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第4話「春祭り(死祭)の霊都」〈4〉悔恨に乗じる

(^ー^)ノRPG要素の追加です。アムの暗躍開始w

第4話「春祭り(死祭)の霊都」〈如才のなさとは敵を作らずに自分を主張することである〉Tact is the knack of making a point without making an enemy


草創歴0444年5月2日〈4〉


食卓テーブルに就いてもプンプンプリプリ(怒)としているわけだ。

この男装の煌王女さんは、何が気に入らないってんだ?一週間ぶりの感動の再会も、これじゃ雰囲気も最悪だ。

俺は和気あいあいとやりたいんだよ。


「ふぅ。君も鈍い男だねぇ。」


はあ?んな事より、犬耳少年はどうした?夕飯の時間だぞ?


「恥ずかしいみたいだよ?」


ん?何が恥ずかしいってんだ?


「たかだか洋服のことだろうが?」


狼人種コボルト君ね、ふんどしなのよね。どうやら亜人の森の子達って、ふんどしが主流みたいよっ?」


で?それとこれと何の関係があるんだ?さっぱり話の先が見えないのだが…?


「とりあえず、ひっペがして、ふんどしを焼き捨ててやったのさっ。どうも下着パンツがシックリこないみたいだねぇ。」


アムよ、お前は悪魔か?ふんどしぐらい、いいじゃねえか?


にしても、あいつも腹が減ってるだろうに…あっ、そう言えば闘種アスラの郷に送ろうと思っていた、トルマリン鳥の串焼きとかあったな。

流星ミーティアの水鏡がポシャったせいで廃棄寸前だったが、どうやら廃棄処分を免れそうだ。


「アム…あれ、まだ残ってるよな?」


「僕を何だと思ってんのさっ!?」


ぷぅって口を膨らませるアム。

それ、わざとらしいから止めてもらいたいのだが。


ともあれ、食卓テーブルに就くのは俺達(俺とアムの2人)と俺の肩の上のクロちゃんに、男装の煌王女さんの3名+1だ。

周囲では手早い動きで夕食の準備に取り掛かる女中メイドさん番号1と2が、順次、白磁の食器を配置してゆく。


この女中メイドさん番号1ことメアリには、食卓テーブルに就く前に屋台で買った串焼きと大麦粉卵包キッシュみを懐に納めてもらった。

「分かっているよな?」=肉を出せ、だ。


「もぅ。仕方のない人ですわねぇ〜。」


それでも嬉しそうに厨房に入って行ったっけな(笑)。

こっちも明日から本格的に活動せにゃならんから、ここは肉をしっかり喰って寝たいところだ。

期待しているぞ、女中メイドさん番号1よ!!


「お待たせしましたわぁ。本日の主菜メインデッシュは…北欧山羊ノースゴウトのヒレ肉の蒸焼ローストですぅ〜。」


それを待ってましたーーーっ!


北欧山羊ノースゴウトのヒレ部分(内臓側)を、ちょっと肉厚に切り分け、コケモモのアップルのソースとプレーンがタップリ入り、しっかり味が染み込んでいる。

これは時間と手間をかけた逸品だ。よだれが止まらん。


俺もアムも一心不乱に味を堪能する。

脇目も振らずにモグモグ…モグモグと口に詰め込む。

これはフルーティ且つ、なかなかのパンチ力。女中メイドさん番号1め、また腕を上げたな?


《ステリアス・シーヴァの生命力が+1強化されました。》


なっ、何だと?肉を喰ったら生命力が上がっただと!?んな馬鹿な…。

困惑する俺をジト目でアムの奴が見てる。何かを言いたそうな目だ。


いや、聞かんぞ。俺は草なんか絶対に喰わんからな!絶対だ!


「美味しい…モグモグ…僕はこんな美味しいものを食べれて…モグモグ…幸せですぅ。」


そんな様子を、さっきとは打って変わって微笑ましげに見詰める男装の煌王女さん。

こいつもよく分からん奴だ。


「おい。お前も早く喰わんと、こいつに喰い尽くされるぞ。」


「…わっ、分かってますわ。」


お淑やかにフォークを使ってカチャカチャと、見てるこっちがウザったい。

やっぱり貴族ってやつは面倒だな。


それにしても、アム。

見た目が子供だからって遠慮がなさ過ぎるぞ、お前は。


「大丈夫だよ…モグモグ…これでも僕、制限セーブしてるのよ…モグモグ。」


「それ、どこに消えてんだろうな?」


続いて食卓テーブルの上には、ライ麦の硬いブレット(パン)の中にイオェイド(ニシン)と野菜を入れて焼いたカラクッコ。

アム曰く、魚のパイみたいだね?らしい。


しかしこれ、すごいボリュームだ。

だが、これならクロちゃんも食べれそうだな?


ピイッ(喜)♪


「あっ!これもすごい美味しいよ、お姉さ〜ん。」


モシャモシャさせながら、次々に消化してゆく竜種ドラゴンの胃袋。

全てを奪われる前に、クロちゃんの分を確保する俺。ああ、忙しい。


皿に注がれたスープの具材は、アニティモノス(サーモン)と長瓜ズッキーニだ。

香草シーズにはディルを使用して、さっぱり風味。

ほんと、この国の奴らはアニティモノス(サーモン)とイオェイド(ニシン)が大好きだよな。

それでいて川魚を食べないってのは、どういう習慣なんだ?


ともかく、俺達の腹は膨れた。

やっぱりこの北欧山羊ノースゴウトってのは、肉の中でも別格だな。

個人的にも、もっと大量に確保したいものだ(笑)。


「それは…モシャモシャ…商業ギルドと交渉するにせよ…モシャモシャ…有力者セレブリティのコネが必要だろうねぇ。」


コネか…我知らず、俺達の視線が男装の煌王女さんを捕捉する。


「なっ…何でしょう??」


「…うぅーむ。」


利用できる物は全て利用すべきだが、この女、闘種アスラの血を半分引いていると言う変わり種。

なるべく表立って闘種アスラとの関わりを知られたくないし、何だかんだで俺達との関係が深いとも言える。まず真っ先に疑われそうだ。


「…えっ…だから、何なんですのっ??」


「いや、こんな席で何だが…契約金の支払いに関してなのだが?」


話を変えて契約金って言葉を出してみたのだが、もう直後にさっと視線を逸らしやがった、この女(怒)。


「…アムさんよ、金額にして幾らかな?」


「先月の4月14日から、1日の契約金を煌白銀貨8枚と累計しますと、4月22日の時点で総額煌白銀貨72枚になりま〜す…モシャモシャ。」


って、まだ喰ってんのか?喰いながら計算出来るとは、恐ろしい奴だ。


「あの…いえ…お金が無いわけではないのですが、今月は春祭スプリングフェスティヴァルの投資で出費がかさんでいまして…ですね。」


知ったことかっ(怒)。

ましてや破格の契約金だぞ?

まあ、その分、俺は大嵐テンペストをタダ同然で入手したわけだが(笑)。


後で知った事だが、士爵以上の爵位持ちの貴族には、煌王家ブライッネスから国家支給の給与が毎月支払われているらしい。

士爵級ならば平均で煌皇金貨50枚だ。

小金持ち(?)の俺からすれば、はした金だが庶民に比べれば雲泥の差だろう。


もっとも、この男装の煌王女さんは元とは言え煌王女(笑)。

煌王女の位を返還する際には、かなりの見舞金が出た筈だ。

にも関わらず、この返答…。


「おいっ!払うのか?払わないのか?どっちなんだ?」


「…あ、あの…分割とか出来ますか?」


おいおい、まどろっこしい事を言い始めたぞ(怒)。


ピイッ(汗)。


…いや、別に分割でも、払ってくれるなら構わないんだけどね(笑)。


「…しょうがないな。ここはクロちゃんの顔に免じてだな、分割払いでもいいんだが、何なら借家として居候させてもらってもいいぞ?一ヶ月で煌白銀貨10枚でどうだ?」


つまり、7ヶ月はタダ飯が喰えるって寸法だ。ふふん。


だが、その提案が予想外であったのか「えええっ!?」と素っ頓狂な声を上げる男装の煌王女さん。

あれ?やっぱり迷惑だったのか。


「そっ、そっ、それで、スッ、スッ、ステリアス殿が良いと…そう仰るのであればっ!!」


「え?迷惑じゃないの?」


ブンブンと顔を横に振っている。

女中メイドさん番号1、2共に満足げに肯定の頷きだ。


あれ?案外、あっさりと受け入れられた事に驚きだ。

こうして、とりあえずは腰を落ち着ける場所を入手ゲットした俺達であったが、さてと夜も更けてきた頃合い。

次なる一手を打つべく、裏庭に足を向けるのであった。


あっ。あくまで就寝前の鍛錬と伝えるのを忘れないでおこう。


◆ ◆ ◆


ところで、今更ながらに聞いておきたいのは、お前の今の竜絶壁オーバーマインドって、俺からどのくらい離れたら隠蔽いんぺい効果エフェクトが無くなるの?


「そうだねぇ…そう言うのはハイヨト・ハ・クォデシュ(摂理の声)さんに聞くのが早いと思うよ?」


「…お前、今までそういう使い方してたのか?」


《報告。第1位階・竜絶壁オーバーマインド(常時発動中)の現在の効果範囲は半径10㎞です。〈暴君〉アムドゥシアス・ゲニトル・ルミナスの〈分体ラディウス〉を配置する事で、更に効果エフェクトの範囲を拡張させる事が可能です。》


おい、分体ラディウスとか言い始めたぞ(笑)。

こんなのが増えたらウザったいこと、この上ない。


ピイッ(笑)


「失礼だなっ、君達わっ!こう見えても僕は竜種ドラゴンなんだからね?敬いたまへよ。」


竜種ドラゴンって、変な奴ばっかりなのか?


沈黙…。


薄暗い裏庭に静寂がもたらされた。つまり、ろくな奴がいないと見た(笑)。


「…とりあえずだねぇ、半径10㎞といえば市内は軽くカバー出来るし、僕も一点集中ピンポイントで隠蔽虚像化を使うから大丈夫でしょ?」


話を逸らしたな。


「でっ、君の方はちゃんと方角と飛距離、分かってんだろうね?」


「はいはい。ちゃんと分かってますよ。俺の野生の勘を舐めるなよ?」


帰りの道すがら、位置は把握してあるのだ。

狙う先は「商業市場広間通り」に面する、ある店舗の庭先。


「う〜ん、野生的ワイルドだねぇ〜。」


「…それはいいから、とっとと剣に戻れよ。」


《報告。第2位階・竜界繋アサグリスタの〈情報の実在化〉から人体化が解除されました。これに伴い〈暴君〉アムドゥシアス・ゲニトル・ルミナスの竜刀化が第2位階の形状〈人面獅子アリエル〉に変化します。形状変化の際に注意して下さい。》


ハイヨト・ハ・クォデシュ(摂理の声)さん、さらっと警告を出すのは止めてもらいたいものだ。


そして案の定、元の形状とは似ても似つかぬ、禍々しい深紅ピジョンブラッドの竜刀が火花を散らして浮き上がる。

生きているように胎動し、脈打ち、その周囲の空間も歪んで見える。これはヤバい。

さすがのクロちゃんも唖然だ。


ピイッ(驚)。


『気を付けてねぇ〜。僕、なんか上手く出力を調整出来ないみたい。』


血塗られたような刀身…これを素手で掴むのはやだなぁ〜って柄部分の握りにくそうな印象だ。痛そう。


「俺じゃなかったら、掴んだ瞬間に弾け飛びそうな気がするな(笑)。」


『多分、そうだろうねぇ。』


否定しないんだ?


『でも、人間になってる方が安定しているってのも面白いねぇ。』


何も面白くないだろ。

食費もかさむしな。


ともあれ、俺はそれをむんずと掴み取り、投擲とうてきすべく振りかぶる。

人目がないうちに、さっさと済ますが吉だろう。


「いくぞ、アム!」


『よろしくぅ〜。』


俺は「えいやっ!」と目標地点に向けて、それを撃ち出すのであった。


ピイッ〜〜〜(頑)♪


それはクロちゃんの頑張れっ〜♪っていう声援だったのかもしれない。

しかし僕は音速を超えて霊都「ジュライ」の直上まで打ち上げられる。

そこで失速し、弧を描くように降下を始める。


ヒューーーーーーーーーン


迫る目的地。


ストーーーーーーン!!


ドンピシャリで僕は、喫茶「スタージュン」の庭先テラスに突き刺さる。

そこは褒めてあげようか、我が相棒君よ。

理数系の僕とは違って、あの子って直感型の天才肌だからねっ。

こういう所は神がかってるんだよね〜。

刺さる際の音も最小限だ。


ああ、それにしても庭先テラスにまで漂う、この甘き香り。

もうとっくにお店は閉まった筈だけどね…。


…あれっ!?竜刀状態でも僕、嗅覚があるよっ??


《報告。第2位階・竜界繋アサグリスタの〈情報の実在化〉から嗅覚が選択されています。》


…なんと言う応用力だ。おそるべし竜界繋アサグリスタ


じゃあ、そのまま探知サーチをしちゃいましょうか?

このまま、ずっと地面に突き刺さっていてもしょうがないからねぇ。

出来れば気付いて出て来てくれると有り難いけど、そうも上手くいかないのが世の常さっ。


まあ、それでも今の僕には人体化っていう奥の手があるのだ。


《第2位階・竜界繋アサグリスタ、発動。〈情報の実在化〉から動体反応の検出が選択されました。前方15m木造建築物内部の2階位置に個体〈1〉個体名〈ルーク・アレグザンダー〉人間種ヒューマン 男 カテゴリー〈2.5+〉感情〈困惑中〉。》


的中ビンゴっ!


しかしこの竜界繋アサグリスタ、下位の竜顕現テンペラメントニックに比べると情報量が格段に詳細になってきたねぇ。

困惑中って何さ。


そこで僕は、この凛とした門構えの山小屋風ツリーハットに一人きりでいるであろう主人マスターさんに接触すべく、一計を案じる。


と言っても、2階の窓ガラスに向かってポ〜ンって、石つぶてを投じるだけだけどね?

勿論、少年の姿になって、いぢましげに見上げてみる。

そこはかとない保護欲を誘う状況シュチュエーションを演出だよ。

ああ、僕って罪人つみびとだねぇ。


ガタンガタン!と降りてくる足音。


表示が〈困惑中〉から〈焦燥中〉に変わった。

おやおや、何をそんなに焦っているのだろうか?


裏口の扉がそっと開かれ、老紳士って感じの主人マスターさんが、僕をじっと見詰めている。これは凝視と言えなくもない。

僕は雨に濡れた子犬のような瞳で、それを見返す。


「…や、やはり…君はストーク様の…?」


合言葉キーワード入手ゲットだぜっ!

そして主人マスターさんの招きに応じて、僕は裏口から室内へと身を潜り込ませる。

おそらくは厨房側の裏口なのだろう、小綺麗に掃除され、整理された廊下だ。


「ストーク様は…あの日、亜人の森に隠れると…では、追っ手から無事に逃げおおせたのですねっ!?」


主人マスターさん、何のことやら分からないけど、感涙にむせび泣いている。

さてと…いきなりで何だけど、人目もない無いことだし、僕は一気に王手チェックメイトだっ!


《第2位階・竜阿摩羅エクストラ、発動。対象者〈1〉名。個体名〈ルーク・アレグザンダー〉人間種ヒューマン 男 元 物理法則特化フィジックス級騎士 元 ストーク(コウノトリ)の紋章グループ筆頭騎士 喫茶スタージョン店主 商業ギルド・エノシクトン最高幹部 アレグサンダー子爵ヴァイカウント家当主 カテゴリー〈2.5+〉》


即座に主人マスターさんの深層記憶に介入ですよ。

今回はちょっと深めに探ってみよう。

合言葉キーワードは「ストーク様」だ。


《報告。〈ストーク様〉で検索サーチを開始します。》


と同時に、僕の意識もまた深く深く沈んでゆく。

そして、主人マスターさんの脳裏の底から映像ヴィジョンが浮かび上がってきた。


これは…何者らかの襲撃を受けて、屋敷レジダンスの家人達が次々と血の海に沈んでいる現場を、鬱々たる気分で進む光景である。

惨殺と言ってよい程の傷跡の数だ。正直、酷いねぇ。


息急き切って、「ストーク紋章グループ」の筆頭騎士であった「ルーク・アレグザンダー」は、火急の報を受けて駆け付けるが、時すでに遅し。

一体、何者が?12の銀翼家の1つであるストーク子爵ヴァイカウント家、その本邸宅を…筆頭騎士としての屈辱が身をよじる。


「…お、奥方様は!?」


先日、跡取り息子を産んだばかりの奥方様の遺体が寝室にあった。

その遺体は腹を裂かれ、まるで命を何とも思わぬ悪意を感じさせる。


「ああっ…どうしてこんな事に…?」


悪い噂はあった。


先に煌太子(現煌王サハド・ジ・ハドXⅢ世)が亜人種デミヒューマンである闘種アスラの長から交友の証として、その娘プージャと婚姻を交わしたのだ。

そして、その娘はたまのように美しい娘を産んだ。その子はアスラシアと名付けられた。


世の風流として、亜人種デミヒューマンとの和平の象徴シンボルであるアスラシア煌女が生まれたことを機に、闘種アスラの娘と婚姻を求める貴族達も多かったのだ。


だが、それが銀翼家ともなればその影響力は大きく、亜人種デミヒューマン迫害派の動きが活発化しつつあった。

そう、タイドランド・ストーク子爵ヴァイカウント様は闘種アスラの娘をめとったのである。

黒目、黒髪のそれは美しい女性であった。


しかし、乳飲み子であられた「ショー・ストーク様」の姿は何処か?


私は円堂ロトンダを陽が明けるまで探し回った。

しかし、ショー様の痕跡と共に、主であるストーク様の姿もついぞ、発見することが出来なかったのである。


…えっ〜と、思ってたよりも重厚ヘビーな展開だったね。


過去の時間経過的には…12年ぐらい前みたいだね?

でもこの主人マスターさん、昔は騎士ナイトだったんだねぇ。

白髪オールバックの紳士ジェントルマンだけど、映像ヴィジョンの中の若き日の面影はある。

鷹のような眼が印象的だ。


さて、僕は更に深層記憶を探ることにする。

主人マスターさんの「ストーク家」に対する執着は彼自身が思っている以上に強く、固執しているようで、その糸はすぐに見つかった。


「…その日、ストーク子爵ヴァイカウント家の廃嫡が決定した。」


これにより「ストーク紋章グループ」の解散も決定事項となり、私は騎士業を廃する決意をした。

無論、誘いの手はあまたあった。

しかし失意の私には、別の銀翼家に入門してまで騎士でありたいという気概は無かったのだ。


後日、ストーク子爵ヴァイカウント家の資産管理後の分配措置により、私はバディ侯爵マークィス家の城塞都市「ブラドブルグ」外苑にある、ストーク家の別荘を賜った際に、そこで余生を過ごすのもよいかと思えた。

周辺は石切場が広がる灰色の土地だけで、何も無い。

そう、私と同様に何も無いのだから…。


だが、よもや私はその別荘に身を隠していた、タイドランド・ストーク様に再会する事が出来たのだ。

それは何たる運命であった事だろうか?


傷付いたストーク様の手には、しっかりと、それは珠のように美しい男児が安らかな寝息を立てていた。

ショー様は母親似であられたのだ。


「ストーク様っ!?何故に、このような場所に御隠れに!?」


この様な辺境に隠れ潜む必要があると言うのか?


家人もろとも血族、その全てを虐殺の憂き目に遭い、廃嫡というお家取り潰しの沙汰。

まずは煌王家ブライッネスに保護を求めるべきではあるまいか?と。


「…そ、それは出来ぬのだ…奴等は煌王家ブライッネスさえも歯牙にも掛けないのだからな…。」


奴等とは一体?


「私は知ってはならない事実を知ってしまったのだ…もはや、我ら父子に安住の地は無い…ここにも留まっている訳にはゆかぬ。」


「なっ、ならばこのルーク・アレグザンダーが御供を!!」


「ならぬっ!」と、ストーク様が否応もなく拒絶する。


一体、何を知ったと言うのか?

そして、何故にそれを私に教えて下されないのか?


「こっ、このままではストーク子爵ヴァイカウント家の血が途絶えてしまいます!」


「…ルーク!卿は、もはや我らストーク家に関わるな。お前には迷惑を掛けて済まないと思っているのだよ。」


「ストーク様!?何処へ行かれると言うのです??」


タイドランド・ストーク様は何度、私が問い掛けても答えようとしなかった。

だが根負けしたものか、ストーク様は疲労により落ち窪んだ頬を歪めて言った。

「亜人の森に身を隠す」と。


…なるほどねぇ。


この子だけでも闘種アスラの保護が得られればって考えたわけだね。

僕を見て驚いたのは、そのショー君だと勘違いしたわけだ。

まあ、確かに生きて成長してたら似てるかもねぇ。


とりあえず、主人マスターさんが見送った馬車の形状を記憶しておこう。

亜人の森に向かったのは間違いないわけだし、その足跡を調べる必要はあるだろうね。

証拠品とかさ。


さて、ということで僕は今から「ショー・ストーク(仮)」だよ。

本人の生存の有無は置いておいて、ここはその方が都合がいい。


そしてちょっと見たところ主人マスターさんは、この喫茶「スタージョン」を趣味で開店しているようで、本職は商業ギルド「エノシクトン」の最高幹部の1人である映像ヴィジョンが垣間見えたのだ。

あれから色々と頑張ったんだろうねぇ、彼もさ。だって、騎士からお金の力で子爵ヴァイカウントにまで登り詰めたんだからさ。


パンっ!て、手を叩いて竜阿摩羅エクストラを解除してみればあら不思議、もう主人マスターさんには僕がショー君にしか見えないという暗示付き。


「ああ、ショー様。これでストーク子爵ヴァイカウント家の再興も夢ではありませんぞっ!!」


「…いえ、今の僕はあくまでもアム・ロンです。そして父であるタイドランドは既に無念の最期を遂げておりますが…しかし、必ずや身の証を立てるつもりでいます。」


嗚呼ああと、主人マスターさんは膝を突いて号泣した。

正直、気まずい。

しかし顔には一切、出さずに演じ続けてみせよう。僕なら出来るはずっ。


《アムドゥシアス・ゲニトル・ルミナスは能力スキル〈演技〉(NEW)を獲得しました。》


「顔をお上げください…我が筆頭騎士よ。」


むせび泣いていた主人マスターさんだったが、その言葉を聞いて歓喜の表情で控える。


「いつの日か、ストーク子爵ヴァイカウント家を再建する事が父の願いでした。それを成す為にも、どうか僕にお力をお貸し下さい。」


「無論、このルーク・アレグザンダー!ショー・ストーク様の筆頭騎士として全力を尽くす事をここに誓いましょうぞっ!!」


こうして僕は、これまた良き執事バトラー入手ゲットしたわけである。同時に能力スキル入手ゲットだよ。

我が野望に一歩前進なのであった。


◆ ◆ ◆


そうとも知らずに俺は寝室に閉じこもり、犬耳少年と向かい合ってトルマリン鳥の串焼きをせっせと口に運んでいた。

互いにあぐらを組んで、床にドサリと座り込んでいる。こっちの方が落ち着くのだ。


不貞腐れていた犬耳少年ではあるが、なかなかに侍従アコライト用の洋服が良く似合うものである。

紺色ラブラドライト応接着ラウンジスーツが、そこはかとなく気品を醸し出しているのだ。


「なんだかんだで、お前も狼人種コボルトの族長の家系だけあって、田舎くささがなくて似合ってるんだよなぁ〜。」


「拙者を侮辱しないでいただきたいっ。」


って言いながらも、悪い気はしないのか、犬耳だけは正直にパタパタ動いている(笑)。

まあ、腹も減っているのだろう?口に肉を詰め込む速度もなかなかのものだ。


「ほら、こっちの大麦粉卵包キッシュみも旨いぞ?」


イオェイド(ニシン)のから揚げ入りの大麦粉卵包キッシュみである。

全て女中メイドさん番号1にオーブンで温め直してもらったものだ。

ホクホクで旨い。


「…頂きます。」


しょうがないから頂きますって口振りだが、犬尻尾はバタバタと暴れている(笑)。


受け取った瞬間にムシャぶりつく犬耳少年。

夢中で喰ってる。分かりやすい奴だ。


ピイッ(餌)?


え?餌付けじゃないかって?

それは近くてちょっと遠いぞ、クロちゃん。


俺はな、どんな奴でも腹だけは一杯にさせてやりたいのさ(笑)。

喰い物が何も無くて、ひもじいのは辛いもんだ。


「それにな、こいつは結構いじましい奴だぞ?初恋の相手の為にさ、こんなとこまでついて来たってんだからな。」


ピッ(笑)


ブッ〜って吹き出す犬耳少年。

コラコラ、喰い物を粗末にすんじゃないよ(怒)。


「へっ、変な事を急に言わないでくだされっ!」


「いや、このジュライにさ、その子は何て言ったっけ?…えっと、ウタメちゃんだっけ?いる可能性が高いからな。だから当たってみたい場所があるんだよ。」


言わずと知れた、奴隷スレイヴ市場区画ってのが存在するわけだ。

需要があるから供給され続けるわけだが、「闘種アルカェウス」の登場でしばらくは亜人の森の亜人種デミヒューマンに手を出そうって輩は減るだろう。

そう願わずにはいられないな。


ピイッ(賛)♪


顔を朱色に染める犬耳少年をよそに、俺は朝帰りをする気じゃないだろうな?なんて思いながらアムの帰りを待つ事にする。

夜は刻々と更けてゆく。


それに、こうして男同士の会話をして過ごすのも、たまにはいいもんだなぁと感慨に浸る俺であった。


◇ ◇ ◇


ステリアス・シーヴァ【竜絶壁オーバーマインド発動中】

種族〈シーヴァ族〉

階級〈傭兵〉

所属国〈傭兵大隊預かり(特措法スペシャルケース)〉


カテゴリー〈8.6+〉

戦闘力 63

防御力 57

生命力 90(↑1)

回避値 56

知能値 47

器用値 46

魔力値 62


相生相剋〈火気〉属性 54

相生相剋〈木気〉属性 35

相生相剋〈金気〉属性 25

相生相剋〈土気〉属性 44

相生相剋〈水気〉属性 40


竜技ドラゴニックアーツ

九十九式(下位)見えざる(ブリトマルティス)赫炎かくえん〈火気〉

九十九式(下位)束縛 (カリュプソ)の静謐せいひつ〈水気〉

九十九式(下位)復讐 (エイレイテュア)の逆鱗〈土気〉

九十九式(下位)開闢 (アイオロス)の威風〈木気〉

九十九式(上位)森羅カリオペの皇緋〈火気〉

九十九式(上位)喜劇タレイアの蓋世〈土気〉

九十九式(上位)叙事詩テルプシコラの泡沫〈水気〉


戦技バトルアーツ

一刀両断

十文字斬り


固有能力パーソナルスキル

竜の血眼(竜眼第1位階)

轟炎ピュラリスフィールド

水精リクィッド女王クィーンの加護〈35%〉付与ギフト


能力スキル

大剣 剣 手斧 槍 棍棒 小盾 軽装 隠蔽 偽装 物理抵抗 精神抵抗 魅了

毒耐性 寒耐性 虚言耐性 邪眼耐性 敵意耐性 幻視耐性 暑耐性 睡眠耐性

酩酊耐性 拘束耐性 脚力 看破 打撃 軽業 殺気 嗅覚 聴覚 追跡 鑑定

察知 聴き流し 威圧 命名 馭者 疾走 解体 連携 釣り 加工 応援 大工

恫喝 腕力 投擲 調理 予感 警告 二刀流 洞察 策謀 警告 演技 統治

潜伏


魔力系マグス術式

下位(基本三原理)火属性イグニス付加ギフト

下位(基本三原理)火属性イグニス魔道弾ブリッド

下位(基本三原理)火属性イグニス誘導波動ソリュード

下位(基本三原理)水属性アクア付加ギフト

下位(基本三原理)光属性ルーメン付加ギフト


眷属ファミリア

大嵐テンペスト〈相生相剋の五人衆〈金気〉〉

喜劇コメディア〈相生相剋の五人衆〈土気〉〉

勝利者ヴィクトリ〈相生相剋の五人衆〈木気〉〉

クロちゃん

赤道イクェイタ〈相生相剋の五人衆〈火気〉〉

流星ミーティア〈相生相剋の五人衆〈水気〉〉

ラムバ〈闘種アスラ四天王〉

ティロ〈闘種アスラ四天王〉

クラトゥ〈闘種アスラ四天王〉

プンジェ〈闘種アスラ四天王〉


称号

赤き竜人

傾国の貴公子

闘種アルカェウス

調和者シジコス


装備

竜面マルティコラス〈仮面〉

属性:竜面の者LV250〈聖痕武器スティグマ級〉

付与効果:竜因子アデック封印

自己再生

耐久値:200/∞


朱鎧ハーフクロスアーマー〈皮鎧〉

属性:朱虎の皮LV15〈通常ノーマル級〉

付与効果:物理抵抗〈皮〉

耐久値:85


携帯用小刀フォールディングナイフ〈小剣〉

属性:雷鉱石ブロンティアLV30〈特殊兵装ユニーク級〉

付与効果:物理特化

雷属性トニトルス付加ギフト

耐久値:150


黒衣(黒色ジェット)〈外衣マント

属性:結界種セフィラーLV300〈聖痕武器スティグマ級〉

付与効果:結界生成〈守護遮断(反射率リフレクト)〉

物理特性〈闇・土〉30%増幅ブースト

防寒〈永続化〉

耐久値:350


所持金

煌皇金貨13枚

煌白銀貨520枚

煌赤銅貨20枚

【〈神宝の洞庫〉煌皇金貨総額699,842枚】


所持品

賢者の核石タリスマン〈「火気」術式ニダーナ刻印〉

賢者の核石タリスマン×2

岩塩

獣油オイル

下着チャスズ〈服〉×5


◇ ◇ ◇


アムドゥシアス・ゲニトル・ルミナス【竜絶壁オーバーマインド発動中】

種族〈竜種ドラゴン・第2位階〉

階級〈暴君〉

所属国〈無し〉


カテゴリー〈16.6+〉

戦闘力 82

防御力 43

生命力 98

回避値 43

知能値 52

器用値 34

魔力値 120


相生相剋〈火気〉属性 87

相生相剋〈木気〉属性 56

相生相剋〈金気〉属性 43

相生相剋〈土気〉属性 58

相生相剋〈水気〉属性 67


固有戦技パーソナルアーツ

獅子レオン破光グリダーレ


固有能力パーソナルスキル

暴君パルティアの加護

所持者固定契約〈魂〉

因果律限界値ルミナリエス突破

情報の実在化(人体化・竜刀化)〈竜界繋アサグリスタ

分体ラディウス作成(NEW)

竜刀〈第2位階〉人面獅子アリエル(NEW)


能力スキル

爪 隠蔽 偽装 咆哮 蒸留 調合 精製 計算 機械操作 精密操作

知者 自己回復 即死耐性 毒耐性 闇耐性 睡眠耐性 幻視耐性

石化耐性 結界耐性 魔眼耐性 寒耐性 炎耐性 障壁 竜眼 竜刀

覇気 転生者 霊子 幽体 改竄 礼節 胃袋 演技(NEW)


竜言バドクォル術式

〈第1位階〉 竜顕現テンペラメントニック

〈第1位階〉 竜絶壁オーバーマインド

〈第2位階〉 竜界繋アサグリスタ

〈第2位階〉 竜阿摩羅エクストラ


称号

暴君

調和者シジコス

ショー・ストーク(NEW)


装備

正式上衣フロックコート白色セレナイト)〈服〉

属性:羊毛ウールLV20〈通常ノーマル級〉

付与効果:物理抵抗

保温

耐久値:30


貴族服スマート白色セレナイト)〈服〉

属性:羊毛ウールLV15〈通常ノーマル級〉

付与効果:物理抵抗

保温

蝶結びネクタイ

耐久値:25


◇ ◇ ◇


クロちゃん

種族〈鳥天種エフェメラ

階級〈亜成体〉

所属国〈オーウム世界コミュニティ


カテゴリー〈1.5+〉

戦闘力 19

防御力 15

生命力 24

回避値 15

知能値 34

器用値 15

魔力値 11


風属性エア15

光属性ルーメン15


固有戦技パーソナルアーツ

刹那アブソリュート光輝タキサイキア〈補正値200%向上〉


固有能力パーソナルスキル

アイビスヴォイス〈術式3.5倍 増幅ブースト

運命補正効果(眷属ファミリア

結界種セフィラー回帰オブト


能力スキル

結界耐性 魅了 聴覚 直感 覚者 脅迫 応援 偏食 嫉妬

抗議 慈愛 怒気 結界 飛翔 癒し


精霊系スピリトイド術式

讃歌アンブロシウスの翼〈補正値200%向上〉


称号

漆黒の剣姫

ステリアス・シーヴァの眷属ファミリア


◇ ◇ ◇


ランマル

種族〈狼人種コボルト

階級〈狼人ウェアウルフ戦人イクサビト

所属国〈狼人種コボルトの集落〉


カテゴリー〈1.5+〉

戦闘力 19

防御力 10

生命力 34

回避値 25

知能値 22

器用値 16

魔力値 0


戦技バトルアーツ

から竹割り

一刀両断


固有能力パーソナルスキル

狼形化ハウリングウルフ


能力スキル

剣 刀 槍 弓 爪 軽装 脚力 突撃 細工 礼節 魚漁

戒律 寒耐性 応援 直感 嗅覚 反抗期


称号

若長の子

犬耳少年


装備

応接着ラウンジスーツ紺色ラブラドライト)〈服〉(NEW)

属性:羊毛ウールLV16〈通常ノーマル級〉

付与効果:物理抵抗

保温

耐久値:20


◇ ◇ ◇


ルーク・アレグザンダー(NEW)

種族〈人間種ヒューマン

階級〈喫茶スタージョン・店主〉

所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉


カテゴリー〈2.5+〉

戦闘力 28

防御力 20

生命力 25

回避値 27

知能値 35

器用値 33

魔力値 18


水属性アクア6

風属性エア8

雷属性トニトルス14


戦技バトルアーツ

二重斬撃ツインスラッシュ

一撃必殺ファーストストライク

高揚エキサイト帯気フォース


固有能力パーソナルスキル

遠雷シンパシー


能力スキル

大剣 騎士槍 騎士楯 盾 小盾 軽装 重装 隠蔽 連携

両手武器 管理 騎乗 秀才 忠義 仲裁 策謀 冷静沈着

看破 直感 波動 迅雷 恫喝


魔力系マグス術式

下位(基本三原理)水属性アクア付加ギフト

下位(基本三原理)水属性アクア魔道弾ブリッド

下位(基本三原理)水属性アクア誘導波動ソリュード

下位(基本三原理)風属性エア付加ギフト

下位(基本三原理)風属性エア魔道弾ブリッド

下位(基本三原理)風属性エア誘導波動ソリュード

下位(基本三原理)雷属性トニトルス付加ギフト

下位(基本三原理)雷属性トニトルス魔道弾ブリッド

下位(基本三原理)雷属性トニトルス誘導波動ソリュード

中位(戦略アグレッシオ級)雷属性トニトルス波動ブラスト

中位(戦略アグレッシオ級)雷属性トニトルス障壁シールド


称号

物理法則特化フィジックス級騎士 元 ストーク(コウノトリ)の紋章グループ筆頭騎士

商業ギルド・エノシクトン最高幹部

子爵ヴァイカウント


装備

燕尾服テイルコート黒色ジェット)〈服〉

属性:羊毛ウールLV18〈通常ノーマル級〉

付与効果:物理抵抗

保温

耐久値:25

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