第137話 『VS【クラウン】⑩ リーシャVSウィシャルネ 後編』
遅れて申し訳ない……
ストックが尽き申した
構想自体は出来上がってるから後は書き起すだけなんですけどね(それが一番大変ってそれ何度も)
【閃】。
それは『剣術』スキルに類するアーツに極めて似た性質を持つスキルであり、スキルレベル1から使える、シンプルな斬撃である。
弓を近接武器として扱う異端の技である『弓闘術』によって使用される、斬撃系アーツのひとつだ。
もちろん、『剣術』による剣を使ったアーツと『弓闘術』による弓を使った【閃】とでは当然前者の方が威力が高くなる。
そして今回もそれは例外ではなく、威力としてはそこまで高い訳でも無い。
それでもーーー
「っしゃオラァ!見たかゴルァ!パシャパシャ自撮りばっかしてっから弓術士がよられて斬られるハメになんだよぉ!」
色々な怒りが綯い交ぜになったリーシャは、ついに一撃叩き込めた事をきっかけに若干キャラ崩壊を起こしながら吠える。
自撮りばっかりしてるくせにこっちの攻撃は避けまくるウザイ相手に、ついに一撃ぶち込めたのだ。それはもう感情が爆発しても仕方ないというものだろう。
「っぅ!なんと力任せで芸のない乱暴な一撃……!」
「なんとでも言えやパツキン野郎ォ!乱暴でも丁寧でも最後に立ってりゃ正義なんだよォ!【打】ァ!」
斬撃をかました体勢のまま、やはり語気を荒げながらも流れるように次の行動に繋げる。
刃が無く、逆に重りを仕込んである弓幹の下半分を使ってウィシャルネの顔面を殴り付ける。
この【打】は『弓闘術』にしか無いアーツであり、シンプルな打撃技である。最も近いアーツは『棍術』の【スマッシュ】だろうか。
「ぐぅっ!」
「そのまま死に晒せやァッ!【突】ッ!」
【打】を振り抜いたまま、これまた流れるような動きでウィシャルネの喉を狙って弓の先端を突き刺す。
例に乗っ取ってこの【突】も『弓闘術』のアーツであり、『槍術Lv.1』のアーツに似た一撃となっている。
流石に喉を貫かれる事はギリギリで回避したウィシャルネだが、その代償として異端闘弓の先端が肩に深々と突き刺さる。
「うぐぁ……!」
相手の【スコールショット】を『縮地』で切り抜け、そのまま接近してからの息をつく間もない【閃】【打】【突】の流れるような3コンボ。
怒り任せの、しかし洗練された動きで一息の間に斬られ殴られ突かれたウィシャルネのHPは一気に半分程にまで落ち込んでいる。
このまま押し切れる……!
リーシャがそう思ったのも無理は無いだろう。
それほどまでに鮮やかな連撃だった。鮮やか過ぎて、上手く行き過ぎて、ほんの少しバランスが狂っただけで流れが崩れる程に。
「【殴】ッ!」
わざと捻じるようにして異端闘弓を抉り出すと、そのまま重りを仕込んである弓幹でもってウィシャルネに殴り掛かる。
この【殴】というアーツも、先程の【打】と同じ『弓闘術』の打撃系の一撃であり、【打】に比べて一撃が重い分再使用に少し時間を要する。
その一撃は、しかしウィシャルネに当たることは無かった。
彼が『縮地』によって紙一重で回避したからだ。
大振りの一撃を回避されたリーシャは、大きく体勢を崩す。それでもプッツン来ているリーシャは吠えるように叫ぶ。
「なぁに避けてんのよ!」
「蛮族が殴りかかってくるんだ。避けるのは当然だろう?」
しかし悲しいかな、吠えるだけでは何も起こらない。
気の弱いプレイヤーなら、あるいはその怒声に怯んだかもしれないが……
相手は最強チームの1人。
いくら迫力があろうと声だけでは怯みすらしない。
ウィシャルネは『縮地』で避けた直後に、体勢を大きく崩しているリーシャの腹を狙って打ち上げるような蹴りを叩き込む。
「っう!こんのパツキンがァ!」
「はっ、確かに私は弓術士だが、最低限の近接格闘位は押さえているに決まっているだろう」
体勢を崩して踏ん張りの効かないリーシャは、怨嗟の声を上げながら吹き飛んでいく。
とは言っても所詮は弓術士の、アーツですらない一撃だ。
多少吹っ飛びはしたものの、対して距離が開いた訳でもない。
これならばすぐ立て直せる。そう瞬時に判断したリーシャは着地後すぐに飛びかかれるように空中で体勢を立て直す。
「はぁ!?嘘でしょ!?」
と、そこで目にする。
片方の肩を深々と抉られていながらも、それでもなお変わらぬ美しい姿勢で弓を構えるウィシャルネの姿を。
既に自身の心臓に狙いを定められている弓矢の切っ先を。
「せめて美しく散りたまえ。【ジャッジメントショット】」
容赦無く放たれたその一撃は、まさに『裁き』の名にふさわしい圧倒的な一撃。
神の怒りを表すかのように激しく猛る雷を纏った力の奔流が、寸分違わずリーシャの心臓を貫いた。
これは、『弓術Lv.10』で使用可能になる『弓術』最強の一撃。
弓にあるまじき圧倒的な破壊力を持ち、魔力を込めれば雷属性にもなるという、遠距離攻撃系アーツでも類を見ない程の特異性を持った一撃である。
当然ウィシャルネはありったけの魔力を込めている。
極限まで強化された【ジャッジメントショット】は、ただでさえ圧倒的な破壊力を秘めているというのに、さらに猛り狂う雷を纏いリーシャの身体を貫いて行く。
裁きの名を冠する一撃の後に残ったのは、空っぽのHPバーと心臓に風穴を開けて地面に崩れ落ちるリーシャの姿だけだった。
ウィシャルネは、身体を光の粒に変えて空に溶け消えて逝くリーシャに背を向け、うざったらしくなるほど優雅な歩みでその場を後にする。
「美しさ故の勝利だな」
そんな言葉を残しながら。
「いいえ。慢心故の敗北よ。【首刎】」
そんな声が聞こえて、振り返るよりも、声を上げるよりも、なお早く、ウィシャルネの首が跳んだ。
【首刎】。
それは、全スキルの中で『弓闘術』だけが持つ確定の即死技。
他のスキルにも『即死クラスの威力を叩き出す』大技や、『条件に寄って確率で即死させる』効果はあるが、システムとして、確定で即死させる事が出来るのはこの【首刎】だけである。
条件として、弓の弦を使って確実に首を刎ねる必要があるが、逆に言えばそれさえ出来ればどんな敵でも即死させる事が出来る。
「HPをゼロにしたからって油断しちゃダメよ。身体が完全に消えるまでは、まだ動けるんだから」
首を刎ね飛ばされ、光の粒となって消えていくウィシャルネが最後に目にしたものは、そんな言葉と共に空に溶けて消えたリーシャの姿だった。
【カグラ】の裏の作戦は『確実な一人一殺』です
相打ちになろうと、ほんの1秒でも一瞬でも長く生きていれば判定勝ちですし
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
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