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第13話 事故物剣と害悪金髪

事故物剣の剣はわざとです。

なんかヤバイ剣、程度の認識で大丈夫です。


そして害悪金髪、コイツはもう行くところまで行かせようと思ってるので「流石に有り得ない」と言うセリフは丸めて害悪金髪にでも投げ付けといて下さい。


ブクマ2000件突破!皆様本当にありがとうございます!


 NPCの利点を使いこなし俺の叫びを一切無視してルガンが語り始める。


「ふむ、お前さんにならこれを託してもいいかもな……」

「えっ?」

「ちょっと待ってろ」


 俺は先程の親バカから一転、何か意味深な言葉を発したままどこかへ去っていく背中を混乱しながら見送るしか出来なかった。

 数分ほどして戻ってきた彼が持っていたのは漆黒の鞘に収められた1本の短剣だった。鞘に収められているというのにも関わらずソレは凄まじい威圧感を放っていた。


「これは……?」

「これは俺が出会った中で一番ヤバかった奴の牙から作った短剣だ。とは言ってもそいつを狩る事は出来なかったが……仲間も居たがまるで勝てる気がしなかった。激しい戦いの中……とは言っても死なない様に必死だっただけだがな。意識を失った俺が全身ズタボロで目覚めて同じようにボロ雑巾になってた仲間を介抱している時に落ちていたのを見つけて拾って来たってだけだからな」


 その後も彼は少し語り続けた。語り終わった後は満足そうに俺に短剣を押し付け、返そうとしても受け取って貰えなかった。

 彼が言うにはこの短剣は使いこなす事が出来ず、ずっと保管したままになっていたそうだ、不意打ちに罠などの搦め手で倒したとは言え彼の実力は本物だった、それこそ真正面から戦ったら手も足も出なかっただろう。


「いやいや、あなたに使いこなせない武器とか渡されても……」

「はっはっはっ!まぁお前さんなら大丈夫だろう、お礼として受け取ってくれ!後はこれもだな」


 更に皮袋を押し付けられた後、部屋から退出もとい追い出される、すると丁度カノンが入ってきた所だった。


「あっ!お兄ちゃんもう帰るの?」

「あぁ、お父さんとのお話(戦闘)も終わったからね」

「大丈夫だった?お父さんに怖いことされなかった?」


 殺し合いしてました、とは言わない方がいいだろう、適当に言葉を濁しながら退散しようとするとカノンが手に持った短剣に気が付き声をあげる。


「あれ?それ……お父さんの宝物だ!お兄ちゃんどうして持ってるの?」

「これはね、お父さんがくれたんだ。俺なら使いこなせるだろうとか言ってね」

「へぇ!お兄ちゃん凄い!」

「えっ?凄いってどういうことだ?」


 宝物を貰うと何が凄いのかよく分からなかったので聞き返す、確かに人の宝物を貰うと言うのは相当な事だろうけど何か別の意味がありそうな気がしたのだ。


「お父さんはね、それはお父さんが本当に認めた人にしたあげないって言ってたんだよ」

「そうなのか、じゃあ俺はカノンちゃんのお父さんに認めて貰えたのかな?」

「そうだね!でもお父さん凄い強くてね、昔はね『リュウカリゾク』って言うところにいたんだって!」

「リュウカリゾク?」


 竜狩族……かな?聞き慣れない単語だ、しかも名前からして明らかにやばそうな雰囲気を放っている。なんなの?ホントに、始まりの町に居ていい人材じゃ無いでしょ彼。


「うーん、よく知らないけど凄い強い人がいっぱい居る所だって言ってたよ!そこにお父さんも居たんだって!」

「そ、そうなんだ……」


 若干引き攣りながらも笑みを浮かべ返事を返す、ゲーム内で汗が流れるのかは分からないが現在だったら冷や汗ダラダラだっただろう。


 つまりあれか、ルガンクラスの人達が沢山居るって事だよな?そして更にそれを一方的に壊滅させる化け物も存在するってことか……いつか戦う日が来るのか?勝てんのか?それ。


「じゃあお兄ちゃん!それ大切にしてね!」

「もちろん大切にさせてもらうよ」

「うんっ!それとカノンのお願い聞いてくれてありがとう!」

「どういたしまして」


 言うとカノンは奥の部屋には駆けていく、そしてそれと同時にクエストクリアが告げられた。


 《シークレットクエスト『カノンのお願い』をクリアしました》

 《経験値が加算されます》

 《称号『少女の救世主』を取得しました》


 そのままプレイヤー達(ロリコン共)視線(殺気)を浴びせられながら店内を後にして噴水広場まで歩いていく。

 リクルスとカレットに噴水広場で待ってるとメッセージを送った後は色々と確認する作業に入る。


「これでクエストはクリアか、気になる称号も貰ったしなんかやばそうな武器も含めて1度確認するか」


 貰った状況から考えると称号はシークレットクエストをクリアすると貰えるのか?

 さてと、まずは称号。貰ったのは『認められた者』と『少女の救世主』か、救世主ってなんかむず痒いな。


「称号の詳細はっと」


=========================


『認められた者』

 ルガンの試練を完全攻略し認められた証


=========================


=========================


『少女の救世主』

 少女カノンのお願いを完璧に達成した証


=========================


「やっぱり称号はシークレットクエストを攻略したからか、でも完全とか完璧って書いてある所を見ると特殊条件をクリアしないと貰えないのかな?」


 ちなみにルガンから貰った皮袋は1万トランだった、お金が貰えるのは素直に嬉しかったです。


「でもなぁ、カノンの方は分かるけどルガンの方は全く分かんないな、特に心当たりも無いし……まぁいいか」


 次は半ば強引に押し付けられた短剣を調べて見よう、ルガンが使いこなせないって時点で嫌な予感しかしないがそのままアイテムボックスの肥やしにするのも俺の実力を認めてくれて託してくれた彼に悪い、覚悟を決めて見るとしよう。


 貰った短剣の見た目は漆黒の鞘に収められていて柄や持ち手の部分は真っ白に染まっている、鞘と柄で正反対の印象を与えてくる。

 鞘から抜いてみると鞘の色とは打って変わって純白の刃を持っていた。何物にも染まらない、それ一つで完結された完成品、そんな印象を受ける程に混じりけの無い白い刃だった。


「これは……」


 その存在感に気圧されながらも詳細を開く。


 =========================


『???の短剣』

 ???の牙を使った純白の短剣

 この武器は?種の素材を糧とすることで強化されていく

 またこの武器は使用者の実力に応じて力が解放される

【解放レベル1】

 STR+30 DEX+20

 斬撃強化 破壊不可

『?族特攻Lv.1』

【強化 0】


 =========================


『?族特攻Lv.1』

 ?族に与えるダメージが1.1倍


『破壊不可』

 このスキルが付与された装備は

 破損しなくなる代わりに

 素材に変換する事が出来なくなる



「おうふ……」


 何このチート武器、デメリット無しで亀甲棍(デメリット有り)以上の補正が掛かるし壊れないし、これでも最弱の状態だし何かの種族に特攻掛かってるし、それどころか名前すら分からないし。


「だからさぁ、こんなの初日に手に入っていいもんじゃ無いでしょ!」


 余りにもあんまりな性能の武器に思わず大声を出してしまう、何人かのプレイヤーに変なものを見るような目をされてしまった。


 《フレンドメッセージを受信しました》

 《フレンドメッセージを受信しました》


「お、あいつらからだな」


 とりあえず短剣を装備した所でメッセージが来たので確認しようとメニューを開き内容を確認する。


「おい、そこのお前」



=========================

 《リクルス》

 おぉ、やっとクエスト終わったのか

 報告だけじゃ無かったっけ?まぁいいか

 じゃあ俺もそろそろそっち向かうわ

 P.S.

 カレットとは別行動中

 P.S.②

 頼むから今度はしっかり居ろよ?

=========================


 あぁ、やっぱりシークレットクエスト(父親の暴走)で結構な時間を食ったんだな、アイツらは2人でいるとケンカ(じゃれ合い)始めるから妥当な判断かな?それにP.S.②が心に刺さる……ホントにごめんなさい。


「おい!お前!聞いてんのか!?」


 もう一つの方は……


=========================

 《カレット》

 報告だけの割には遅かったな?

 そろそろ飽きてきた所だしすぐ行くぞ!

 ちなみに途中からリクルスとは別行動だったぞ

 P.S.

 ロジウラコワイ

 P.S.のP.S.

 今度はちゃんと居るよな?

=========================


 やっぱり心に刺さるP.S.のP.S.、後どれぐらいこの話を掘り返されるんだろう……と言うか路地裏行ったのかよ!


「テメェ!無視してんじゃねぇぞ!」


 えっと、返信はした方がいいよな?


 =========================

 《トーカ》

 スマン、報告だけかと思ったら色々あった

 しっかり噴水広場にいるんでもう許してください

 P.S.

 なんか面白い物貰った

 =========================


 っと、こんな内容でいいか。

 全く同じ内容2回書くのはめんどくさいと思ってたら一括送信と言う項目を見つけたので一括リストからリクルスとカレットを選択して送信する。


「いい加減にしろよテメェ!」

「うおっ!?」


 メッセージを送信して一息付いていると突然肩を掴まれた、見れば金髪のプレイヤーが怒りに顔を染めてこちらを睨みつけていた。


 なんだこいつ、いきなり人の肩を掴んで来るとかマナーがなってないな、ゲーム内とはいえ最低限のマナーは守るべきだろ。


「……何のようだ?」


結構イラッと来た俺は普段より5割ましの低い声で返事を返す、別に返事を返す義理は無いのだが無視してもウザったいだけで何の生産性も無いだろうしな……


「俺を無視するとはいい度胸だなぁ!」

「いや、誰だよ。お前なんか知らねぇよ」


普段の初対面の人相手よりも対応にトゲがあっても仕方ないよね、肩掴まれて俺のこと無視するだの何だの言われてもウザイだけだしな。


「はっ!これだから雑魚は。まぁいい、俺様はβテスターだ。その武器よこしな」

「………………は?」


えっ?何この人いきなり話しかけてきてβテスターだかなんだか知らないけど武器よこせとか頭沸いてんじゃねぇか?

うん、こういう奴は無視が一番だな、はいっ解散!



「ようやく分かったか。ほら、早くソレよこしな」

「………………」



それにしてもこの『???の短剣』のって『???』って何なんだろう、【解放レベル】とやらが上がってけば分かるようになるのか?


「また無視かこの野郎!いい加減にしろよ!」

「………………」


?種ってなんだろうな、多分この短剣の素材になった牙の持ち主の種族かなんかかな?だとしたらどうしようも無い気がするけど……下位種族とかじゃないと死ぬんだが……


「オイッ!テメェ!無視してんじゃねぇぞ!」


……無視に徹して来たがいい加減うざくなってきたな。


「そろそろしつこいな、βテスターだから武器よこせとか本気で通じると思ってるのか?だとしたら相当可哀想な頭してると言わざるを得ないが」

「あぁ!?てめぇみてぇな雑魚よりβテスターの俺様のほうがいい武器を使うのは当然だろ!?」

「いや、当然じゃねぇよ」


ホントに何なんだこいつ、害悪ってレベルじゃねぇぞ、GMコールした方がいいか?


「もういい!俺様と決闘しろ!そして無様に負けて俺様にその武器差し出せ!」


============================

《決闘申請》

『リガンド』から決闘が申し込まれました

受諾しますか? yes/no


ルール:デスマッチ


============================



ホントなんなのコイツ、見た感じ少し装備はいいヤツっぽいからβテスターの特典かなんかなんだろうとは推測出来るが……


辺りを見回せばいつの間にか野次馬の人集りが辺りに出来ていた、見世物じゃねぇぞー。


「なぁ、なんでこれ俺が決闘受けると思ってるんだ?受ける訳ないだろ」

「はっ!この腰抜けが!怖ぇならそれ置いてとっとと逃げな!」


うわぁ……βテスターてみんなこんなんじゃないよな?コイツが特に頭沸いてるんだよな?

けどこれあれだよな、ここで決闘無視してもずっとまとわりついてきそうだしな……いいこと思い付いた。


「受けてやってもいいけど俺が勝ったら何貰えるんだ?」

「はぁ?βテスターの俺様がそれを使ってやるって言ってるんだぞ?それ以上になんかあるのか?」


人間は話し合う生き物だって誰かが言ってたけど無理だわ、コイツ話しが通じない。なんと言うか色々めんどくさいタイプだ、なので良心が全く痛まないから金髪にふっかけて見る事にした。


「じゃあお前が負けたら全財産寄越せよ」

「はぁ!?何言ってんだかてめぇ頭沸いてんのか?」

「えっ?怖いんですかぁ?自分でぇ雑魚って言った奴にぃ万が一にもぉ負けてぇ全財産取られんのがぁ怖いんですかぁ?」


喰らえっ!瞬直伝の煽り芸!効果、相手はイラつく!

コツは敬語でかつ間延びさせてさらに語尾をウザったらしく上げることらしいです。良い子は真似しないでね、悪い子も仲のいい人にはやらない方がいいよ。


「あ゛ぁ゛!?いい度胸じゃねぇか!万が一にもお前が俺様に勝ったら俺様の全財産やるよ!まぁ無理だけどなぁ!」


うわぁ……自分で煽っといてなんなんだけどコイツ頭悪過ぎだろ、βテスターって肩書きを過信しすぎてるぞ、βテスターだから偉い、βテスターだから強いって訳でもねぇだろ、多少は有利にゲームを始められるのかもしれないけどさ。


「はぁ……」

「はっ!今更怖気付いても遅いぜ!」


俺の溜息を何と勘違いしたのかバカは更に調子に乗り出す。


「はいはい、こわいこわい」


適当に流しながら決闘を受諾する。


《決闘が成立しました》


決闘が成立すると決闘用の専用フィールドに飛ばされる。まぁ町中で決闘したらスペースの都合上めんどくさい事になるからな。


お互いの立ち位置の中間の空中に浮いている1分のカウントが進むのをチラリと確認してから亀甲棍を構える、相手は剣を持ってるから近接型だろうと当たりをつけてすぐに踏み込める様に足に力を入れておく。

相手の金髪は腰に下げた剣も抜かずにこちらを侮る様な視線を投げつけてきている、完全にこちらを舐めきっているようだ。


(はぁ、俺もなんか言えるほど強くは無いけど……アイツはガチャプレイしかしないタイプなんだろうな)


ちなみにガチャプレイとは特に考えずに適当にコントローラーをガチャガチャやってキャラ性能に頼ってるプレイングの事……らしいby瞬


とは言え油断は出来ないし今出来る事を探してみるか。


「とりあえず【マジックアップ】【アタックアップ】【ディフェンスアップ】【アジリティアップ】」


物は試しの精神でカウント中に付与魔法を使ってみたがしっかり発動したようだ、って事はカウント中は直接攻撃以外なら出来るのか、この時間に詠唱したりとか色々出来そうだ、まぁ俺は攻撃魔法使えねないけどな。


「付与魔法は行けたって事は……アレも行けるか?」


その後も少し試してみるとカウントは残り10を切っていた、丁度準備も終わった。さて、βテスター様はどれぐらい強いのかな?


深呼吸を一つして前を見据える、カウントが0になり決闘開始が告げられた瞬間に俺は金髪目掛けて駆け出した。


そろそろストックが切れそう……

加えて執筆速度があまり速くないのでそろそろ毎日更新が途切れそうな予感……ただ、エタるのだけは全力で回避したい所存なのでよろしくお願いします!


対父親用最終兵器は炸裂せず、この先も炸裂せずに済むのか!?


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします

ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!

今後も当作品をよろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 託してくれた武器をすぐ賭けに使うって護まじか、不義理すぎない? ゲームのサービス続いてる限りずっと使えそうな エンドコンテンツ武器がサービス開始初期の全財産と釣り合う訳ない 頭沸いて…
[気になる点] 路地裏ってメッセ不可じゃなかったっけ? それともまだ路地裏入ってない?
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