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終わりの世界より  作者: あなぐまこさん
2/36

第二話 異世界転移

『彼』あるいは『彼』に使用されている欧米人風の外見をした青年である

「カレ」の記憶の中にも「異世界転移」という情報は存在していた。

その「カレ」が日本のありふれたサブカルチャーを好んでいたからなのか、

この場の人間に提示された条件は実に良くあるありふれたもの、

テンプレとも言うべきものだった。


―――


《異世界転移における条件》


1.それぞれが保有しているSPは100。自由に使用して良い。

2.SPを使用することで、転移した後で各人が生きるうえで

  有用な機能を得ることができる。

3.質問は一人につきSPを20P使用して最大1回まで。


―――



そして、何も無い空間に電光掲示板のように白い文字が表示され、

3つの条件が示された瞬間、

周囲に存在していた数千人の人間の存在感が希薄になった。


周囲に誰かが存在することを感じることはできるものの、

まるで濃霧の中でぼんやりと人影だけが写っているかのように、

あるいは、誰かの言葉が聞こえているはずなのに

雑踏にかき消された町のざわめきが聞こえてくるかのようで

意味として認識することができない、そのような感覚であった。


やがて、その中で1つの影が僅かに揺らぎ消えていく。


ほとんど間をおかずに、《異世界転移における条件》において得ることができる

有用な機能といわれるものの一覧が書かれた文字列が、そこに不可視の

電光掲示板が存在するかのように表示された。


さて、『彼』は制限時間こそ言わなかったが、ここが集合意識の世界であると

仮定するならば、『彼』という他者を意識したことでかろうじて個の意識を

保っているに過ぎない状況下でこの場に留まるということは集合意識に

飲み込まれていくリスクが高いのではないか?


確信は無いが、嫌な予感があったので、あわてて、白い文字によって書かれた

SPを使用することで得ることができるという有用な機能の一覧を参照する。




【残りSP100】


<身体強化機能>


□体力強化  50SP

□筋力強化  50SP

□反応強化  50SP

□視覚強化  50SP

□聴覚強化  50SP

□嗅覚強化  50SP

□全身体強化 150SP

□水中適応  100SP


<耐性強化機能>


□睡眠耐性  20SP

□苦痛耐性  20SP

□混乱耐性  20SP

□恐怖耐性  20SP

□毒耐性   20SP

□麻痺耐性  20SP

□魅了耐性  20SP

□炎耐性   40SP

□水耐性   40SP

□雷耐性   40SP

□地耐性   40SP

□風耐性   40SP

□光耐性   40SP

□闇耐性   40SP

□状態異常耐性100SP

□全属性耐性 150SP


<特殊機能>


□温度操作  100SP

□発火    100SP

□気体操作  100SP

□天候操作  100SP

□水流操作  100SP

□念動    100SP

□治癒    100SP

□雷撃    100SP

□模倣    100SP

□錬金術   100SP

□魔獣使い  100SP

□虫使い   50SP

□暗視    50SP

□風読み   50SP

□鑑定    50SP

□偽装    50SP

□隠蔽    50SP

□魅了    50SP

□封印    50SP

□占星術   50SP

□気配察知  50SP

□危険察知  50SP

□ダブルタスク50SP

□瞬間移動  120SP

□未来予知  120SP

□複製    120SP

□変身    100SP





<種族選択>


□人間    0SP

□現地民   30SP

□エルフ   80SP

□ドワーフ  80SP

□獣人    80SP

□妖精    100SP

□魔族    100SP


<その他機能>


□異世界共通言語  10SP

□エルフ言語    30SP

□古代言語     40SP

□魔族言語     50SP

□竜言語      100SP

□アイテムボックス 50SP

□アイテム持込   100SP

□ヘルプ      20SP

□転移位置指定   10SP

□転移条件指定   10SP






魔法や魔術、必殺技のようなものはないようだが、

異世界転移を主題とする小説における極めて

オーソドックスなものが並んでいる。


これもお約束というものなのか、不自然な黒いマークを

指でなぞるように指し示すと、隠されていた文字が表示された。



【残りSP100】


<身体強化機能>


□体力強化  50SP

□筋力強化  50SP

□反応強化  50SP

□視覚強化  50SP

□聴覚強化  50SP

□嗅覚強化  50SP

□全身体強化 150SP

□水中適応  100SP

■再生    100SP

■一撃必殺  150SP


<耐性強化機能>


□睡眠耐性  20SP

□苦痛耐性  20SP

□混乱耐性  20SP

□恐怖耐性  20SP

□毒耐性   20SP

□麻痺耐性  20SP

□魅了耐性  20SP

□炎耐性   40SP

□水耐性   40SP

□雷耐性   40SP

□地耐性   40SP

□風耐性   40SP

□光耐性   40SP

□闇耐性   40SP

□状態異常耐性100SP

□全属性耐性 150SP

■物理攻撃無効150SP

■反射    150SP


<特殊機能>


□温度操作  100SP

□発火    100SP

□気体操作  100SP

□天候操作  100SP

□水流操作  100SP

□念動    100SP

□治癒    100SP

□雷撃    100SP

□模倣    100SP

□錬金術   100SP

□魔獣使い  100SP

□虫使い   50SP

□暗視    50SP

□風読み   50SP

□鑑定    50SP

□偽装    50SP

□隠蔽    50SP

□魅了    50SP

□封印    50SP

□占星術   50SP

□気配察知  50SP

□危険察知  50SP

□ダブルタスク50SP

□瞬間移動  120SP

□未来予知  120SP

□複製    120SP

□変身    100SP

■強奪    150SP

■時空操作  150SP





<種族選択>


□人間    0SP

□現地民   30SP

□エルフ   80SP

□ドワーフ  80SP

□獣人    80SP

□妖精    100SP

□魔族    100SP

■竜人    150SP

■ハイエルフ 150SP


<その他機能>


□異世界共通言語  10SP

□エルフ言語    30SP

□古代言語     40SP

□魔族言語     50SP

□竜言語      100SP

□アイテムボックス 50SP

□アイテム持込   100SP

□ヘルプ      20SP

□転移位置指定   10SP

□転移条件指定   10SP

■ネットショップ  150SP

■コンテニュー   100SP



やはりお約束どおりであったというべきか。

テンプレートどおりに強力な機能は隠されていたようだ。

上限である100SPを超えるものばかりなのが気にはなるが、

不自然に空いた行間が気になり、さらにそこを指でなぞるように指し示す。


【残りSP100】

<身体強化機能>

 容姿強化  50SP

□体力強化  50SP

□筋力強化  50SP

□反応強化  50SP

□視覚強化  50SP

□聴覚強化  50SP

□嗅覚強化  50SP

□全身体強化 150SP

□水中適応  100SP

■再生    100SP

■一撃必殺  150SP

 魔法素質  50SP

<耐性強化機能>

 耐性付与  10SP

□睡眠耐性  20SP

□苦痛耐性  20SP

□混乱耐性  20SP

□恐怖耐性  20SP

□毒耐性   20SP

□麻痺耐性  20SP

□魅了耐性  20SP

□炎耐性   40SP

□水耐性   40SP

□雷耐性   40SP

□地耐性   40SP

□風耐性   40SP

□光耐性   40SP

□闇耐性   40SP

□状態異常耐性100SP

□全属性耐性 150SP

■物理攻撃無効150SP

■反射    150SP

 透過    150SP

<特殊機能>

 幸運    50SP

□温度操作  100SP

□発火    100SP

□気体操作  100SP

□天候操作  100SP

□水流操作  100SP

□念動    100SP

□治癒    100SP

□雷撃    100SP

□模倣    100SP

□錬金術   100SP

□魔獣使い  100SP

□虫使い   50SP

□暗視    50SP

□風読み   50SP

□鑑定    50SP

□偽装    50SP

□隠蔽    50SP

□魅了    50SP

□封印    50SP

□占星術   50SP

□気配察知  50SP

□危険察知  50SP

□ダブルタスク50SP

□瞬間移動  120SP

□未来予知  120SP

□複製    120SP

□変身    100SP

■強奪    150SP

■時空操作  150SP

 精神操作  100SP 

 竜使い   150SP  

 魔法    100SP

 無職    50SP

<種族選択>

 勇者    150SP

□人間    0SP

□現地民   30SP

□エルフ   80SP

□ドワーフ  80SP

□獣人    80SP

□妖精    100SP

□魔族    100SP

■竜人    150SP

■ハイエルフ 150SP

 魔王    150SP

<その他機能>

 レベルアップ   40SP

□異世界共通言語  10SP

□エルフ言語    30SP

□古代言語     40SP

□魔族言語     50SP

□竜言語      100SP

□アイテムボックス 50SP

□アイテム持込   100SP

□ヘルプ      20SP

□転移位置指定   10SP

□転移条件指定   10SP

■ネットショップ  150SP

■コンテニュー   100SP

 ステータス    50SP


新たに表示された機能の中で特筆すべきは、レベルアップとステータス

そして、ようやく表示された魔法だろう。


レベル制の世界であった場合、隠されていた機能にあるレベルアップの取得は

必須になるだろう。


また、場合によってはステータスを同時に取得しなければレベルアップを

してもその恩恵を受けられない可能性だってありうる。


ファンタジーの定番である魔法に関しては、身体機能強化の項目の魔法素質が

なければ使えないなんて事態も想像できる。


あれこれと悩んでいる間にも、また一人、誰かの存在が薄れ消えていった。


こうなるとヘルプ機能か《異世界転移にかかる条件》の

3にあった質問を使いたいところだが、それら使った場合には

残りSPが80となるので有用なモノが多い100SP台の機能を

諦めねばならない可能性が高い。


とはいえ100SPを超える機能が存在している以上、何らかの抜け道が

存在していることも考えられるので、思い切って150SPの機能を試しに

取得してみようかとも思うのだが、一度手に入れた機能は取り消し不可能

だといわれた場合には後悔すること請け合いだ。



また一人、誰かの存在が薄れて消えていった。



表示された文字を前で、最良の機能選択を目指して悩んでいる自分に

ふと気がつき、思わず噴出してしまう。


どうやらこの年になっても異世界でご都合主事の能力を手に入れて無双

したいといった、薄っぺらなヒーロー願望を捨て切れていないらしい。



ひとしきり笑って、改めて現在置かれている状況を見直してみる。


俺たちは異世界の王様から乞い願われて勇者でもなければ、神様からの

お詫びや恩恵によって特別扱いされているヒーローではない。


この場における神のような存在である「彼」にとっては、

俺たちはただの実験動物、あるいはそれ以下の存在でしかないのだ。


では仮に、「彼」の実験が既に始まっているのだとしたら?

「彼」は人間という種を愛しているわけでもなければ、特別に保護しよう

と考えているわけでもないのだろう。

ただ、珍しい変化があったからちょっと真面目に実験してみよう。

だからきっと「彼」にとってはこの程度のことでしかないのだ。

だからきっと、これは恩恵ではない。


―ああ。

ならば、目指すべきは最良の結果ではなく、最悪を回避することだろう。



今、必要となるのは情報だ。

もしも、これが恩恵ではなく、実験であるならば、

「彼」の実験においては不適格となるような取り返しのつかない

不正解が存在する可能性があるのだから。


そのとき「彼」はこんな風に思うかもしれない。

ああ、こいつはだめだな。今回の実験は失敗だ。と。

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