第143話 『選ばれたのは島とかでした』
投稿ペースがぁ……投稿ペースがぁ……
遅くなって申し訳ない
「「「「「「…………島?」」」」」」
6人の声が見事に被る。
どうやらほとんど同じタイミングで最後の項目まで見終わったらしい。
「「「「「「????」」」」」」
しかし、読んだからと言って理解出来るとは限らない。
事実、6人の頭の上では『?』が乱立していた。
「えっと……どゆこと?」
最初に言葉を取り戻したのはリーシャだった。
だが、彼女の疑問に答えられる者はこの場にはいない。むしろ、全員が全員、同じ疑問を抱いていた。
「うん?島が買えるって事……だよね?」
「まぁ……そうだろうな」
「説明文にも【島】だと言うことしか書いてないしな……」
「まぁ、一応広さや地形とかの島の概要は書いてあるけど……逆に言えばそれだけだ。なぜ島が貰えるのか、貰ったとして何に使えるのか、どういう効果を持つアイテムなのか、そもそもアイテムなのか、フィールド的な物ならどこにあるのか、そういった事なまるで分からない」
「というか100万って高過ぎないか?多分買えるの私達だけだぞ?この【島】の他だと、各属性分の【精霊結晶】とかそういった凄そうなアイテム類の1つ1万が最高だというのに……。というか、この【精霊結晶】が物凄く欲しいのだが。素材アイテムだがそれを使えば対応した属性が超強化されるとか魅力的な事しか書いてないのだが」
全く想像もしていなかった【島】という最高価&用途不明の謎アイテムに、数々の激戦をくぐり抜け優勝を勝ち取った【カグラ】のメンバーでさえ困惑させられていた。
むしろ、優勝し【島】を購入するという選択肢がある【カグラ】だからこそ困惑させられていると言うべきか。
「……えー、この【島】がなんなのかという話は一旦置いておいて。現状100万もするこの【島】を買えるのはほぼ間違いなく俺たちだけだ。その上で、実際に買うかどうかは別として、買えるなら買ってみたいって奴はどれくらいいる?」
トーカのその問に、「はいっ!」とリクルスがいの一番に声をあげれば「はいはいっ!」とカレットが張り合うように声を上げる。
そして2人に負けじと「はははいのはい!」とリーシャも声を上げる。
流れが流れだったので、変に張り合ってないか一応3人に確認はしたが、誰かが買う気があるから張り合っている、という訳ではなく、3人とも純粋に買えるなら買ってみたい派らしい。
「うーん。興味はあるけどちょっと尻込みしちゃう値段かな……僕は買う寄りの中立、かな?」
「無責任かもしれないが、俺は正直どっちでもいいって感じだな。正直目欲しい物が多い訳でも無いし、多少興味を引かれる物も島を買ったとしてもお釣りで十分足りる程度だ。買うのなら反対はしない」
「なるほど……2人はそんな感じか。かく言う俺もメイと同じ意見だから……買う派、買う寄りの中立、中立で3:2:1か。反対はゼロだな」
トーカがそこまで言った所で、買う派の3人が目をキラッキラと輝かせて自分をじっと見つめている事に気が付いた。
無理に騒ぎ立てず他のメンバーの意見をしっかりと聞く姿勢は評価したいが、3人から凝視されるとさすがに怖いな……
「えーっと、一応最終確認だ。反対意見は無いし、このままだと【島】を買う感じだけど……それでもいいか?」
「もちろん!」
「否定する理由がない!」
「当然!」
やはり真っ先に答えるのは買う派の3人。
というかお前らがここで反対意見出したら訳分からん事になるだろうし、そもそも出すと思ってないから普通に予想通りの反応だ。
「2人は大丈夫か?」
「大丈夫だよ!僕自身【島】にも興味あったし、踏ん切りつかない所を背中を押して貰えたって感じだからね」
「あぁ、俺も大丈夫だ」
「んじゃ決まりかね」
という訳で、【カグラ】として謎の【島】を購入してみる事に決まった。未知への恐怖というか、ないとは思いたいがこれで大した物じゃなかったら……という変な緊張が無いとは言いきれないが、それでもどんな物か気になる好奇心も確かに疼いている。
「パーティ間ならコインの受け渡しも可能だから……一旦代表者に全額集めて、【島】購入後に再配分するって感じか。あぁもちろん優勝賞金の1万は回収しなくていいぞ」
「「じゃあ、ほい、トーカ」」
「あ、これも俺なのね」
言うや否やリクルスとカレットから渡されたコインを受け取りながら、苦笑いを零す。
即決過ぎやしないか……?
と、そんなサラッとした流れで代表者に選ばれたトーカが各々からコインを受け取ると、【島】の購入画面に移る。
そして、そんなトーカの後ろから他の5人がそのウィンドウを覗き込み、1人のウィンドウに6人が群がるという、傍から見ればかなりヤバめな状況での【島】の購入となった。
「じゃぁ……買うぞ?」
「うむ」
「おう」
「わくてか」
「「……(ゴクリ)」」
緊張感溢れる状況で、トーカが交換ボタンを押す。
すると……
チャリーンッ!と、軽快な音が鳴り響き、【交換完了】と表示された後にその画面にデフォルメされた妖精ちゃんが【わぁお!リッチィ!】と言っているイラストが表示された。
なんかもう、妖精ちゃんだなぁという感じだ。
しかし問題はそこでは無い。
「さて……交換は完了したようだが……どうなんだ?」
「うーん。アイテムではないみたいだ。特にインベントリに何かが増えてる訳じゃなかった」
「えーっと……それって、どういう事?」
「え?って事はこれトラップ?【島】と書いて【募金】と読む的な?」
「さすがにそれはないだろ。そんな事したら炎上ってレベルじゃねぇぞ」
交換はしたものの特に何かが起こるという訳でもなく、トーカ達が困惑していると……
ぴろりんっ
トーカ宛に運営からメッセージが届いた。
「ん?なんのメッセージだ?」
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【島】のお買い上げありがとうございま〜す♪
まさかただの顔見せのつもりで置いた【島】を
本当に買える人がいるとは思わなかったよ〜
一瞬「!?」ってなったけど購入者見て納得しちゃったよ
確かに【カグラ】なら買えてもおかしくないからね〜
という訳で、【島】についてなんだけど、
ホーム画面に『所有地へ行く』って欄が増えてるのでしょ?
そこから行けるよ〜
その【島】は自分で色々いじれるからね〜
それじゃ、ぜひ快適な島ライフをどうぞ〜
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「うっわ、うっざ」
「うざいな」
「うぜぇな」
「うざいね」
「これは……確かにそうだね」
「このウザさはさすが妖精ちゃんって所か」
心優しいメイですら否定できない程度にはその文はうざかった。
字面だけならまだマシなものを……なんでわざわざ音声を付けたのか。
まぁ妖精ちゃんらしいと言えば妖精ちゃんらしいし、そのウザさが妖精ちゃんの魅力でもあるのだが。
「っと……あったあった、これか」
そんなウザイ感じのお知らせに従いホーム画面を開くと、確かにそこには『所有地へ行く』というコマンドが増えており、その下の選択肢欄には先程購入したばかりの【島】が一つだけ、ぽつんと存在していた。
「顔見せって言葉と【島】単体じゃなくて『所有地』の1つとして表示されてるって事は……今後はプレイヤー個人で土地を持てるようになるのかね」
「かもな。ところでこれ……俺らは行けるのか?トーカだけしか行けないとかは……ないよな?」
「なぬっ!?それは困るぞ!」
確かに【島】は俺の個人所有扱いになってしまってるからな……さすがに俺しか行けないとなるとややこしい事になりそうだが……
「あぁ、安心しろ。『招待する』ってのがあるから他の人も連れて行けるっぽい」
なになに……?『招待』には、所有者が連れていくことによってのみ行くことが可能になる『一時的招待』と、所有者がいなくてもその人だけで行けるようになる『恒久的招待』の2種類があって、それを使い分けられる、と。
それに加えて、『恒久的招待』が出来るのは所有者……つまりは俺だけだが、『一時的招待』なら『恒久的招待』を受けた人もする事が出来るのか。
他にも所有者限定だが招待した者を強制的に追い出す『強制退去』ーーただしこれは自身が連れてきた『一時的招待』者限定で『恒久的招待』者も使用可能だーーや『恒久的招待』を取り消せる『招待取り消し』などもあったりする。
代表者が土地を所持して複数人でその土地を利用するという事は正式に想定されており、またその弊害による人間関係のいざこざの為の強権も用意されている……という事だろうか。
「という事で5人には俺がいなくても自由に出入りできるようになる『恒久的招待』というのをしておいたぞ」
チーム共同で買ったから【島】に関しての権利に差はつけたくないんだけどな……とは考えたもののさすがにそういった機能はなかったので諦めるしかないか。
「後は……そうだな、正直【島】がどうなってるのかはまだよく分からないし、近いうちに1度行ってみたいと思う」
「んにゃ?今日は行かないのん?」
トーカのその言葉に、リーシャが首を傾げる。
どうやらすぐに行くと思っていたようだ。
「まぁ、行くとなったらかなり大掛かりな調査になりそうだからな……結構時間もかかりそうだし、今日は大会直後で疲れてるからさすがに厳しいと思ってな」
「確かにねぇ。んじゃ私もいいや」
「いや、別にリーシャは行っててもいいんだぞ?」
「いやいや、こういうのはみんなで行くのがいいんでしょ。私一人だけ先に行ったらみんなで探検するドキワク感が味わえないじゃん」
トーカが行かないと言うと、あっさりとリーシャも行かない事を選んだので、遠慮させてしまったかとトーカが尋ねれば、リーシャにはリーシャの考えがあったらしい。
「まぁその気持ちは分からなくもないな。それで、みんなはどうする?」
「私も行くならみんな一緒で派だな!つまり今回はパスだ!」
「ボクもちょっと疲れちゃったから今日はいいかな……みんなと違ってろくに戦闘してないボクが疲れたってのもおかしな話ではあるけど」
「なーに言ってんの。メイは戦闘かなぐり捨てた生産特化なのに補給役として常に死なないように戦場に居なきゃいけなかったんだから、疲れて当然でしょうに」
「んじゃ俺もパス。体力的には平気だけどリーシャ達と同じで先に一人で行くのはつまんなそうだからなぁ」
「もちろん俺もパスだ。さすがに疲れた。ちょっと休みてぇ」
という事で、全会一致で【島】探索はまた今度という事になった。
狂乱3人組はまだ元気が有り余っていて普通にこのまま【島】探索に乗り出せそうだが、行くならみんな一緒でという考えが強い様で今回は見逃すらしい。
さぁて、次はお楽しみの景品交換タイムだ。
……え?【島】も景品交換だろって?こんなん例外だろ例外。
本来なら景品交換まで行くつもりだったけど【島】の話が長引いたので分割
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
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