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第168話 『ヒャッハー式英才教育:ボス戦編《池の主》④』

ちょっとココ最近リアルが忙し過ぎてヤバいので更新ペースがどうしても落ちてしまう……


 

「へっ?」


 メイは一瞬、自分が何を言われたのか分からなかった。

 正確には言えば『人柱』と言われたのはゴーレム達であり、好きに使ってくれと言ったのはメイ自身だが、まさか4人揃ってノータイムで人柱扱いしてくるとは思わなかったのだ。


『ーーって訳だから!』


 だが、いくら手塩にかけたゴーレム達と言えど所詮消耗品。

 内容よりもそのノータイムさに驚いていた(より正確に言えば呆気に取られていた)メイは、リーシャによって未だ激戦を繰り広げている最中を縫って途切れ途切れに伝えられた作戦を聞いてその扱いに納得していた。


 むしろ、現状では単純作業しか出来ないゴーレムがプレイヤーの代わりに特攻するのは当然の判断と言えた。


「なるほど……だったら、ちょうどいい機能があるよ」


 メイは彼女に似合わぬ悪い笑みを浮かべていくつかの補足を入れた。


 ◇◇◇◇


『ーーって機能なんだけどね』

「なるほど?そりゃ良い機能だ。【クライショット】!」


 前方で激戦を繰り広げるトーカとリクルスをサポートしながら、ゴーレムに備え付けられた通信機能でメイに直前の会話を伝えていたリーシャがメイの補足を受け、メイとは対照的に良く似合った悪い笑みを浮かべた。


「ゴーレムへの指示は私が出す!絶対道作って見せるからみんなはその時お願い!」


 リーシャの放った【クライショット】が池の主の意識を逸らし、その隙に池の主に専念する3人に大声で伝えると、「おう!」「分かった!」「了解だ!」と各々が了承の声を上げる。


「壱、弐、参、アイツに向かって突撃!肆、伍、陸は後ろに続いて!」


 今もなお続く池の主の『氷柱砲』を3人が撃ち落とし、一瞬の空白時間が出来る。

 その瞬間を見逃さず、リーシャが3人にも伝わるようにゴーレム達に指示を出した。


 ゴーレム達は返事を返したりはしないが、代わりに即座に行動に移る。


 ゴーレムと言うとどうしても鈍重なイメージがあるが、凝り性なメイが試行錯誤を重ねて作り出したオールラウンダー型のこのゴーレム達はそこそこの敏捷性を誇っている。


 僅かな空隙を縫うように突撃したゴーレム達が距離を半分程詰めたところで池の主が再び動き出した。

 自身の周囲の空中にパキパキと音を立てながら幾本もの氷柱が生成され、かなりの勢いで打ち出される。


 突撃してくるゴーレム達へ目掛けて放たれただけではなく、しっかりとトーカ達にも狙いを付けて『氷柱砲』が放たれるが、狙いを1人に絞った一撃ならともかく取り敢えず巻き込むような雑な一撃が彼等に通用するはずもなく、難なく迎撃していく。


 そんなトーカ達に対して、ゴーレム達は命令がなければ回避も防御も出来ない。

 だが、いくら人柱扱いではあろうと、さすがにそのまま無策で突っ込ませるだけではなかったらしい。


「壱號、弐號、参號!【属性解放】!続いて迎撃!」


 リーシャの指示を受け、ゴーレム達が新たなアクションを起こす。


 メイが送り込んできた人型ゴーレム達の手の甲に埋め込まれていた楕円形の赤い宝石がパキンッと軽快な音を立てて砕ける。

 その直後、その宝石の崩壊を引き金としてゴーレム達の身体が僅かに赤みを帯びる。


 ゴーレム達に与えられた能力(きのう)のひとつである【属性解放】である。

 ゴーレムの核となっている『核心石』と同じくロッ君が落とす各属性の力を持った宝石を使用した能力である【属性解放】は宝石を砕く事で中に封じ込められている属性の力を解放し、一時的に自身にその属性を付与する事が出来る。


 この効果から分かる通り、《EBO》における宝石というのは装飾品としての意味合いの他にも、対応する属性の力を宿した魔石としての意味を持つ。


 今回のように砕く事で一気に解放せずとも、武器や防具に取り付けるだけでその属性の効果を高めてくれるのだ。

 事実、カレットやトーカの杖には各々が得意とする属性の宝石が使われていたりする。


 だが、それとは別に蝋燭の火が消えかけの時に一際勢いが強くなるように、宝石は砕かれる瞬間に爆発的にその力を増加させるのだ。

 そんな宝石の性質に目を付けたメイが編み出したこの能力(きのう)は、意図的に宝石を破壊する事でその属性の力を一気に放出させ、ゴーレムに【魔法付与(エンチャント)】を施す。


 そうする事で、ゴーレム達は一時的に強力な属性要素を持った存在になれるのだ。


 そして、今回使用した宝石はルビー。

 言うまでもなく、火属性の要素を持った宝石だ。


『『『………………』』』


 言葉を発する機能を持たず、メイによって人型に近いシャープなフォルムに作られたためにゴーレム特有の石と石を擦り合わせるような独特な音を発することも無いゴーレム達は、ほぼ無音に近い静かな動作で池の主の『氷柱砲』に対抗していく。


 壱號は飛んでくる氷柱に対して、振り上げた両手を握り合わせ叩き付けるように振り下ろして氷柱を叩き割った。


 弐號はどこで覚えたのか、あるいはシステム的にそういった機能があるのか、解放した火の属性を突き出した両掌に凝縮し、触れた瞬間から溶かしていく事で無効化した。


 参號は飛んでくる氷柱の側面に手の甲を添え、力で対抗するのではなく力を逸らす事で受け流した。


 トーカ達も各々の方法で『氷柱砲』に対処しているが、思いもよらぬゴーレム達のスムーズな防御に驚きと感心を隠し切れていない。


 迎撃のために一瞬の停滞があったが、ゴーレム達は即座に突撃を再開する。

 そうして池の主の至近距離まで近付けば当然……


『キシュァァァァァッ!!』


 待っているのは全方位に広がる凍結攻撃だ。


 池の主の周囲数メートルが一瞬にして氷漬けにされ、さらに地面から突き出るように生成された鋭利な氷がゴーレム達の身体を貫いている。


 氷漬けにされた上に蜂の巣にされた壱號、弐號、参號の三体の身体はそんな惨状であっても未だ【属性解放】によって付与された火属性によって高温状態となっているため、ゴーレム達の身体を拘束している氷は今この瞬間も溶け続けている。


 しかし、ゴーレム達の身体も大きなダメージを負っていてもはや動けるような状態ではない。


 ので、最後まで役に立って(自爆して)もらう。


「壱號、弐號、参號!【自壊増幅(ラスト・バースト)】!」


『『『………………』』』


 当然、ゴーレム達から返事は無い。

 だが、リーシャの命令(コマンド)に彼等は忠実に応える。


 身体中を貫かれ行動不能になった壱號、弐號、参號がぶるりと一度身体を震わせると、次の瞬間に彼等が発する熱が爆発的に増加した。


 メイがゴーレムに与えた最後の能力きのう

 自身の身体を構成する物質をエネルギーに変換し一時的に能力を超増幅させ、代償として一定時間後に跡形もなく消滅する、そんな真の意味で最期の切り札的能力。


 これは、『人形創造』で作り出した人形を一定数以上ゴーレムにする事で取得出来る【魂無き軍団(ドール・レギオン)】によって最初から使用可能になっている能力である。

 使用したが最後、確実な消滅が約束されている能力が最初から使えると言うのは、最初からゴーレムの使用用途に特攻兵が想定されていたからだろうか。


 補足ではあるが、この能力はスキルレベルが上がれば上がるほどその増幅率が上昇する。今のメイの【魂無き軍団(ドール・レギオン)】はスキルレベル3。つまり、まだまだ伸び代があるということだ。


 本来ならこの能力によってもたらされる恩恵はただの身体能力強化でしかないのだが、度重なる試行錯誤の果てに【属性解放】状態でこの能力を使用するとその属性の効果も合わせて強化される事にメイは気付いていた。


 その増幅された熱量は、ゴーレム達を貫き拘束していた氷柱を周囲の凍結ごと溶かし、それどころかその溶けた水すら蒸発させる程だ。


 これによって、池の主と残ったゴーレム達を隔てる氷の領域が消滅する。


「肆號、伍號、陸號!【属性解放】!同じく突撃!」


 そして、壱號、弐號、参號が自身の存在を燃やして切り開いた血路を残りのゴーレム達が続く。


 つい数秒前まで氷結していたとは思えないほどにカラカラに熱され乾燥し切っている地面を踏み締め、残りの三体が命令(コマンド)を受けて突き進む。


 同じく手の甲に取り付けられた宝石が砕け、火属性を持ったゴーレム達が広範囲凍結を使用して僅かな硬直時間を強いられている池の主の元に届く。


「がっちり張り付いて!【自壊増幅(ラスト・バースト)】!かぁらぁのぉ〜!そこで【自爆】です!」


 散々耐久を強いられてストレスが溜まっていたのだろう。変なテンションでリーシャがゴーレム達に自爆を命じる。


 【自壊増幅(ラスト・バースト)】状態で池の主の身体に張り付いたゴーレム達は、リーシャの指示に従い即座に【自爆】する。


「うぎゃぁっ!?」

「うはぁ!?【三重(ウィンドシー)風壁(ルド・トリオ)】ォ!?」

「うおっ……!」


 同時に巻き起こされた大規模な爆発に命じたリーシャ以外の3人が驚愕の声を上げる。

 このままだとトーカ達も爆発に巻き込まれてしまうが、そこはさすがの反射神経と言うべきか、カレットが咄嗟に張った三重の【ウィンドシールド】が見事爆発の余波を防いで見せた。


 爆炎が晴れると、そこには目に見える量のHPが減少した、身体の前方部分の氷の鎧が消し飛んだ池の主の姿があった。

 この戦闘が始まって以来、最も目に見えるダメージだ。


「ほらほら3人とも!ゴーゴー!」

「あ、あぁ!行くぞ!」

「う、うむ!」

「【バフセット:カレット】【バフセット:リクルス】【バフセット:セルフ】!」


 ゴーレム達の大規模自爆に呆気に取られていた3人は、リーシャの声を受けて慌てて攻撃態勢に移った。


【魂無き軍団】の真の恐ろしさは物量作戦が出来るところにあるのです


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


感想などを貰えると、作者が泣いて喜びます


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 「戦いは数なのだよ」を地でいっていらっしゃる… ポケ○ンで全員に大爆発を持たせて神風自爆特攻隊を作った思い出が思い出されるのです!
[良い点] 自爆、自爆かぁ……ロマンだよねぇ。 ロボット(ゴーレム)には自爆ぐらいあって当たり前だよね……空飛ぶ要塞から自立行動するゴーレムが無限に湧いて出てきて、空から沢山の爆弾が……気にしないでく…
[気になる点] そこです!自爆なさい! の方が良かったのでは?(某外道軍師感)
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