第106話『しかし仲間が足りない!』
章の大筋だけでも決めて書く事がこんなに楽だったなんて……
脱線しても根幹はあるから大きくぶれることは無いし……もっと早くこの方法をとってれば良かった……
「どうしたもんか」
「どうしたものか」
「上に同じく」
思い立ったが吉日とばかりに【ララララ】の町に降り立ったトーカ達は、とりあえず宿屋を確保してプライベートスペースで3人で輪になって難しい顔をして座り込んでいた。
こうなった原因はひとつしかないだろう。
第3の町【ララララ】、一般人が中世ヨーロッパと言われてぱっと思い浮かべるような、そんな町並みを楽しむ暇もなく町に到着した瞬間リクルスとカレットが我先にと町の入口からでもはっきりと視認出来る闘技場に向かって走り出し、数分後にどんよりとした表情で戻って来た。
そして、その原因を軽く聞いたところで少し話し合いをしようということになって宿屋を取ったのだ。
その原因というのが……
「まさか3人で出れる部門が無いとはな」
そう。今まさにトーカが言ったことが原因である。
今回のイベントに於いて開催されたPvPイベントはまず参加人数に応じて予選があり、その後本戦をトーナメント形式でやるというタイプの大会なのだが、その部門数は近距離職限定個人部門、魔法職限定個人部門、ペア部門、パーティ部門の四部門であり、パーティ人数は6人となっている。
つまり、3人で出場できる部門が無いのである。
「パーティ部門にしても他に3人集めなくちゃだしなぁ」
「3人とも個人部門、あるいは1人だけ個人部門で残りはペア部門ってのもあるが……それは嫌だろ?」
「あぁ!私は2人とチームが組みたいぞ!」
「俺もだ!前回のイベントはバラバラだったからな、今回は3人で出場したい」
「だよなぁ。もちろん俺も3人で出たいんだが……パーティ部門にしてもあと3人ってのがネックだよなぁ」
むむむむ……と難しい顔をして唸るトーカ達。
そのままあーでもないこーでもないと話し合っているうちに、カレットが何かを思いついたように手を叩く。
「そうだ!リーシャはどうだろうか?実力は折り紙付きだし、なによりリーシャもこの手のイベントには参加したがるタイプだぞ!」
「あぁ!確かにアイツなら付き合いも長いし強さも十分知っているしな、参加してくれるかどうかは別として声をかける位はしてみてもいいだろう」
「そうだろう、そうだろう!」
カレットは満足そうに頷くと、すぐに何か操作をしだした。早速リーシャにお誘いのメッセージを送っているのだろう。
「あーそういう事なら俺にも1人心当たりがあるな。と言っても2人は知らない奴だから微妙だが……」
「ん?トーカの友人なのだろう?だったら問題はないぞ」
「そうだな、さすがに共通の友人無しでペアとかならともかくお前の推薦でお前がいるってんなら反対する理由はねぇや」
カレットがリーシャに誘いをかけたのを見て、俺はとある人物を思い出していた。圧倒的戦力差があるにも関わらず、親友の大切な物を守る為に絶望を乗り越えて戦った男の中の男の事を。
「っても2人も一方的に知ってはいるんじゃないか?前のイベントの槍部門1位にして東エリア貢献度1位の槍使い……リベットだ」
「なにっ!?トーカ、お前あのリベットと知り合いだったのか!?」
俺がそういうとカレットが驚いたようにガバッと立ち上がった。
一応イベントの打ち上げの時に話さなかったっけ?いや、名前は出してなかったんだったか。
それに、それを言うなら俺はお前が攻撃魔法を火魔法以外総ナメしたノルシィと知り合いだろうに。
いや、別にだからなんだって話なんだが。
「まぁリベットは本来一緒に北エリアに行く予定の仲間がいるっぽいから普通にそっちと組んでるかもしれないがな」
そう前置きをしてからリベットにお誘いのメッセージを送る。
と、同じタイミングで何かを考えいたらしいリクルスが後ろにごろりと寝っ転がる。
「んー無理だなぁ」
「ん?どうしたリクルス」
「いや、俺もイベントの時に共闘した兄貴……アッシュの兄貴を誘おうと思ったんだけど、イベントの時こそソロだったけど兄貴は普段はパーティで動いているらしいから無理だなぁと思って」
「あーそういや最初に会った時にパーティメンバーっぽいの見かけたな」
あれは確か害悪プレイヤーに絡まれていた時だったか、そいつもアッシュもβテスターだったから警戒したのを覚えている。
「それならパーティ部門に出るならノルシィもほぼ確実に敵になるな。前にパーティに誘われた事がある。まぁ断ったがな!」
「まぁ唯一自分に泥をつけた優秀な魔道士ならノルシィ程のプレイヤーが誘わない訳ないよなぁ」
ノルシィと言えば火水風土光闇と全ての攻撃魔法を極限まで極め、第1回イベントに於いてカレットの得意とする火魔法以外のあらゆる魔法の部門で1位に輝いた、誰もが認める《EBO》最強の魔道士だ。
カレットでさえ、総合的に見て魔道士としてはノルシィに1歩も2歩も劣ると認めるほどである(とはいえ火魔法と風魔法に限れば負けるつもりはさらさらないらしいが)。
そんなノルシィだからこそ、強い魔導士には……それこそ自分に泥をつけた魔道士であるカレットに興味も持ち、自らのパーティに誘うのも、まぁありえない話ではない。
そんな事を考えていると、リベットから返信が来た。メッセージを送ったタイミングではログインしていなかったので、メッセージを送ったすぐあとにちょうどログインしてきたようだ。
「よっし。2人とも、リベット参加してくれるってさ」
「おお!マジか!」
もう既にわかる通り、リベットの返信はYESだった。
どうやら第1回イベントの時の仲間というのは正パーティでは無く臨時のものだったらしい。
その上で、特に誰かと組む予定も無かった(親友のウォルカスは元から参加しないつもりだったらしい)がイベント自体には興味があったらしい。
個人部門に出ようかと思っていた所にお誘いの声がかかったとの事で、二つ返事で了承してくれた。
「ふぅむ?どういうつもりだ……?まぁ私は構わんが……」
パーティメンバーが1人確保出来た事に沸くリクルスとは対照的にカレットはウィンドウを見つめて怪訝そうな顔をしている。
どうやらカレットの方もタイミング良くリーシャからの返信があったようだが……
「カレット、どうしたんだ?」
「いやな、リーシャは参加してくれるようなのだが……」
「ならよかったじゃん。それともなんか問題でもあったか?」
どうやらリーシャも参加してくれるようである。これではパーティメンバーは5人まで確保出来た訳だが、どうにもカレットの様子が引っかかる。普段なら諸手を上げて喜びそうな所なのにそんな気配もない。
「リーシャは参加してくれるそうなのだが、メンバーに空きがあればメイも参加していいかと聞かれてな。私としては一向に構わないのだが……メイは彼女自身が公言している通り戦闘面はからきしだろう?これはどういう事なのかと思ってな」
……へっ?メイが戦闘に?
まぁせっかくの申し出だし、こっちとしてもまだ最後の一人が決まっていないのだから願ってもない話だが……
「確かにメイには全く戦闘のイメージは無ねぇなぁ。まぁ別に断る理由も無いが」
「まぁいいんじゃないか?あれだけ戦闘はからきしって言ってたメイがそう言うって事はなんか考えがあるんだろ。これでメンバーが集まったんだからむしろ歓迎するべきだろ」
俺、リクルス、カレット、リベット、リーシャ……そして、メイ。これで6人。これで、今回のイベントのチーム部門に参加登録する事が出来る。
とまぁこんな感じで、第2回イベントの参加メンバーが決まったのだった。
また、リベット、リーシャ、メイの3人はまだ『群狼』を討伐しておらず、参加条件である【ララララ】に辿り着く事が出来ていないので、メンバーの顔合わせも兼ねて明日の夜にこの6人で『群狼』討伐に赴く事になった。
俺とリクルス、カレットの3人は2回目の『群狼』戦だが……初回の戦闘はもはや戦闘と言うよりは作業だったからな。可能ならばそれぞれの動きも確認したいし明日はまともに戦うとするか。
そんな訳で久しぶりのリベット、最近ぶりのリーシャとメイの参戦です
最初は3人の部門を作るかチーム部門を(3〜6人)の可変にしようかとも思ったのですが、書いているうちにこうなったのでそうなる運命だったのでしょう
そして次回は『群狼』戦になります
初回は幼馴染3人組にフルボッコにされた『群狼』果たして雪辱を果たす事は出来るのか!?
今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!
おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします
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