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第119話 『VS『魔導研究会』①』

今回から対『魔導研究会』戦が始まります

まだ書ききっていないのでどの程度の長さになるか未知数ですが、今回は2日に1回の投稿にしたいと思います


 

『大いに盛り上がった今大会も残すところあと3試合!準決勝、決勝戦進出を賭けて戦う組み合わせは……これだ!』


 そう言って空中の巨大ウィンドウに映し出されたのは準決勝の組み合わせ表。

 特段組み合わせが弄られることも無いのでもう既にどこどこが当たるかは会場にいる全員が分かっているはずだが、その場のノリと言うやつだろう。


 既に知っている組み合わせの発表とは思えないほどに会場は盛り上がっている。


 ======================================


【準決勝】


 第1試合

『カグラ』VS『魔導研究会』


 第2試合


『クラウン』VS『昆布食べても髪生えない』


 ======================================


『2回戦にて開幕ぶっぱだけじゃない事を見せ付けた『カグラ』に全ての試合を相手をまるで寄せ付けず魔法の波で下してきた『魔導研究会』、さすがは予選無敗!策略の尽くを真正面から叩き潰してきた『クラウン』に髪の毛が生えている奴らは例外なく鏖にしてきた『昆布食べても髪生えない』!どのチームも数多くの強敵を屠って来た猛者ばかり!』

『それでは第1試合!選手入場です!』


 闘技場と通路を隔てる透明な壁が消えるや否や相も変わらずリクルスとリーシャが飛び出して行く。

 いつもならここにカレットも加わるのだが……この時ばかりは違ったようだ。


 そのカレットはというと、最大のライバルを前にして幼馴染として産まれてからほとんどの時を共に過してきた俺でも滅多に見ないレベルで深く集中していた。


「……………………」


 精神統一でもしているのか、試合開始5分前辺からこんな感じでずっと黙ってしまっている。


 なので、俺も声はかけないでおく。

 緊張で黙ってしまっているならともかく、この黙り方は大丈夫な黙り方だ。ここまでのレベルは滅多にないと言うだけで、もとよりカレットは集中すると黙り込むタイプだ。心配する事もない。


 となると、するべきなのは別の事に対しての心配だ。


 状況によっていくらでも行動は変わるが、俺は今回はカレットのサポート兼護衛に回るつもりだ。俺は対魔法の手段に乏しく、リクルス程回避に長けている訳ではないので、先陣切って『魔導研究会』に突っ込むことは難しいだろう。


 それでも、こぼれ魔法(だま)を弾くことくらいは出来る。

 だからこそ今回の試合においてキモとなるカレットを守る事に注力しよう。

 ただでさえ人数差で負けている上に相手は魔法を広く深く使える規格外の魔道士だ。それくらいしなければすぐに処理が追いつかなくなってしまうだろう。


 しかし、俺がカレットの護衛に専念するとなると、メイががら空きになってしまう。

 サポートの関係上カレットの……正確には護衛たる俺の近くにはいるだろうが、『魔導研究会』の魔法乱舞を前に2人を守り抜く自信は残念ながらない。


 そんな事ができると思う程自惚れてはいない。


「リベット、頼んだぞ」

「おう、任せろ」


 だからこそメイの護衛はリベットに任せる。


 今回の試合において、物理はあくまでサブであり、リクルスの存在はせいぜい撹乱程度の意味しかない。それはリーシャにも同じ事が言える。


 言い方は悪いが、リーシャの護衛に戦力を割く程今回の試合においてリーシャが重要という訳では無い。

 アイツはアイツでかなりの回避能力を持っているし、何よりも自分に護衛は付けるなと彼女自身から言い付けられている。


 いざとなれば自爆特攻でもしてやるわよ、とは言っていたが、男らしすぎるだろ。


「はろはろ〜カレットちゃん久しぶり〜」


 互いに最高のフォーメーションで陣取り、後はエボ君の開始の合図を待つだけとなった状況で、ノルシィが話しかけてくる。


 これから戦う者にかけるとは思えないほどに気楽なその口調は、それが彼女の平常運転なのだろう。つまり、一切気負った所がない。


「……あぁ。久しぶり、だな」


 対するカレットの返事は、普段の彼女を思えばガチガチに緊張していると思われても仕方ない程に固く、重いものだった。

 緩くふわふわしたようなノルシィとは真逆と言ってもいいだろう。


 だが、何度も繰り返したようにカレットは既に緊張などしていない。むしろ、いい感じに集中していてベストコンディションと言える程だ。そうでなくとも、試合が始まれば勝手にいつもの調子に戻る事だろう。


「ふぅん?カレットちゃん、ガチガチねぇ。この調子だったら今回は火魔法も私が1番かしら?」

「ふん、こと火魔法に限っていえば誰にも負けるつもりはない。当然、ノルシィ、お前にもな」


 試合前から既にノルシィとカレットがバチバチと火花を散らしている。試合は既に始まっている、と言うやつだろうか。


 よく見れば、『魔導研究会』の面々は皆、多かれ少なかれカレットに対して対抗意識があるようだ。

 やはり、魔法を主体に戦う者からしてみれば高レベルの魔道士というのは、それだけで強い対抗意識を抱かせるものなのだろう。


『さぁさぁさぁさぁ!両チームとも準備はいいかな!?』

『準決勝第1試合!レディーーーファイト!』


「いくぞ。【バフセット:カレット】」

「任せろ!【収束型白龍砲:六岐(むつまた)】!」


 会場直後。例によって例のごとくカレットの開幕ぶっぱが放たれる。

 しかし、今回の【白龍砲】は今まで使ってきた【白龍砲】とは少し違う。


 今までの【白龍砲】は『多重詠唱』によって複数発同時に放った【白龍砲】をひとつにまとめていた【(かしら)】だったが、今回の【白龍砲】はひとつにはまとめず1発1発が独立しているタイプの【白龍砲】……【(また)】である。


「やっぱりそう来るわよねぇ〜【二重、滝壁(たきかべ)】【二重、土砂壁(どしゃかべ)】」

「「「【四重水壁(すいへき)】」」」

「「【四重土壁(どへき)】」」


 しかし、『魔導研究会』……と言うよりはノルシィだが、彼女は完璧とは行かないまでも【白龍砲】の正体をある程度推測しているらしく、有効属性である水属性と土属性で防壁を作り出してきた。


 ノルシィは1人で、他の5人は誰かしらとペアを組んで【白龍砲】に対して有利な属性の魔法で防壁を生み出して自身を守っている。


 直後、カレットの放つ【白龍砲】と、『魔導研究会』が張った防壁がぶつかり合う。


 水はその熱量によって蒸発し、土はその勢いに削り取られる。


 爆発的に吹き上がった水蒸気と粉塵によって、全員の視界が完全に閉ざされてしまうが……


「【ウィンド】。ふふふ、幽霊の正体見たり枯れ尾花、ってね。ネタが分かってさえいれば、なんにでも対処法はあるのよね〜」


 攻撃判定も、MPの消費さえない、《EBO》において魔法はこう使う物だと学習するためだけの初期魔法である風属性の【ウィンド】で水蒸気やら粉塵やらを吹き払い姿を表したノルシィは、『魔導研究会』の面々は、一切ダメージを受けていなかった。


 前回の試合のように、【プロテクション】などの絶対的な防御に阻まれたのではなく、同じ魔法と撃ち合って負けた。

 不利属性ではあれど、【白龍砲】は属性相性(そんなもの)歯牙にもかけない程の高位の魔法であったはずなのに。


「とんでもない威力ねぇ〜【白龍砲】、だっけ?大方『火魔法』と『風魔法』……それも【ブレス】の合わせ技ってところかしらね。そこまで分かればむしろ対処は楽よ」

「………………」


 ノルシィの言葉に、カレットは俯き黙り込んでしまう。


「あらあら〜カレットちゃん。そんな黙り込んじゃってどうしたの?まだまだ試合はこれからよ?それとももうネタ切れかしら?」

「まぁ、仕方ないでしょうよノルシィ殿。あれだけの大魔法、完全に決めに来ていました」

「そうですよ。となるともう彼奴のMPは空っぽなはずです。ポーションなど使う暇も与えずに我等の魔法によって討ち取ってやりましょう」


 黙り込んでしまったカレットとは逆に、『魔導研究会』は言葉が多く賑やかになっていく。


 どの試合も最初に決める事で試合を有利に運んできた【白龍砲】を打ち破ったことで、場の流れは『魔導研究会』にあると言ってもいいだろう。


「カレット……気にすんなよ、まだ試合はこれからだろ」

「そうだぜ、今度はぶち抜きゃいいだろ」


 俺とリクルスがそんな事を言うが、自慢の【白龍砲】を完璧に防がれてショックを受けたのか、カレットは依然俯いたままで……


「ふっ、ふふっ、ふふふふふっ、ふはははは!」


 否、カレットはショックなど受けていなかった。




「盛り上がっているところ悪いが……」


 俯いていたカレットは、堪えきれないとばかりに笑い声を上げながら顔を上げる。


誰の(・・)何を(・・)、防いだって?」


 その時のカレットは、とてもいい(ウザイ)笑顔で笑って……嗤っていた。


「ッ!【三重水殻(みずがら)】!【三重土殻(つちがら)】!」

「「!?【ウォーターウォ……」」


 自らの身に迫る危機を察したらしいノルシィは素晴らしい反応で全方位を守る魔法を展開する。


 だが、他の5人は気付くのが一瞬遅れた。あるいは気付いてすらいなかったのかもしれない。ただノルシィが防御姿勢を取ったから合わせただけ……そういった者の方が多かったのは確かだろう。


 そして、その一瞬が命取りとなる。


 全力で防御姿勢を取ったノルシィと、防御の遅れた5人の内2人に真上(・・)から、防がれたはずの【白龍砲】が襲いかかった。


 当然、防御の遅れた2人は【白龍砲】に耐えられるはずもなく、一瞬で残光すら飲み込まれて消し飛ぶ事となった。


 それでも、さすがと言うべきかノルシィは今自身が使った魔法では【白龍砲】を完全には防げないと瞬時に理解し、防壁が【白龍砲】を押しとどめた僅かな時間を使ってなんとか回避に成功したようだ。


だが、その表情は驚愕に彩られている。完全に防いだと思った【白龍砲】が真上から降ってくるのは、さすがに想定外だったようだ。


「知らなかったようだから教えてやるが……なにも【白龍砲】は馬鹿の一つ覚えのようにぶっぱなすだけじゃないのだぞ。むしろ精密な操作こそが【白龍砲】の売りだ」


もうお分かりだとは思いますが、『魔導研究会』戦はカレットがメインの試合となります


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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