第144話 『景品交換タイム』
想像以上に景品交換タイムの筆が乗ったので分割
【島】探索に関する確認を終えた【カグラ】の面々が次にする事は、当然残りのコインでの景品交換である。
「んじゃ【島】買ったお釣りで景品交換タイムかね」
「そうだね。と言ってもボクはあんまり欲しい物がないんだよね……大抵のものは自分で作った方が高性能だし」
何やらメイが末恐ろしい事を言っているが(本当に恐ろしいのはメイにとってはこれが誇張でもなんでもないという事だろう)、景品交換をしたら各自解散という事で決定だ。
島購入後でも1人約2万5千コイン分交換可能なので、それでも十分だろう。というか正直20万あっても多過ぎて使い道が足りなさそうだが……
「うーん。やっぱりこれと言った物は無いや。いくつか消費の激しい素材があるし、それでいっかな」
「なんというか……さすがメイって感じだよな」
「あはは、僕は前線に出ないからね。武器とか防具とか、そういう戦闘系の物はあっても宝の持ち腐れだし、ならこっちの方が効率がいいかなって」
一応、生産に必要なDEXやLUKを上昇させるアクセサリーはあったらしいが、それを交換するくらいなら素材を交換して自分で作った方が安上がりだし性能もいいとの事。
やっぱ見てる世界が違うな……
「リベットはどうだ?」
「ん?俺か?俺は……そうだな、この『影法師』ってスキルを取ろうと思ってる。MPとHPを半減させて自分の分身を生み出せるっていうスキルだな」
「おぉ……防衛戦が得意なリベットが2人に増えるとか、突破がかなりキツくなるな……」
ただでさえ今回の決勝で軽戦士2人をメイの準備が整うまで抑えきったリベットだ、それが2人に増えるとなると……真正面からの突破は難しそうだな。
「はは、そうだといいんだが。あとは……武器に関してはウォルカスが作ってくれるから、めぼしい素材と……あとはステータス底上げのアクセサリーくらいか?」
そう言ってリベットは交換する景品を再び探し始める。
「ほほう!リベットはそうするのか!私は当然【精霊結晶】一択!火と風を1個ずつ、残りは……おお!この【赫灼の涙】というアクセサリーがいいな!うむ、これで私は終わりだ」
そして、そんなリベットと入れ替わりで話しかけてきたカレットは、当然というかなんというか、素材にすると対応する属性の効果を超強化してくれる【精霊結晶】を選んだようだ。
更に装備中火属性の攻撃の威力を1.2倍にしてくれる【赫灼の涙】という緋色の涙型のイヤリングも追加で交換している。
これによってカレットの『火魔法』と『風魔法』が更に強化され、そのふたつの恩恵をダイレクトに受ける【白龍砲】の凶悪度が跳ね上がった。
正直もうカレットの全力の【白龍砲】は誰にも手が付けられない領域に踏み込んでいるのではないだろうか。
「まぁカレットはそこに行くよな。俺は【背教者のロザリオ】ってのと付与の【精霊結晶】、後は……回復魔法用の【癒しの鱗粉】だな。とくに【背教者のロザリオ】がなかなか面白そうだ」
そして、トーカは1つ1万ポイントする付与の【精霊結晶】と【背教者のロザリオ】、そして、残りの5000ポイントで回復効果強化用の【癒しの鱗粉】を交換した。
【精霊結晶】はカレットが交換した物と同じ物の『付与魔法』バージョンで、【背教者のロザリオ】は装備中に限り【ヒール】や【ヒーリング】などの『回復魔法』がHPを回復するのではなく逆にダメージを与えるようになるという効果を持ったアイテムである。
さすがにHPを全回復させる【フルヒール】は反転しないが、それでも【ヒール】等の本来なら回復させるはずの魔法でダメージを与えられるというのはなかなかに面白そうだ。
そして【癒しの鱗粉】は、『この鱗粉をふりかけた相手への回復魔法の効果が1.5倍になる』という、なかなか面白い効果を持ったアイテムだ。
ここでミソなのが、『回復量』ではなく『回復魔法の効果』という所である。それはつまり【背教者のロザリオ】を装備した状態の【ヒール】で与えるダメージも大きくなるという事を示している。
また、この【癒しの鱗粉】は、拳大の巾着のような入れ物に入っており、容量はあるが時間経過で回復するので使い切ってしまう心配もない。
少々トリッキーな効果を持つアイテムだが、その戦闘中は効果が途切れることも無く、1度振りかければその後は常に『回復魔法』の効果が1.5倍になるというメリットは大きい。
「何これかっこよ!なぁなぁ、この『壱打確殺』ってスキルめちゃくちゃかっこよくないか?まさにロマン砲って感じでさ!」
俺とカレット、そしてメイが交換品談義に花を咲かせていると、そう言って興奮気味のリクルスがウィンドウを見せてきた。
そこには、アイテムではなくひとつのスキルが記載されている。
そう、この景品交換の中には、アイテムだけでなくスキルも景品として用意されていたのだ。
とは言っても正確にはスキルそのものではなく、使用するとそのスキルを習得出来るようになる、いわゆる『スキルスクロール』と交換出来るので、アイテムと言えなくもないが。
そして、その『壱打確殺』というスキルは、リクルスのテンションの上がりようも納得の脳筋スキルだった。
その効果は、『発動時、自身のSTRと次の攻撃によって与えるダメージを3倍にし、『針穴通』と『残機通殺』の効果を付与する』という、あらゆる防御と蘇生効果を無視して即死クラスの攻撃を叩き込む、その名の通り当てれば一撃で殺せるような超強力なスキルである。
当然そんな超強力なスキルにデメリットが無いはずがなく、『使用後、その戦闘中の間は恒久的に全ステータスが0になり、あらゆるスキル、アイテムの使用が不可能になる』という、とても大きなデメリットを抱えている。
なんというか、「この技を使う以上、必ず殺せ。仕留め損なったのならもう戦う資格は無い」と言っているようにも感じる、そんなスキルである。
そして、脳筋思考&ロマン砲大好きなリクルスが好きそうなスキルだ。その後も、『壱打確殺』かっけー……と呟きながら画面をスクロールさせている。
残りのポイントで交換出来る他のアイテムを探しているのだろう。
カレットが早速交換した【精霊結晶】で装備の強化をメイに熱烈に依頼しているため、話し相手もいなくなったトーカはそんなリクルスの様子を何とはなしに眺めていた。
「あとは、STRが上がる『鬼の腕輪』と……『蜃気楼』?なんだこれおもしろ!『鬼の腕輪』と『壱打確殺』、『蜃気楼』の3つで決まりだな!」
そして、リクルスが『壱打確殺』の他に選んだのは、STRを50上昇させる代わりにINTが20減少するという【狂化】を持つリクルスからしたら実質デメリットゼロの効果を持つ『鬼の腕輪』というアクセサリーと、『「スキルレベル」秒間の間、自身の当たり判定を消失させる』という少々トリッキーな効果を持つ『蜃気楼』というスキルだ。
この『当たり判定を消失させる』というのがトリッキーたる所以であり、それはつまり物理的魔法的問わずあらゆる攻撃が当たらず、デバフなども当たらない代わりに味方からの回復やバフも受けられず、また自身の攻撃も当たらない状態になるのだ。
「うっわぁ……当たらなければノーダメ思考により拍車がかかりそうな効果してんな」
「おうよ!事実当たらなければノーダメだしな!」
「あーやっぱリクルスは『蜃気楼』取ったかー」
そんな会話をしていると、既に景品交換を終わらせた様子のリーシャが会話に入ってきた。
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
感想などを貰えると、作者が泣いて喜びます
ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!
今後も当作品をよろしくお願いします!




