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第162話 『ヒャッハー式英才教育:ボス戦編《大亀》後編』

サクラは積極的に攻めてこないそれこそタンクのような相手が大の苦手なのです

 

「はぁ……はぁ……」


 大亀との戦闘が始まってもう何十分経っただろうか。

 サクラは、未だに大亀に近付けていなかった。


 これまでの行動でわかったことだが、大亀は近付くと『踏み付け』と『ノックバック頭突き』を、距離を取ると『水大砲』と『放水』を行ってくる。

 特に、距離の空きが広いと『水大砲』で攻撃を仕掛けてきて、距離の空きが狭いと『放水』で距離を取ろうとする。


 亀の代名詞とも言える甲羅に閉じこもる行動は、残念ながら確認できていない。だが、おそらくは防御技として持っているはずだ。

 サクラの攻撃力が【仕返し(カウンター)】以外ではゼロに等しいため、見ることがないのは幸運なのだろう。


 いくつもの称号やスキルなどの様々な効果によって、既にサクラは『水大砲』を大盾で受けてもダメージを負わなくなり、『放水』に至っては大盾を構えず素で受けてももはやダメージは無い。


 だが、ダメージはなくともノックバック効果はしっかりと発揮されるため、距離が縮まってくれない。

 なら『放水』を避けて距離を詰めればという考えも、既に実行され、サクラのステータスと技術では不可能な事が既に証明されている。


「えぇ……本当にどうしよう」


 弱音を吐きながらサクラが助けを求めるようにトーカ達に視線を向けると、彼等は彼等で暇していたのだろう。

 サクラの奮闘を肴に焼き鳥(正確には焼き兎らしい)を食べていた。


「なぁなぁ、『食道楽』って称号貰ったんだけど」

「あぁ、俺も貰ったよ。『料理』スキルで作成した料理を食べる事で様々な効果(バフ)が付く……なるほどな、この称号をとって初めて『料理』が戦闘面で意味を持つのか」

「普通気付かんぞ。『ボス戦中に一定量以上『料理』スキルで作成された料理を食べる』とか」

「うん……僕なんか戦闘をすること自体稀だからね。今取らなきゃ一生取らなかったと思うよ。ポーションでも『料理』を使ってるけど、カレットとリクルスの取得時間に差が出てないって事は味付きポーションは料理に入ってないっぽいね。でも、こんな称号があるなら『料理』もとってみようかな」

「え〜?料理下手なメイがゲーム内でとは言えちゃんと料理出来るの〜?」

「むぅ……やってみなきゃ分かんないでしょ!」


 …………イラッ。


 サクラの視線を感じたのだろう。彼等がサクラの方へ顔を向け……


「「「「「がんばれー!」」」」」


 違う!そうじゃない!応援して欲しくて睨んでたんじゃないの!なんでみんなボス戦そっちのけでそんな美味しそうなの食べてるのさ!私だって食べたいよ!というかこの亀なんなの!?硬いとか攻撃力がとか以前に近付け無いんだけど!?これじゃ私手も足も出ないよ!?しかもあっちの攻撃もそこまで痛くないし!これじゃ本当に終わらないよ!?どうすればいいのさ!あと1回意識したらものすごい美味しそうな匂いがするんだけど!イジメ!?イジメなの!?トカ(にぃ)には後で絶対なんか作ってもらうからね!


 そんな叫びが口から飛び出る直前。

 大亀が『水大砲』を放ったので、仕方なく言葉をキャンセルして大盾で弾く。


「もうヤダこいつぅ!」


 その代わりに大亀への罵倒とも弱音ともつかぬ叫び声を上げて。


「本当にどうしよう……どうにかして近付ければまだ可能性はあるのに……」


 もはやほとんど意識しなくても捌けるようになった『水大砲』を意識の外に追いやりながら必死に考える。

 1度でも大亀の『放水』を回避出来れば次のチャージが終わるまでに大亀の元に行けるのに……とサクラは恨みがましく大亀を睨み付ける。


「ジグザグに走りながら……でもそれだともっと遅くなるし……なら……でも……あ、ちょっとごめんね、今大亀(キミ)の相手する方法考えてるから」


 思考の海に溺れながらも大亀の『水大砲』を防いでいたサクラが、ついにそれすら面倒くさくなったのか大盾の底部を地面に突き刺して即席の壁にする。


 この『初心者の大盾』というのは、『盾』という物に抱く大雑把なイメージを意識しているのか、上部の縁が平坦で下部の縁が尖っている、いわゆる『盾と言ったらコレ』と言うような形をしている。


 そのため、地面に刺さるのだ。


 行動が出来なくなるのでそんな事をするメリットはないため、普通はそんな事はしないのだが、今回は状況がかなり特殊だ。

 そのために普段は全く活躍しない、というか知ってる者がどれだけいるかも分からないこの効果が発揮されているのだ。


「うーん。うーん。どうしよう……八方塞がりだよ……って、あれ?何となく刺しただけだけど、この状態でもちゃんと防御出来る、ん……だ……」


 大亀の『水大砲』を受けてなお直立を続ける地面に刺した大盾を見て、サクラの言葉が尻すぼみになっていく。


「あぁっ!これなら行けるかも!」


 そして、その直後にこの言葉だ。

 何かを思い付いたらしい。


 「よーし!よーし!よーし!」


 長きに渡りフラストレーションの溜まる状況に置かれ、その状況の解決の糸口を掴んだことでサクラのテンションがハイになる。


 「行ける行ける行ける。これなら行ける」


 早口でブツブツと自分を鼓舞(と言うよりは言い聞かせてる)する姿からは、僅かに生まれた解決の糸口に縋り付いているようにも見える。


『おごぽぁ!』

 「効かないっての!」


 幾度目と知れぬ大亀の『水大砲』を、サクラは鬱憤を晴らすように大声を上げながら大盾で弾いて防ぐ。

 そして、直後に『早着替えの指輪』の効果で大盾をインベントリにしまい(正確には大盾を持っていない装備に切り替えた)、駆け出す。


 だが、当然と言うべきか、歴史は繰り返すと言うべきか、距離を半分ほど詰めた辺りで大亀のチャージが完了する。


『おごぽぽぁぁぁぁッ!』

 「はぁぁぁぁぁぁっ!」


 その光景を前に、今までは避けようとしては失敗してを繰り返していたサクラが新たな行動をとる。


 なんと、『早着替えの指輪』で再び装備し直した大盾をダッシュの勢いもそのままに地面に突き刺したのだ。

 そして自身は僅かに後方に下がり、姿勢を低くする。


 そんなサクラの新たな行動も意に介さず、今でと同じくサクラ……正確にはサクラの大盾目掛けて『放水』が放たれる。

 大亀の口から吐き出された方向性を与えられた大量の水がサクラの身体を押し戻さんと空を突き進み……


 「よっし!」


 サクラが地面に突き刺した大盾へと叩き付けられた。

 だが、サクラの叫びからも分かる通り、サクラは既に大盾から手を離している。

 つまりは、大盾に与えられたノックバックの効果はサクラ本人へは何ら影響を及ぼしていないのだ。


 「今だっ!」


 そして、大亀の『放水』が今だ続く中で大盾で作った即席の防壁から飛び出し、大亀までの距離をさらに詰める。


 そして、繰り返す度に僅かにスムーズになる『早着替えの指輪』の効果による大盾の送還と呼び出しの技術を駆使し、後方にて『放水』で吹き飛ばされさらに奥に飛んで行った大盾を手元に呼び寄せる。


 そして……


 「うぉぉぉぉ!今までの恨みぃ!【仕返し(カウンター)】ぁッ!!」


 大亀の首筋に、サクラの唯一にして最強の一撃が突き刺さった。


サクラ怒りの【仕返し(カウンター)


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


感想などを貰えると、作者が泣いて喜びます


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほどなぁ思いつかなかった [一言] 盾を投げるとかは思いついたけど多分攻撃なのかな?
[一言] (盾を)投げてはいかが?
[一言] 焼き鳥タレ二つください ウマウマ ボス戦?もうちょっとやっててもかまわんよ
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