第4話「春祭り(死祭)の霊都」〈4〉悔恨に乗じる
(^ー^)ノRPG要素の追加です。アムの暗躍開始w
第4話「春祭り(死祭)の霊都」〈如才のなさとは敵を作らずに自分を主張することである〉Tact is the knack of making a point without making an enemy
草創歴0444年5月2日〈4〉
食卓に就いてもプンプンプリプリ(怒)としているわけだ。
この男装の煌王女さんは、何が気に入らないってんだ?一週間ぶりの感動の再会も、これじゃ雰囲気も最悪だ。
俺は和気あいあいとやりたいんだよ。
「ふぅ。君も鈍い男だねぇ。」
はあ?んな事より、犬耳少年はどうした?夕飯の時間だぞ?
「恥ずかしいみたいだよ?」
ん?何が恥ずかしいってんだ?
「たかだか洋服のことだろうが?」
「狼人種君ね、褌なのよね。どうやら亜人の森の子達って、褌が主流みたいよっ?」
で?それとこれと何の関係があるんだ?さっぱり話の先が見えないのだが…?
「とりあえず、ひっペがして、褌を焼き捨ててやったのさっ。どうも下着がシックリこないみたいだねぇ。」
アムよ、お前は悪魔か?褌ぐらい、いいじゃねえか?
にしても、あいつも腹が減ってるだろうに…あっ、そう言えば闘種の郷に送ろうと思っていた、トルマリン鳥の串焼きとかあったな。
流星の水鏡がポシャったせいで廃棄寸前だったが、どうやら廃棄処分を免れそうだ。
「アム…あれ、まだ残ってるよな?」
「僕を何だと思ってんのさっ!?」
ぷぅって口を膨らませるアム。
それ、わざとらしいから止めてもらいたいのだが。
ともあれ、食卓に就くのは俺達(俺とアムの2人)と俺の肩の上のクロちゃんに、男装の煌王女さんの3名+1だ。
周囲では手早い動きで夕食の準備に取り掛かる女中さん番号1と2が、順次、白磁の食器を配置してゆく。
この女中さん番号1ことメアリには、食卓に就く前に屋台で買った串焼きと大麦粉卵包みを懐に納めてもらった。
「分かっているよな?」=肉を出せ、だ。
「もぅ。仕方のない人ですわねぇ〜。」
それでも嬉しそうに厨房に入って行ったっけな(笑)。
こっちも明日から本格的に活動せにゃならんから、ここは肉をしっかり喰って寝たいところだ。
期待しているぞ、女中さん番号1よ!!
「お待たせしましたわぁ。本日の主菜は…北欧山羊のヒレ肉の蒸焼ですぅ〜。」
それを待ってましたーーーっ!
北欧山羊のヒレ部分(内臓側)を、ちょっと肉厚に切り分け、コケモモの実のソースとプレーンがタップリ入り、しっかり味が染み込んでいる。
これは時間と手間をかけた逸品だ。よだれが止まらん。
俺もアムも一心不乱に味を堪能する。
脇目も振らずにモグモグ…モグモグと口に詰め込む。
これはフルーティ且つ、なかなかのパンチ力。女中さん番号1め、また腕を上げたな?
《ステリアス・シーヴァの生命力が+1強化されました。》
なっ、何だと?肉を喰ったら生命力が上がっただと!?んな馬鹿な…。
困惑する俺をジト目でアムの奴が見てる。何かを言いたそうな目だ。
いや、聞かんぞ。俺は草なんか絶対に喰わんからな!絶対だ!
「美味しい…モグモグ…僕はこんな美味しいものを食べれて…モグモグ…幸せですぅ。」
そんな様子を、さっきとは打って変わって微笑ましげに見詰める男装の煌王女さん。
こいつもよく分からん奴だ。
「おい。お前も早く喰わんと、こいつに喰い尽くされるぞ。」
「…わっ、分かってますわ。」
お淑やかにフォークを使ってカチャカチャと、見てるこっちがウザったい。
やっぱり貴族ってやつは面倒だな。
それにしても、アム。
見た目が子供だからって遠慮がなさ過ぎるぞ、お前は。
「大丈夫だよ…モグモグ…これでも僕、制限してるのよ…モグモグ。」
「それ、どこに消えてんだろうな?」
続いて食卓の上には、ライ麦の硬いブレット(パン)の中にイオェイド(ニシン)と野菜を入れて焼いたカラクッコ。
アム曰く、魚のパイみたいだね?らしい。
しかしこれ、すごい量だ。
だが、これならクロちゃんも食べれそうだな?
ピイッ(喜)♪
「あっ!これもすごい美味しいよ、お姉さ〜ん。」
モシャモシャさせながら、次々に消化してゆく竜種の胃袋。
全てを奪われる前に、クロちゃんの分を確保する俺。ああ、忙しい。
皿に注がれたスープの具材は、アニティモノス(サーモン)と長瓜だ。
香草にはディルを使用して、さっぱり風味。
ほんと、この国の奴らはアニティモノス(サーモン)とイオェイド(ニシン)が大好きだよな。
それでいて川魚を食べないってのは、どういう習慣なんだ?
ともかく、俺達の腹は膨れた。
やっぱりこの北欧山羊ってのは、肉の中でも別格だな。
個人的にも、もっと大量に確保したいものだ(笑)。
「それは…モシャモシャ…商業ギルドと交渉するにせよ…モシャモシャ…有力者のコネが必要だろうねぇ。」
コネか…我知らず、俺達の視線が男装の煌王女さんを捕捉する。
「なっ…何でしょう??」
「…うぅーむ。」
利用できる物は全て利用すべきだが、この女、闘種の血を半分引いていると言う変わり種。
なるべく表立って闘種との関わりを知られたくないし、何だかんだで俺達との関係が深いとも言える。まず真っ先に疑われそうだ。
「…えっ…だから、何なんですのっ??」
「いや、こんな席で何だが…契約金の支払いに関してなのだが?」
話を変えて契約金って言葉を出してみたのだが、もう直後にさっと視線を逸らしやがった、この女(怒)。
「…アムさんよ、金額にして幾らかな?」
「先月の4月14日から、1日の契約金を煌白銀貨8枚と累計しますと、4月22日の時点で総額煌白銀貨72枚になりま〜す…モシャモシャ。」
って、まだ喰ってんのか?喰いながら計算出来るとは、恐ろしい奴だ。
「あの…いえ…お金が無いわけではないのですが、今月は春祭の投資で出費がかさんでいまして…ですね。」
知ったことかっ(怒)。
ましてや破格の契約金だぞ?
まあ、その分、俺は大嵐をタダ同然で入手したわけだが(笑)。
後で知った事だが、士爵以上の爵位持ちの貴族には、煌王家から国家支給の給与が毎月支払われているらしい。
士爵級ならば平均で煌皇金貨50枚だ。
小金持ち(?)の俺からすれば、はした金だが庶民に比べれば雲泥の差だろう。
もっとも、この男装の煌王女さんは元とは言え煌王女(笑)。
煌王女の位を返還する際には、かなりの見舞金が出た筈だ。
にも関わらず、この返答…。
「おいっ!払うのか?払わないのか?どっちなんだ?」
「…あ、あの…分割とか出来ますか?」
おいおい、まどろっこしい事を言い始めたぞ(怒)。
ピイッ(汗)。
…いや、別に分割でも、払ってくれるなら構わないんだけどね(笑)。
「…しょうがないな。ここはクロちゃんの顔に免じてだな、分割払いでもいいんだが、何なら借家として居候させてもらってもいいぞ?一ヶ月で煌白銀貨10枚でどうだ?」
つまり、7ヶ月はタダ飯が喰えるって寸法だ。ふふん。
だが、その提案が予想外であったのか「えええっ!?」と素っ頓狂な声を上げる男装の煌王女さん。
あれ?やっぱり迷惑だったのか。
「そっ、そっ、それで、スッ、スッ、ステリアス殿が良いと…そう仰るのであればっ!!」
「え?迷惑じゃないの?」
ブンブンと顔を横に振っている。
女中さん番号1、2共に満足げに肯定の頷きだ。
あれ?案外、あっさりと受け入れられた事に驚きだ。
こうして、とりあえずは腰を落ち着ける場所を入手した俺達であったが、さてと夜も更けてきた頃合い。
次なる一手を打つべく、裏庭に足を向けるのであった。
あっ。あくまで就寝前の鍛錬と伝えるのを忘れないでおこう。
◆ ◆ ◆
ところで、今更ながらに聞いておきたいのは、お前の今の竜絶壁って、俺からどのくらい離れたら隠蔽の効果が無くなるの?
「そうだねぇ…そう言うのはハイヨト・ハ・クォデシュ(摂理の声)さんに聞くのが早いと思うよ?」
「…お前、今までそういう使い方してたのか?」
《報告。第1位階・竜絶壁(常時発動中)の現在の効果範囲は半径10㎞です。〈暴君〉アムドゥシアス・ゲニトル・ルミナスの〈分体〉を配置する事で、更に効果の範囲を拡張させる事が可能です。》
おい、分体とか言い始めたぞ(笑)。
こんなのが増えたらウザったいこと、この上ない。
ピイッ(笑)
「失礼だなっ、君達わっ!こう見えても僕は竜種なんだからね?敬いたまへよ。」
竜種って、変な奴ばっかりなのか?
沈黙…。
薄暗い裏庭に静寂がもたらされた。つまり、ろくな奴がいないと見た(笑)。
「…とりあえずだねぇ、半径10㎞といえば市内は軽くカバー出来るし、僕も一点集中で隠蔽虚像化を使うから大丈夫でしょ?」
話を逸らしたな。
「でっ、君の方はちゃんと方角と飛距離、分かってんだろうね?」
「はいはい。ちゃんと分かってますよ。俺の野生の勘を舐めるなよ?」
帰りの道すがら、位置は把握してあるのだ。
狙う先は「商業市場広間通り」に面する、ある店舗の庭先。
「う〜ん、野生的だねぇ〜。」
「…それはいいから、とっとと剣に戻れよ。」
《報告。第2位階・竜界繋の〈情報の実在化〉から人体化が解除されました。これに伴い〈暴君〉アムドゥシアス・ゲニトル・ルミナスの竜刀化が第2位階の形状〈人面獅子〉に変化します。形状変化の際に注意して下さい。》
ハイヨト・ハ・クォデシュ(摂理の声)さん、さらっと警告を出すのは止めてもらいたいものだ。
そして案の定、元の形状とは似ても似つかぬ、禍々しい深紅の竜刀が火花を散らして浮き上がる。
生きているように胎動し、脈打ち、その周囲の空間も歪んで見える。これはヤバい。
さすがのクロちゃんも唖然だ。
ピイッ(驚)。
『気を付けてねぇ〜。僕、なんか上手く出力を調整出来ないみたい。』
血塗られたような刀身…これを素手で掴むのはやだなぁ〜って柄部分の握りにくそうな印象だ。痛そう。
「俺じゃなかったら、掴んだ瞬間に弾け飛びそうな気がするな(笑)。」
『多分、そうだろうねぇ。』
否定しないんだ?
『でも、人間になってる方が安定しているってのも面白いねぇ。』
何も面白くないだろ。
食費もかさむしな。
ともあれ、俺はそれをむんずと掴み取り、投擲すべく振りかぶる。
人目がないうちに、さっさと済ますが吉だろう。
「いくぞ、アム!」
『よろしくぅ〜。』
俺は「えいやっ!」と目標地点に向けて、それを撃ち出すのであった。
ピイッ〜〜〜(頑)♪
それはクロちゃんの頑張れっ〜♪っていう声援だったのかもしれない。
しかし僕は音速を超えて霊都「ジュライ」の直上まで打ち上げられる。
そこで失速し、弧を描くように降下を始める。
ヒューーーーーーーーーン
迫る目的地。
ストーーーーーーン!!
ドンピシャリで僕は、喫茶「スタージュン」の庭先に突き刺さる。
そこは褒めてあげようか、我が相棒君よ。
理数系の僕とは違って、あの子って直感型の天才肌だからねっ。
こういう所は神がかってるんだよね〜。
刺さる際の音も最小限だ。
ああ、それにしても庭先にまで漂う、この甘き香り。
もうとっくにお店は閉まった筈だけどね…。
…あれっ!?竜刀状態でも僕、嗅覚があるよっ??
《報告。第2位階・竜界繋の〈情報の実在化〉から嗅覚が選択されています。》
…なんと言う応用力だ。おそるべし竜界繋!
じゃあ、そのまま探知をしちゃいましょうか?
このまま、ずっと地面に突き刺さっていてもしょうがないからねぇ。
出来れば気付いて出て来てくれると有り難いけど、そうも上手くいかないのが世の常さっ。
まあ、それでも今の僕には人体化っていう奥の手があるのだ。
《第2位階・竜界繋、発動。〈情報の実在化〉から動体反応の検出が選択されました。前方15m木造建築物内部の2階位置に個体〈1〉個体名〈ルーク・アレグザンダー〉人間種 男 カテゴリー〈2.5+〉感情〈困惑中〉。》
的中っ!
しかしこの竜界繋、下位の竜顕現に比べると情報量が格段に詳細になってきたねぇ。
困惑中って何さ。
そこで僕は、この凛とした門構えの山小屋風に一人きりでいるであろう主人さんに接触すべく、一計を案じる。
と言っても、2階の窓ガラスに向かってポ〜ンって、石つぶてを投じるだけだけどね?
勿論、少年の姿になって、いぢましげに見上げてみる。
そこはかとない保護欲を誘う状況を演出だよ。
ああ、僕って罪人だねぇ。
ガタンガタン!と降りてくる足音。
表示が〈困惑中〉から〈焦燥中〉に変わった。
おやおや、何をそんなに焦っているのだろうか?
裏口の扉がそっと開かれ、老紳士って感じの主人さんが、僕をじっと見詰めている。これは凝視と言えなくもない。
僕は雨に濡れた子犬のような瞳で、それを見返す。
「…や、やはり…君はストーク様の…?」
合言葉を入手だぜっ!
そして主人さんの招きに応じて、僕は裏口から室内へと身を潜り込ませる。
おそらくは厨房側の裏口なのだろう、小綺麗に掃除され、整理された廊下だ。
「ストーク様は…あの日、亜人の森に隠れると…では、追っ手から無事に逃げ果せたのですねっ!?」
主人さん、何のことやら分からないけど、感涙に咽び泣いている。
さてと…いきなりで何だけど、人目もない無いことだし、僕は一気に王手だっ!
《第2位階・竜阿摩羅、発動。対象者〈1〉名。個体名〈ルーク・アレグザンダー〉人間種 男 元 物理法則特化級騎士 元 鸛(コウノトリ)の紋章筆頭騎士 喫茶スタージョン店主 商業ギルド・エノシクトン最高幹部 アレグサンダー子爵家当主 カテゴリー〈2.5+〉》
即座に主人さんの深層記憶に介入ですよ。
今回はちょっと深めに探ってみよう。
合言葉は「ストーク様」だ。
《報告。〈ストーク様〉で検索を開始します。》
と同時に、僕の意識もまた深く深く沈んでゆく。
そして、主人さんの脳裏の底から映像が浮かび上がってきた。
これは…何者らかの襲撃を受けて、屋敷の家人達が次々と血の海に沈んでいる現場を、鬱々たる気分で進む光景である。
惨殺と言ってよい程の傷跡の数だ。正直、酷いねぇ。
息急き切って、「鸛の紋章」の筆頭騎士であった「ルーク・アレグザンダー」は、火急の報を受けて駆け付けるが、時すでに遅し。
一体、何者が?12の銀翼家の1つであるストーク子爵家、その本邸宅を…筆頭騎士としての屈辱が身を捩る。
「…お、奥方様は!?」
先日、跡取り息子を産んだばかりの奥方様の遺体が寝室にあった。
その遺体は腹を裂かれ、まるで命を何とも思わぬ悪意を感じさせる。
「ああっ…どうしてこんな事に…?」
悪い噂はあった。
先に煌太子(現煌王サハド・ジ・ハドXⅢ世)が亜人種である闘種の長から交友の証として、その娘プージャと婚姻を交わしたのだ。
そして、その娘は珠のように美しい娘を産んだ。その子はアスラシアと名付けられた。
世の風流として、亜人種との和平の象徴であるアスラシア煌女が生まれたことを機に、闘種の娘と婚姻を求める貴族達も多かったのだ。
だが、それが銀翼家ともなればその影響力は大きく、亜人種迫害派の動きが活発化しつつあった。
そう、タイドランド・ストーク子爵様は闘種の娘を娶ったのである。
黒目、黒髪のそれは美しい女性であった。
しかし、乳飲み子であられた「ショー・ストーク様」の姿は何処か?
私は円堂を陽が明けるまで探し回った。
しかし、ショー様の痕跡と共に、主であるストーク様の姿もついぞ、発見することが出来なかったのである。
…えっ〜と、思ってたよりも重厚な展開だったね。
過去の時間経過的には…12年ぐらい前みたいだね?
でもこの主人さん、昔は騎士だったんだねぇ。
白髪オールバックの紳士だけど、映像の中の若き日の面影はある。
鷹のような眼が印象的だ。
さて、僕は更に深層記憶を探ることにする。
主人さんの「ストーク家」に対する執着は彼自身が思っている以上に強く、固執しているようで、その糸はすぐに見つかった。
「…その日、ストーク子爵家の廃嫡が決定した。」
これにより「鸛の紋章」の解散も決定事項となり、私は騎士業を廃する決意をした。
無論、誘いの手はあまたあった。
しかし失意の私には、別の銀翼家に入門してまで騎士でありたいという気概は無かったのだ。
後日、ストーク子爵家の資産管理後の分配措置により、私はバディ侯爵家の城塞都市「ブラドブルグ」外苑にある、ストーク家の別荘を賜った際に、そこで余生を過ごすのもよいかと思えた。
周辺は石切場が広がる灰色の土地だけで、何も無い。
そう、私と同様に何も無いのだから…。
だが、よもや私はその別荘に身を隠していた、タイドランド・ストーク様に再会する事が出来たのだ。
それは何たる運命であった事だろうか?
傷付いたストーク様の手には、しっかりと、それは珠のように美しい男児が安らかな寝息を立てていた。
ショー様は母親似であられたのだ。
「ストーク様っ!?何故に、このような場所に御隠れに!?」
この様な辺境に隠れ潜む必要があると言うのか?
家人もろとも血族、その全てを虐殺の憂き目に遭い、廃嫡というお家取り潰しの沙汰。
まずは煌王家に保護を求めるべきではあるまいか?と。
「…そ、それは出来ぬのだ…奴等は煌王家さえも歯牙にも掛けないのだからな…。」
奴等とは一体?
「私は知ってはならない事実を知ってしまったのだ…もはや、我ら父子に安住の地は無い…ここにも留まっている訳にはゆかぬ。」
「なっ、ならばこのルーク・アレグザンダーが御供を!!」
「ならぬっ!」と、ストーク様が否応もなく拒絶する。
一体、何を知ったと言うのか?
そして、何故にそれを私に教えて下されないのか?
「こっ、このままではストーク子爵家の血が途絶えてしまいます!」
「…ルーク!卿は、もはや我らストーク家に関わるな。お前には迷惑を掛けて済まないと思っているのだよ。」
「ストーク様!?何処へ行かれると言うのです??」
タイドランド・ストーク様は何度、私が問い掛けても答えようとしなかった。
だが根負けしたものか、ストーク様は疲労により落ち窪んだ頬を歪めて言った。
「亜人の森に身を隠す」と。
…なるほどねぇ。
この子だけでも闘種の保護が得られればって考えたわけだね。
僕を見て驚いたのは、そのショー君だと勘違いしたわけだ。
まあ、確かに生きて成長してたら似てるかもねぇ。
とりあえず、主人さんが見送った馬車の形状を記憶しておこう。
亜人の森に向かったのは間違いないわけだし、その足跡を調べる必要はあるだろうね。
証拠品とかさ。
さて、ということで僕は今から「ショー・ストーク(仮)」だよ。
本人の生存の有無は置いておいて、ここはその方が都合がいい。
そしてちょっと見たところ主人さんは、この喫茶「スタージョン」を趣味で開店しているようで、本職は商業ギルド「エノシクトン」の最高幹部の1人である映像が垣間見えたのだ。
あれから色々と頑張ったんだろうねぇ、彼もさ。だって、騎士からお金の力で子爵にまで登り詰めたんだからさ。
パンっ!て、手を叩いて竜阿摩羅を解除してみればあら不思議、もう主人さんには僕がショー君にしか見えないという暗示付き。
「ああ、ショー様。これでストーク子爵家の再興も夢ではありませんぞっ!!」
「…いえ、今の僕はあくまでもアム・ロンです。そして父であるタイドランドは既に無念の最期を遂げておりますが…しかし、必ずや身の証を立てるつもりでいます。」
嗚呼と、主人さんは膝を突いて号泣した。
正直、気まずい。
しかし顔には一切、出さずに演じ続けてみせよう。僕なら出来るはずっ。
《アムドゥシアス・ゲニトル・ルミナスは能力〈演技〉(NEW)を獲得しました。》
「顔をお上げください…我が筆頭騎士よ。」
咽び泣いていた主人さんだったが、その言葉を聞いて歓喜の表情で控える。
「いつの日か、ストーク子爵家を再建する事が父の願いでした。それを成す為にも、どうか僕にお力をお貸し下さい。」
「無論、このルーク・アレグザンダー!ショー・ストーク様の筆頭騎士として全力を尽くす事をここに誓いましょうぞっ!!」
こうして僕は、これまた良き執事を入手したわけである。同時に能力も入手だよ。
我が野望に一歩前進なのであった。
◆ ◆ ◆
そうとも知らずに俺は寝室に閉じこもり、犬耳少年と向かい合ってトルマリン鳥の串焼きをせっせと口に運んでいた。
互いにあぐらを組んで、床にドサリと座り込んでいる。こっちの方が落ち着くのだ。
不貞腐れていた犬耳少年ではあるが、なかなかに侍従用の洋服が良く似合うものである。
紺色の応接着が、そこはかとなく気品を醸し出しているのだ。
「なんだかんだで、お前も狼人種の族長の家系だけあって、田舎くささがなくて似合ってるんだよなぁ〜。」
「拙者を侮辱しないでいただきたいっ。」
って言いながらも、悪い気はしないのか、犬耳だけは正直にパタパタ動いている(笑)。
まあ、腹も減っているのだろう?口に肉を詰め込む速度もなかなかのものだ。
「ほら、こっちの大麦粉卵包みも旨いぞ?」
イオェイド(ニシン)のから揚げ入りの大麦粉卵包みである。
全て女中さん番号1にオーブンで温め直してもらったものだ。
ホクホクで旨い。
「…頂きます。」
しょうがないから頂きますって口振りだが、犬尻尾はバタバタと暴れている(笑)。
受け取った瞬間にムシャぶりつく犬耳少年。
夢中で喰ってる。分かりやすい奴だ。
ピイッ(餌)?
え?餌付けじゃないかって?
それは近くてちょっと遠いぞ、クロちゃん。
俺はな、どんな奴でも腹だけは一杯にさせてやりたいのさ(笑)。
喰い物が何も無くて、ひもじいのは辛いもんだ。
「それにな、こいつは結構いじましい奴だぞ?初恋の相手の為にさ、こんなとこまでついて来たってんだからな。」
ピッ(笑)
ブッ〜って吹き出す犬耳少年。
コラコラ、喰い物を粗末にすんじゃないよ(怒)。
「へっ、変な事を急に言わないでくだされっ!」
「いや、このジュライにさ、その子は何て言ったっけ?…えっと、ウタメちゃんだっけ?いる可能性が高いからな。だから当たってみたい場所があるんだよ。」
言わずと知れた、奴隷市場区画ってのが存在するわけだ。
需要があるから供給され続けるわけだが、「闘種の王」の登場でしばらくは亜人の森の亜人種に手を出そうって輩は減るだろう。
そう願わずにはいられないな。
ピイッ(賛)♪
顔を朱色に染める犬耳少年をよそに、俺は朝帰りをする気じゃないだろうな?なんて思いながらアムの帰りを待つ事にする。
夜は刻々と更けてゆく。
それに、こうして男同士の会話をして過ごすのも、たまにはいいもんだなぁと感慨に浸る俺であった。
◇ ◇ ◇
ステリアス・シーヴァ【竜絶壁発動中】
種族〈シーヴァ族〉
階級〈傭兵〉
所属国〈傭兵大隊預かり(特措法)〉
カテゴリー〈8.6+〉
戦闘力 63
防御力 57
生命力 90(↑1)
回避値 56
知能値 47
器用値 46
魔力値 62
相生相剋〈火気〉属性 54
相生相剋〈木気〉属性 35
相生相剋〈金気〉属性 25
相生相剋〈土気〉属性 44
相生相剋〈水気〉属性 40
竜技
九十九式(下位)見えざる(ブリトマルティス)赫炎〈火気〉
九十九式(下位)束縛 (カリュプソ)の静謐〈水気〉
九十九式(下位)復讐 (エイレイテュア)の逆鱗〈土気〉
九十九式(下位)開闢 (アイオロス)の威風〈木気〉
九十九式(上位)森羅の皇緋〈火気〉
九十九式(上位)喜劇の蓋世〈土気〉
九十九式(上位)叙事詩の泡沫〈水気〉
戦技
一刀両断
十文字斬り
固有能力
竜の血眼(竜眼第1位階)
轟炎の気
水精の女王の加護〈35%〉付与
能力
大剣 剣 手斧 槍 棍棒 小盾 軽装 隠蔽 偽装 物理抵抗 精神抵抗 魅了
毒耐性 寒耐性 虚言耐性 邪眼耐性 敵意耐性 幻視耐性 暑耐性 睡眠耐性
酩酊耐性 拘束耐性 脚力 看破 打撃 軽業 殺気 嗅覚 聴覚 追跡 鑑定
察知 聴き流し 威圧 命名 馭者 疾走 解体 連携 釣り 加工 応援 大工
恫喝 腕力 投擲 調理 予感 警告 二刀流 洞察 策謀 警告 演技 統治
潜伏
魔力系術式
下位(基本三原理)火属性付加
下位(基本三原理)火属性魔道弾
下位(基本三原理)火属性誘導波動
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)光属性付加
眷属
大嵐〈相生相剋の五人衆〈金気〉〉
喜劇〈相生相剋の五人衆〈土気〉〉
勝利者〈相生相剋の五人衆〈木気〉〉
クロちゃん
赤道〈相生相剋の五人衆〈火気〉〉
流星〈相生相剋の五人衆〈水気〉〉
ラムバ〈闘種四天王〉
ティロ〈闘種四天王〉
クラトゥ〈闘種四天王〉
プンジェ〈闘種四天王〉
称号
赤き竜人
傾国の貴公子
闘種の王
調和者
装備
竜面〈仮面〉
属性:竜面の者LV250〈聖痕武器級〉
付与効果:竜因子封印
自己再生
耐久値:200/∞
朱鎧〈皮鎧〉
属性:朱虎の皮LV15〈通常級〉
付与効果:物理抵抗〈皮〉
耐久値:85
携帯用小刀〈小剣〉
属性:雷鉱石LV30〈特殊兵装級〉
付与効果:物理特化
雷属性付加
耐久値:150
黒衣(黒色)〈外衣〉
属性:結界種LV300〈聖痕武器級〉
付与効果:結界生成〈守護遮断(反射率)〉
物理特性〈闇・土〉30%増幅
防寒〈永続化〉
耐久値:350
所持金
煌皇金貨13枚
煌白銀貨520枚
煌赤銅貨20枚
【〈神宝の洞庫〉煌皇金貨総額699,842枚】
所持品
賢者の核石〈「火気」術式刻印〉
賢者の核石×2
岩塩
獣油
下着〈服〉×5
◇ ◇ ◇
アムドゥシアス・ゲニトル・ルミナス【竜絶壁発動中】
種族〈竜種・第2位階〉
階級〈暴君〉
所属国〈無し〉
カテゴリー〈16.6+〉
戦闘力 82
防御力 43
生命力 98
回避値 43
知能値 52
器用値 34
魔力値 120
相生相剋〈火気〉属性 87
相生相剋〈木気〉属性 56
相生相剋〈金気〉属性 43
相生相剋〈土気〉属性 58
相生相剋〈水気〉属性 67
固有戦技
獅子の破光
固有能力
暴君の加護
所持者固定契約〈魂〉
因果律限界値突破
情報の実在化(人体化・竜刀化)〈竜界繋〉
分体作成(NEW)
竜刀〈第2位階〉人面獅子(NEW)
能力
爪 隠蔽 偽装 咆哮 蒸留 調合 精製 計算 機械操作 精密操作
知者 自己回復 即死耐性 毒耐性 闇耐性 睡眠耐性 幻視耐性
石化耐性 結界耐性 魔眼耐性 寒耐性 炎耐性 障壁 竜眼 竜刀
覇気 転生者 霊子 幽体 改竄 礼節 胃袋 演技(NEW)
竜言術式
〈第1位階〉 竜顕現
〈第1位階〉 竜絶壁
〈第2位階〉 竜界繋
〈第2位階〉 竜阿摩羅
称号
暴君
調和者
ショー・ストーク(NEW)
装備
正式上衣(白色)〈服〉
属性:羊毛LV20〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
保温
耐久値:30
貴族服(白色)〈服〉
属性:羊毛LV15〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
保温
蝶結びネクタイ
耐久値:25
◇ ◇ ◇
クロちゃん
種族〈鳥天種〉
階級〈亜成体〉
所属国〈卵の世界〉
カテゴリー〈1.5+〉
戦闘力 19
防御力 15
生命力 24
回避値 15
知能値 34
器用値 15
魔力値 11
風属性15
光属性15
固有戦技
刹那の光輝〈補正値200%向上〉
固有能力
鬨の声〈術式3.5倍 増幅〉
運命補正効果(眷属)
結界種回帰
能力
結界耐性 魅了 聴覚 直感 覚者 脅迫 応援 偏食 嫉妬
抗議 慈愛 怒気 結界 飛翔 癒し
精霊系術式
讃歌の翼〈補正値200%向上〉
称号
漆黒の剣姫
ステリアス・シーヴァの眷属
◇ ◇ ◇
ランマル
種族〈狼人種〉
階級〈狼人戦人〉
所属国〈狼人種の集落〉
カテゴリー〈1.5+〉
戦闘力 19
防御力 10
生命力 34
回避値 25
知能値 22
器用値 16
魔力値 0
戦技
から竹割り
一刀両断
固有能力
狼形化
能力
剣 刀 槍 弓 爪 軽装 脚力 突撃 細工 礼節 魚漁
戒律 寒耐性 応援 直感 嗅覚 反抗期
称号
若長の子
犬耳少年
装備
応接着(紺色)〈服〉(NEW)
属性:羊毛LV16〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
保温
耐久値:20
◇ ◇ ◇
ルーク・アレグザンダー(NEW)
種族〈人間種〉
階級〈喫茶スタージョン・店主〉
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈2.5+〉
戦闘力 28
防御力 20
生命力 25
回避値 27
知能値 35
器用値 33
魔力値 18
水属性6
風属性8
雷属性14
戦技
二重斬撃
一撃必殺
高揚の帯気
固有能力
遠雷
能力
大剣 騎士槍 騎士楯 盾 小盾 軽装 重装 隠蔽 連携
両手武器 管理 騎乗 秀才 忠義 仲裁 策謀 冷静沈着
看破 直感 波動 迅雷 恫喝
魔力系術式
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)水属性魔道弾
下位(基本三原理)水属性誘導波動
下位(基本三原理)風属性付加
下位(基本三原理)風属性魔道弾
下位(基本三原理)風属性誘導波動
下位(基本三原理)雷属性付加
下位(基本三原理)雷属性魔道弾
下位(基本三原理)雷属性誘導波動
中位(戦略級)雷属性波動
中位(戦略級)雷属性障壁
称号
元 物理法則特化級騎士 元 鸛(コウノトリ)の紋章筆頭騎士
商業ギルド・エノシクトン最高幹部
子爵
装備
燕尾服(黒色)〈服〉
属性:羊毛LV18〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
保温
耐久値:25




