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第133話 『VS【クラウン】⑥ リクルスVSアッシュ 前半』

 

「おうおう、リクルスてめぇ強くなってんじゃねぇか!」

「兄貴こそあんときとは比べもんになんねぇくらい強くなってんじゃないっすか!」


 刀身が2m近くある超巨大な大剣を、アッシュはまるで棒きれのように片手で豪快に振り回す。

 無造作に振るわれた一撃すら空を裂き地を割る程の威力を秘めた豪剣乱舞は、カスっただけで動きやすさ優先で防具の類を極限まで減らした紙装甲のリクルスのHPなど根こそぎ持っていくだろうことは想像に難くない。


 一撃一撃が即死級の威力を誇る相手と言えば、リクルスの身近にもトーカという馬火力モンスターがいるが、使っている武器の関係上トーカのリーチはそこまで長くない。


 だが、アッシュの武器は大剣であり、その豪快さもさることながらその強大なリーチも大剣の持つ強みの一つである。


 ほぼ遠距離攻撃手段を持たないリクルスでは、アッシュに攻撃しようとすれば豪剣乱舞をかいくぐりアッシュに接近しなければならない。

 一応リクルスも大剣を所持してはいるが、あくまでサブウェポンでありとてもアッシュと打ち合えるものでは無いだろう。


「ちょっち兄貴怪力ゴリラ過ぎねぇ!?大剣って片手でぶん回すもんだっけ!?」

「はっはー!これが伏線(ヒント)だ!よぉく覚えとけよォ!」

「っあ!なぁにがヒントだ見たまんまアンサーじゃねぇか!」


 あえてブンブンと子供が棒きれでチャンバラごっこをする時のようにめちゃくちゃに振り回すアッシュだが、圧倒的リーチと質量を誇る大剣でそんな事をすれば素人丸出しの棒振りから動きの読めない致死の嵐に早変わりする。


 適当に乱雑に振るわれるということは、動きが読めないと言うこと。

 1発でも当たれば即ゲームオーバーな現状では、この無軌道で乱雑な振り回しが1番恐ろしい。


「シャオラァ!【狂化(きょうか)】からの【掌打(しょうだ)】ァッ!」


 自身のINTを下げる代わりにSTRを上昇させる脳筋御用達の自己バフスキルである【狂化】の倍率は『スキルレベル×10%』であり、リクルスの【狂化】のスキルレベルは既にMAXの10。


 つまり、今のリクルスはINTを100%減少させ、代わりにSTRを100%上昇させた超脳筋モードに入っている。

 この状態のリクルスのSTRは、どちらかと言うと素のステータスよりも装備や称号でSTRの底上げし、更にはステータスよりもダメージを伸ばす傾向にあるとはいえそれでもかなりのSTRを誇るどこぞの馬火力モンスター(トーカ)のSTRすらも軽く凌駕する。


 最終的に4桁にすら届くそのSTRから繰り出された一撃は、如何にスキルレベル1から使える比較的低威力の【掌打】(アーツ)と言えどかなりの威力になるのだが……


「いい打撃(パンチ)だ!だが足りんッ!」


 しかし、アッシュは【掌打】によって弾かれた大剣を力任せに引き戻し、すぐさま振るい直す。

 弾かれて行く力以上の力で無理矢理に慣性から操作権を奪い返すという離れ業をいとも容易くやってのけるのがβ最強と名高いアッシュという漢である。


「ウッソだろお前!?かなり強めに弾いたぞ!?」

「あぁ!素晴らしい一撃だったぞ!だが、だがしかし!この俺に大剣(こいつ)を手放させるには足りなかったようだな!」

「クッソ!兄貴はバケモンかよ!【乱牙(らんが)】ッ!」


 低威力の【掌打】では威力は足りないが、かと言って弾くために高威力のアーツを使っていざと言う時に使えなくなっては目も当てられない。

 そういう理由でリクルスが次なる一手として発動したのが、連撃を途切れさせない限り威力が上昇し続ける【乱牙】である。


 アッシュの大剣乱舞は一歩間違えれば即ゲームオーバーな極悪ラッシュだが、裏を返せば攻撃数が多いということ。

 如何に即死級とはいえ、それは紙装甲のリクルスから見た話だ。しっかりと防御を固めているプレイヤーならそこまで恐れるものでもないだろう。


 無論、リクルスの紙装甲を加味してのアッシュのこの行動でもあるのだが……


 即死級の攻撃を手数の多さと軌道の読めなさで補強しているような大剣乱舞だが、片腕で振り回している関係上タイミングを合わせて側面を叩き、刀身を弾く程度なら決して不可能ではない。


「オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!」


 【乱牙】はその性質上、発動直後はほとんどなんの恩恵も無いため大剣を弾くタイミングにはかなり神経をすり減らすが……

 その期間を乗り越えれば、次第に無造作に振るわれる大剣の威力に拳の威力が追いつき始める。


「ッぁ……!はっはっはっ!いい!いいぞリクルス!」

「クッソまだ足りねぇか!本当のバケモンだよ兄貴は!」


 細心の注意を払ってなんとか弾いていた状態から、無造作に放つ拳で大剣を弾けるようになるまでそう時間はかからなかった。

 アッシュが無造作に振るう乱撃を、リクルスが拳で弾く。


 荒れ狂う大剣と同等に撃ち合う拳と言う、もはや異常の領域に踏み込んだ光景に観客のテンションも爆発的に上昇していく。


 しかし、そんな打ち合いも無限には続かない。


 迫り来る豪剣を紙一重で避け、弾き、隙を伺い続ける。

 神経を極限まですり減らしながらの耐久は、精神にかなりの疲労を蓄積させる。


 アッシュはただ大剣を振るうだけだが、1発でも当たれば即死のリクルスにミスは許されない。


 そんな精神的余裕の差もあり、ついに拮抗が崩れた。


 リクルスの膝が、がくりと折れる。


「っぁ……」


 何発、何十発、何百発。

 迫り来る即死の豪剣を、幾度弾いた事だろうか。


 直前に大きく体勢を崩しながらも、リクルスが大剣を弾く振るったその拳は、しかし。

 大剣を弾く事は叶わず、虚しく空を殴るだけに終わった。


 がら空きのリクルスの胴体にアッシュの大剣がめり込む。

 カスっただけでもアウトな豪剣をモロに食らってはもう助からないだろう。


 そう、モロに食らっては。


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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