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第103話 『やりやがったなテメェ』

GWなので連続投稿です(最初期は毎日投稿が普通だったのにな……)

 

「……なんて事があったのよ」


「「「「そんな事が……」」」」


 身振り手振りを交えたリーシャの話を聞き終えた俺とリクルスとカレット、そしてその場にいたはずのメイの4人の呟き声が見事にシンクロする。

 俺達はともかくメイはその場にいたはずだが……やはり全く気付いていなかったようだな。


「私がアイツらと盛大にドンパチやってるのに全く気付いてなかったなんて……驚き通り越して尊敬に値するわ」

「うぅ……ごめんね……」


 リーシャがこれみよがしに傷付いた振りをして、メイが平謝りをする。その姿はまさに仲のいい友人同士のじゃれ合いといった様子でリーシャも本気で気にしている訳ではないらしい。


「しかし、結構いい素材を扱ってるはずのメイが我を失うほど熱中するなんて……そんなすごい素材が採れたのか?」


 なんとなく気になった事を呟くとリーシャに平謝りをしていたメイがその質問を待っていた!と言わんばかりに戦闘を完全に捨てて生産に極振りしているとは思えない俊敏さで詰め寄ってきた。


「そうなんだよ!元々『秘境鉱床』ではミスリルっていうすんごい鉱石が取れたんだけどね……なんとミスリルだけじゃなくてミスリルも取れたんだよ!」


 ……?ミスリルだけじゃなくてミスリルも?俺が聞き間違えたのかメイが言い間違えたのか、あるいは俺が知らないだけでミスリルが2種類あるのか……


 俺だけでなく他の3人も頭に?を浮かべているので、どうやら俺だけが聞き間違えたりした訳ではないらしい。


「えっと……それは(哲学)ってやつかな?」


 メイと付き合いの長いリーシャがおずおずと尋ねると、今度はメイがぽかんとした顔で首を傾げ、少ししてからあぁ!と何かに気付いたように声を上げた。


「ごめん、分かりづらかったよね。《EBO(このゲーム)》だとミスリルって2種類あるんだ」


 なるほど。どうやら後者だったらしい。

 しかし同名の鉱石が2種類あるとはいったいどういう事なのか……と思っていたらメイが説明してくれた。


 なんでも《EBO(このゲーム)》では採掘できるあらゆる鉱石には大なり小なり不純物が含まれていて、不純物が少なければ少ないほど良質なものになっているらしい。

 そして、『鍛治』スキルのひとつにその不純物を取り除く能力があり、それを使ってインゴットにして初めてその鉱石は素材として使用可能になるらしい。


 そして、メイ曰くミスリルには“真銀”という漢字が割り振られているらしい。さらに、ミスリルの場合はサンプルが少ないので断言は出来ないが不純物の含有量がピンキリなのだという。

 不純物が95%以上もある、もはやミスリルが不純物だろレベルの含有量から、不純物が5%以下のミスリルも存在するとの事。

 そして、メイが言った2種類のうちの片方がこの真銀であり、もう一方のミスリルがこれまた漢字が割り振られていて“聖銀”と言うらしい。


 どちらもミスリルである事には違いないがシステム上明確に区切られた基準があり、それが先程も話に出てきた含有量である。

 そして、真銀と聖銀の違いは単純。不純物が含まれているか否かである。


 欠片の不純物もない純度100%のミスリルだけが聖銀の名を冠する事を許されており、不純物を取り除く手間が無いことを除いても聖銀は真銀よりも純粋に鉱石素材として優れているらしい。


 それを踏まえた上で先程のメイの言葉を再現すると……


「なんと真銀(ミスリル)だけじゃなくて聖銀(ミスリル)も取れたんだよ!」


 という事になる。

 ややこしいことこの上ないがそういう仕様である以上は仕方ない。それよりもより良い素材を採掘できた事を祝ってやるべきだろう。

 途中から急に出るようになったと言っていたし、おそらくは『秘境鉱床の主』の称号を持っていないと聖銀は採掘出来ないのだろう。


「という訳で、聖銀(ミスリル)は現段階で……いや、それどころかこれからも最高クラスの鉱石に君臨し続けられる程のポテンシャルを秘めた素材なんだよ!」

「はぇー、そいつは凄いな!」


 リクルスとカレットも感心したように息を飲み、聖銀の凄さを実感していた。メイがそんなに凄い素材を採ってきていたとは思っていなかったのだろう。もちろん最高の素材を持ってくると信じてはいたはずたが、その予想をさらに上回られたかのような若干気圧されたような表情になっている。


 そんな2人に気付いたメイがなんでそんな顔をしているのか分からないと言った表情で問いかける。


「なんで二人ともそんな、負けた……みたいな顔してるのさ?2人だって十分凄い素材を持ってきたじゃない」

「いやいや……」


 慰めはいいよ、とでも言おうとしたのだろうか、リクルスが顔の前で手をひらひらと振ろうとして、それより早くメイの言葉が続けられた。


「本当に驚いたよ、銘木どころかまさか神樹を持ってくるなんて……」

「「しんじゅ?」」


 リクルスとカレットの間の抜けたような声が見事にシンクロする。

 何を言っているのか分からないといった様子がありありと見て取れる。


「えっと、その神樹ってのはどういう……?」


 ポカーンとしている2人の代わりにトーカが尋ねると、メイは真銀と聖銀の違いを教えてくれた時のように丁寧に説明してくれた。

 曰く、《EBO》ではあらゆる素材にランク付けのようなものがされており、神樹と言うのは木材系素材の中で最高クラスの素材に位置付けられている木材の事を言うらしい。

 アイテム名こそ『古代樹の銘木(・・)』だが神樹として申し分ない品質で、原種であるエルダートレントから取れる『怪樹の銘木』とは一線を画す性能を誇るのだとか。


 そして、今現在発見されている神樹はこの『古代樹の銘木』を除くと、とあるクエストの報酬として入手出来る『受け継がれし銘木』というアイテムだけらしい。


 つまり、リクルス達が持ってきた『古代樹の銘木』は聖銀と比較しても遜色無いほど高ランクの素材である……という事をメイが教えてくれた。


「なんと!そんなに凄い素材だったのか!」

「エンシェントトレントはバカみたいに強かったからな……そんなにいい素材を落とすってなら納得だぜ」


 その説明を聞いて気圧されていた2人もどうやら調子を取り戻したようだ。インベントリを開いてアイテム欄に刻まれている『古代樹の銘木』を見て「お前そんなに凄いやつだったのか……」と呟いている。


「メインはその古代樹の銘木と聖銀だけどその他にも色々な素材を使ってトーカの新装備一式をお祝いの品として作らせて貰ったんだよ」

「そんな凄いもの貰っちゃってもいいのか……?」


 聞くからに現在発見されている限り最高レベルの素材ばかりなんだが……一方的に貰いすぎではないだろうか。


「お祝いなんだから気にしない気にしない。デザインとかは俺が考えたんだぜ!」


 俺が使われている素材のあまりのレアリティに若干たじろいでいると、リクルスが俺の肩をバンバン叩きながらそんな事を言ってくる。


「ちょっと待て、デザインはお前?急に嫌な予感がして来たんだが……」


 素材集めの話を聞いて流れかけていたプレゼントボックスを渡す時のメイの反応が再び蘇り、リクルスのニヤニヤしたような表情で嫌な予感がさらに加速していく。


「あ、開けるぞ……?」


 リクルスの頭を1発小突いてから意を決してプレゼントボックスを開く。そこに入っていたのは……


「リクルスてめぇ!お前が最近ハマってるマンガに影響されやがったな!」


 ごつい釘バットと漢字で“撲殺上等”とか書かれた特攻服というTheヤンキーファッションの装備だった。


次回でこの章は終了です

新装備として釘バットと特攻服を渡されたトーカの反応は如何に!?


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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