第134話 『VS【クラウン】⑦ トーカVSドウラン 後編』
やっべぇリアルが立て込んでて執筆が進んでねぇぞ!?
リアルはイベントが立て続けにあって、ゲームでは蝙蝠乱獲して呪いの指輪巡って大冒険してNYで最強決定戦して……
オラァ!もっと執筆するんだよォ!
ひたすら攻め続けるトーカとひたすらいなし続けるドウラン。
両者の得意分野による意地と意地の張り合いにも近いその戦闘は、見た目こそ派手にぶつかり合ってはいるものの、状況は膠着していた。
確かに1度は盾を破壊され窮地に陥ったドウランだが、己の防御力を信じ、あえて攻撃を受ける事で逆に隙を作り、新たな盾を装備する事に成功していた。
一方のトーカも相手に盾を再び装備させてしまいこそしたものの、それはあくまでプラスがゼロになっただけであり、マイナスまでは及んでいない。
普通に考えればプラスがゼロになるのは状況が悪化したようにも感じ、特に異常なまでの硬さを有するドウラン相手に振り出しに戻るというのはやる気を根こそぎ持っていかれそうなものだが……ヒャッハー状態のトーカはだからなんだと言わんばかりにより一層苛烈に攻撃を仕掛けている。
しかし、会心の一撃とでも言うべき一撃を受け、1度は盾を破壊されたドウランは自身の防御スタイルを受け止めるタイプから受け流すタイプへと変更していた。
受け止める耐えるのではなく、受け流しいなす。普段なら受け止める耐えた上で弾くなどして隙を作るのだが、異常なまでの攻撃力を誇るトーカ相手に受け続けるというのは得策ではない。
実際に一度盾を破壊されていることがその事を証明している。
「しっかし粘るなぁ。1人相手にこんなにぶん殴ったのは初めてだぜ」
「耐えて耐えて耐えるのがタンクの仕事だからな。とはいえここまで押し込まれたのは初めてだがな」
横薙ぎの一撃をぶちかましながらトーカが呟けば、その威力を上手く受け流しながらドウランが言葉を返す。
攻撃と防御。
その2つの概念の頂点とも言うべき2人の戦いは確かに過激で苛烈で白熱したものではあるのだが、そんな戦いも長く続けばマンネリ化し始める。
トーカは相手の受け辛い箇所を狙って攻撃する事に慣れ、ドウランは難しい場所に来る攻撃の対処に慣れる。
攻防そのものは攻守共に洗練された動きであるが、事態に動きは無く、流れが変わらない。
リクルスとアッシュの戦いと似た部分はあるが、こちらはその継続時間が違った。他の場所では大きく戦況が動いてる場所もあると言うのに、ここだけはいつ見ても同じ事をしているのだ。
一歩間違えたら、一つミスをしたら、それだけで勝敗が決まりそうな程にギリギリのバランスで成り立っている現状だが、そんな極限状態も長く続けば慣れが来る。
状況に余裕はないが、精神的には余裕が出来始める。
ひたすら殴り、ひたすら耐える。
トーカ対ドウラン。即ち異常な火力対異常な防御力の対決は、既にどちらが先に折れるかの、意地の張り合いになっている。
ーーーーように見えただろう。
互いに打つ手は無く、降着状態のまま相手がミスをするのを待っているような見た目こそ派手ではあれど面白味のない勝負に落ち着いたと、確かに観客からはそう見えた事だろう。
そんな訳はないと言うのに。
「今っ……だぁ!【仕返し】ッ!」
先に動いたのはドウランだった。
ドウランは今までの戦いで刻んでいた動きのパターンをあえて崩す事で、ほんの一瞬の隙を作ると、そこに無理矢理攻撃をねじ込んだ。
敵の攻撃を一身に受けるタンクの持つスキルの中で、最も使い手の力量が要求されるスキルがこの【仕返し】である。
このスキルは『今まで受けた攻撃のダメージをそっくりそのまま相手に与える』という実に単純であり、それ故に使用者の力量によって性能が大きく左右される効果を持っている。
まず任意のタイミングで1度目の【仕返し】を使用し、待機状態に入る。
そして待機状態中に受けたダメージと同ダメージの攻撃を2度目の使用で相手にぶつける。
そんな2段階で使用するこのスキルは、当然待機状態中にやられてしまえば当然蓄積したダメージも無駄になってしまう。
加えて言えばこのスキルの待機状態には制限時間があり、それをオーバーしてもダメージはゼロになってしまう。
このスキルを最大限に活用するならば、ギリギリのタイミングまで耐えなくてはならず、その間に倒れることも許されなければ、発動タイミングで攻撃可能位置にいなければならない。
そして、ドウランはこの場面でその2つの条件を見事満たしてみせたのだ。最初期に【コリジョンバック】で吹き飛ばされた時から既に発動していた【仕返し】は、それはもう恐ろしい程の威力を誇る事だろう。
相手が動きを急に崩した事で隙を作ってしまったトーカ目掛けて、今まで自分が殴り続け威力をとことん高めてしまった【仕返し】が突き刺さった。
ーーーーーが。
「あっぶねぇ……俺が神官じゃなきゃここで死んでたな」
「だよなぁ。クッソ……焦った。どこまで行ってもお前は神官だもんなぁ……そりゃ当然持ってるよな、【プロテクション】はよ」
「そういうこった」
どんな攻撃も1度だけ無効化する『付与魔法』最高の防御技である【プロテクション】は、ドウラン渾身の【仕返し】を完全に防いでみせた。
そして、渾身の一撃が防がれた以上、大きな隙をさらした事になるのはドウランの方である。
「ってな訳で、死にさらせ!『針穴通』からの【リトルメテオ】ッ!」
自分に突きつけられているドウランの盾を左手でがっちりと掴むと、盾から身を乗り出すようにして右腕に持った白銀ノ戦棍をドウランの頭部目掛けて叩き付ける。
今トーカが使用した『針穴通』というスキルは、『見切り』の派生スキルのうち、リクルスが取得している『戦闘中に1度だけ使え、どんな攻撃も1度だけ無効化する』という効果を持つ『空蝉』と対になるスキルである。
そして、その効果は『戦闘中に1度だけ使え、どんな防御も1度だけ貫通する』というものである。
つまり、今この瞬間。トーカが放った【リトルメテオ】に関してのみあらゆる防御を貫通してダメージを与える攻撃となっているのだ。
物理的な防御は出来ず、ステータス的な保護は無効化されているドウランにこの一撃を防ぐ術は無い。
超至近距離で振るわれたトーカの白銀ノ戦棍は、圧倒的な破壊力をもってドウランの頭部へと致死の一撃を叩き込んだ。
あらゆる防御を貫通した【リトルメテオ】を喰らったドウランのHPは間違いなく一瞬で消し飛んだ。
どんな手段を使ったとてこの一撃を耐える術はなかっただろう。それはドウランだけに言える事ではなく、たとえ相手が誰であろうと何であろうと、この一撃を耐える事は不可能であった。
そう思わせるほどに圧倒的なまでの一撃だった。
「っふぅ……とりあえず1人、だな」
そう言って、トーカは闘技場内を見渡す。
その視線の先には、それぞれの相手と戦っている仲間の姿がある。全員が全員己の持てる全ての力を出し、全身全霊で勝利をもぎ取らんと武器を振るっている。
さて、とりあえず1番ギリギリなリクルスのヘルプに行くか。
でもあいつの事だし後で余計なことしやがってとか言ってきそうだな。
そんな事を考えながら、リクルスの方へ向かおうとしたトーカだったが……
「行かせねぇよ」
「ッ!?」
そんな声と共にリクルスの方へ向かおうとしたトーカの足が掴まれる。その手の主は、あろう事か間違いなく死んだはずのドウランであった。
「嘘だろ!?アレを耐えられるはずがねぇ!」
先程ドウランにぶちかました【リトルメテオ】は、トーカが全幅の信頼を置いていた自身の最強の一撃だ。
それを食らってなお相手が生きているという事に、動揺を隠せない。
だが、そんな理解不能な現象も解き明かしてしまえは単純なものてある。
「悔しい話だがアレは耐えらんねぇ。なら……耐えなきゃいい話だ」
【不屈】というスキルがある。
その効果は、『HPがゼロになった時1度だけHP1で復活する』という、言わいるガッツ系の能力だ。
トーカの攻撃は、確かにドウランのあらゆる防御を貫いてHPを全て喰らい尽くした。その後、ドウランは【不屈】の効果で復活しただけの話。
耐えられないのは事実であり、死んだのも事実。
だが、復活しないとは言っていない。
そんな、単純と言えば単純な理屈により、ドウランは戦線復帰を果たしたのだった。
「とはいえ……さすがにHP1でお前の相手が出来ると思う程自惚れちゃいねぇ。ただの【悪足掻き】だ。一緒に死ねや」
そう言うと、ドウランを起点に大爆発が起こる。
普段はまるで用途のない言葉通りの単なる悪足掻きーースキル名からして【悪足掻き】であるーーそれはつまり、相手を巻き込んだ自爆である。
「クッソ!ネタ被りかよ!」
トーカのそんな叫びは、爆発音に飲まれて誰の耳に届く事もなかった。
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
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