第3話 「闘種の王」〈8〉衝突穴(クレーター)
(^ー^)ノRPG要素の追加でラムバ戦…からの〜ラムバ逆夜這いですw
第3話 「闘種の王」〈人は得るもので生計を立て、与えるもので人生を築く〉
We make a living by what we get. We make a life by what we give
〈8〉草創歴0444年4月23日
拒否権無効の問答無用とはこの事だ。
どういうわけでか俺は、ここ闘種の郷の御社の前で、闘種の女族長でもあるラムバと一対一の決闘をしなければならない憂き目に遭っていた。
そして何が辛いって、ハナから俺が負けると想定されているのが辛い。
いや、逆にこれは面白いな?
考えると面白いよな。
何てったって、周りの観衆も闘種達だ。
ここは一発、瞬殺してみたらどうなるんだろうか?
俺の妄想を、頼むから止めてくれと言わんばかりに、男装の煌王女さんが縋りつくような眼差しで見つめてくる(笑)。
えーい。やめろ。祈るんじゃない。
そもそも、なんで俺がここで戦わなきゃならないのか?って疑問もあるな。
戦った結果、何がどうなるってわけでもない訳だ?
第一、男装の煌王女さんの目的は、人間と亜人種を和解させたいってだけの事なのだ。
「ふふふ。そこに強い者がおるならば、剣を交えねば勿体無いからのう。」
女族長のラムバ、それを言ったら何の意味も無いことをサラッと言ってのけ、己が愛刀「マカラの鎖剣」を抜き放つ。
それは大振りの懐古式大太刀である。
隕鉄の鋼の刃が鈍く光っている。
ブン!ブン!ブン!
軽く素振りをするが、砂煙りが激しく巻き上がる。
あの腕の細さで、それは無いだろうってレベル。闘種恐るべし。
「うむ。では客人よ、始めようではないかのう。」
「ったく…仕方ないな。」
やるとなればしょうがない。
いつものように適当に相手をするか、と思った矢先に、激しい衝撃が俺を揺さぶった。
ガキィーーーン!!
コイツ、あの一瞬で距離を詰めやがった。
7mはあったはずだぞ。
しかも、小袿の和装衣に張袴っていう、格好のままだ。
え?そのままやるのかよっ?って意味でも驚かされたぜ。
《ステリアス・シーヴァの防御力が+1強化されました。》
その横薙ぎの斬撃は弾き返したものの、コイツは結構に速い。
大振りの懐古式大太刀を用いながら、切り上げ、突き打ちなど、手数も変幻自在でまずまず。
俺は借り受けた大剣でそれを捌くが、反撃の手を出させない戦法だな。
「ほほう。よく凌いでおるのう。どれ、もう少し重くしてみるかのう?」
コイツ、どんだけ上から目線だよ。
ガンッ!!ガシィーーーン!!
おっ。確かに斬撃の重さが倍になったぞ?
俺の持つ大剣が悲鳴を上げている。
あっ、もしや?って顔で喜ぶんじゃない、男装の煌王女さんよ。
お前は敵か?味方か?
「頑張れ、あんちゃーーーん!」
やれやれ、ガキ大将少年以下、子供達が俺を応援している。
大人も含めて目がキラキラしているな。
ああ、闘種ってこう言う奴らなんだ(笑)。理解したぞ。
ピイッ〜♪
えっ、クロちゃんは知ってたって?
とりあえずクロちゃん、俺の頭の上から落ちないでね(笑)。
「ほれほれ、どうしたのかのう?防戦一方では勝機はないぞ。」
戦いになった途端、妙に色っぽさが増したな、この女。
戦闘行為に酔っているのか?とんだ戦闘狂女だな。
よし、戦闘狂女族長と呼ぼう。
ガキィーーーン!
しかしぶっちゃけ、確かに強いじゃないか。
この俺がジリジリ押されているしな。
「どうした!そなたの実力はその程度のものかのう?その外衣の毛皮は、あの双角種のものであろう?我でも取り逃がしたアレを、そなたが討ったのであろうが?」
おっと、そうきたか。
「じゃあ、喜劇…じゃなかった、あの半馬半山羊の目を潰したのはお前か?」
剣と剣が交わり火花が飛ぶ中、俺達は言葉を交わす。
「左様だのう。」
なるほど。あの元 喜劇を亜人の森から駆逐したのが、この戦闘狂女族長ってんなら、まあ強いわけだよな。納得だよ。
さてと、納得したのはいいけど、ここから先をどうしようかな?ってのが正直な感想だな。
「まだだのう!もっと我を楽しませてもらいたいのう!!」
ギンッ!ガシィーーーン!!
この戦闘狂女族長、ますます乗ってきやがった。
体力も半端ないな。
疲れも見えないし、攻め手も止まらない。
俺は少しだけ力の受ける範囲を逸らして、斬撃を拮抗させるように持っていく。
「やるではないかっ!まだまだ余力があると見えるのう。ならば我も、もう一段上げるしかあるまいのう。」
おいおい。この戦闘狂女族長、まだ奥の手があるのか?
《固有能力・闘種覇動、発動》
濃緑色の闘気が戦闘狂女族長の身体を覆った途端、動きが倍速した。
これは付加系の増幅効果か?
ガンッ!ガンッ!ガンッ!
コイツ、マジやばいってくらいの手数で攻撃してきやがった。
なんか、残像が見えてるっぽい。
ガンッ!ガシィーーーン!!
「うおっ!?」
ちょっと軽く焦る俺がいる(笑)。
《ステリアス・シーヴァの回避値が+1強化されました。》
いや、当たっても痛くもないけど、俺の黒衣が汚れたり破けたりするのは、御免こうむるのだ。
「やるではないか!ならば、これでどうかのう?」
黒かった髪を金糸雀色に染め上げ、逆立たせ、遂に最後の一手に踏み込む戦闘狂女族長。
ざわざわざわざわ……ざわざわ
観衆が騒めいた。よもや、ここまでか?って感じかな。
男装の煌王女さんも息を飲む。
あらら、俺も年貢の納め時か(笑)。
《奥義・秋霖の手斧、発動》
戦闘狂女族長が振りかぶった「マカラの鎖剣」が孔雀色(虹色)に輝き、振り下ろすと共に、鎖状の刃が無数に俺に向かって降り注ぐ。
うわっ、逃げ道が無い的なアレである。
1つや2つ、孔雀色(虹色)の鎖刃を振り払っても、後から後から襲い掛かる雨のような追撃。
これは広範囲殲滅型の戦技だな。
「無駄だのう。我が鎖刃の包囲網から逃れるすべは無いのだ!我が印(呪力)が尽きるまで、この鎖刃もまた尽きる事は無い!」
言う通り、逃げ回っても埒があかないってやつだ。
ピイッ〜〜〜!!
あっ、大丈夫だよ。クロちゃん。
ともあれ、これは防ぎようがない。
「しょうがねえな。」
俺は背中の竜刀を抜き放つ。
そう、二刀流ってやつだ。
1本で足りないなら、これでこっちも手数が2倍になるって寸法だ。
《ステリアス・シーヴァは能力〈二刀流〉(NEW)を獲得しました。》
ガンッ!ガシンッ!カンッ!
『……。』
おっ。久し振りに役に立った竜刀「アムドゥシアス」だ(笑)。
これなら何とか、捌ききれそうだな。
ざわざわ…ざわざわ……ざわざわ
それを見て観衆がどよめく。
ガキィーーーーン!!
『………。』
なんか逆に楽しくなってきたぞ。
一歩も引かず、この場でどこまで捌けるか?戦闘狂女族長の鎖刃とやらが、どこまで継続して出せるものなのか?根競べってのも面白くないか?
バキィーーーン!ガンッ!!
『……………ちょっと?』
ん?あれ?
ピイッ!?
『……って言うか、うるさいよっ!?ガンガン、ガンガンうるさいよっ!?』
…あれから何日経ったっけ?
お前が休眠状態になってから…まだ3日ぐらいしか経ってないよな?
『…いや、そうだけど?でも、うるさくて目が覚めちゃったじゃないの!?君は何をやってるのさ??』
いやあ、説明すると長くなるなあ。
なにせ、現在戦闘中だし(笑)。
ちなみに、これはアム。俺の竜刀「アムドゥシアス」こと相棒だ。
「いやはや。そなた、やるではないか!だが、これで詰みだのう!!」
ほら、髪を金糸雀色に逆立てた戦闘狂女族長が迫って来るぞ。
『って、どこの戦闘民族なのよっ!?』
知らん。
とりあえず、復活したなら力を貸せよ。
『はいはい。適当にどうぞ〜?』
起きた早々、やる気のない奴だな。
まあ、いいや。
ここで俺達(俺とアムの2人)の力を見せ付けてやるのも面白い。
《固有能力・轟炎の気、発動》
俺の身体が紅蓮に包まれる。
「ぬう!そちらも奥の手を隠しておったようだのう。ならば勝負だ!」
《奥義・秋霖の手斧、発動》
「闘種秘伝、鎖刃の舞い〈飛泉〉!!」
戦闘狂女族長、再度同じ鎖刃の雨を繰り出して来た。
しかしちょっと違うのは、鎖刃一本一本に意志が込められ、急所を狙って来る動きが鋭い。フェイントも的確だ。
これは厄介な攻撃だよな。
威力は大したことないが、とにかく攻撃範囲が広過ぎる。
…まとめて吹き飛ばせばいいんだけどね?
《竜技・見えざる(ブリトマルティス)の赫炎、発動》
あっ、なんかヤバい。直感的にそう感じた。
『あっ。もう止められないよ。』
だろうね。俺の周囲にユラユラと竜刀が分散され、更に増え続けてゆく。
あ〜?これは自己最高記録じゃないか。
その数…100本ぐらい?
『…君ねえ、いつの間に、こんなにパワーアップしてんの?』
さあ?
《ステリアス・シーヴァの相生相剋〈火気〉属性が+3強化されました。》
『これは……肉かな?炎獣の肉なのね?』
おっと、もう抑えておくのも限界だ。
俺は炎の竜刀を一気に解き放つ。
ゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴ
その日、轟音が闘種の郷を揺さぶった。
俺としては、死人が出ない事を祈るばかりだ。
◆ ◆ ◆
何はともあれ、やっちゃった感が酷い(笑)。
ピイッ〜♪
慰めてくれるのは、頭の上のクロちゃんだけだ。ありがとね。
《クロちゃんは能力〈慈愛〉(NEW)を獲得しました。》
さてはて、ことの顛末を掻い摘んで話そうか。
『…君は相変わらず、何事もなかったように話を進行させようとするよねぇ。』
反省したところでだ、今更被害の規模がどうこうなるわけじゃないだろう。
そもそも、俺の巻き込まれ体質の結果云々は、もはや俺の一存でどうにかなるもんじゃないしな?何より俺は悪くない(断言)。
『…あっ、この人、開き直ったよ。』
簡潔に言えば、熱傷、火傷、擦り傷に切り傷、打撲などの負傷者多数の大惨事。
これ、ほぼ観衆の闘種達である。
幸いながら、死傷者はゼロ。
闘種の主たる者はそれなりに耐性(避けた?)があるようで、それでも軽傷で済んでいた。
男装の煌王女さんなんかは、あのクラトゥとか言う指南役爺さんが盾代わりで何とかって体たらく。
直撃を受けた戦闘狂女族長と言えば、うーんうーん唸って病床中(笑)。
丸黒焦げになって、大急ぎで運ばれていった。
大活躍なのは、巨大な槌から巨大な薬壷に持ち替えた、巨乳 女官長のプンジェさんである。頑張ってるね。
『ちょっと待って!君という男は、巨乳と言えば傭兵大隊の爆乳ちゃんでしょ!そこは譲らないからねっ。』
お前は、休眠状態から復帰した早々、ツッコミ場所がそこか。
それこそ、そこら辺はどうでもいいし、正直、その存在は忘れてたし。
ピイッ!ピイッ〜〜〜!!
『あっ!痛あーーーいっ。』
クロちゃん、竜刀をガンガンとツツきまくっている。
これぞ逆ツッコミってやつだっけ?
『久し振りに会ったのに、酷いよクロちゃ〜ん。』
ともかくだ、俺は所在無さげに御神木の傍に腰を下ろしていた。
だって、居心地悪いし、っても俺が悪いわけじゃないよ?
御社の前にデカい衝突穴作っちゃったけど、それは一対一の勝負だし、不可抗力だし。
逃げるように、この広場に退散したわけだが、存外に闘種達の視線に尊敬の眼差しが含まれているのが訳わからん。
ある婆さんなんか、俺を拝んでいきやがった(笑)。
『君の後利益って何だろうねぇ?』
分からん。それよりだ、餅を手渡された(笑)。
『餅…?え?もち米なの?』
あっ、そうそう。ここの亜人種達って、主食が米らしいぞ?
品種はよく分からんがな。
作ってるのは狼人種らしい。
『狼人種が…米っ!?』
腑に落ちないようだが、まあ俺も詳しい事は分からん。
それにしても、これからどうしたものかな。
とりあえず、この集落に居ても勝手に動いたら、とやかく言われそうだしな…って思っていたら、何やら頭上でガザガザと音が聞こえ始めた。
ん?御神木から葉っぱが降り注ぐ。
ドッサーーーーン。
あっ、なんか落ちてきた。
って言うか、お前はバチが当たるぞ?
「うおお〜。足が滑ったよ〜。」
で?お前は何しに来たんだ?
「おいら、あんちゃんを案内しにきたんだよ。クラトゥ爺さんに命じられたんだあ。」
あ〜。あの指南役爺さんに言われて来たのか、このガキ大将少年。
「う〜ん。案内かあ。別にこの郷にあんま興味ないんだよな。帰っていいよ、ガキ大将少年よ。」
「ちょっとー!あんちゃん、おいらが怒られちゃうから頼むよ〜。それと、おいらはグリターチだってば!名前を覚えてよ。」
やれやれ。面倒くさい事になったな。
まあ、このガキ大将少年と一緒にいる限り、背後から寝首をかかれる恐れはないか。
男装の煌王女さんを1人、残して置くのも気がかりだしなぁ。なんか後味が悪いし。
『…君達、いつの間にそんな関係になったのさ?』
おや、アムさん焼きもちかな?
「ほら!あんちゃん早く!早く!」
こらこら、そんな引っ張るなって。
こうして俺達は闘種の郷を一回りする羽目となった。
まず最初に向かったのは、長屋の西側に位置している、炭焼き小屋と鍛冶屋の一画だ。
炭焼き小屋は幾つか並んでおり、煙突からモクモクと黒い煙が出ている。
「あんちゃん、ここは鍛冶士のメナカさんが管理する場所だよ。」
ほう。あの貧相な顔立ちの男だな。
だが、あの戦闘狂女族長の馬鹿力攻撃を、最後まで耐えきる大剣を鍛えた腕前は確かだろう。
ちょうどいいから、ここに大剣を放置しておこう。
「ちなみに、メナカさんは貧乳好きだってさ。」
「…そうなんだ、って…その情報はいらんぞ?」
ともあれ、今さっきの騒動で人出は出払っており、いるのは子供達ぐらいだ。
うわあああ〜って、また鼻垂れ小僧達が俺の周りに群がる。
『何なの!?なんで君、こんなに人気者なのっ!?』
ピイッ〜〜♪
『…え?子供には本当に優しい人が分かるっ…て、え〜。』
え〜って何だ?あっ、鼻水やめろ!コラっ(怒)。
そんな奴らをズラズラと引き連れて、俺達は南回りに綿花の畑を通り過ぎる。
「あんちゃん、ここの綿花は木綿に加工して、機織女であるヴィシュさんの生産工房で作られる着物に使われるんだぞ。」
ほほう。闘種や狼人種達が着ている衣類は、ここで生産しているわけだな。
だが、あの神主モテ兄ちゃんとか、戦闘狂女族長とかが着ているのは、もっと上等っぽかったけどな?表面が艶々で透き通るほどの綺麗さだったぞ。
「おいら達が次に向かう場所は、東側の生産工房と養蚕小屋だぞ。」
ん?養蚕って何だ?
『え…まさか、生糸で絹を生産してるの??』
「…絹?」
「お〜?あんちゃん、物知りだなあ。そうだよ。ここではヴィシュさんだけが、月蛾って言う特別な蚕を育てられるんだよ。月蛾の繭が絹になるのさ。」
蛾の繭…だと?え…急に回れ右して帰りたくなって来た。
『いや、君ねえ。蚕を馬鹿にしちゃダメだよ。衣類の生地としては最高級品だからね。凄いじゃないかい、闘種の郷!』
何だかアムはベタ褒めのようだが、いやはや、虫の分泌物から服を作るだと?勘弁してもらいたい。
「ほら、あんちゃん。今夜、あんちゃんが泊まるのは、この生産工房の客間だぞ。超一級品だぞ。」
え…別に頼んでもいないのだが。
それにしても、俺に一通り主要場所を見て回させ、闘種は何を考えてんだ?
『まあ、こういうとこって、企業秘密的なアレだよねぇ?』
何度も言うが、悪い予感しかしない。
それはともかく、俺は勝利者のとこに帰りたい。大嵐が寂しがるだろうが。
『まあまあ、招待されて断るのはさあ、礼儀としてどうなのさぁ?』
ったく。
強引ではあるが、どこか憎めないガキ大将少年に案内され、俺は瓦葺屋根の屋敷に足を踏み入れた。
そうそう、この闘種の民の住居は、そのほとんどが瓦葺屋根の質素な造りの木造建築物だ。
板間の床はギシギシ音が鳴るが、内部は風通しが良いし、小綺麗である。
「お待ちしておりましたのです…。」
これは可愛い女の子がお出迎えに出てきたぞ。お人形さんみたいだな。
服装は紺色の紙魚模様の振り袖だ。
そう言えばこの子、御社の前に並んでいた主要人物の1人だな。
あの中で無傷となると、なかなか見所がある。
『あっ、座敷童だ(笑)。』
なんか良く分からんが、お前のそれは悪意がありそうだな。
『そ、そんなことはないよぉ〜。座敷童って言うのはね、福を呼ぶ神様なんだからね?』
へ〜。そうなんだ。
「わたくし、接待役を承りましたプールと申しますです。ですのでグリターチ、あなたは用なしなのです。とっとと消えるのです。』
カチーーンっときたガキ大将少年、猛烈な勢いで喰って掛かった。
「あんちゃんを接待するのは、おいらだぞっ!お前こそ消えろよ。この占い女め!」と喰い下がる。
「あらあらです。わたくしはヴィシュ様から直接に命じられてますです。そもそも生産工房に男子が入る事は禁止されていますのです。」
「ぐぎぎぎぎ〜〜。」
歯ぎしりが鳴り響く。
そう言えば、この座敷童ちゃん(?)とガキ大将少年は同じぐらいの年齢だな。
普段からこんな感じなんだろうな、この子たち(笑)。
おやおや、外でもなにやら、男子グループと女子グループの対立が起きているようだ。
なんやかんやと騒いでいるな。
「いやだ!あんちゃんはおいらのもんだいっ!誰にもやらんもんっ!」
いや、俺の足にしがみつかれてもな。俺は俺のもんだし(笑)。
「あなたは子供ですの。この方は、もはや我らが闘種にとって、かけがえの無いお方です。独占なんてとんでもないことなのです。」
え?なんか話がどんどん大きくなってないか?
どんだけ俺、高評価なんだ。
『となると、後が怖いねえ〜。』
それな。
ピイッ〜〜♪
えっ、大丈夫だから心配するなって?
クロちゃんは優しいなあ。
「あんちゃん!あんちゃん!おいらを捨てないでおくれよお〜。」
「待て待て!お前ら、面倒くさいな。お前らが仲良くしないと、俺は今直ぐ帰るからな(怒)?」
「「えーーーー!?」」
渋々って顔で、仲直りの握手をする2人。
よしよし。偉いから2人同時に頭をゴシゴシしてやる俺だった。
◆ ◆ ◆
いやあ。喰ったなあ。
何を喰ったって、久し振りに御櫃に入った米をたらふく喰ったぞ。
《ステリアス・シーヴァの生命力が+1強化されました。》
おかずは質素だったけどな(笑)。
ちなみに、ほぼ野菜の浅漬け。
後はお吸い物だ。
『あのお米は古代米っぽいね。見た目、黒米と赤米の雑穀米に近いのかなぁ。』
ああ、ちょっと硬かった気はするが、それなりに甘みがあって旨かったぞ。
『東方辺境で食べられてるのは長粒種でしょ。こっちの方がジャポニカ米って言うか、短粒種に近いみたい。ああ、僕も食べたい…。』
って言うか、喰ってる最中、ずっと座敷童ちゃんが正座で俺を凝視していたわけだが、非常に気まずい。
「わたくしは毒見役ですから。」とか言ってたが、ずっとデカい水晶玉を抱えていたな。
あれは何だったんだ?
そんな俺は、ただいま敷き布団に入って入眠中である。
首元にはクロちゃんがスースー寝息を立てている。
準備をしてくれたのはガキ大将少年だ。一緒に寝たがったが、座敷童ちゃんに追い出されて長屋に帰ったようだな。ご苦労さん(笑)。
綿花を使った布団は、これは非常に軽くて保温性に優れ、心地良い眠気を誘う。
あっ、ウトウトしてきたと思ったら、襖が静かに開かれる音が。
スタスタスタ…。
差し足忍び足で、俺の掛け布団に近付くと、中に潜り込んで来ようとした手首を俺は捻り上げる。
「コラ!ちょっと待て(怒)。」
「あ痛たたたたっ。許して欲しいの〜う。我が夜伽の相手では不満かのう?ショックじゃのう。」
あっ、予想外の奴が来たな。
「って言うか、お前な。何をしに来たんだ?俺にやられて、寝込んでたんじゃないのかよ。」
「そうそう、それよのう。盛大に負けてのう、どうかの?我の婿になってみんかのう?何なら、アスラシアは妾でどうじゃ?」
この戦闘狂女族長、何をトチ狂ったことを言ってやがるのか。
しかし、薄手の肌線を如実に見せる間着の衣で、俺に迫り来る姿。なかなかに艶かしい。
あれ?これって逆夜這いってやつか?
「女の我に、ここまで言わせるとは…いけずな男じゃのう。」
顔色がツヤツヤしている。なんか飲んで来たのか?
心なしか、吐息が色っぽいな。
ふむ。しかしコイツ、こんな顔も出来るのか。
ピイッ!?ピイッーーーーーッ!!!
あっ、クロちゃんが起きた。そして半狂乱で突撃を開始した。
《クロちゃんは能力〈怒気〉(NEW)を獲得しました。》
「あっ!?や、やめよ!頭をツツくのでないぞ、やめよヌレハよ!」
ピイッ!ピイッ!ピイッーー!!
ここから戦闘狂バカ女とクロちゃんの攻防戦が約半刻。
寸劇を鑑賞する俺(笑)。
『…なんなの、この修羅場?君のモテ期なの?』
モテ期かどうかはよく分からんが、そろそろ止めてもらいたいところだ。
今何時だと思ってんだ?
「…ふう、ふう。致し方あるまいのう。今回は諦めるとするかのう…。』
ピィィィ(怒)
どうやら戦闘狂バカ女、ようやく諦めてくれたようで、引き下がってくれそうだ。
そもそもホント、何がしたかったんだ?
「うーむ。しかし女がダメとなるとのう、もはやこの手しかあるまいのう。これ、入って参れ!」
戦闘狂バカ女め、何を思ったのか?この客間に見覚えのある奴を呼び寄せやがった。
「失礼いたします…昼間は、大変ご迷惑をお掛けしましたこと、平にお許し頂きたく参上いたしました。」
それは神主モテ兄ちゃんだ。
頭を板間に擦り付けて、謝罪の意を体現している。
これぞ土下座だ!
いや、別に俺は全然、気にしてないけどな?
「ステリアス様のう、こやつは我が弟にて名をティロと申す。」
ふ〜ん?
「ではティロよ。不本意ではあるが、我に代わって夜のお勤めをしっかりと果たすのだぞ。」
「心得ました、姉上。この不肖ティロ、誠心誠意、身も心もステリアス様に尽くしましょう。」
コラコラコラコラ…どうして、そうなった?
勘違いも甚だしいだろうが。
『いやあ。遂に君も男に目覚めたって事なのかなぁ?これってBL?』
この馬鹿姉弟、全くもって納得できん(怒)。
「…お前ら、とっととこの部屋から出ていけっーーーーーー!!!」
深夜、俺の怒りの咆哮が闘種の郷に響き渡るのだった。
◇ ◇ ◇
ステリアス・シーヴァ【竜絶壁発動中】
種族〈シーヴァ族〉
階級〈傭兵〉
所属国〈傭兵大隊預かり〉
カテゴリー〈8.5+〉
戦闘力 62
防御力 57(↑1)
生命力 87(↑1)
回避値 56(↑1)
知能値 47
器用値 46
魔力値 62
相生相剋〈火気〉属性 54(↑3)
相生相剋〈木気〉属性 34
相生相剋〈金気〉属性 25
相生相剋〈土気〉属性 42
相生相剋〈水気〉属性 40
竜技
九十九式(下位)見えざる(ブリトマルティス)赫炎〈火気〉
九十九式(下位)束縛 (カリュプソ)の静謐〈水気〉
九十九式(下位)復讐 (エイレイテュア)の逆鱗〈土気〉
九十九式(下位)開闢 (アイオロス)の威風〈木気〉
戦技
一刀両断
十文字斬り
固有能力
竜の血眼(竜眼第1位階)
轟炎の気
水精の女王の加護〈35%〉付与
能力
大剣 剣 手斧 槍 棍棒 小盾 軽装 隠蔽 偽装 物理抵抗 精神抵抗 魅了
毒耐性 寒耐性 虚言耐性 邪眼耐性 敵意耐性 幻視耐性 暑耐性 睡眠耐性
酩酊耐性 拘束耐性 脚力 看破 打撃 軽業 殺気 嗅覚 聴覚 追跡 鑑定
察知 聴き流し 威圧 命名 馭者 疾走 解体 連携 釣り 加工 応援 大工
恫喝 腕力 投擲 調理 予感 警告 二刀流(NEW)
魔力系術式
下位(基本三原理)火属性付加
下位(基本三原理)火属性魔道弾
下位(基本三原理)火属性誘導波動
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)光属性付加
眷属
大嵐
喜劇
勝利者
クロちゃん
赤道
流星
称号
赤き竜人
傾国の貴公子
装備
竜刀アムドゥシアス〈大剣〉【竜絶壁発動中】
属性:暴君LV820〈聖遺物級〉
付与効果:暴君の加護〈第1位階〉
剣撃物理破壊力増幅
竜技増幅
所持者固定契約〈魂〉
耐久値:980/∞
竜面〈仮面〉
属性:竜面の者LV250〈聖痕武器級〉
付与効果:竜因子封印
自己再生
耐久値:200/∞
朱鎧〈皮鎧〉
属性:朱虎の皮LV15〈通常級〉
付与効果:物理抵抗〈皮〉
耐久値:85
携帯用小刀〈小剣〉
属性:雷鉱石LV30〈特殊兵装級〉
付与効果:物理特化
雷属性付加
耐久値:150
黒衣(黒色)〈外衣〉
属性:結界種LV300〈聖痕武器級〉
付与効果:結界生成〈守護遮断(反射率)〉
物理特性〈闇・土〉30%増幅
防寒〈永続化〉
耐久値:350
所持金
煌皇金貨13枚
煌白銀貨805枚
煌赤銅貨20枚
所持品
賢者の核石〈「火気」術式刻印〉
賢者の核石×2
岩塩
獣油
下着〈服〉×5
◇ ◇ ◇
クロちゃん
種族〈鳥天種〉
階級〈雛鳥〉
所属国〈卵の世界〉
カテゴリー〈0.4+〉(↑0.1)
戦闘力 8
防御力 5
生命力 11
回避値 5
知能値 24
器用値 5
魔力値 1
風属性5
光属性5
戦技
固有能力
鬨の声〈術式3.5倍 増幅〉
運命補正効果(眷属)
能力
結界耐性 魅了 聴覚 直感 覚者 脅迫 応援 偏食 嫉妬
抗議 慈愛(NEW)怒気(NEW)
称号
漆黒の剣姫
ステリアス・シーヴァの眷属
◇ ◇ ◇
ラムバ(NEW)
種族〈闘種〉
階級〈族長・剣闘士〉
所属国〈闘種の郷〉
カテゴリー〈3.5−〉
戦闘力 45
防御力 48
生命力 42
回避値 46
知能値 22
器用値 18
魔力値 15
火属性10
風属性15
光属性12
木属性10
奥義
秋霖の手斧〈飛泉〉
戦技
洞紋印流「火鳥の舞」
洞紋印流 撫で斬り
大太刀 三連斬「撓」
固有能力
闘種覇動
印
王伏の儀
能力
大剣 剣 大刀 斧 手斧 弓 小盾 軽装 脚力 腕力 格闘 打撃
突撃 両手武器 軽業 疾走 礼節 舞踊 物理抵抗 統治 身体強化
幻覚耐性 邪眼耐性 酩酊耐性 看破 察知 直感 波動 障壁 威圧
夜這い(NEW)
邪術系術式
光華の牢獄
称号
族長
戦闘狂女族長(NEW)
装備
懐古式大太刀「マカラの鎖剣」〈大刀〉
属性:闘種覇動LV200〈秘蹟武具級〉
付与効果:耐久値強化(隕石鋼)
闘種補正〈戦技30%強化〉
鎖刃〈自己再生・自己修復〉
耐久値:310+α
小袿(和装衣)〈服〉
属性:絹LV50〈特殊兵装級〉
付与効果:耐熱耐寒〈月蛾〉
呪詛返し〈反射〉
石化耐性(無効)
耐久値:60
張袴(和装衣)〈服〉
属性:絹LV50〈特殊兵装級〉
付与効果:耐熱耐寒〈月蛾〉
呪詛返し〈反射〉
石化耐性(無効)
耐久値:70
◇ ◇ ◇
ティロ
種族〈闘種〉
階級〈祭祀役〉
所属国〈闘種の郷〉
カテゴリー〈3.2+〉
戦闘力 25
防御力 28
生命力 38
回避値 40
知能値 48
器用値 50
魔力値 38
水属性10
土属性15
闇属性20
氷属性10
木属性18
戦技
固有能力
印
王伏の儀
能力
小剣 杖 偽装 暗躍 暗殺 連携 調合 博識 礼節 知者
精神抵抗 統治 洞察 冷静沈着 即死耐性 闇耐性 邪眼耐性
魅了 看破 直感 呪詛 鉄面皮 土下座(NEW)
邪術系術式
蛇蝎の絡手
妖蛇の手
邪眼の石化
妖手の支配
呪法
称号
邪術使い
神主モテ兄ちゃん(NEW)
装備
葬列の石杖〈杖〉
属性:呪力(闇属性)LV120〈特殊兵装級〉
付与効果:精神感応〈「印」術式増幅〉
石化耐性
耐久値:150
立烏帽子(祭祀正装)〈帽子〉
属性:絹LV80〈特殊兵装級〉
付与効果:耐熱耐寒〈月蛾〉
呪詛返し〈反射〉
毒耐性(無効)
耐久値:80
単衣(祭祀正装)〈服〉
属性:絹LVLV100〈特殊兵装級〉
付与効果:耐熱耐寒〈月蛾〉
呪詛返し〈反射〉
毒耐性(無効)
耐久値:150