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第174話 『ヒャッハー式英才教育:ボス戦編《池の主》⑩』

決着!

 

 すぐ後ろから、超質量の物体が地面に叩き付けられる轟音が聞こえる。

 リクルスは知っている。その場所に、妹がいることを。


 あまりにもレベルが違うこの戦いに、レベルの低いサクラは入って来れないと思っていた。今でもその考えは変わっていない。


 結局は、一撃を防ぐどころか一瞬拮抗するのがせいぜいな程に、サクラの実力は足りていなかった。


 でも、その一瞬が。実力不足で戦闘に入れず後方で待機していたはずのサクラが作り出したその一瞬が、今は何よりありがたい。


 その一瞬のおかげで、リクルスは迫り来る死を超えて、敵の懐まで潜り込めたのだから。


(まさか、ここ一番でアイツに助けられるとはな)


 心の中で小さく呟き、ふっと軽く笑みを零す。


(サクラが体張って作ったチャンス、無駄にする訳にゃ行かねぇよなぁ!)


 全てがスローモーションに見える程の極限状態。

 懐に入り込まれた池の主が、何やら大口を開けようとするのが視界の隅に映る。

 何度か使っていたブレスだろうか?

 こんな至近距離でソレを喰らったら一溜まりもないだろう。


 けれど……遅い。


 既にリクルスの拳は、様々な力を一点に凝縮させた最凶の一撃は、既に振るわれている。


 各種バフに【乱牙】、そして『壱打確殺(にのうちいらず)』の効果が乗った最強の一撃。


「吹っ飛べ!【天討(あまうち)】ッ!」


 幾多もの妨害をくぐり抜け、必殺と言って構わない程の威力を秘めたその拳が、池の主の巨躯に届く。


 直後。


 そう声高に叫ぶリクルスの言葉をかき消す程の轟音が周囲を蹂躙した。



 ◇◇◇◇◇


「おーい。起きろー」

「ん、んゅ……」


 ぺちぺちと軽く頬をはたかれる感覚に、サクラの意識がゆっくりと浮上していく。

 ポカポカと気持ちのいい陽気に、僅かにひんやりとした空気。そしていい感じに柔らかい地面と心地の良い疲労感。


 そんな眠気を誘う様な環境に置かれたサクラにとって、心地よく眠る事は何よりも優先される事なのだ。


 なのに、誰かがそれを妨害してくる。不愉快極まりないが、その人物を追い払う事すら億劫になるほどの心地よい眠気のただ中にサクラは置かれていた。

 そして、今なお頬をぺちぺちし続ける声の主の正体もサクラには既に分かっている。

 この絶妙にイラつく声音と行動をするのは、間違いなく兄だ。


「もぉ……ちょっ……寝か、てぇ……」

「なーに言ってんだお前。ここは寝る場所じゃねぇぞー」


 兄を追い払うのも億劫で寝惚けてろれつの回らない舌で要求するが、兄の声とぺちぺちは止む気配が無い。


 こっちが寝かせてくれと言っているのに、声の主はしつこく頬をぺちり続ける。

 せっかく心地よく寝ていたというのに、ソレを妨害されてサクラのイライラ度が上昇していくのが自分でも分かった。

 というかよくもまぁ乙女の寝室に無断で入って来れる物だ。


 このまま寝かせておいてくれれば寛大な心で見逃してあげようと思っていたのに、こっちが下手に出ていればこの図々しさ。


 一言言ってやらねばなるまい。


 と、寝起きのまとまらない思考でそんな事を考える。


 そして、そんなことを考えている間も止まないぺちぺちについに耐久限界が来たサクラは、ガバリと起き上がり目の前にいる兄に向かって言い放つーー


「もう!お兄ちゃん勝手に部屋に入って来ない……でっ、て……」


 途中で、気付く。


(あれ?ここ……私の部屋じゃない。っていうか屋内じゃない!?)


 起き上がり声を上げ、そして初めて意識に入ってきた視界が与えてくる光景は、見慣れた自分の部屋ではなかった。


 そこは、木漏れ日降り注ぐ森の中にポツリと出来た池のほとりだった。


「お、やっと起きたか。無理もないとはいえだいぶ寝てたなぁ」


 と、そんな事をのたまう兄なぞ意識に入らない程に、今のサクラは混乱していた。


(え?え?これなに!?誘拐!?私拉致られた!?でもお兄ちゃんっぽいのはいるし……え?どういうこと!?)


「おー、だいぶ混乱してるな。ほれ、ゆっくりでいいから色々思い出してみ?」


 髪色や瞳の色、そして何よりその装いなど、よく見れば兄とはまるで違う、しかし兄に似ている誰かに言われたように、1度深呼吸をしてからゆっくりと記憶を掘り返す。


(えーっと、確か……今日は一日暇だから前に言ってた《EBO》をやってみようって事になって……あっ)


 そして、回想のだいぶ序盤で色々と思い出した。


「あーっ!でっかい鮫!?鰐!?蜥蜴!?なんかよくわからない凍った爬虫類!あれどうなったの!?」


 サクラが覚えているのは兄を庇って氷の剛腕を受け止めた所までだ。その直後に兄が池の主のすぐ側にまで肉薄した事は覚えているが、そこで気絶したのかそこから先の記憶が無い。


「あぁ、お前のおかげで無事ぶん殴れた。んでもって討伐完了!って言えれば良かったんだが……」


 途中までは意気揚々と、後半はトーンダウンしてそう語る兄の姿に、まさか倒せなかったのかと不安が湧き上がるが……


「だいじょーぶだいじょーぶ。私がバッチリトドメ刺したわ」

「ちぇー、いいとこ取りしやがって」

「へーん。仕留めきれなかったリクルスが悪いですー」


 サクラが起きた事に気付いたリーシャが自慢気に続けた言葉でその不安は解消された。

 どうやら無事に倒せたらしい。そう思った反面、見当たらない3人の事でまた少し不安……と言うよりは暗い予想が湧き上がってくる。


「むっ!起きたか!おはようだ!」

「おぉ、おはよ。最後のアレ凄かったな」

「おはよう!ぶっつけ本番だったけど上手くいって良かったよ」


 が、リーシャに続いて、少し離れた位置にいたカレット、トーカ、メイの3人もこちらに向かって歩いて来た。どうやら杞憂だったようだ。

 その様子はとても戦闘中には見えず、どうやら本当に終わったらしいと今度こそ心の底から安堵が湧き上がってくる。


「さて……さすがにもう疲れたろうし、今日はこれで終わりにするか」


 安心した事で湧き上がってきた疲労感を抑えきれず、疲れ果てた様子で座り込むサクラを見て、トーカがそんな事を言う。


「うん……今日は、もう無理かな……」

「ふふっ、お疲れ様。今度本格的に使ってみてからでいいからその装備の感想教えてね」

「うん。分かった。……そうだ、戦闘が終わったならステータスって……」


 心地よい脱力感に脱力感に包まれながら、帰る為に立ち上がり、ふと気になってステータスを開く。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


  『サクラ』


 ジョブ:重戦士


 サブ:神官


 Lv. 28


 HP:2800/2800

 MP:150/150


 STR:10(-10)

 VIT:120(+145)

 AGI:0

 DEX:0

 INT:20

 MND:30(+85)

 LUK:0

 SP:210


【パッシブ】

『根性』『限界耐性Lv.6』


【スキル】

『盾術Lv.5』『挑発Lv.3』『守護Lv.4』

『回復魔法Lv.4』『付与魔法Lv.3』

『索敵Lv.1』『仕返しLv.ー』


【称号】

『生還者』『耐久者』『非道』『処刑人』

『大金星』『ウサギの天敵』

『防御は最大の攻撃』『虎視眈々』

『一撃確殺』『守護者の覚悟』

『窮鼠猫を噛む』


【装備】

 右手

『大楯【桜吹雪】』(VIT、MND+30)

 左手

『小太刀【切落】』(STR-10)

 全身

『千年桜の鎧』(VIT、MND+50)

 アクセサリー

『亀のお守り』(VIT+10)

『劣水竜の逆鱗』(VIT+50)

『生命の花弁《桜》』(VIT、MND+5)

『なし』


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 そして、現れたステータス画面を何とはなしに眺め……


「んん!?レベルが凄い上がってる!?」


 思わず、声を上げた。


サクラが気を失った後に何があったのか、詳しい内容は次回に


事前に考えてた道筋を平然とぶっちぎるよなぁこのヒャッハー達……


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


感想などを貰えると、作者が泣いて喜びます


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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[良い点] あばばばばばっばばばばばばばばばばはばっっばばばばばばばばっばばばばっばばばは鳥っはっだっぁぁっっとりっ…とりとりっ!……焼き鳥うまいっ← 鳥肌っぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁ…
[良い点] レベル上がってるのは、まぁ、レベル差がとても大きい敵を、ヒャッハー共が居るにしても、倒したからね。 それにしても、称号で『大金星』『防御は最大の攻撃』『虎視眈々』『一撃確殺』『窮鼠猫を噛…
[良い点] サクラちゃんは無事汚名を返上した。お疲れ様でした(笑) [気になる点] やっぱり必殺技で決める時は前口上を叫ばないと・・・ [一言] 次回サクラちゃんか誰かが飛ぶときがあったら一言お願いし…
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