却下。今度は『砂漠』エリアに大穴を開ける気かお前は」

「試練……にしては最初の問いかけが無い。相手がどういった存在か分からない以上、下手に手を出すのはあまりいい考えとは思えないな」


 つい先程『岩山』を消し飛ばして運営側(マーシャ)にドン引きされたというのに、そんな事は知った事かとウキウキ気分で杖を構えるカレットをトーカが止める。

 リベットも反対派のようだ。というか、賛成派はカレット以外にいない。


 あの時は『岩山』の頂上から上空に向けて放ったにもかかわらず【白龍崩】は『岩山』をほぼ麓まで消し飛ばした。

 地上でそんなモノを使おうものなら、どれだけ大きな被害が出るか分かったものじゃない。


 それくらいの事は全員分かっているのだ。

 カレットは分かっていてやろうと言い出しているのだが。


 今後、大規模破壊の魅力に取り憑かれつつあるカレットに【白龍崩】の使用許可を出す時は極限まで慎重になろうと心に決めたトーカであった。


「とりあえず、いつでも戦闘開始出来る状態で待機。向こうの出方を見る」

「あいあい!」

「むぅ……了解だ」

「分かった」

「はーい」

「了解」


 異形モグラは未だにさりさりと砂に跡を残しながら窪みの中を徘徊している。

 その動きは、目的も無く動き回ると言うよりは何かを探しているように見える。


 一向にこちらに向かってくる様子のない異形モグラに、ヒャッハー達もどうしていいか分からず、膠着状態に陥っていた。


「……これさ、もう無視していんじゃね?多分ほっとけばずっとぐるぐるしてるぜ?」

「なんというか……本当にアレが試練を課す【島の獣】なのか……?それにしては、意思というものを感じないが」


 そんな会話を繰り広げていると、徘徊していた異形モグラに変化が現れた。

 その場で蹲り、動かなくなったのだ。


 変化はそれだけでは無い。


「なぁ!?」


 硬質な異形モグラの背中がパカりと開き、その中からひょこっとメイが顔を出したのだ。

 そう。『岩山』跡地で行方不明になったメイが、何故か『砂漠』にいる。しかも、異形モグラの中に。


 さすがのヒャッハー達もこれには驚愕を禁じ得ない。


「まだくらくらする……フルオートの乗り込み式はまだ難しいなぁ……」


 フラフラとしながら異形モグラの中から現れたメイは、異形モグラ同様にこちらに気がついていないようで、ブツブツと何かを呟いている。


「どうにかして衝撃を緩和出来るようにしないと……うわっ!?」


 そのまま異形モグラの中から出ようとしたメイが、縁に足を引っ掛けてすっ転び、空中に投げ出される。


 異形モグラの背中から地面までは2メートル程だが、ふらついていたメイは突然の転倒に対応出来ず頭から地面に向けて落ちていく。


「メ……」

「メイッ!!」


 その光景を前に、何かを考えるよりも、誰よりも早くリーシャが動き出す。

 とてつもない速度で踏み込むと、窪みの高低差を利用してまるで落ちるように数歩で駆け抜けると、メイが地面に叩き付けられる直前に抱きとめる。


「メイ!大丈夫!?どこ行ってたの!?このモグラはなに!?なんで中にいたの!?そもそもなんでここにいるの!?」


 ざふんっ!と砂上にメイを抱き抱えたリーシャ倒れ込むと、起き上がる時間も押しんで矢継ぎ早に問い質す。


 親友が見つかった安堵と、臨戦態勢ゆえの緊張と、すぐ側に異形モグラがいる焦りと、その中からメイが出てきた驚愕と、なんで『岩山』で消えたはずのメイが『砂漠』にいるのかという困惑とが入り交じったリーシャの感情は、形容し難い複雑な表情、そして声音となって現れている。


「そんないっぺんに言われても……」


 メイは苦笑しつつそう言ってから、その声の主とは離れ離れになっていた事を思い出したようだ。


「って、あえ?リーちゃん?」

「メイのバカ!あんたの事だから採掘に夢中で変な所に行っちゃったのは分かってたけど、どれだけ心配したと思ってるの!せめてメッセージくらいよこしなさいよ!」


 リーシャは潤んだ瞳を隠すように、ヒャッハー達に背を向けメイを抱き締める。

 その声音は微かに震えていて、心の底からメイの事を心配していた事が強く感じ取れる。


「ぁ……ごめんね、リーちゃん」

「ほんと……ばか……」


 そのまま、少しの間メイとリーシャは抱き合っていた。


 ◇◇◇◇◇◇◇


「色々と聞きたいことは多いけど……まずは、メイ。コレはなに?メイが中から出てきたけど、敵じゃないと思っていいの?」


 赤らんだ目元を隠すように顔を背けながら、リーシャは誤魔化すようにメイの横で佇む異形モグラについて尋ねる。

 今は静止しており動き出す様子はないが、それでもこの【島】で動物を象った正体不明の存在には警戒しない訳にはいかない。


だが、メイが中から出て来た事を考えると、試練を課す【島の獣】とも考えにくい。


そんな危機管理に基づく質問だったが、メイの回答はシンプルだった。


「うん。この子はゴーレムだよ。まだ試作レベルだけど、乗り込み式全自動ゴーレムの採掘型。周りの鉱物を探知して自動で採掘してくれるの」


 どうやら、この異形モグラもメイ作のゴーレムらしい。

 もはや、なんでもありである。


「ただ、全自動のゴーレムだから乗ってる人の事を考慮するみたいな事がまだ出来なくてね……乗り心地は最悪だったよ。その分効率はいいんだけどね」

「そっかぁ……」


 生産職と戦闘職の差と言うだけではないような視点の違いに、親友であり直前まで心配の極みにいたリーシャですら少し引き気味になっている。


「こ、このモグラの事はわかったわ。じゃあ次の質問。メイはどこにいたの?」


 今この場でこれ以上突っ込むのは精神疲労的に無理があると判断したリーシャは、次の質問に移ることで話題を逸らす。


 乗り込み式ゴーレム(ロボット)なんて言う『男の子の夢』が目の前にある事でソワソワしている男性陣の事は無視して話を進めるつもりのようだ。


「えっと……多分、地下洞窟……かな?」


 幸い、メイも完成形ならともかく試作型である異形モグラについて深く語るつもりはないらしく、素直に話題の転換に応じる。


 試作機、あるいはプロトタイプのロマンではメイの食指は動かないようだ。

 あるいは、開発者側として試作型(あるいは失敗作)についてはあまり語りたくないのか。


「地下洞窟?」

「うん。『岩山』で溶合金を採ってたんだけど、なんて言うか……直感、かな?もっと奥に良い物があるって気がして、掘り進めてみたんだ」

「って事は、何か見つかったんでしょ?採取系に関してはメイの直感は本当に凄いから」


 もっと奥に良い物がある気がしたという、なんの根拠もないふわふわした理由にも関わらず、リーシャだけでなくヒャッハー達も含めたこの場にいる全員が何かを見つけ出した事を疑っていない。


 これを人徳と呼ぶかは人によって違うだろうが、ある種の信頼である事は間違いない。


「うん!……って、言えれば良かったんだけど」

「えっ!?って事は……ハズレだったの!?嘘でしょ!?」


 それが採掘系のものであるならば、メイの直感が外れる事などありえないと思っていたリーシャは、思ってもみなかった返答に驚愕の声を上げる。


「そうじゃなくてね、見つけたは見つけたんだけど……()()()()の」


 そう言ってメイが取り出したのは、淡黄色の水晶だった。


 淡い黄色の水晶は照り付ける陽光を取り込み、キラキラと美しく輝いているようにすら見える。

 観賞用の宝石としてもかなりの価値があるだろう事は想像に固くない。


「きれい……」

「ほぉ……これは、なかなか……」

「……なんか、べっこう飴食べたくなってくるな」


 メイが取り出した物を見ようと、遠目から2人を見守っていたヒャッハー達も集まりだした。

 その間、異形モグラは完全に静止しており、動き出す様子はない。


「食べてもあんまり美味しくないよ?」

「食べたのか!?」

「……?うん。もちろん」


 未知の素材を2つ以上見つけた時は、片方は実験用に回す。

 これはメイの信条であり、硬度や人体への害、味や損傷時の変化などの様々な情報を得るためにメイは平然と素材を食べたりする。


 そんな方針だからこそ気付けた、『粉末状にした宝石は味のアクセントをつける調味料になる』という発見が有効活用される日は来るのだろうか。

 ちなみに、この水晶は宝石カウントはされないらしく、かじった瞬間に気化して消えてしまったらしい。


 そんな黄色水晶は、やはりというかなんというか、一筋縄ではいかない厄介そうな物だった。


 =======================================


『蝨ー閼域ーエ譎カ』

 縲仙ウカ縲代�蝨ー荳九↓豬√l繧句慍閼医�繧ィ繝阪Ν繧ョ繝シ縺悟�邵ョ縺輔l邨先匕蛹悶@縺溽黄

 邏皮イ九↑繧ィ繝阪Ν繧ョ繝シ縺ョ蝪翫〒縺ゅj縲∝ー上&縺ェ谺�迚�〒縺ゅ▲縺ヲ繧ゅ°縺ェ繧翫�繧ィ繝阪Ν繧ョ繝シ繧堤ァ倥a縺ヲ縺�k縺後€√◎縺ョ繧ィ繝阪Ν繧ョ繝シ縺ォ驕ゥ蜷医☆繧句ュ伜惠縺ッ蟆代↑縺�


 =======================================


 1度は解決したはずの『文字化けテキスト』が、再びヒャッハー達の前に現れた。

失踪したメイちゃんが新たな謎とやば気なゴーレム引き連れて帰ってきたぞ!(想定にない失踪から始まる想定にないゴーレムと想定にないアイテムに必死に設定を作る音)


メイちゃん溶合金採取に夢中→素材限定超高精度直感探知発動→直感を信じて地面を掘り抜く→『岩山』が崩壊した事でおかしくなったフラグの隙をついて『特定エリアへの外部からの侵入や内部からの破壊を防ぐための自動修復』をぶち破りイレギュラーな手順で『地下洞窟』へ侵入→地下洞窟で文字化け黄色水晶を発見→未知の素材にテンション爆上げ→採取採取採取→ふと思い付いて採取型全自動ゴーレム作成(『常在工房』を使用)→試作機のため制御出来ず暴走(停止させられなかった)→地面を掘り進め地上(『砂漠』エリア)まで到達→合流


という流れがヒャッハー達が心配している裏で起こっておりました

いつかのタイミングでメイ視点で書こうかなぁ……でも暴走しそうだしなぁと思ってたり


感想&アイディアをいただけると作者は泣いて喜びます


あとアレですね、面白いなーと思ったら下の方にある『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして頂けるとさらに狂喜乱舞します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 失踪したって、メイが掘った穴は見つからなかったのかな? だとしたら自動修復したって事か でも合金が出来てたことを考えるとアイテムとして設定されてるから破壊は想定内の筈、チグハグだな
[一言] これは……第2の試練が存在している可能性が……?
[良い点] カレットのサクリファイス込みの白龍崩は、障害物の少ない場所で、周りの迷惑にならない様に気を付けて、海の真ん中で撃ちましょう。 そのせいで、海面が下がったり海の中の生態系が大幅に変化しても多…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ