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幕間 殺人鬼Tの境涯

【注意】

この小説には、

・グロテスクな表現

・身勝手な価値観

・異世界厨二バトル

が含まれています。苦手な方はご注意ください。


また、今作には実在の神話に出てくる神々と、よく似た名前のキャラクターが登場します。

ただ、実際の神話を基にはしておらず、あくまで名前を借りているだけです。ご了承くださいませ。


【前回のあらすじ】

助けられた村人が嘔吐くほどスプラッタ


「かのヘンリー=リー=ルーカスは、人殺しを呼吸と同じだと嘯いたらしいが、俺とは少し違うな。大袈裟なんだよ、表現が」


 ある者は、全身を滅多刺しにされ、顔の判別さえできなかった。

 ある者は、手足を切り落とされた上、己の腸で絞殺されていた。

 ある者は、大きな石で幾度も殴打され、首から上が潰れていた。


 殺し方に統一感などなく、被害者に共通項もない。

 発生現場もバラバラで、強いて挙げるとするなら、性的暴行の跡がなく、そして一様に、無残な殺し方を繰り返している。


 その程度の、こじつけに近い共通性。


 当初、警察は、否、世間は、これらを連続殺人だとは考えなかった。


 考えたくなかった。


 日本という、極東の小さな島国を舞台にするには、その事件はあまりに大きかった。

 被害者総数、実に一〇二六人。

 未曾有にして前代未聞、前人未到の大量殺戮。


「呼吸ってのは、しなきゃいけないものだ。だがな、俺は違うんだ。そんな義務感を持って殺しなんかやってない。どうしても、殺さなくちゃ気が済まなかったんだ」


 犯行現場でけたけたと、狂ったように笑っているところを逮捕された青年は、飄々と語った。

 アクリル板越しに、禿頭の精神科医が戦慄いている。

 額をびっしりと覆う脂汗が、彼に対する恐怖を、ありありと示していた。


「眠かったら寝るように、興奮したら抜くように、


 腹が減ったら食うように――――そうせずには、いられなかった。


 満足、できなかったんだよ。…………あぁ、殺し方? 別に、捜査を攪乱とか、一端のことは考えていねぇよ。


 いつも同じ味付けじゃ飽きちまうだろう?」


 ――だから、さぁ、さっさと首でもなんでも括ってくれよ。


 青年は、疲れたように溜息を吐いた。



「あんたのことも、旨そうに見えて仕方ないんだよ。獲物が目の前にあるのに殺せないなんて――――死にも勝る拷問だぜ」



 ――――彼の処刑が、異例の早さで執行されたのは、この面会の三日後だった。



とある殺人鬼の過去回想。

処刑直前シーンも書いていましたが、こっちの方を採用。まだ余裕があるが故の自分語り。

気になりません? 殺人鬼の犯行動機って。


【次回予告】

小さな女の子の誘いにはご注意を。

据え膳食ったら後の祭り。


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