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第95話『集中すると周りが見えなくなるタイプ』

 

 2人のとても満足そうな顔を見る限り、相当昼寝が気持ちよかったらしい。

 疲れたところに陽の光を浴びながら芝生に寝っ転がったら眠くなるというのは経験済みなので、俺にもその気持ちはよく分かる。


「そんなに気持ちよかったのか……羨ましいな」

「なら今度は一緒に行こうではないか!」

「あーね。エンシェントトレントともう1回戦うならトーカがいてくれると心強いしな」


 なんでも序盤は頭数が足りずに防戦一方だったらしいしな。俺も少し興味があるし、今度時間があったら挑戦してみてもいいかもな。

 とはいえエンシェントトレントは特殊なボスらしく『迷いの森』の通常のエリアボスはエルダートレントというヤツらしいが。


「それで確認は遅れたがエンシェントトレントから色々なアイテムがドロップしてな。目的の木材も大量に手に入ったけどその他にも実とか葉っぱとか杖とか結構色々落ちたんだぜ」

「私が特に嬉しかったのは『古代樹の果実』というアイテムだな!そのまま食べられて絶品だぞ!あぁ、安心しろ、まだ沢山ある」


 カレットがそう言って見せてくれたウィンドウには、確かにまだ3桁近い『古代樹の果実』が保管されていた。

 量が多過ぎないか?とも思ったが、この異常とも言える量の獲得料は、本来なら大人数で挑むはずのボスに2人で挑んで勝利を収めたため、その分ドロップアイテムを2人で総取りした結果なのだろう。


「へぇ、そんなに美味いなら後で分けてくれよ。俺も後で良い蛇肉分けてやるからよ」

「おぉ!それは楽しみだ!」


 ちなみに、俺が言った“良い蛇肉”とは、ジャジャの肉の事である。人によっては守り神を食べるなんて罰当たりだと思うかもしれないが、様々な事情があったとはいえ俺はコイツを殺したんだ。

 ならば、目を背けずしっかりと食べてやるべきだろう。アイテムの説明的には相当美味しいらしいし、これを用意した運営的にも死蔵されるよりは食べて有効活用した方が嬉しいだろう。


 ちなみに、チラッとだけ話にでてきたドロップアイテムの杖というのは、『森林の宝杖ほうじょう』という、若干ダブルミーニングになってなくもないような名前の杖で、『土魔法』を強化してくれる性能の杖だったらしい。

 カレットが使うのは『火魔法』と『風魔法』で、『土魔法』の強化は恩恵がほぼないので死蔵されているとの事。


「ふぅん。カレットの方はそんな事があったんだ」


 と、ここで俺と同じくカレットの話を聞いていたリーシャがそう呟いた。リーシャの隣を見れば、メイも初めて聞いたという顔をしている。


「あれ、リーシャ達はこの話聞いてなかったのか?」

「初耳だね。2人がエンシェントトレントと戦って〜ってのは聞いたけど、詳しい内容までは聞いてなかったからさ」

「へぇ、そうなのか」


 カレット曰く、この日のために話を温めていたとの事。それだけエンシェントトレントとの激戦はカレットの中で鮮烈な記憶として焼き付いているのだろう。


「それにしても……カレット達は大変だったんだね」

「へっ?いやいや、それを言ったらこっちも結構大変だったでしょ」


 メイが感心したようにそう言うと、隣で聞いていたリーシャが首を振りながら、あたかも心外だ!という顔でメイにツッコミを入れる。


「あれ?そうだっけ……普通に鉱石採掘して帰っただけじゃなかったっけ?」

「えっ?」


 おっと、どうやら2人の間でかなり大きな認識の齟齬があるっぽいぞ。

 リーシャ的にはカレット達と負けず劣らずの苦労をしたつもりらしいが、メイ的にはそうでもなかったらしい。


 少しの間、メイとリーシャの2人と「あれ?」と認識の齟齬について困惑していたようだが、リーシャが何かに気付いたように「あーっ!」っと声を上げた。


「あー、はいはい、なるほどね」

「リーちゃんなにか分かったの?」

「えぇ、謎は全て解けたっ!」


 喉に刺さった小骨が抜けたようなスッキリとした表情でリーシャがはいはいと頷く。当然残りの4人はまだ分かっていないのでポカンとした表情のままだが……


「えっと……なにがあったのか教えて貰っても?」

「まっかせなさい!メイ、あんた確か『没入』って持ってたはずよね?」

「うん。『没入』なら持ってるけど……」

「それなら俺も持ってるけど『没入』がどうかしたのか……って、あぁ、なるほど」


 途中まで言いかけて、リクルスが納得したように頷く。そう言えばリクルスは最近『没入』を取得したと言っていたからな、何か思い当たる節があるのかもしれない。

 ちなみに俺は派生元である『集中』がまだスキルレベル9で『没入』を所持していないのでイマイチピンと来ない。


「えっとね『没入』ってのは……今やってる事以外の影響をある程度遮断してくれるスキルなんだけど、今回はそれが認識の齟齬が生まれた原因だったってわけ」


 より詳しく説明すると『没入』とはトーカもよくお世話になっている『集中』というスキルの派生スキルで、現在取り組んでいる事柄以外から受ける影響を『レベル』割遮断するという強力なスキルだ。


 元スキルの『集中』が知覚情報だけの遮断なのに対して、『没入』は外部からの攻撃によるダメージや環境によるスリップダメージ、他者による回復やバフデバフと言ったあらゆる干渉を遮断するという効果を持つ。


 もちろん戦闘中に『没入』を発動しても、対象がその戦闘である限りダメージ遮断スキルとしての使用は出来ないので防御スキルとしての使用は出来ないのだが。


「干渉を遮断……」


 メイが使う以上はぼ絶対と言っていいほど発動するのは採集の時か生産作業の時だろう。さらにメイは『没入』のスキルレベルが相当高いらしい。

 となると採集(それ)以外の事象……つまり採集時に周辺で起こっているあらゆる現象の影響を受けず、しかも『集中』の効果と素の集中力もあって外界の知覚情報を完全遮断してしまっていたのだろう。

 しかも、メイは1つの作業をやり続けるほど効率が良くなっていく『一心不乱』というスキルも所持している。これがより集中に拍車をかけたのだろう。


 さらに言うなら、《EBO》のモンスターは採掘音に反応してよって来るという厄介な特性を大抵のモンスターが持っている。

 外部情報を完全にシャットアウトして採掘に集中しているメイと、その採掘音におびき寄せられてよってくるモンスター達、そしてそのモンスター達からメイを守るために1人で応戦していたリーシャ。


 それは確かにそうじゃないリーシャと認識の齟齬があってもしょうがないな。


 実際、リーシャの推理も言い回しが違うだけでほぼ同じ内容だったし、メイ本人もそれを聞いて何か思い当たる節があるのかあはは……と苦笑いしながら視線を泳がせていた。


「その反応は……ビンゴっぽいね」

「その節はご迷惑を……」

「今度DXパフェ奢りね」

「うぐっ……わ、分かったよ……」


 今のところ《EBO》の中で純粋な娯楽目的での飲食物の販売をしている店は少なく(俺は泣鹿亭しか知らない)また、そういったプレイヤーの話も聞かないので、DXパフェ云々はリアルの話なのだろう。確か2人はリアルでも友人らしいからな。


 メイの表情を見る限りサイフに無視できないダメージが生じるっぽいが……強く生きろとしか言えないな。


「それで……リーシャは結局なにがあったのだ?」


 カレットがそう尋ねると、待ってましたとばかりにリーシャが表情を輝かせて語り始めた。こっちもこっちで言いたくて仕方なかったようだ。


ちなみに作者も集中すると周りの声とか聞こえなくなるタイプです。何度それで怒られた事か……


今後その場のノリで色々なスキル(複合スキル含む)や称号、武器防具アイテムを増やしていくと思うので何かアイディアがあればお願いします!


おかしい所や誤字脱字、誤用などがあったら是非ご指摘お願いします


ブクマしてくれた方や読んでくれてる方本当にありがとうございます!


今後も当作品をよろしくお願いします!

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