第20話 いいとこ取りは良くないと思います
すいませんッ!今回は凄く短いです!
HPが5割を切った事で行動パターンが変化するかもしれないので岩蜥蜴から目を離さず、一挙一動に注目する。とは言っても待ちの姿勢では好機を逃しかねないので、リクルスには先程までと同じ様に突撃してもらう。
「リクルス、お前はまた突撃頼む」
「ウィィィィ!ヤッハァァァァァ!」
俺が言うとリクルスが雄叫びをあげ突撃し、迎え撃とうと岩蜥蜴がリクルスを見据える。
そこまでは今までと同じ流れだがそこからの行動がズレる。
岩蜥蜴が口を開け震える、まるで何かを溜めている様に、それを見た瞬間に嫌な予感がして俺は叫んでいた。
「リクルス!横に飛べッ!」
「ッ!」
咄嗟の俺の声にリクルスが反応し進路を無理矢理横に変更する。無理に向きを変えたせいで体勢が崩れ、転げるようにして横に逸れる。
ヒュッ! ザゴンッ!
鋭い風切り音を上げ、先程までリクルスが居た所を岩の槍が通過する。岩蜥蜴が吐き出した岩の槍は洞窟の壁に突き刺さっておりその威力を物語っている。
「あれは当たったらヤバそうだ、リクルス気を付けろ!」
「わぁってら!あんなのに当たりたくはねぇよ!」
「ならいい!カレットも気を付けろよ!」
「もちろんだ!」
2人に注意を促してから『隠密』を発動し後に回り込む。リクルスが俺の意図を察してくれた様で奇声、もとい雄叫びをあげて岩蜥蜴の注意を引き付けてくれている。
「オラァァァァ!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!」
リクルスが上手く岩蜥蜴の前をちょこまかしながら『体術』Lv.3で使用可能になるアーツ【衝拳】を岩蜥蜴に連続で打ち込み、爆発音にも似た音が連続で響き渡る。
【衝拳】は文字通り拳で相手に衝撃を打ち込む『体術』のアーツで火力もそこそこながらとても短いCTで使い勝手がよく、更に左右の拳でそれぞれCTが別枠に設けられているため上手く扱えば左で殴ってる間に右のCTが終わり、右で殴ってる間に左のCTが終わり……と言うようにほぼ連続で打ち続けられると言う、ある意味バランスブレイカーな性能を誇っている。
「足元がお留守だぞ!【ロックバッシュ】!」
リクルスの連撃のおかげで岩蜥蜴の注意は完全にそちらに向いていて近付く俺にまるで気が付かない。なので思う存分狙いを定めさせてもらい、左前足の先程も攻撃した所と全く同じ所に【ロックバッシュ】をお見舞する。
ベギョッ!と言う破壊音を響かせ岩蜥蜴の左前足が粉砕される。左側の足を全て失った岩蜥蜴は体勢を崩し、地面に崩れ落ちる。
『グロロロッ!』
「リクルス!右前足!」
「了解!!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!」
アイツ大丈夫か?なんか変なスイッチ入っちゃってるっポイけど……先程も言った左右での【衝拳】のコンボを血走った目で延々と続けているんだが……
実は【衝拳】の連撃はCTの管理がとても難しく、掲示板では【連衝拳】と言われている技術なのだが……リクルスはミスる事なく連撃を叩き込み続ける。
それでもしっかりと俺の指示は覚えているようで全ての拳が岩蜥蜴の右前足を狙って放たれており、岩蜥蜴の機動力を確実に奪っている。
『グロッ、グロロッ!』
岩蜥蜴がどうにかリクルスの連撃を止めようと身を捩っているが、左側の足はロクに使える状態ではなく、尻尾も切断された岩蜥蜴にはリクルスの連撃を中断させる方法は無い。
更に言えば合間合間にカレットの魔法がいやらしいタイミングで岩蜥蜴の顔面に着弾し、口を開けようものなら魔法が口内に侵入してくるので下手に咆哮も出来ない。
「リクルスに任せてばっかりは嫌だし俺もやりますか。ソォラァ!【スタンショット】!【インパクトショット】!【ハイスマッシュ】!【ロックバッシュ】!【スマッシュ】!」
右斜め上から叩きつける様に【スタンショット】を放ち、振り抜いた亀甲棍を上にかちあげ、【インパクトショット】をお見舞する。そのまま体を一回転させ、左から【ハイスマッシュ】を叩き込む。振り抜いた体勢から体の捻りを利用して真下に振り下ろす様に【ロックバッシュ】を決め、流れで【スマッシュ】でも殴りつける。
ロクに抵抗も出来ず、もがくだけしか出来ない岩蜥蜴の右後ろ足に『棍術』のアーツを連続で打ち込み続ける。CT中も通常攻撃だが亀甲棍で殴りまくる。
岩蜥蜴が右前足へのリクルスの【連衝拳】、右後ろ足への俺の亀甲棍ラッシュ、そして顔面への魔法ラッシュにより、完全に動きを封じられており、完全にパターンに入っていた。
《『棍術』のレベルが上昇しました》
「ナイスタイミング!」
『棍術』のレベルが上がったおかげで使えるアーツも増えた、今回使用可能になったアーツは【アースクラッシュ】。
他のアーツの様に色々な効果は無いが、純粋な破壊力なら他の追随を許さないという、今現在俺が使える攻撃手段の中で最強の火力を誇るアーツだ。
「【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】んんんんん!!」
クレイジー状態でひたすら右前足に【衝拳】を打ち込み続けるリクルスに負けないように俺も岩蜥蜴に亀甲棍で連撃をあびせる。
もはや作戦もクソもない単純な攻撃だがシンプル・イズ・ベストと言う言葉があるように時に単純な攻撃は恐ろしい脅威になりうる。
『グロガァァァァァァァァァッ!!!』
HPが残り2割のレットゾーンに突入すると半分になった時と同じく岩蜥蜴が衝撃を伴う咆哮をあげる。その咆哮の威力は先ほどの比ではなく、クレイジー状態のリクルスが呆気なく吹き飛ばされる。
クソッ!ノド潰しときゃぁよかった!そうすりゃ叫べなかったのに!
「置土産だ!喰らえ!」
俺も吹き飛ばさせれそうになるが最後に置土産として一発【ロックバッシュ】を打ち込む。すると幸いな事に今の一撃で右後ろ足を砕くことが出来た。
《称号『身体破壊』を取得しました》
何か凄い称号貰った……が!気にしてる場合じゃねぇ!
「【エリアヒール】!【ヒール】!」
俺とリクルスは咆哮によって吹き飛ばされ、更にリクルスが壁に打ち付けられHPが1割を切る。
【エリアヒール】によって俺自身とカレット、メイをカバーしながら、リクルスに個別で【ヒール】をかける。
「大丈夫かッ!?」
「死にかけた!けど生きてる!」
「ならいい!行け!」
「人使い荒れぇぇ!」
HPが全回復したリクルスが合間を置かず再び突貫する。『咆哮』を使って奇声を上げての突貫で岩蜥蜴の注意がリクルスに向く。なので俺も今までと同じく『隠密』を発動し回り込む事が出来た。
「おい、岩蜥蜴学習しろよ」って言いたいやつ、お前なら奇声あげながら血走った目で1箇所を延々と殴ってくるヤバイやつ無視して本当に来るかも不明な隠れてるやつを探せるか?
俺は無理だね。そして岩蜥蜴も無理だった様だ。
「オラァァァァ!【狂化】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!【衝拳】!」
ん?今アイツなんか変な事言わなかったか?
一瞬何か別の事が聞こえた気がしたが……だが相変わらずリクルスがやってる事は【衝拳】の連撃だけだ。気のせいだろうか?
ってアイツもう右前足壊れてんのに殴り続けてやがる!やっぱりどこか壊れた様だ。まぁ多分壊れたのは頭だろう。
「まぁいい!オラッ!ボディがガラ空きだぞッ!【アースクラッシュ】!」
リクルスの方に完全に意識が行っている岩蜥蜴のガラ空きのボディに、先程打ち損ねた【アースクラッシュ】を叩きつける。
ベギョバギョゴギィッ!
『グログガァッ!?』
何か恐ろしい破壊音を響かせ、亀甲棍が岩蜥蜴の外殻の岩を粉砕し、露出した胴体に深々とめり込む。そしてあまりの衝撃に岩蜥蜴が悲鳴をあげーー
「【ファイアボール】!」
『グロッ!?』
大口を開けた岩蜥蜴の口に何度目かの口内侵入を果たしたカレットの【ファイアボール】が、俺とリクルスの猛攻でほぼ削り切られていた岩蜥蜴の残り少ないHPをちゃっかりと削り取って行った。
『グ……グロロ……』
口内爆発でHPバーをカラにした岩蜥蜴の体が静止し、一拍遅れた後で光となって虚空に溶け消えていく。
今まで戦闘を振り返り俺は思う。
激戦だった、それはもう間違いなくここまでの激戦は初めてだと言える程の激戦だった。今回の戦いは何か一つがズレていたら一瞬で瓦解していたと断言出来るほどギリギリの戦いだった。
つまり何が言いたいかと言うと……
岩蜥蜴 最終死因:爆発物誤飲(強制)
なんか釈然としねぇぇぇ!
前話の後書きでも書きましたが明日の更新は出来るか怪しいです……
ま、まぁ?初投稿時は?連続投稿は10日ほどの予定だったし?よく頑張った方かな〜と、はい!ダメですよね!すいません!
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!
今後も当作品をよろしくお願いします!




