月夜の狭間に
眠れない夜、夢を見る。
うわべばかりの日常を捨て、
存在さえもあやふやな、幸せを望んで。
自分の部屋と化した、
この寝室と。
隣室で眠る、暗き魔女。
疲れてしまった王子様と、
何も知らない一人の天使。
通り抜ける毎日に、
白々しい顔をした悪魔たち。
殺したくなる自分のすべてに、
封をするかのようにただ生きる。
戯れ言だけを吐き、
真実をねじ伏せる。
大人になるほど増える怖さに、
子供の頃の魔法はもう使えない。
赦しの紅に、
漆黒の玩具。
濡れない躯と、
真白の闇。