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第1話 「邂逅の霊都」〈4〉軟禁生活

(^ー^)ノRPG要素追加w

第1話 「邂逅の霊都」〈涙とともにパンをかじった者でなければ、人生の本当の味はわからない〉If you’ve never eaten while crying you don t know what life tastes like


〈4〉草創歴0444年4月10日


困ったことに、俺ことステリアス・シーヴァは軟禁状態となっていた。


あれほど、黒鉄色の巨大艦船(ヴォルフ級先行試作機)の乗組員達に、作りに作った干物の山を土産と称して食べさせてやったと言うのに、だ。

あれほど、「このスモークうまい!」美味い美味いと連呼していたにも関わらず、この仕打ちはどうなんだ。


自画自賛ではあるが、味はまずまずの出来であり、俺は食当たりには程遠い。俺は…だ。

何より、アムの指示通りに内臓類は全て取り払ってあったのに…。


《ステリアス・シーヴァは能力スキル〈毒耐性〉(NEW)を獲得しました。》


『もしかしたら、鰭の部分に神経毒を持ったやつがいたかも知れないけどね〜?』


事後に考察、反省点を提示されたところで後の祭りであったが。


そんなこんなで、ラシャ・コウヤショウは苦笑混じりで謝罪した。

現在、俺達が居る場所は一応、「ジ・ハド煌王國ジ・ハド・トゥインコル・キングダム」の首都「ジュライ」である。


ヴォルフ級先行試作機ってやつは、そのものずばり、運用実験中のものらしい。

港区画の特殊ゲージ(見た目は四角い牢屋)に船体が拘留されると、格納されると同時に接続アームが伸び、装甲がパージ分解され、強化プランを検討する為の補修データの統合、点検作業へと移行した。

全くもって、見たことも聞いたことも無い景色である。


『うわ〜、これはちょっと近代科学と言うよりSFっぽいねっ!』


良く分からないが、全長200メートル、全幅25メートルあるのだと技術士官とやらが自慢気に説明する。

しかし、こんな大きな船は海洋ぐらいでしか有効活用できないだろう。中央大陸内部の航路は暗礁地帯が広がっている為、船艇部の大きさから見て、航行は不可能だと言う。


『大きさ的には巡洋艦と同レベルだね〜。こっちの方が箱型っぽいけど、装甲分割式みたいだから、浸水も若干あるみたいだね。興味深いなぁ〜。』


アムは一人で興奮しているみたいだが、この区画に軟禁を余儀なくされた為、見て回れる場所がここぐらいしか無いのだ。やれやれ。


興奮する気持ちも分からなく無いものの、これって国家機密に近いものなんじゃないだろうか?

密航したちょっと風体の怪しい男(後で確認したら素性調査済み)を、ちょっとだけ問題を起こしたものの、身元が判明するまで港区画に軟禁するのはまだしも、だ。色々と腑に落ち無い。


「軟禁処置はすぐ解除されると思いますよ。ラシャ隊長が上に掛け合ってますから、安心して下さいっ!」


この若い技術士官は幾分、上気した仰ぎ目線でそう言った。


俺の身長は185㎝を超えるため、大抵、見下ろして話す事になるのだが、それは何の期待の眼差しだ?


『あ〜、やっぱ仮面を通しても、イケメンの色香は隠しきれないのだよ〜。しかも老若男女問わずとは…恐ろしい。』


言ってる事が意味分からないが、黙っていろ。


「傭兵大隊に入隊の際には、優遇措置が色々ありますから!歓迎しますっ!」


「…ああ、そうなんだ…。」


つまりは、まずは捕獲した人物との交渉権が傭兵大隊にあるぞと、そう言う事だ。

国家機密(?)を見せたのも、逃げることは出来ないんだぞ、と暗に示しているわけか。

国家ぐるみとなると、面倒くさい派閥抗争になっているんだろうな。


『って言うか、そんな派手な竜面マルティコラス付けて、真紅のハーフクロスアーマー(一部スケイル状の装甲を使用)に僕を背負ってたら、名前を晒して歩いてるようなもんだけどね?』


…俺って、そんなに有名なのか?


『あのね、そもそも僕達が居たアステリト王国と、この国はね、航路を巡って長い敵対関係にあるんだよ?情報収集は傭兵稼業にとって、必須でしょ?』


敵対国であるジ・ハド煌王國ジ・ハド・トゥインコル・キングダムは、勿論のこと、アステリト王国内の情勢、情報収集をしているのだろう。


『必須だよねっ?』


「しつこい!!」


若い技術士官がビクッと振り返った。


しまった。ここは丁寧に謝罪し、事なきを得たものの、何とも後ろめたい気分である。


◆ ◆ ◆


このジ・ハド煌王國ジ・ハド・トゥインコル・キングダムは、険しい断崖と灰褐色の山岳に四方を囲まれた、まさに自然の要塞と言えた。


中央大陸に於いては東北に位置し、東方辺境へと続く航路を確保する、最重要経路に位置する。

白銀の国とも称されるこの国は、寒冷地であり、灰色に彩られた岩ばかりの、石灰岩により蓄積されて出来た島国である、とされる。


首都「ジュライ」は人口約2万人、面積20kmを誇る都市国家であり、近隣を4つの城塞都市に護られている。

同時に「霊都」とも呼ばれ、1年を通して深い霧に包まれている事に由来した。


この霧は当然、自然発生しているものではなく、草創歴042年に同国が建国されて以来、国家安寧を司る「結界種セフィラー」が原因である。


この結界種セフィラーは国家の象徴たる「霊鷹アルカノスト」そのものであり、その維持継続の為に「音無しの塔院カルシスト」が併設された。

当主であるサイレント家は公爵デュークの爵位を与えられ、城塞都市の1つに任じられたが、他の3つの城塞都市の筆頭として、今では貴族派を自認する勢力を構成していた。


他の三家はバディ侯爵マークィス家、ヘンド辺境伯マーグレイヴ家、レグ侯爵マークィス家である。

この三家はサイレント公爵デューク家の顔色を常に窺っており、「煌王家ブライネッス」を軽視しているが為、様々な軋轢が生じていた。


つまり何が言いたいかと言えば、非常に面倒な連中だと言うことである。


杯を傾けながら、ラシャ・コウヤショウはクダを巻いていた。


まだ酔うには早い時間だ。

と言うより、彼の口にはこの国特産の大麦酒ビールはどうにも合わなかった。


下層住民の一般的な主食が、ジャガイモと麦粥オートミールと言うのも慣れない。

しかし、寒冷地故に生産物は限られており、無い物ねだりをしたところで浅ましいだけだ。


「で?変わり種のお客さんを乗せて来たそうじゃないか?」


ラシャの対面席で、そう質問を投げかけて来たのは、現在は煌王家ブライネッスお抱えの錬金術士アルケミストとなっている「ソラト・パワー」である。

お互い、腐れ縁である。


「ああ、例の赤き竜人殿さ。」


しかし、情報が知れ渡るのが速いな。ダダ漏れだ。

さっそくヘンド辺境伯マーグレイヴ家が横槍を入れてきたわけだから、然もありなんと言うところか。やれやれだ。


現在、霊都でも話題の中心人物の名前を上げたところで、テーブルの上に注文の大皿がガツン!と大きな音を立てて置かれた。


「はい、隊長さんお待たせー。」


「ハムコちゃん、相変わらず可愛いね〜。」


ラシャの伸ばした手を、ハムコ・キュリオシティがパシリ!と叩き落とした。


「痛いよ、ハムコちゃん〜。」


そのやりとりを、ソラト・パワーは冷ややかな視線で眺めやった。


「そんな事より隊長さん、あたいも、その噂の竜人さんってどんな人か聞きたいなあー。」


「そんな事って…。」


まあ、とりあえずは目の前の「コケモモソースのミートボール(雪ウサギ)和え」を一つ、口に放り込む。


程よい肉汁にコケモモの実の甘酸っぱさが合わさり、なかなか上品な味わいが口の中にジワジワと広がる。

小さいながらも、この酒場「好奇なる知己」亭の自慢料理だ。

ここを見つける事が出来て、本当に良かったと心から思う。


「いやあ、いつ食べてもここのミートボールは最高だよね〜。もう、ジャガイモとキャベツのスープには飽き飽きなんだよね〜。」


何より、絶世の美女とまでは行かなくても、程々の可愛らしさを持つ看板娘のハムコちゃんがいる。

看板娘と言うには幾分、トウが立っている気がしなくもないが、赤毛のクリクリっとした巻き髪に、柔和な笑顔は、それはそれで良い。


個人的には、もう少し胸のボリュームが欲しいところだが、白い給仕衣装に清楚な黒ワンピースにはちょうどよいスタイルか。無難なラインだ。


「隊長さん、聞いてるのー?」


「そうだね〜。まあ、彼は一筋縄ではいかない感じだと思うな。」


率直な感想を口にしてみた。


正式な入国申請を経由していない為、港区画に軟禁されている噂の人物であるが、彼の背中の大剣はかなりの業物であろう。

あれは少なくとも「秘跡武具サクラメント級」か、もしかしたら「聖痕武器スティグマ級」に匹敵する印象を受けた。


入国審査時の「鑑定精査アナライズ」で、そこら辺りは判明するだろう。

それを踏まえて、彼と刃を交える事なく交渉出来た事は、僥倖であったと思わざるを得ない。


「それって、強いって事なのー?」


「あれ?ハムコちゃん、俺より強い人がこの世に存在すると思ってるの〜?チョチョイのチョイって、軽く倒れちゃったよ?」


誇大妄想ではなく、チョチョイのチョイって倒れたのは、うちの傭兵隊の野郎達だったけどね。腹痛でね。


それを満面の笑みで、ウンウンと聞き返すハムコちゃんのつぶらな瞳がたまらない。

色々、勘違いしているんだろうな。

1人でグビグビ、白湯酒をあおっているソラト・パワーの視線が痛い。


「あたいも、その人に会ってみたいな!じゃあ、隊長さん、あたい、忙しいから仕事戻るわねー!」


そう言うと、ハムコちゃんは5つしかないテーブル席の給仕業務に戻っていった。


「頑張れ、ハムコちゃ〜ん!」


声援を受けて、ハムコちゃんは飛び跳ねて行った。

だが、埋まっている席は、俺達の席を含めて2席だけだが。


そんなに忙しいようには見えないのだが、あまり繁盛していない理由は、この国では比較的肉料理の金額が高いのに加え、商業区画の「食料品店グローサリー通り」の奥まったところにある事がネックと言えよう。隠れた名店なのだ。


もっとも、古風ながらも暖かい雰囲気の店内で、落ち着いて食事を楽しむにはこれ以上の環境は無いのだが、相手がこのソラト・パワーとなると、面白くも何とも無いのだが。


「にしても、お前さん、もう少し美味そうに飲めないもんかね〜?」


ふん、と鼻を鳴らしてソラトは無表情な顔を上げた。


「余計なお世話だ。私にとっては、貴様に預けてあるヴォルフ級先行試作機の運用データの実働評価の方が重要だ。」


そして最後に、「決して壊してくれるなよ。」と付け加え、早々に席を立った。


来た時と変わらぬ厚手の夜会服イブニングコートとトップハット姿で、出口へと向かい、ラシャはその後ろ姿にそっと声を投げ掛ける。


「…すまんな、茶番に付き合わせちまったな。」


「フッ、気にするな。」


振り返りもせず、ソラトは宵闇の街道へと吸い込まれていった。


さてと、あとは気兼ねなくひとり酒と洒落込もう。

そうなると火酒が懐かしいな。


そして今頃、ハムコちゃんは自身の雇い主である「レグ侯爵マークィス家」に、より正確に言うならば、その配下たる五脚家の1つ「フト伯爵カウント家」に、今夜得た情報を流しているのだろう。

頑張り屋さんだけど、ちょっとドジっ子なところが憎めない間者である。


こうやって情報緩和にも手を回さなければならないあたり、全くもって面倒極まりない。

これが煌王家ブライネッス直轄にも関わらず、煌王家派では無い「新設されたばかりの傭兵大隊」の、その隊長コマンダーの微妙な立ち位置と言ったあたりだ。


これで少しは、あの赤き竜人殿に対する両派閥の牽制も弱まってくれるといいんだがな〜。


と、儚い望みを抱くラシャであった…。


◇ ◇ ◇


ステリアス・シーヴァ【竜絶壁オーバーマインド発動中】

種族〈シーヴァ族〉

階級〈傭兵〉

所属国〈無し〉


カテゴリー〈8.5-〉

戦闘力 57

防御力 52

生命力 77

回避値 53

知能値 47

器用値 34

魔力値 58


相生相剋〈火気〉属性 43

相生相剋〈木気〉属性 31

相生相剋〈金気〉属性 25

相生相剋〈土気〉属性 28

相生相剋〈水気〉属性 32


竜技ドラゴニックアーツ

九十九式(下位)見えざる(ブリトマルティス)赫炎かくえん〈火気〉

九十九式(下位)束縛 (カリュプソ)の静謐せいひつ〈水気〉

九十九式(下位)復讐 (エイレイテュア)の逆鱗〈土気〉

九十九式(下位)開闢 (アイオロス)の威風〈木気〉


戦技バトルアーツ

一刀両断

十文字斬り


固有能力パーソナルスキル

竜の血眼(竜眼第1位階)

轟炎ピュラリスフィールド


能力スキル

大剣 剣 手斧 槍 棍棒 小盾 軽装 隠蔽 偽装 物理抵抗 精神抵抗 魅了

毒耐性(NEW)


魔力系マグス術式

下位(基本三原理)火属性イグニス付加ギフト

下位(基本三原理)火属性イグニス魔道弾ブリッド

下位(基本三原理)火属性イグニス誘導波動ソリュード

下位(基本三原理)水属性アクア付加ギフト

下位(基本三原理)光属性ルーメン付加ギフト


称号

赤き竜人

傾国の貴公子


装備

竜刀アムドゥシアス〈大剣〉【竜絶壁オーバーマインド発動中】

属性:暴君LV820〈聖遺物レリクス級〉

付与効果:暴君の加護〈第1位階〉

剣撃物理破壊力ソードアーツ増幅

竜技ドラゴニックアーツ増幅

所持者固定契約〈魂〉

耐久値:980/∞


竜面マルティコラス〈仮面〉

属性:竜面の者LV250〈聖痕武器スティグマ級〉

付与効果:竜因子アデック封印

自己再生

耐久値:200/∞


朱鎧ハーフクロスアーマー〈皮鎧〉

属性:朱虎の皮LV15〈通常ノーマル級〉

付与効果:物理抵抗〈皮〉

耐久値:85


携帯用小刀フォールディングナイフ〈小剣〉

属性:雷鉱石ブロンティアLV30〈特殊兵装ユニーク級〉

付与効果:物理特化

雷属性トニトルス付加ギフト

耐久値:150


所持金

東方主計紙幣100枚


所持品

賢者の核石タリスマン×5

岩塩

獣油オイル


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