第126話 『決勝戦』
ついに決勝戦が始まる!という所で申し訳ありませんが、少しの間更新が停止致します。
詳しい事は活動報告に書きますので、そちらの方を見てください
あの後、まさに精魂尽き果てたといった様子で試合中にも関わらず大の字に倒れ伏したカレットをメイに任せ、リーシャにサポートしてもらいながら【魔法付与】を付与したトーカとリベットで残りの2人に接近戦を仕掛けた。
確かに魔法に特化した『魔導研究会』は、中遠距離の戦いにおいては類を見ない程の強さを誇るが、逆に言ってしまえば接近戦には弱いという事になる。
まぁ、ノルシィ程の魔道士が相手ならば接近戦に持ち込む前に魔法の波に飲まれてやられてしまうだろう。
という訳で接近戦にも対応出来そうなのはノルシィだけだったが、それは既にカレットが倒してくれた。
また、カレットと俺がノルシィに専念している間にリベット達も他の魔道士と激戦を繰り広げていたらしく、その結果相手のMPもカツカツの状態だったという事も大きいだろう。
そういった事もあり、結果として特に苦戦すること無く接近戦に持ち込み、勝つことが出来た。
そうして、見事『カグラ』は決勝戦進出を決めたのだった。
◇◇◇◇◇
『決まったァァァァァァッ!!持たざる者による持つ者への憎悪で一時は優位に立つものの、『クラウン』にツルッツルの僧侶がいたのが運の尽き!『昆布食べても髪生えない』は決勝戦に1歩届かず!決勝へ駒を進めたのは……『クラウン』だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
ウァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
トーカ達『カグラ』が決勝戦進出を決めた少し後。
アッシュの大剣が最後まで粘っていた『昆布食べても髪生えない』のリーダーを下し『クラウン』が決勝戦進出を決め、会場は大いに湧いていた。
髪への憎悪を持って破竹の勢いで勝ち進んできた『昆布食べても髪生えない』だが、しかしさすがは予選無敗を達成した最強チーム。
想像以上に強い髪を持つ者への憎悪に序盤僅かに押されこそしたものの、すぐさま立て直しその圧倒的な力を見せつける豪快な激戦を持って決勝戦への切符をもぎ取って魅せた。
これによって、ついに優勝を賭けて戦うチームが出揃う。
片や圧倒的優勝候補。
予選も含めて未だ負け知らずという、言わずと知れた最強のチーム。β最強の呼び声高いアッシュ率いる『クラウン』。
片や無名のダークホース。
初っ端から開幕殲滅をかまし、準決勝ではもうひとつの優勝候補であった『魔導研究会』をも下してみせた、トーカやカレットといった物魔共に超高火力のアタッカーを擁する『カグラ』。
このまま『クラウン』が無敗を貫くのか、はたまた『カグラ』が大番狂わせを起こしてみせるのか。そういった点も含めて、この決勝戦における観客のボルテージは最高潮に達していた。
『さぁ!ついにやってきました決勝戦!泣いても笑っても正真正銘最後の一戦!《EBO》における最強のチームが今決まる!『カグラ』VS『クラウン』!選手、入場ッ!』
ウァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
エボ君の言葉によって最高潮にまで高まっていた会場のボルテージがさらに上昇していく。
「アッシュゥゥゥッ!決勝戦でもぶった斬れぇぇぇぇぇッ!」
「ウィシャルネェェェェ!『カグラ』の頭ぶち抜いたれぇぇぇぇッ!」
「カレットちゃぁぁぁぁぁん!『クラウン』なんか焼き尽くせぇぇぇ!ついでに俺も焼いてぇぇぇぇぇ!」
「トーカさぁぁぁん!頑張ってくださぁぁぁい!」
「ドウランッ!お前こそが《EBO》最堅だ!全部受け止めてやれぇぇぇぇッ!」
「リベットォォォォォッ!俺ァ前イベの時のアンタの漢気に惚れたんだ!今回も魅せてくれぇぇぇぇぇ!」
今や、観客の誰も彼もが思い思いに自分の応援するチームやプレイヤーの名前を叫び試合開始を今か今かと待ちわびている。
闘技場の上空には既に各チームのメンバー表が巨大ウィンドウでデカデカと張り出されており、各プレイヤーの活躍シーンのダイジェストが流れている。
その映像でより一層盛り上がっている観客達の歓声を一身に受けながら、ついに選手達が闘技場へ現れる。
最初に姿を表したのは【クラウン】だ。
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“β最強”アッシュ
“流麗の射手”ウィシャルネ
“後光さす求道者”ショウキョウ
“最堅の守護者”ドウラン
“死を運ぶ風”カザキ
“首狩姫”ネル
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「はっはっは、ついに決勝だ!腕がなるなぁ!」
「ふふっ、この最高の決勝戦はボクの美しさをさらに引き立たせる……!」
「全く、キミは相変わらずだなぁ。ま、一生に一度あるかないかの舞台だ、楽しんでこうか!」
「うへぇ……耳が痛てぇ……」
「…………………………」
「ほらほら、2人ともそんなしかめっ面してないで3人みたいにこの舞台を楽しんでこうよ!」
灰色の髪をつんつんに逆立たせ、身の丈程もあるごつい大剣を担いだアッシュを先頭に【クラウン】の面々が続々と闘技場に入ってくる。
次に入ってきたのは腰まである長きキラキラとした金髪をたなびかせて揚々と歩いてくる弓術士の男ーーウィシャルネだ。
若干どころかバリバリナルシストがはいっているが、彼の弓術士としての腕は確かだ。初戦では彼のヘッドショットで3人を倒すという離れ業をやってのけた。
そんなウィシャルネの隣には、彼とは対照的に毛髪を全てを剃り上げた僧侶スタイルの青年が続く。
彼の名前はショウキョウ。
彼のツルツルヘッドこそが準決勝の『昆布食べても髪生えない』戦での勝因と掲示板では冗談半分で言われていたが、彼の操る光魔法が相手を思うように動かせず、勝利に大きく貢献したのもまた事実。
魔法特化の『魔導研究会』のメンバーと比較しても引けを取らない、超高レベルの光魔道士だ。
そして、その3人に続いて残りの3人が固まって入ってくる。
大盾を背負い堅牢そうな鎧をガチガチに着込んだタンクの男ーードウランと、骸骨を模した仮面を付けて黒いローブを着込んだ黒髪の青年ーーカザキが、前三人とは対照的に静かに入場する。
ドウランは闘技場を満たす割れんばかりの歓声に少しうるさそうに顔を顰めているし、カザキは仮面で表情が隠れていてよく分からないが浮かれた空気の中、一言も発することなく無言を貫いて黙々と歩いている。
と、そんな2人を盛り上げようとしているのか、軽戦士である事を表す必要最低限の装備をした褐色の肌の少女ーーネルが、輝くような白銀のポニーテールを振り回しながらドウランとカザキの周りをやかましく回っている。
というかよくネルは顔が隠れてるのにカザキがしかめっ面してるって分かったな。やはり仲間のそう言った所には気付くものなのかね。
あとアッシュ、髪の色変えたのか。
初めて会った時は茶髪だったはずだが、今は名前に合わせたのかくすんだ灰色のになっている。
鈍く輝く灰色の大剣や装備カラーを灰色で統一している事と相まって灰の擬人化みたいになってるな。
まぁ、それでも似合ってるって言うんだから彼に合った装備なのだろう。
そんな【クラウン】の入場が終わると、次いで【カグラ】のメンバーが闘技場に姿を表す。
今回ばかりは一斉入場ではなく、チーム事に入場タイミングを分けたようだ。
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“粉砕狐面”トーカ
“緋翠の白龍姫”カレット
“縦横無尽”リクルス
“孫の手”リーシャ
“漢気の槍使い”リベット
“隠し玉”メイ
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「なんでみんなそんなテンション低いんだ!?決勝戦だぜ!?ヒャッハーッ!絶対勝つぞぉ!」
「まぁお前のはしゃぎようも分からなくはないんだが……それより気になるのは2つ名だな、いつの間に2つ名なんてついたんだか」
「確かに私達の2つ名は寡聞にして聞いた事がないな。まぁいいではないか、私は大満足だぞ!」
「決勝戦を盛り上げるために運営が付けたんじゃないか?全部向こうが考えたのか、掲示板から引っ張って来たのかまでは分からないが」
「ねぇねぇ、私の2つ名だけなんかおかしくない?みんなのはかっこいいのになんで私だけ孫の手なの?悪いとは言わないけど毛色が違い過ぎない?」
「ほ、ほら。あれじゃないかな?痒い所に手が届く的な。リーちゃん基本後衛からのサポートだしさ」
彼自身が兄貴と仰ぐアッシュと戦えるという事もあってテンションMAXなリクルスが真っ先に突っ走る。
そして、その後ろに続いてまさに今この瞬間に知った自身の2つ名に気を取られてそれどころでは残りの5人が闘技場に入ってくる。
【クラウン】の6人。
【カグラ】の6人。
ついに、《EBO》最強のパーティーを決める決戦に望むメンバー、総勢12人が決戦の舞台となる闘技場に集結した。
今回出した【カグラ】のメンバーの2つ名はあくまで暫定です。
今後変更になるかもしれないし、このまま行くかもしれないし、という感じです。
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!
今後も当作品をよろしくお願いします!