第6話「刀鬼王の宝物庫」〈10〉横暴我が身に帰る
(つД`)ノ天使ちゃんと一緒に霊峰攻略編ですw
第6話「刀鬼王の宝物庫」〈幸運とは女性のようなものだ。もし今日彼女を蔑ろにするならば、明日彼女が戻ってくると思うな〉Fortune is a women, if you neglect her today, don’t expect to regain her tomorrow
草創歴0444年5月15日〈10〉
森林の隙間から覗く晴れやかな空を見上げると、陽は中天に差し掛る頃合いか。
パチパチと爆ぜる焚火の炎も良い頃合いだ。
俺はせっせっと獲物の皮を剥ぐ。霧(結界)が晴れたおかげで、獲物を感知することに成功したわけで、黒獣と呼ばれる巨体の獣を2匹連続で仕留めた。番いかも知れんがな。
《イヌ科と言うより、熊に近いねぇ…。》
確かに、黒い毛並みは山のような重量感がある。重さも1匹で200㎏は越えよう。喰いでがありそうだ(笑)。
「思ったよりも、ココは良い狩場だな。」
《彼等には災難だねぇ。》
むっ。しかし、この竜刀(分体)に創られた「擬似人格」なのだが、コイツはアム以外の何物でもないぞ?口調も瓜二つ。だが、何かが違う。どうなってんだ?
《報告。竜刀アムドゥシアス〈分体〉の固有能力〈擬似人格〉はアムドゥシアス・ゲニトル・ルミナスの記憶を媒介に構築された〈補助機能〉…なのですっ。なんで、独立した人格なのでよろしくねぇ。》
おや?どうした、ハイヨト・ハ・コデシュ(摂理の声)さん??
《僕はハイヨト・ハ・コデシュ(摂理の声)さんの声を利用しているからねぇ。色んな意味で規格外なんだよぉ。》
おいっ!元々が規格外の癖に、余計、面倒臭い奴になっちまった。そして補助機能の意味が分からん。
《まあ、おいおい分かっていくんじゃない?僕自身、ちょっと分かってない所もあるしっ?自己学習だよっ。》
…先行きが不安だ。そんなアム(擬似人格)を興味深げにお花ちゃんがツンツンと突つく。
彗星はクンクンと匂いを嗅ぎ、金魚ちゃんはポチャンと飛び跳ねる(水筒の中)。
《くすぐったいよぉ〜。》
『よろしくなのぉ。剣の精霊さん?』
《うん。よろしくねぇ。お花ちゃん。むふふふ。》
何をやっているのやら?しかし、剣の精霊ねえ?
元は竜種のアムから「第1位階」だけを取り出て実体化した「分体」だ。こちらの世界では竜刀こそが本来の姿であるわけで、ある意味、剣の精霊と言えなくもない?
『とても不思議な方ですねっ?』
メェ〜?
まあ、確かに元のアムとは別人格だって言うなら、コレをアムって呼ぶのはおかしいな?別の名前にするべきか?
いや、そんな事よりも、俺は黒獣の肉を切り出しながらも、もう1つの難題を直視する。
あっちは草むらの中に寝かせてあるし、大嵐が見守っている分、安心出来るがな。
さて、血抜きが終わった肉を順次、携帯用小刀で切り分けてゆく。一口大に切り分けるが、とにかく量が多いぞ。
彗星も喰うか?
メェ〜♪
本来は1匹で十分だったのだが、左右同時に回り込んできた所で、華麗に躱わし、追突した所で「乙女座之刃」の斬撃で2匹同時に首を飛ばした。
やけに興奮していたが、どこかに子供でもいたのかも知れんな。だが肉を無駄にしたらバチが当たるだろう?
木串を数本、枝から切り出し、それに肉を突き刺して火にくべる。
肉の表面を火が焦がし、ジュウジュウと肉汁を滴らせる。なんて芳ばしい香りだ。
彗星なんか、小ちゃい尻尾をはち切れんばかりに振っている。可愛い奴よ(笑)。
『酷い匂いですっ!?』
ん?ああ、そっちは黒獣の皮や内臓、骨をまとめて焼いてるからな。
相変わらず、モクモクとドス黒い瘴気のごとき煙が立ち昇っている。これは目印にもなるから良いんだ。え?何の目印かって?
「にしても、金魚ちゃん、匂いが分かるのか?」
『失礼ですっ。その言葉、横暴ですっ。撤回要求しますっ!』
金魚ちゃんの撤回要求を無視していると、何やら騒がしくなって来た。
森がザワザワとし始める。
「お…ようやく、目印に気が付いたか?」
1人、2人とフラフラと人影が森から現れる。
先頭はアイツだ。あの中途半端イケメンが獄炎馬を引いてトボトボとやって来た。
「おう!遅かったな?」
「はぁ(溜息)…あんた、何でそんなに…元気そうなんだ…?」
はあ?聞くところによれば、コイツ等、この「銀の霊峰」に入ったはいいが、例の結界(?)に捕まったらしく、延々と森を彷徨っていたらしい。御苦労な事だ。
って事は、俺達があのUFO(?)とやらを撃退しなかったら、コイツ等、先行部隊は永遠に彷徨い続けてたって事だ(笑)。にしても、やけにフラフラだな?
「な…何を笑ってやがる…はぁ(溜息)…それより、水…水は無いのか?喉がカラカラで…。」
「ん?水は無いが、肉ならあるぞ?」
ゴクリッ。
俺は鼻先に、こんがり焼けた黒獣の肉を突きつける。
「「「俺に食わせてくれーーーっ!!」」」
あっ。我先にと手を出してきた隊員達によって、あっと言う間に肉は奪い取られた。また旨そうに喰いやがる。
「おっ、お前等、大隊隊長の俺を差し置いて…はぁ(溜息)。」
メェ〜(怒)!
「まあまあ、まだ肉はたんまりあるぞ?ドンドン焼いてやるさ(笑)。」
俺は袖をまくる。そこにドッと「黒線」の精鋭50名が群がる。
どいつもこいつもゲッソリと頬が痩けてやがる。
『あの水精の聖域は、侵入者の体内から徐々に水分を奪う効果がありますっ。』
なるほど。そう言う事か。…そんな感じしなかったけどな?なんか妙な加護(?)、持ってるせいか?
《まあ、彼等は普通の人間だからねぇ。脱水症状で死ななくて良かったねぇ〜。》
ならば十ニ分に俺の肉を堪能して貰おうではないか。胃を満たすが良い。多分…毒は無いだろう?
◆ ◆ ◆
パチリと目を覚ました「定理」。
便宜上、天使ちゃんと呼ぶことにする。
耳をピンと立たせ、キョロキョロとつぶらな瞳で辺りを見渡すと、ブフンッ!と強烈な鼻息を受けてひっくり返る。
コンっ!?
見上げてみれば、そこには百雷の文様を纏った大柄な黒馬がいる。猛々しくも美しい黄金色のタテガミが風にたなびく。
なんて美しい獣なんだろう?この森では見た事も無い魔物だわあ。
天使ちゃんは硬直するも、その黒馬の瞳は慈悲深く暖かい。その知性の輝き。ああ、まるでお母様のようで…そこで天使ちゃん、はたと思い出す。
お母様あっ!?
しかし、立ち上がろうとした四肢に力が入らない。ヘタリと草むらに座り込んでしまう。
そんな天使ちゃんの元に、トコトコと黄金色の毛玉のような小さな魔物(?)がやってきて、口に咥えていた焼き串をポトリと落とした。
コン?
メェ〜♪
食べろと言っているのだろう。それにしても美味しそうな香り。これは何?
…確かにお腹は空いている。碌に霊翼も動かせない程だわ。
でも、どうしたら良いのだろう?お腹を満たし、力を取り戻したとしても、今の自分では「お母様」を助ける事は出来ない。それどころか、兄弟姉妹達でさえ…自我を失ってしまった。
…コンっ?
あれ?じゃあ、なんで自分は自我を取り戻したの?
と、首筋をグイっと掴まれ、持ち上げられ、その鼻先に顔を突き付けられてしまった。何たる不覚でしょう。でも抵抗出来ずにブラーんとしてしまいました。恥ずかしい。
コンっ!?
「ふむ。そのお母様とやらだが、俺達をいきなり襲って来たのは、本人の意思では無いと言う事か?」
え?この人間、言葉が分かるんですかあ?
コン?コンっ?
《…と、天使ちゃんは言ってますねぇ。》
「なるほど。なら、殲滅するのは一時中止だな。天使ちゃんのお母さんだって事なら、助ける方向もありだ。しかし突撃に変更はない。」
え?天使…ちゃんって誰?それに、この人間は何を言っているの?
それにしても怖い。異様な仮面でその表情は分からないけれど、そこから覗く真紅の瞳に、吊り上げられた唇の端。犬歯が魔物のようです。食べられちゃいそうです。
『心配いらないですのぉ。きっと助けてくれますのぉ。』
あら?もしかして「小精霊」さん?それは小さな妖精のごとき精霊だ。
小精霊さん付きの人間ですの?とても珍しいですわ。
…なら、信用出来るのかしら?
『信用するも何も、あなたもこの人の眷属として取り込まれたから、自我を取り戻したんですのぉ。』
え?…眷属って、何のことです?
《ちなみに、お花ちゃんは小精霊ではなく、はるかに上位の「高位花霊族」だよ。》
「それはどうでも良いが、天使ちゃんに聞く…お前は仲間を助けたいのか?そして、そのお母様ってのを助けたいのか?」
首を釣り上げられたまま、「コン!」と頷くしかない天使ちゃん。
「そうか。なら肉を喰え。喰って体力を取り戻したら、突入するぞ!」
そう言って、その人間は指差す。それは「銀の霊峰」の頂き。
天使ちゃん達、霊狐種が住まう聖域であった。
◆ ◆ ◆
天使ちゃん…ズバリ、翼が生えた小狐である(笑)。
多少は体力を取り戻した天使ちゃんを連れ、俺は大嵐に飛び乗った。
天使ちゃん、何故か大嵐の頭の上に鎮座。そこを指定席に決めたようだ。大嵐も拒否しないし、どこか保護者のような顔をしている。
俺の方は頭に彗星を乗せ、その上にはお花ちゃん。懐の水筒には金魚ちゃん。こっちも定位置である。
「さあ、行くぞ。」
目指すは霊峰の頂き。無論、大嵐の空駆けで一直線に突撃である。
《突撃って言ってもねぇ…何か策はあるんですかね?》
「んなもんは無い!強いて言うなら、お前をUFO(?)に突き立てるだけだな。」
《んな無茶なぁ〜。》
コ、コンっ!?
心配げに天使ちゃんが振り返る。しかし、綺麗な銀色に輝くサラサラとした毛並みの小狐だ。魔物って言うより、これは精霊っぽい。何より、その半透明な小ちゃい翼は良いな(笑)。
しかしまあ、考えていても始まらん。
丁度、良いことに「黒線」の隊員達は満腹になった事で、泥水のように寝込んでいる。
それはあの中途半端イケメンのサイカも同様だ。何しろ、二頭分の黒獣を平らげちまったんだからな。良い夢を見ろよ!そして腹を壊すかどうかは、神のみぞ知るってやつだ。
「頼んだぞ、大嵐よっ!」
ヒヒヒィィィーーーンンン!!
《固有能力・疾雷の蹄、発動》
フワリと浮き上がる大嵐の周囲に紫電が生まれる。そして雷光のごとく、加速が始まった。
ゴゴゴォォォ……!!
俺達は光の矢になって飛び立った。またしても「光陰矢の如し」だ。
しっかりと大嵐の頭にしがみ付いている天使ちゃんだが、その姿も可愛いじゃないか(笑)。
コンっっ!?!?
《笑い事じゃないってよ?》
しかし速度は落とさない。この加速のまま、俺は背中の重剣「乙女座之刃」を左手に抜き放ち、右手には竜刀「分体」を抜き放つ。つまりは二刀流。
さて、それは何の為か?無論、迎撃の為だ。
『いっぱい出て来ましたのぉ。』
メェ〜♪
緊張感が無いが、お花ちゃんの言う通り、霊峰の頂きからあの「天使」とやらがワラワラと吹き出して来やがった。
優雅にお空を飛んでやがる(笑)。
コ、コ〜ンっ!?
《あれは天使ちゃんの兄弟姉妹達だから、攻撃しないでって言ってるよ〜?》
「んな事を言ってもだなあ。」
しかし天使ちゃんのつぶらな瞳が俺に突き刺さる。そっと目を逸らす俺。
『私が守護膜を張りますっ。攻撃を防ぎますので、その隙に突入
して下さいっ。』
おっ。さすがは我が水鉄砲要員(笑)。なら、道案内は天使ちゃん、しっかり頼むぞ!
《任せて下さい…だってさぁ。まずは頂上にある風穴に飛び込んでって。》
そうと決まれば話は早い。話を聞いていた大嵐は更なる加速を開始する。
《精霊系術式・水精の黄金色、発動》
俺の懐の金魚ちゃんが精霊系術式を発動した。
瞬時に俺達の周囲を黄金色の皮膜が覆う。それは半径6mに及ぶ水属性の輝き。
さすがは高位水霊族の面目躍如だな(笑)。
『褒めても何も出ませんっ。急いでくださいっ。』
山頂まで、あと1000m。
しかし、これは褒めても良いぞ。何しろ、天使達の攻撃が何1つとして通じないのだ。
《叙事詩の防御力が+1強化されました。》
当初は光の弓(?)で遠距離攻撃をしていた天使だが、それは突き刺さりもしないし、ましてや弾き飛ばされるばかり。
コ、コンっ!?
天使ちゃんもビックリの表情。数が多くても、もはや有象無象だ。話にならん。このまま突破するぞ。
山頂まで、あと600m。
《大嵐の回避値が+1強化されました。》
業を煮やした天使達、もはやなりふり構わず、本来の特性であろう「土属性」や「火属性」の攻撃に切り替えて来やがった。
そしてその表情も、どことなく獣じみてきたぞ?どうした?
ドドドォォォ…ン!!
しかし、無駄無駄。金魚ちゃんの守護膜の前に、その狐火?とやらも通じない。
ちょっと視界が悪くなった具合だな。
『気を付けて下さいなのぉ。体当たりしてきますのぉ。』
山頂まで、あと400m。
最終手段だろうか?天使達が一丸となって、俺達にぶつかって来た。
ガンガン!とブチ当りながら、群がってゆく。
「ええいっ。切り捨てちまうか?」
メェ〜♪
《戦技・光の体毛、発動》
おっ?今度は彗星が輝かんばかりに光り始め、その光属性の波動で寄って来た天使達を一気に弾き飛ばす。
ドドドォォォ〜〜〜ン!!
《彗星の戦闘力が+1強化されました。》
弾き飛ばされ、気を失って落ちていく天使達が、落ちたと同時にポン!ポン!と煙にまかれ、天使ちゃんと同様の銀色の毛並みを持つ狐に変じた。
「正体見たり、だな。」
《天使もどきだねぇ。》
山頂まで、あと200m。
コンっ!?
仲間の心配をしていると思しい天使ちゃん。落ちた連中だが、死んではいないだろう。まあ、骨折ぐらいは覚悟してもらうがなっ。
山頂まで、あと100m。
さあ、もう目と鼻の先だ。突っ込んでくる「天使もどき」を跳ね飛ばしつつ、俺達は無事に山頂に到達する。即ち、山頂まで0m。
《天使ちゃんがね、風穴に入ったら、突き当たりの分岐点を右に折れて、その次は左だってさ〜。》
道案内ご苦労。天使ちゃんの言葉を竜刀(分体)が翻訳。
それに従い、大嵐が霊峰の内部の曲がりくねった、まるで迷路の如き洞窟を飛翔する。
「…にしても、こいつは凄いな。ピカピカじゃないか?」
まるで自然の要塞。いや、これは神殿だ。表面に露出しているのは、おそらく全て妖銀鉱じゃないか?だとしたら、この霊峰の中はお宝の山だぞ?
コンっ!
《ふ〜む。銀霊狐には地殻操作の能力があるらしいよぉ?多分、何代にも渡って作って来たものなんじゃない?》
それはまたご苦労さん。しかしまあ、亜人の森の「御山」でも妖銀鉱は十分に産出しているから、ここは見逃しておこう。天使ちゃんに嫌われるのは嫌だしな(笑)。
そうこうしているうちに、広大な空間が俺たちの前に広がる。どうやら最深部に到達したようだ。
コンっ!コンっ!!
ソレに向かって、天使ちゃんが鳴き声を上げる。きっと「お母様〜。」とか言っているんだろうな?涙を誘う情景だ。
ブウン…ブウン…ブウン…ブウン…ブウン…ブウン…
ソレは回転しながら光り輝く円盤。アムの言うところの「UFO」である。
それが神殿模様の台座の上にフワフワと浮かびながら、威嚇の声(?)を上げる。
「よし。んじゃ、アム…の分体、頼んだぞ?」
《はいはい。第1位階・竜顕現、発動だよ。前方70mの位置に敵性個体を捕捉。個体数〈1〉カテゴリー〈4.6+〉個体名〈九尾の天狐種〉と推測。中央心臓部に〈原始回帰の書〉を感知。〈侵食解放〉により精神汚染係数80%だねぇ。考察するに、これを引き剥がすのは困難だよ。》
何だか、アムの分体とハイヨト・ハ・コデシュ(摂理の声)さんがゴッチャになっててよく分からんが、つまりコレも例の秘密結社絡みって事だろ?
はた迷惑な奴等だ(怒)。
コンっ!コ〜ンっ!!
正常な残り20%の精神が天使ちゃんの声に反応したのか?ピクリと円盤の動きが止まった。
回転が止まり、円盤の縁だと思われていたソレが、俺達の目の前でフワリと広がる。
1本…2本…3本…?いや、全部で9本に輝く長大な尻尾。それが円盤の正体…九尾の天狐種である。まさに天使ちゃんを大きくした感じの巨大狐だ。
だが、コイツは強いぞ。肌にビンビン来る感じだ。今にも襲い掛かって来そうだ。
『九尾様は銀の霊峰の主様ですのぉ。』
ほほう。ならば、何か手はあるのかな?お花ちゃん。
『え〜?薔薇の香気で一時的に魅了しますのぉ。』
《報告。〈九尾の天狐種〉の属性は水属性と推定。水属性は血と同義だからねぇ。多分、〈原始回帰の書〉は血液と同化してると思うよ?アレを使えば良いんじゃないかなぁ。》
「ほう。ならば方針は決定だ。」
お花ちゃんが動きを止めて、その一瞬で「原始回帰の書」を抜き取る。防御面は金魚ちゃんと彗星にお任せだ。
『分かりましたっ。』
メェ♪
もっとも、大嵐が攻撃を易々と受けるとも思わないがな(笑)。
ヒヒヒィーン!
さあ、始めよう。
《精霊系術式・花精の接吻、発動》
お花ちゃんの唇から怒涛の香気が吹き出し、それが九尾の天狐種を包み込む。何とも言えない桃色の煙。見ているだけで痺れそうだ(笑)。
《不滅の器用値が+1強化されました。おめでと。》
キェェェーーーーェェェッッ!?
身悶える九尾の天狐種。一気に接敵した瞬間に、俺は「水気」九十九式(上位)の竜技を起動する。
「操作の補助は任せるぞ。」
《はいはい。あくまで僕は補助機能だからねぇ。》
ある意味、コイツは本家本元のアム(?)より役立ってるぞ(笑)。どうした事だ?
《竜技・叙事詩の泡沫、発動》
なるほど。血液も水属性か…これは対象の水属性を制御下に置く竜技なのだろう。
俺の意識下に流れ込んで来る「九尾の天狐種」内部の水属性の動き。それは心臓部の「鎮守の統合核」に集約されている。
コンっ!
不安そうに天使ちゃんが鳴いた。俺はヨシヨシと、その頭を撫でてやる。
「心配するな。まあ、何とかなるさ。」
そして俺は己が「水気」を爆発させるのであった…。
《ステリアス・シーヴァの相生相剋〈水気〉属性が+1強化されました。》
◆ ◆ ◆
…どうしてこうなった?
《君が操作能力、皆無のせいじゃないの?》
広大な空間は今や、氷河期を迎えたかのように凍り付いていた。
「……。」
分厚い氷河の壁に封印された「九尾の天狐種」の姿。それはピクリとも動かない。まさに静寂に包まれている。
あっ。ある意味、天使ちゃんも凍り付いているぞ(?)。正直、逃げ出したい気分だ。
しかし、俺の手の中には凍り付いた「原始回帰の書」もまたある。だが、あの竜技の副作用で、周囲の熱吸収があるとは要注意だな。後の祭りだがな…。
その時、「九尾の天狐種」が閉じ込められた氷壁からポっ!と光が溢れ、俺達の前に集約し、徐々に霊体が構築されていく。
それは非常に美しく、且つ慈愛に満ち溢れた女性の姿…高位精霊族の更なる上位存在と言っても良い程の存在感を見せ付ける。
「あんたは?」
『強き竜人の子よ。御礼を申し上げます。わたくしはこの銀の霊峰の主たる九尾の天狐種です。』
ここで天使ちゃん、喜びのあまり飛び付くも、すり抜けて氷壁に激突。ああ、痛そう。つぶらな瞳が涙目だ。
コ〜ン(痛)?
『ふふふ。わたくしは死んだ訳でありませんが、しかし、しばらくの休眠状態が必要なようです。そこで、強き竜人の子よ…あなたにお願いがあります。』
「あん?俺にか?」
『はい。わたくしが休眠状態の間、わたくしの力をその子に与え、新たな主候補にしたいと思うのです。』
コっ!コンっっ!?
まさかの事態に、天使ちゃん、目を白黒させている?のかな。
まあ、それがどう言う意味を持っているのかよく分からんが、こうなっちまった原因(?)は確かに俺にもある…よな?
《君にしか無いんじゃない?その原因?》
うっさい(怒)。せっかく格好良い名前をこの「分体」に付けてやろうと思ったのに、延期だな。釈明は聞かん。横暴、結構。
『承諾して頂き、有難うございます。では、我が幼き娘をよろしくお願いいたしますわ。』
「……ん?いや、ちょっと待て?」
俺の言葉を聞かず、この女…九尾の天狐種だが、ボフンっ!と煙と共に消えやがった(怒)。横暴だぞっ!釈明の機会を要求するっ!!
その煙の残り香が天使ちゃんに吸い込まれた…。
《報告。ステリアス・シーヴァの眷属、定理は土属性〈仙狐種(NEW)〉に進化しました。固有能力〈祟りの血脈(仙血)〉は〈鎮守の統合核〉に強化されました。また称号〈銀の霊峰の主代理(NEW)〉を獲得しました。》
ん…?何か変わったか?つぶらな瞳はそのままだし、大きさも変わらない小狐のまま。あっ、でも背中の半透明な翼が、心なしか大きくなったような。
《定理の戦闘力が+10強化されました。》
《定理の防御力が+10強化されました。》
《定理の生命力が+10強化されました。》
《定理の回避値が+10強化されました。》
《定理の知能値が+10強化されました。》
《定理の器用値が+10強化されました。》
《定理の魔力値が+10強化されました。》
《定理の火属性が+10強化されました。》
《定理の土属性が+10強化されました。》
《定理は能力〈地殻操作〉(NEW)を獲得しました。》
《定理は能力〈精霊体〉(NEW)を獲得しました。》
《定理は能力〈自己再生〉(NEW)を獲得しました。》
《定理は能力〈火焔〉(NEW)を獲得しました。》
コンっ?
不思議そうに自分の尻尾を見つめる天使ちゃん。いつの間にやら、その根元から2本目の尻尾が生えている。
そう。天使ちゃんは2本尾になっていたのである。
◇ ◇ ◇
ステリアス・シーヴァ【竜絶壁発動中】
種族〈シーヴァ族〉
階級〈傭兵〉
所属国〈傭兵大隊預かり(特措法)〉
カテゴリー〈8.7+〉
戦闘力 66
防御力 58
生命力 91
回避値 58
知能値 47
器用値 50
魔力値 62
相生相剋〈火気〉属性 55
相生相剋〈木気〉属性 35
相生相剋〈金気〉属性 25
相生相剋〈土気〉属性 44
相生相剋〈水気〉属性 46(↑1)
竜技
九十九式(下位)見えざる(ブリトマルティス)赫炎〈火気〉
九十九式(下位)束縛 (カリュプソ)の静謐〈水気〉
九十九式(下位)復讐 (エイレイテュア)の逆鱗〈土気〉
九十九式(下位)開闢 (アイオロス)の威風〈木気〉
九十九式(上位)森羅 (カリオペ)の皇緋〈火気〉
九十九式(上位)喜劇 (タレイア)の蓋世〈土気〉
九十九式(上位)叙事詩 (テルプシコラ)の泡沫〈水気〉
戦技
一刀両断
十文字斬り
固有能力
竜の血眼(竜眼第1位階)
轟炎の気
水精の女王の加護〈50%〉付与
能力編纂技能−〈全知全能霊〉
能力
大剣 剣 手斧 槍 投槍 棍棒 小盾 軽装 隠蔽 偽装 物理抵抗 精神抵抗
魅了 脚力 嗅覚 命名 馭者 連携 加工 大工 腕力 投擲 調理 二刀流
演技 統治 潜伏 商才 設計 鑑定 説教 願い 破壊 暗躍 異常耐性 咆哮
感応 精製 共鳴
魔力系術式
下位(基本三原理)火属性付加
下位(基本三原理)火属性魔道弾
下位(基本三原理)火属性誘導波動
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)光属性付加
眷属
相生相剋の五人衆
クロちゃん
闘種四天王
クエビコ〈地底都市の守護者〉
ハナコ〈地底都市の守護者〉
イワメ〈地底都市の守護者〉
ナヨタケ〈地底都市の守護者〉
フミ〈地底都市の守護者〉
ナオヒ〈地底都市の守護者〉
スオウ〈地底都市の守護者〉
セイラン〈地底都市の守護者〉
彗星
販売上手〈擬似生命体(金気)〉
刀鬼王の甲冑(弐式)〈擬似生命体(土気)〉
黒字
竃神〈擬似生命体(火気)〉
電撃
叙事詩
不滅
定理
称号
赤き竜人
傾国の貴公子
闘種の王
調和者
装備
竜刀アムドゥシアス「分体」〈大剣〉【竜絶壁発動中】
属性:暴君LV410〈聖遺物級〉
付与効果:ガーネット碑(七大元素)〈ゲニトル・ルミナス〉〈第1位階〉
剣撃物理破壊力増幅
竜技増幅
竜顕現
竜絶壁
意識の転移
擬似人格〈補助機能〉(NEW)
耐久値:490
乙女座之刃〈重剣〉
属性:付喪神(低位)LV200〈秘跡武具級〉
付与効果:乙女の邁進
折れぬ心
耐久値強化〈合金〉
耐久値:360+α
竜面〈仮面〉
属性:竜面の者LV250〈聖痕武器級〉
付与効果:竜因子封印
自己再生
耐久値:200/∞
ジャガノート(畏怖なる護り手)〈重鎧〉
属性:付喪神(低位)LV150〈秘跡武具級〉
付与効果:有卦の鬼棘〈攻撃判定+〉
無卦の反魂〈防御判定−〉
代赭の竜堅〈障壁〉
耐久値:220
携帯用小刀〈小剣〉
属性:雷鉱石LV30〈特殊兵装級〉
付与効果:物理特化
雷属性付加
耐久値:150
黒衣(黒色)〈外衣〉
属性:結界種LV300〈聖痕武器級〉
付与効果:結界生成〈守護遮断(反射率)〉
物理特性〈闇・土〉30%増幅
防寒〈永続化〉
耐久値:350
所持金
煌皇金貨11枚
煌白銀貨432枚
煌赤銅貨70枚
【〈神宝の洞庫〉煌皇金貨総額693,681枚】
所持品
賢者の核石〈「火気」術式刻印〉
賢者の核石×1
岩塩
獣油
下着〈服〉×4
魔鉱石×4
ギルドカード〈階級「F」〉
携帯水筒
再誕の書
炎霊の生体核×9
原始回帰の書(NEW)
◇ ◇ ◇
大嵐
種族〈雷霆馬〉
階級〈雷霆馬神種+〉
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈4.5+〉
戦闘力 44
防御力 49
生命力 46
回避値 49(↑1)
知能値 39
器用値 22
魔力値 33
相生相剋〈金気〉属性 44
相生相剋〈土気〉属性 1
固有戦技
神撃・星霜雷鼓〈雷霆槍〉
戦技
百雷
固有能力
運命補正効果(眷属)
疾雷の蹄
雷霆槍化〈神級〉
【因果律限界値突破〈限定解除〉】
能力
脚力 聴覚 嗅覚 積載 牽引 疾駆 咆哮 雷君
圧殺 炎耐性 魔眼耐性 察知 冷静沈着 仲裁
原子分解 障壁 飛翔 神気 怒号 紫電 統治
忠誠 重装
称号
相生相剋の五人衆〈金気〉
装備
重装甲冑鞍アインヘーア(黒色)〈重装〉
魔鉱石LV200〈秘蹟武具級〉
鋼鉄〈物理抵抗+〉
強固なる軍勢〈守護膜+〉
一軍の残影〈幻覚−〉
収納鞘〈竜刀アムドゥシアス「分体」〉
耐久値:380
◇ ◇ ◇
彗星
種族〈北欧山羊〉
階級〈星座の生物種〉
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈2.4+〉
戦闘力 19(↑1)
防御力 24
生命力 31
回避値 20
知能値 15
器用値 14
魔力値 25
土属性20
光属性15
戦技
大地の嘆き(突撃効果倍(+100%)〈土属性〉)
光の体毛(守護幕〈光属性〉)
固有能力
星気の美徳
運命補正効果(眷属)
能力
角 霊子 自己再生 自己回復 幻覚耐性 癒し 忠義 大器晩成
健脚 突撃 咆哮 応援 巨大化 大胆不敵 視覚
眷属
北欧山羊・星気体
卯花羊・星気体
トルマリン鳥・星気体
称号
ステリアス・シーヴァの眷属
竜面屋牧場の守り主
星気体の王子
◇ ◇ ◇
叙事詩
種族〈水生獣〉
階級〈高位水霊族・黄金魚〉
所属国〈流星の巣〉
カテゴリー〈2.5-〉
戦闘力 20
防御力 26(↑1)
生命力 23
回避値 20
知能値 20
器用値 15
魔力値 21
水属性20
戦技
水鉄砲
固有能力
水界の統合核〈20%〉
運命補正効果(眷属)
能力
投擲 慈愛 精霊体 自己再生 暑耐性 魅了 癒し 感応
魔力系術式
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)水属性魔道弾
下位(基本三原理)水属性誘導波動
精霊系術式
水精の黄金色(守護膜)
称号
金魚ちゃん
流星の巣の主候補
◇ ◇ ◇
不滅
種族〈高位花霊族〉
階級〈曼陀羅華・希少種(薔薇科)+〉
所属国〈花霊族の園〉
カテゴリー〈2.3+〉
戦闘力 19
防御力 23
生命力 23
回避値 20
知能値 25
器用値 21(↑1)
魔力値 23
木属性25
光属性10
戦技
悲鳴
荊の鞭
薔薇の香気
固有能力
香気の統合核〈30%〉
運命補正効果(眷属)
能力
投擲 鞭 偽装 歌唱 家族愛 自己再生 睡眠耐性
毒耐性 魅了 予感 樹生 精霊体 浮遊
精霊系術式
花精の接吻(魂縛・隷属化)
称号
ステリアス・シーヴァの眷属
お花ちゃん
装備
薔薇の正式上衣〈服〉
属性:木属性LV150〈秘跡武具級〉
付属効果:物理特性〈木属性〉50%障壁
香気の幻惑〈魅了〉
自己再生・自己修復
耐久値:550
◇ ◇ ◇
定理
種族〈銀霊狐→高位土霊族(NEW)〉
階級〈霊狐種→仙狐種(NEW)〉
所属国〈銀の霊峰〉
カテゴリー〈2.4+〉
戦闘力 20(↑10)
防御力 18(↑10)
生命力 25(↑10)
回避値 20(↑10)
知能値 20(↑10)
器用値 20(↑10)
魔力値 26(↑10)
火属性20(↑10)
土属性25(↑10)
戦技
狐火→天火(NEW)
真銀鉱の霊槍→妖銀鉱の霊槍(NEW)
仙気〈土属性〉(NEW)
固有能力
祟りの血脈〈仙血〉→鎮守の統合核〈2本尾〉(NEW)
霊翼→銀霊翼〈妖銀鉱〉(NEW)
運命補正効果(眷属)
能力
投擲 爪 家族愛 寒耐性 炎耐性 予感 聴覚→天耳(NEW)嗅覚
視覚→心眼(NEW)疾駆 野生→礼節(NEW)飛翔→浮遊(NEW)
地殻操作(NEW)精霊体(NEW)自己再生(NEW)火焔(NEW)
称号
ステリアス・シーヴァの眷属
天使ちゃん(NEW)
銀の霊峰の主代理(NEW)
◇ ◇ ◇
サイカ・リュイン
種族〈人間種〉
階級〈傭兵大隊・大隊隊長〉
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈3.2+〉
戦闘力 30
防御力 28
生命力 35
回避値 34
知能値 28
器用値 30
魔力値 18
土属性15
闇属性12
戦技
一撃必殺
高揚の帯気
死の黒線
固有戦技
フランフォーファの黒線
固有能力
能力
剣 小剣 細剣 騎士楯 盾 甲冑 連携 嫉妬 洞察
不器用 忍耐 演技 虚言耐性 聴き流し
魔力系術式
下位(基本三原理)土属性付加
下位(基本三原理)土属性魔道弾
下位(基本三原理)土属性誘導波動
下位(基本三原理)闇属性魔道弾
称号
物理法則特化級騎士 「銀の天杯」
黒線のサイカ
大隊隊長「黒線」
装備
細剣メル・カトル〈細剣〉
属性:魔鉱石LV150〈特殊兵装級〉
付与効果:魔力伝達〈戦技増幅〉
同期〈フランフォーファの黒線〉
耐久値:180
翠甲冑(濃緑色)〈甲冑〉
属性:妖銀鉱LV120〈特殊兵装級〉
付与効果:霊力構築〈妖銀鉱〉
物理抵抗
耐久値:180
(つД`)ノ天使ちゃん進化w
次回からは3話連続リムルブルグ編。秘密結社と対決\( 'ω')/




