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第124話 『VS『魔導研究会』⑥』

ちょっと資格試験に向けての勉強をしなくてはならないので執筆時間がガクッと減ります……

なので、投稿ペースが落ちる事が予想されます

申し訳ないです……

 

「どうしたのだ?」


 ポーションを飲んで正気に戻ったカレットが闘技場を見渡してから聞いてくる。

 バーサークカレットが生み出したこのなんとも言えない空気を感じ取ったようだ。


「あーいや、うん。気にすんな。悪い事は起こってない」


 どうやらカレットはバーサーク時の事をよく覚えていないらしい。

 あるいは、しっかりと美味しい味付きのポーションを飲めて満足したのか、少なくとも先程の一件を引きずっている様子はない。


「?まぁトーカがそう言うならそうなのだろう。さて、気を取り直して行くぞ!【風炎乱舞】ッ!」


 そんな俺達の微妙な反応に首を傾げたカレットだったが、特に気にした様子もなく試合を再開する。


 ポーションを飲んだばかりでMPが十分にあるカレットが放つ刃と槍と球からなる36発の火と風の魔法群が、なんとも言えない空気になっていた『魔導研究会』の生き残り目掛けて襲い掛かる。


「カレットちゃんは元気ねぇ〜【六色混(ろくしきこん)在乱舞(ざいらんぶ)《参ノ型》】」

「四重【ウォーターランス】ッ!」

「二重【ウォーターランス】、二重【アースランス】ッ!」


 だが、ノルシィ達の立ち直りも早かった。


 火と水と風と土と光と闇の……すなわち全属性の、球が、刃が、槍が、嵐が、ノルシィからまとめて放たれる。

 あらゆる属性の入り交じった、混沌とした恐るべき破壊力を孕んだ魔法郡がカレットの【風炎乱舞】とぶつかり合いながらも確実に押し進んでくる。


 さらに、残りの2人から放たれた【ランス】系の魔法がリーシャやリベット、メイ等を狙っているため、容易にサポートにも入れない。


「カレット!撃ち漏らしは【スマッシュ】!俺が潰す!ッ……!お前は攻撃に専【チェインボム】!念しろ!クッ……!」

「了解した!【六重(ファイアランス)火槍(・セクステット)】ッ!」


 【風炎乱舞】を抜けてやってきたいくつかの魔法を『結界魔法』を付与した白銀ノ戦棍で叩き潰し、それでも間に合わない物は自身の体を盾にして防ぐ。


 小魔法とは思えないほどの威力ではあるが、白銀ノ衣によるMNDの増加や自身のレベルによるHPの高さなどのおかげで、決して耐えられないほどではない。


 そして、即死さえしなければ俺はまだ戦える。


「【ハイヒール】んですぐに【スマッシュ】!」


 HPが半分を切った辺りで自身のHPを【ハイヒール】で回復させる。そのタイミングを狙って飛んできた魔法もあったが、それは余裕で叩き潰せた。


「っと、そういう事か!」


 だが、俺を狙った魔法はあくまで足止め用だったらしい。俺が自身に向けられた魔法を叩き潰している間に、カレットの真横にノルシィの魔法が回り込んでいる。


 明らかにカレットもその事に気付いているのだが、余程俺の事を信用してくれているのか、その魔法を完全に無視して前だけを見ている。その表情からは一切不安は感じられない。


「裏切る訳には行かないよなぁ!【チェインボム】!」


 だからこそ俺もその信頼に応えよう。


 崩れた体勢から無理やりに『縮地』で魔法とカレットの間に割り込み、反動で転がりながらもしっかりとその魔法を叩き潰す。


「ーーッ!?」


 次の瞬間、叩き潰した魔法が爆発した。

 恐らくは【ボム】系の魔法だったのだろう。破壊しようとする強い衝撃に反応して爆ぜたのだ。


 不安定な姿勢で防御姿勢も取れず、真正面からそれを喰らってしまったトーカはHPを三割程持っていかれ、さらに爆風で吹き飛ばされてしまう。


 クソッ、やられた!カレットと離された!


 トーカが己のミスに気付いたのと同タイミングでカレット目掛けて先程よりも数段強力な魔法が放たれる。


 あの絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたような色の魔法は……【混色魔槍】だったか。


 この距離、この体勢じゃあ間に合わない。『縮地』は条件として立っている状態で足を動かす必要があり、今から立ってももう間に合わないだろう。


 カレットも同じ考えに至ったようだ。前こそ向いているものの、不安げな気配が伝わってくる。


 だからこそ、俺はその不安を払拭するように大声を上げて、【混色魔槍】目掛けて()()()()()()()()()()()


「あ゛ぁ゛っ!『投擲』の特訓しといてよかったなぁ!」


 投げ付けられた白銀ノ戦棍はグルグルと激しく回転しながら直進すると、障子でも破るようにあっさりと【混色魔槍】を破壊して地面に突き刺さった。

 その際に上がった爆音と土煙、そしてひび割れた地面がその投擲の威力を雄弁に物語っていた。


 そう、ジャジャ戦の後、ひっそりと心に誓っていた『投擲』を育てようという決意を、トーカはしっかりと実行していた。

 予選の間などに隙を見てロッ君を相手に1人で投擲の特訓を積んでいたのだ。


 その特訓の成果によって『投擲』のスキルレベルは9まで上昇し、『強肩』という投擲攻撃の威力が1.2倍になる称号まで手に入れている。


 さらに、投擲のダメージ判定は投げた物による……つまり、投げナイフや手裏剣などは斬撃属性、ジャベリンや矢などは刺突属性、小石や棒等は打撃属性を持つ。

 これによって、打撃系に特化した俺の称号の効果も一部が投擲攻撃に乗る、乗ってしまうのだ。


 スキルレベルが上がったことや称号などの兼ね合わせの結果、トーカの投擲は称号やスキルをガン盛りした白銀ノ戦棍の全力投擲ならば1発でロッ君のHPを3割ほど削る事が出来るようになっていた。


 そんな規格外の投擲に、あくまで攻撃であり防御性能が高い訳でもない【混色魔槍】は呆気なく破壊された、という訳だ。


「【チェンジNo.1(ナンバーワン)】【チェンジNo.0(オリジナル)】」


 ぶん投げた白銀ノ戦棍を『早着替え』の応用によって瞬時に回収すると、感触を確かめるように2度3度振るう。

 その度に響くブオンブオンと重く風を切る音が、一瞬前の【混色魔槍】の末路を思い出させて会場に恐怖を与えている事にトーカは果たして気付いているのだろうか。


「メイン武器なら投げても即回収出来る……ほんと便利なスキルだよな、『早着替え』って」


 そんな使い方をするのはお前だけだよ!というツッコミを入れたそうにエボ君が空中で悶えているような気がするが、気のせいだろう。


「よし、よしよし、よしよしよしよし、よしよしよしよしよしよし、楽しくなってきたなぁ!【六重(ファイアストーム)火嵐(・セクステット)】【六重(ウィンドストーム)風嵐(・セクステット)】ッ!」


 変なスイッチが入ったのだろう。

 ハイテンションになったカレットが火と風の嵐をそれぞれ六重に重ね、【風炎乱舞】とぶつかり合っていたノルシィの【六色混在乱舞】をとてつもない火力でまとめて焼き払う。


 嵐が晴れる頃には、闘技場には魔法はひとつたりとも残っていなかった。苦手としているはずの属性の魔法すらも火力にものを言わせて焼き払ってしまったのだ。


「ふうっ、これでスッキリしたな」

「はい、カレット、そろそろだよ」

「さすがメイだ!タイミングバッチリだぞ!」

「これで持ち込み分は全部だから……()()()()()()()()()()


 見晴らしの良くなった闘技場を眺めて満足気に頷いていたカレットは、メイから『カグラ』としての10本目のMPポーションを受け取る。


 これで、『カグラ』は持ち込み可能なポーション10本目を全て使い切った事になる。

 カレットがポーションを飲むタイミングに合わせてノルシィもポーションを飲んでいるが、あちらはまだ総合で5本目であり、明らかに余力を残している。


「う〜ん、いつまで経ってもこのポーションの不味さには慣れないわねぇ……ところで、カレットちゃんは随分美味しそうに飲むのね?」


 ポーションを飲み干したノルシィがわざとらしく顔を歪めて話しかけてくる。


 味付きのポーションは作成条件の理由上、作れるものが少ない。必須である『料理』と『調合』をどちらも持っているプレイヤーが少なく、しかも作成に色々と複雑な過程があるからだ。


 作成方法はそのうち出回るだろうが、現段階では俺達以外に味付きのポーションを作成出来たという話は聞かない。


「当然だ!なんてったってメイがくれたポーションは本当に美味しいからな!この味を知ったら元の味無しポーションには戻れないぞ!」


 嘘つけ。必要に駆られたら普通に味無しどころか失敗作の不味いのすら飲むくせに。さすがに不味いのは覚悟がいるっぽいけども。


 お前が『多重詠唱』のレベル上げするからMPポーション大量にくれって言った時に「突然変異のより不味いのしか無いがいいか?」って聞いたらMPが回復するなら構わないって普通に在庫処理に一役買ってくれたくせに。


 もちろん口には出さない。言う意味が無いからな。


「へぇ?味を付けられるようになったって事かしらね?」

「私は知らん!ポーションが美味くなった、私にとってはこれが全てだ!」


 隙を伺う会話を装ってノルシィが、切実に聞いてきていることがよく分かる。味無しポーションを大量に飲むのはもはや苦行だからな……


 だが、カレットは味付きポーションの詳しい製法を知らない。というか普通のポーションの製法も知らない。繰り返すようだが、味付きポーションの作り方を知っているのは俺とメイだけなのだ。


「と、そんな事はどうでもいい!そろそろ終わらせよう!トーカ!」


 話をそこで切り上げると、カレットが呼び掛けてくる。

 アイコンタクトを取るまでもない。この場面でカレットが求めて来るものといったらひとつしかないだろう。


「あぁ、分かってるって。【マジックポイントギフト】」


 カレットにMPを譲渡する。


 先程【バフセット:カグラ】を使って後でMPを回復して以来、【ハイヒール】等の回復にいくらか消費したとはいえまだ半分以上は残っている。


 その全てが、限界を超えてカレットに流れ込む。


「滾る、滾るぞぉ!消し飛ばせ!「【収束型白龍砲:六頭(むつがしら)】ッ!!!」


 次の瞬間。


 闘技場は、純白の光に飲み込まれた。


『魔導研究会』戦に関しては今までと同じペースで投稿するので、そこはご安心ください


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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