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第147話 『ようこそ《EBO》へ!』

舞桜ちゃん、《EBO》の世界に!

兄達の普段見せないヒャッハーな姿に彼女は何を思うのか!(今回はほとんど出てこないんですけどね!)

 

「おらっ」

「うきゃぁっ!」


 だだっ広い草原で、1人の男が少女に殴り掛かる。


 明らかに手加減されてると分かるその一撃を、しかし少女はギリギリ回避と呼べなくもない、そんな動作で飛び退いて避ける。


 後先考えずに飛び跳ねるように避けたせいで上手く着地も出来ずにそのまま転げる少女だが、男はそんな少女を見逃すほど甘くはないらしい。


「ほらよっと」


 まだ起き上がれていない少女目掛けて、どこか気の抜けた声を漏らしながら男は踵落としを繰り出す。


「ひゃぁ!」


 見る者が見ればふざけているとしか思えないような緩慢な一撃だが、少女に取っては十分に恐ろしい一撃だったらしい。


 少女は情けない悲鳴を上げながら、起き上がりかけていたその動作を放棄して再び転がる事でまたしても何とかその一撃を回避する。


 そんな、男と少女の間違っても戦闘とは呼べないようなやり取りを遠巻きに眺める2つの人影があった。


「うーむ、これは、どうなのだ?」

「まぁ……大分加減してるとは言え、避けれてるだけマシな方じゃないか?避けてる時点で負けっちゃ負けだが」

「ふむ……確かにそうか」

「ま、もう少し見守ってやろうぜ」


 今もなお、男の攻撃とも呼べない軽い一撃から、回避とも呼べない転がりで逃げ続ける少女が、そんなやり取りに気付く余裕があるはずもなく……


 少女……舞桜(まお)は心の中で叫び声を上げた。


(どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁ!)


 ◆◆◆◆◆◆


 時は遡り、焼肉パーティーから数日経ったある日。


 舞桜の部屋でTRの本体設定を終えた瞬が、手に持った本体を舞桜に渡す。


「これでよしっと。ほい」

「ありがとねお兄ちゃん」


 本体設定と言っても初期起動して本体をネットに繋げる程度の簡単な作業だが、初めてTRに触れるため全く要領が分からない舞桜に代わって瞬が設定をしていたのだ。


「おう。後は起動してVR世界に入ったら《EBO》にもログインするだけだな。その後にキャラメイクがあるから、そこでキャラ作れば完了だ」

「うん。お兄ちゃんが軽戦士で護兄まもにぃが神官、明姉(あきねぇ)が火の魔道士……だっけ?色々あるんだね」

「あー、まぁ、そうだな?ま、同じのにするのも違うのにするのもいい。好きに作りゃいいさ。俺達は先にログインしてるが……別に気にしなくていいから気の済むまで考えて作れよ」

「はーい」


 舞桜の参考になるようなならないような認識を、だが訂正するのも色々とややこしいので流しつつ、瞬は舞桜の部屋を後にする。


 瞬が出て行った後で、舞桜は初めてのVR世界に期待と緊張、そして少しの恐怖で胸を高鳴らせながら装置を身に着け、ベッドに横たわる。


 そして、舞桜の意識はVR世界へと旅立って行った。


 ◆◆◆◆◆◆


「おぅふ……これがVRに入る時の反動……慣れるまでは大変そうだなぁ」


 現実世界とVR世界の切り替わり時特有の浮遊感に少し口を歪めながら、辺りを見回す。


 そこは、いくつかの宝石のような玉が浮かんでいるだけの閑散としただだっ広い空間……つまりは、TRのホーム画面だった。


 舞桜はまだほとんど何も無い虚無空間(ホーム画面)の中を少しの間歩き回ったりジャンプしてみたりしてーー本人の認識では見慣れない場所をウロウロしてただけだがーー現実世界とVR世界での感覚の違いを体感し、感覚を慣らしていく。


 5分程ほとんど何も無い虚無空間を歩き回っていた舞桜はふと思い立ったように《EBO》とアイコンの浮かんだ宝珠を手に取り、本当にそうする必要があるのかと首を傾げながらも兄に教えられた通りにその宝珠を地面に叩き付ける。


「えいっ!」


 余談だが、当然必ずしもそうしなければならない訳では無く、ただ彼女の兄である瞬がいつもそうしているというだけの話だ。


 今回は宝珠を割る事でもソフトを起動しているが、宝珠に触れる事で出現する『《EBO》を開始しますか? Yes/No』というアイコンのYesに触れるだけでもログインは可能である。


 というか、護はいつもそうしている。明楽は半々である。


「わっ!?……わっ!?」


 舞桜の叩き付けた宝珠がカシャンッ!!と小気味よい破壊音と共に砕け散ると、その中から光が溢れ出しその光が収まると、舞桜の周囲はいつの間にか大きな姿見があるだけの簡素な部屋に変わっていた。


 最初の声は光が溢れ出した事に対して、2つ目の声は周囲が変わってる事に対しての驚きの声だろう。


 そんな、初めて見る事、初めて体験する事ばかりでおろおろわくわくしている舞桜の心境に関係なく、状況は淡々と進んで行く。


 《キャラクターメイキングを行います、プレイヤーネーム、容姿、ジョブ、初期スキルを選択してください》


「あ、はーい」


 そんな声と共に目の前に現れたウィンドウに、驚きつつも今度は声を出す事はなく、システムメッセージに健気に返事をしてからキャラメイクウィンドウに向き直る。


「えーっと、コレをこうして……ここは……」

 

 ◆◆◆◆◆


「最後に名前を……これでよしっと。出来た!」


 そこそこの時間をかけて自身の分身となるキャラクターの作成を終えた舞桜は、そのまま出現した《ログインしますか? Yes/No》というウィンドウに素直にYesを押す。


 すると、足元にぼんやりと光を放つ魔法陣が生まれ、複雑怪奇に回転しながら段々とその光を強めて行く。


 視界が完全に飲み込まれるとほぼ同時に、


《プレイヤー『サクラ』、EBOの世界へようこそ》

《果て無き戦いの世界をお楽しみください》


 という声が聞こえ……そのまま慣れない浮遊感に包まれた。


 こうして、舞桜、否。サクラの《EBO》の世界での冒険が始まった。

いやぁ、投稿期間が空いてしまって申し訳ない。

次回はそこまで間を空けないようにしまする……


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


感想などを貰えると、作者が泣いて喜びます


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 舞桜いや、サクラさんあなたまでもがお兄さんのようにすごい人になるかは……まぁ頑張り次第だと思います。 頑張って生きて。 [気になる点] EBOで何を見るんでしょうね。 殴り神官…固定砲台と…
[一言] 心の叫びが結構男らしいのがww
感想一覧
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