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第153話 『ヒャッハー式英才教育:実戦編①』

お久しぶりです

年末年始は色々と忙しく更新が出来ず、申し訳ないです

 

「連撃、重い一撃、魔法と3種類の攻撃を体験した訳だが……どうだった?」

「うーん……当然だけど初めて体験する衝撃ばっかだったよ……特にトカ(にぃ)のとかもう……訳がわかんなかったよ」

「安心しろ。アレは俺も分かんねぇし多分トーカ本人も分かってねぇ」

「そうだな……『なんでこんな威力になるのか』は理解してるけど『なんでこんな威力が出るようになったのか』はよく分かってない」


 称号やらでバフかかりまくってるからって理由は分かるんだが、肝心の何故その称号を手に入れたかがまるで分からないんだわ。

 ……いや、心当たりはあるっちゃあるけどさ。


「っと、話が逸れたな。どうだサクラ、そろそろ実戦に行ってみるか?」

「そうだね、そろそろ行ってみたいかな」

「よし、じゃあ行くか。まずは……」


 ◇◇◇◇◇


「はいっ!という訳でやって来ました、始まりの町【トルダン】を出てすぐの草原!人呼んで『うさぎパーク時々イノシシ』!正式名称『長閑(のどか)な草原』!誰もが最初にここで戦闘のいろはを学ぶ、《EBO》最初の1歩を踏みしめる土地だ!」

「……トカ(にぃ)、お兄ちゃんはどうしたの?変な物でも食べた?」

「まぁ、そういう気分なんだろ。たまにあるだろ?変なテンションになるタイミングが」

「そ、そうだね……」


 そろそろ実戦に移ろうと言う話になって、俺達4人は【トルダン】を出てすぐの草原に来ていた。


 リクルスのテンションがおかしな事になっているが、それはなんだかんだ妹が《EBO》デビューをした事が嬉しかったのだろう。

 それに、説明の内容自体はおかしい事はない。


 やけにハイテンションなリクルスがいっていたとおり、このエリア……『長閑な草原』に出現するモンスターは角兎が大半で、稀にイノシシが出現する。


 大抵はここである程度レベルをあげたら別のエリアに進むため、まさに戦闘において最初に通る道なのだ。


「角兎は……」


 町に近すぎても敵は出てこないので、少し町から離れたところで角兎を探す。


 別にイノシシでも構わないのだが、出現率が角兎に比べて低い上にイノシシ……正式名称ビッグ・ボア、通称大猪は突進の威力が角兎に比べてかなり高く、俺の一撃を受けているとはいえ最初からアレを受けるのはキツい物があるだろうという事で最初の標的は角兎となった。


 と、そんな事を考えながら周囲を見渡せば、特に時間をかけることも無く無防備にぴょんぴょんと飛び跳ねている角兎を見つける事が出来た。


 しかし、そこそこ距離が離れていて向こうが俺達に気付いている様子は無い。


「よし。サクラ、あそこにいる奴にするぞ」

「え……?ちょっと遠くない?」

「大丈夫、大丈夫」


 標的の遠さに、別の個体に変えた方がいいんじゃないのかと不安がるサクラの声を、トーカは適当な石を拾いながら軽く流す。


 角兎との距離はだいたい15mくらいだろうか。

 現実では、飛ばすだけならまだしもバスケットボール大のサイズの的に当てるのはほぼ不可能だろうが……


「ま、ここなら問題ないな」

「へ?」


 この世界では『投擲』スキルがある。


「よっと」

『きゅぴぃっ!?』


 トーカが軽く投げた小石は、適当なフォームとは裏腹にかなりの速度で飛んでいき、呑気に草を食んでいた角兎に吸い込まれるように命中した。


 突然の衝撃に角兎が悲鳴を上げてきょろきょろと辺りを見渡し……


『きゅっ!きゅぅぅぅぅぅぅ!』

「あっ!こっち見た!こっち来た!」


 トーカ達を見つける。

 そして、すぐにこちら目掛けて猛ダッシュしてくる。


「ほらサクラ、ここで『挑発』スキルだ」

「あっ!そっか!『挑発』!」

『きゅ?きゅうっ!』


 自身のヘイトを高め、自身にターゲットを向けさせる『挑発』スキルによって、トーカの投石でこちらに目を付けた角兎のターゲットを自身に向けさせる。


『きゅっきゅっきゅっきゅっきゅぅぅぅぅぅぅ!』


 助走距離が十分に取れたからだろうか、段々と加速していき、最終的にかなりの速度での突進になっている。

 そのまま勢いを衰えさせる事無く自慢の鋭いツノをサクラの構える大盾に突き付けて……


「うわっ!…………あれ?」


 それだけだった。


 硬質な物どうしがぶつかった甲高い音こそしたものの、角兎が放っていた裂帛の気合いに多少腰が引けていたサクラが突き出した盾に阻まれ、角兎の渾身の突進はサクラのHPを僅かたりとも削る事はなかった。


『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』

「えっと……うん。なんか、ごめんね?」


 1度防いでしまえばもう気負う必要も無く、未だに必死に突進しては弾かれは少しくらついて、また突進しては弾かれてまたくらついて……と、同じ行動を繰り返す角兎の攻撃を、サクラは完全に防ぎながら、それでもなお必死に攻撃を続ける角兎を見て申し訳なさそうにしている。


『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』

「な?さっきの体験と今の実戦はだいぶ違うだろ?」

『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』

「うん……なんて言うか、気迫?勢い?上手く言えないけど、そういうのが違ってる」

『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』

「これが本番と練習の違いだな。『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』向こうは本気でこっちを倒しに……殺しに来てる『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』1番弱い角兎でさえこれなんだ。『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』もっと強いヤツ、もっとおどろ『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』おどろしい見た目のヤツ『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』なんかはこれの『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』比じゃ、ない……ぞ……」

『きゅうっ!きゅぅ……きゅっ!』

「ちょっと黙れ」

『きゅぶぅ!?』

「それでだな」

「ごめんトカ(にぃ)、ちょっと待って。地面が軽く陥没する程の威力でウサギさん叩き潰しておいて何事も無かったかのように話を続けられても頭に入ってこないから」

「そうか……?」


 会話しながら角兎の健気な突進を完全に捌ききっていたサクラの成長にじんと来る物がありつつも、こっちの事情など関係無くひたすら突進を続ける角兎の無駄に甲高い声に嫌気がさしたトーカが角兎を一撃で叩き潰したのが、サクラ的にはかなり衝撃的だったらしい。


 数秒前まで健気なうさちゃんがいた場所に代わりに出現したクレーターを見てサクラが戦いていた。


「ま、なんだ。この先いちいち敵の死に動揺してたらやってけないからな。慣れとけ」

「いや、別にウサギさんが死んだ事に対してびっくりしてる訳じゃないんだよ。トカ(にぃ)の対応にびっくりしてるんだよ」

「いや、ついカッとなって……」

「犯罪者の言い訳みたいに……」

「遊ぶ金欲しさに……」

「今まさに遊んでる最中だよ」

「あ!向こうにも角兎がいるぞ!」

「そんな露骨に……」


 トーカは少しジト目になり始めたサクラの視線から逃れるように、運良く見つけた角兎目掛けてストックしていた石を投げる。

 咄嗟の動きという雑な投擲フォームに反し、相も変わらず『投擲』スキルはしっかりと働き角兎に命中し、角兎のターゲットがこちらに向いた。


 ちなみに、リクルスは触らぬ神に祟りなしとばかりにスルーを決め込んでやがった。ちくせう。

 お前だってたまに「サッカーしようぜ!兎ボールな!」とか言ってるじゃねぇか……


 ◇◇◇◇◇


 それからしばらくは角兎狩りをしていたトーカ達だが、ヒャッハー共が真っ当なタンクの特訓を続けられるはずもなく……


「そうそう。守り一辺倒になってもいざって時困るからな、いい感じに大盾でのカウンターも出来るようにしといた方がいいかも」


 と、誰かが言い出した結果、いつの間にかサクラが1人で攻撃を耐えつつタイミングを見て大盾で殴り殺すという特訓内容に変わっていた。


『きゅきゅきゅぅ!』

「今だ!えいっ!」

『きゅぶらっ!?』


 何体目かの角兎の何回目かの突進に合わせて、サクラが振るった大盾が角兎の頭部を横殴りに吹き飛ばす。


 大盾自体に武器としての攻撃力は設定されていないものの、『一定以上の質量の物質が一定以上の勢いでぶつかった時に発生するダメージ』で攻撃するという、ある意味裏技のような攻撃手段でサクラは角兎を倒していく。


 他にも、大盾を少し持ち上げその下を通ろうとしたタイミングで振り下ろす『大盾ギロチン』でうさちゃん首ちょんぱをしたり、突進が防がれてくらついているうさちゃん目掛けて大盾を構えて倒れ込む『ど根性ウサギ』で押し潰したりなど、本来武器ではない大盾を武器として使い角兎を順調に狩って行く。


 そしてついに……


「あっ、レベルアップしたみたい」

「おめでとさん。ちょっと遅かった気もするが……」

「そりゃバリバリの戦闘職のリクルスとか俺に比べたら狩るペースも遅いし仕方ないだろ。それよりサクラ、これでSPも入ってるから割り振ってみろよ」

「うん!そうする」


 うさちゃんに対する惨い殺し方で僅かに浮かんだ罪悪感を初めてのレベルアップの高揚感で塗り潰し、現実逃避しながらサクラはステータス画面を呼び出す。


 そして……


 ーーーーーーーーーーーーーーー


  『サクラ』


 ジョブ:重戦士


 サブ:神官


 Lv. 2


 HP:300/300

 MP:100/100


 STR:10

 VIT:20

 AGI:0

 DEX:0

 INT:0

 MND:10

 LUK:0

 SP:10


【パッシブ】

『根性』『限界耐性Lv.1』


【スキル】

『盾術Lv.3』『挑発Lv.3』『守護Lv.2』

『回復魔法Lv.1』『付与魔法Lv.2』

『索敵Lv.1』『仕返しLv.ー』


【称号】

『生還者』『耐久者』『非道』『処刑人』


【装備】

 右手

『初心者の大楯』

 左手

『初心者の短刀』

 頭

『見習い重戦士の兜』

 上半身

『見習い重戦士の鎧』

 下半身

『見習い重戦士の鎧』

 腕

『見習い重戦士の篭手』

 足

『見習い重戦士のブーツ』

 アクセサリー

『なし』

『なし』

『なし』

『なし』


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 逃避した現実を突き付けられた。


次回は実戦編②兼称号紹介回ですね


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 非道持ちはデフォ
[気になる点] サッカーしようぜ!(なお一撃目で破裂) [一言] トーカ二世…(ボソッ) あ、あけましておめでとうございます今年もニヤニヤさせていただきます
[良い点] 『非道』『処刑人』 ……あっ… サブ職業【神官】だし仕方ないのか……(違う) どっちもタンクが持ってていい名前の称号じゃ無いでしょ…… そして何故当然のように盾で兎殴り殺してるんですかね……
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