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第100話 『対策済み』

あっ100話目だ。

なんか記念とかやった方がいいのかな……

特に思いつかないのでリクエストがあったらお願いします(絶対にやるという訳てはありませんが参考にはさせていただきます)

 

「ふっふー!昔誰かが言ってたわ、芸術は爆発だってね!」


 自身の放った【ボムショット】による爆風で吹き飛ばされたドワーフ達の亡骸には目もくれず別の集団に向けて連続で矢を放つ。


 その矢はただの1発も外れること無く次々とドワーフ達に突き刺さり、そのHPを削り取っていく。もちろんドワーフ達もただ呻き声をあげて的に甘んじている訳はなく、避けたり反撃したりしようとはしているのだが、リーシャはそれすらも織り込んで狙撃するため避けることも反撃することもできずただ遠距離から一方的に攻撃されるままになっている。


「他が殺られてるってのに親分っぽいあんたは動かなくて恥ずかしくないの?」


 時折『弓術』のアーツも混ぜながらひたすら矢を打ち続け、他のドワーフ達を殲滅したリーシャがトントンと弓で肩を叩きながら嘲るようにドン・ドワーフに語りかける。


 何を隠そうこのドン・ドワーフは仲間が一方的に蹂躙されているというのに、リーシャに攻撃するどころかその場から動く気配すら見せなかったのだ。

 これには流石のリーシャも不気味に感じたようでいつでも動ける体勢を取ってドン・ドワーフの動きを警戒して不用意に近付いたり攻撃を仕掛けるといった事はしない。


『フん、きサマハなにヲ言ッテいル』


 リーシャの言葉に今度はドン・ドワーフが嘲るように返す。

 どういうこと?とでも言おうとしたのだろうか、リーシャの口が動き、しかしなにか音を発する前にソレは起こった。


「なっ!?」


 確かにHPを削り切ったはずのドワーフ達が次々と立ち上がり、リーシャに向けて武器を構えたのだ。


 と、ここに来てリーシャはとある事に気が付いた。普通のモンスターはHPがゼロになると体を光に変えて消えるはずに、このドワーフ達は消えること無く死体が残っていたのだ。


「でも明らかにHPは空っぽだし……本当にどういう事!?」


 再び起き上がったドワーフ達のHPはリーシャが削り切ったままであり、回復した様子はない。なのに何故かまだ生きている。

 そんなありえない状況にリーシャは軽くパニックになってドワーフ達に矢を射掛ける。


 パニックになっていても流石と言うべきかリーシャの矢は外れることは無かったが、ドワーフ達が光に変わる様子もない。ただ体に刺さった矢の本数を増やしただけだ。


「なんで……って、あれは……」


 軽く絶望しながらドワーフの一体を睨み付けたリーシャはとある事に気が付いた。ドワーフの空っぽのHPバーの上にある名称欄には『死霊鉱夫ドワーフ・ゴースト』と記されているのだ。

 そして、ドン・ドワーフの名も

死霊(ドワーフ・ゴ)鉱夫長(ースト・リーダー)』と記されており、それはこのドワーフ達が死霊(ゴースト)系のモンスターである事を示していた。


死霊(ゴースト)……?まさかこいつらもう死んでるって事?」


『如何ニモ。我等ハ既に死霊タる身。死霊ガ再び死ヌ道理は無し。故に我等は死ナズ!』


 死霊鉱夫長がツルハシを地面に打ち付けてそう叫ぶと、それに追随するように周囲の死霊鉱夫達もツルハシを地面を叩き付けながら雄叫びをあげる。

 その咆哮からは勝利を確信した歓喜と決して勝てない戦いに身を投じた相手を嘲る侮蔑がありありと感じ取れる。


 一方、相手が既に死に悪霊になっているが故に不死だと知ったリーシャの反応はと言うと……


「《EBO(このゲーム)》って一部の幽霊系モンスターは魔法系の攻撃じゃないと倒せないのよね……確かに弓術士の私じゃ勝てないわ」


 顔を俯かせてそう呟いた。

 その声は決して大きなものでは無かったが、死霊鉱夫達はその声を耳ざとく聞き付けたようで嘲笑の咆哮がより一層強く大きくなる。

 獲物をいたぶる獣のように歪んだ表情(かお)でひとしきり笑い終えると、1匹の死霊鉱夫が地面からツルハシを引き抜いて突き進んでくる。


『ヴェヘッ!ヴぇへヴぇへヴェへッ!』


 突撃してきた死霊鉱夫は堪えきれないとばかりに愉悦に歪んだ笑い声を上げてツルハシを振りかぶる。

 一秒後には頭蓋を叩き割られた無残な侵入者の変わり果てた姿が見られると他の死霊鉱夫達も嗤い声を上げ……


『ヴェバッ!?』


 その瞬間、攻撃を仕掛けた死霊鉱夫の頭部が吹き飛んだ。

 あまりの出来事に固まる死霊鉱夫達に、物理攻撃では倒せないはずの死霊(ゴースト)を難無く倒してみせたリーシャが、逆に嘲るように口の端を歪ませて嗤う。


「確かに私は弓術士で攻撃魔法が使えない。でもさぁ、魔法攻撃じゃなきゃ倒せないタイプの敵がいるのになんの対策もしてない訳ないじゃない」


 溢れんばかりの嘲笑と侮蔑を乗せたその声は、プログラムによって動いているはずの死霊鉱夫達から冷静さを奪うには十分だった。


『『『ヴェォ゛ぉ゛ァァ゛ぁッ゛!』』』


 半狂乱になって雄叫びを上げながら死霊鉱夫達がリーシャに向かってツルハシを振り回しながら飛びかかり……


「あはっ、入れ食いね!」


 数瞬前まで死霊鉱夫だった光の花が辺り一面に咲き乱れる。

【スコールショット】と【ボムショット】で根こそぎHPを削り取られ、ただ死霊(ゴースト)の特性として消滅していなかった死霊鉱夫達は本来効かないはずの矢によって消し飛ばされていく。


『何故ダ……!?何故死霊タる同胞が再び死ヌノだ!?貴様ナにをシタ!?』


 死霊鉱夫長が狼狽えるのも無理ないだろう。自分達は死霊であり、魔法攻撃を使えない小娘ごときにやられるなどという微塵も考えていなかった事態に遭遇しているのだから。


「仕方ないわねぇ、冥土の土産に教えてあげるわ」


 死霊鉱夫長の慟哭からしばらく経ち、死霊鉱夫達をあらかた光に還したリーシャはようやく口を開き、呆然とする死霊鉱夫長に向かってそう言うと、口の中でくぅーっ!これ1回言ってみたかったのよね!と呟きながら矢筒から1本の矢を取り出して死霊鉱夫長に見えるように掲げてみせる。


「これは“死霊祓いの矢”って言ってね。この矢を使った攻撃なら悪霊ゴースト系や死体アンデット系相手でも物理攻撃でトドメをさせるっていう私の親友お手製の特別製の矢よ」


 そう言うとリーシャはその矢を番え、まだ光に還っていなかった最後の死霊鉱夫に“死霊祓いの矢”を打ち込み、本来ありえない物理攻撃での悪霊ゴーストにトドメを刺すことでその効果を実践して見せた。


 さらに言うならば“死霊祓いの矢”には死霊(ゴースト)系や死体(アンデット)系のモンスターに与えるダメージが増加するという特効効果も持っているため、通常よりも与えるダメージが大きくなっていたりもする。


「これで分かったでしょ?この矢の事はハッタリで本当はバレないように魔法でトドメを刺してた……なんて事は無いからね?」


 そう言うと“死霊祓いの矢”を弓に番え、仲間を全て失い1人きりになった死霊鉱夫長に向けて矢を放つ。


 しかし、流石はボスクラスのモンスターと言うべきか死霊鉱夫長は自分目がけて飛んでくる“死霊祓いの矢”をツルハシで弾く。

 ガキンッ!と硬質な音を立てて弾かれた“死霊祓いの矢”はすぐさま『無限射手』の効果でリーシャの矢筒に回収される。


 だが、いま重要なのはそこではない。“死霊祓いの矢”を弾くために目を逸らした一瞬の隙に先程でそこにいたはずのリーシャの姿が影も形も無くなっていたのだ。


『ナにっ!?どコヘ消えタ!?』


「ここよ」


 死霊鉱夫長の焦りを孕んだ叫び声とは対照的に静かな落ち着いた声が真後ろから聞こえてくる。死霊鉱夫長は弾かれたように声のした方へ振り返り……


『ヴォぁ゛ッ!』


 無音で飛来した矢に顔面を突き刺された。

 死霊鉱夫長が視線を外した一瞬を見計らって『縮地』で真後ろに回り込んだリーシャが放った【ステルスショット】である。


 幸いにも目に矢が当たるという事こそ無かったものの、顔面への突然の一撃に死霊鉱夫長は顔を抑えてよろめく。

 手で顔を抑えて動きを止めた、言ってみれば格好の的になった死霊鉱夫長の耳にリーシャの声が届く。


「いい事教えてあげる。【スコールショット】の効果で増えた矢ってね、元の矢の性質を引き継ぐのよ」


 それはつまり【スコールショット】で降り注ぐ無数の矢の全てが死霊(じぶん)を殺す効果を持つという事であり、死霊鉱夫長にしてみればそれは死刑宣告にも等しいものだった。


 その言葉を聞いて死霊鉱夫長がその場から離脱しようと足に力を込めたのと同じタイミングで、上空から無数の矢が死霊鉱夫長目掛けて降り注いだ。


『忘れられた廃坑』組の話もそろそろ終わりそうかな?

『忘れられた廃坑』組ってよりはリーシャサイドのような気もするけど……


メイは『没入』で外部情報ほぼ遮断しながら採掘に夢中になっているのでこの戦闘には気付いていません。


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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