第2話 「亜人の森に住まう者」〈9〉百腕
(^ー^)ノRPG要素追加。喜劇登場?
第2話 「亜人の森に住まう者」〈リスクを選ぶ勇気が無い者は、人生において何も達成することが出来ない〉He who is not courageous enough to take risks will accomplish nothing in life
〈9〉草創歴0444年4月18日
寝起きからの驚愕の事態だった。
いや、俺から言えば、これは想像以上のご褒美だろう。
ありがとう(笑)。
今朝、起きると大嵐がやみくもに大きくなっていた。
そして脚が4本増えて、8本に増えていた。
更には、漆黒のタテガミはフッサフサだ。
これは凄い馬力がありそうだなあ。
ヒヒヒーーーン ブルブルッ
《報告。ステリアス・シーヴァの眷属、大嵐は神馬変種+に進化を完了しました。》
《大嵐の戦闘力が+5強化されました。》
《大嵐の防御力が+5強化されました。》
《大嵐の生命力が+10強化されました。》
《大嵐の回避値が+5強化されました。》
《大嵐の知能値が+5強化されました。》
《大嵐の器用値が+5強化されました。》
《大嵐の魔力値が+5強化されました。》
《大嵐の相生相剋〈金気〉属性が+5強化されました。》
《大嵐は能力〈迅雷〉(NEW)を獲得しました。》
褐色の瞳には知性が宿っている。
あ、この目は女将さんと似ているなあ。なんかもう、すごい懐かしいな〜。
『神馬ってやつに進化したみたいだよ?』
おお、神馬か!なかなか頑張ったな。いい子だ。
俺がタテガミをナデナデすると、深紅の体毛の大嵐は嬉しそうにすり寄ってくる。
その様子を戦々恐々の眼差しで見守るのは、男装の貴族さんと女中さん番号1ことメアリだ。
女中さん番号2のアンリと言えば、目を赤くしながらフラフラの足取りで出てきた。
お前、徹夜したのか?
しかし、彼女が手に持つフサフサの黒毛の外衣を見れば、それが第2のご褒美である事は疑いようもない。
「ステリアス様、完成しましたー。名付けて、黒色外衣ですよー。」
そのままじゃねえか。
いや、しかし想像以上の滑らかな肌触りかつ、黒い輝きを放つ外衣だ。
ちゃんとフードまで加工され、留め金も魔鉱石製で奮発してあるな。
「わたくしの秘蔵の髪留めを使用しましたですよー。大サービスですー。」
女中さん番号2め、相当のドヤ顔だ。
そして自身は余った毛皮部分を使った、フワフワの首巻き(ファー)。
かなり長めの上物で、上機嫌だ。
俺は早速、着用している鎧の上から外衣を装着する。
《報告。聖痕武器級・黒衣の固有能力は〈結界種〉です。結界特性は〈守護遮断〉です。及び物理特性〈闇・土〉が共に30%上昇しました。既に同期済みです。》
俺にジャストフットした(笑)。
色ともに申し分ないぞ!
どうだ、アム?
『…ふ〜ん。いいんじゃないの?』
欲しがってもやらんからな。
◆ ◆ ◆
さて、朝食も軽く食べたので本日も元気に出発しようか?
《ステリアス・シーヴァの生命力が+1強化されました。》
ちなみに朝食の品は「雪ウサギの大麦酒煮」。
これで雪ウサギの肉は食べきり終了。
昨夜からコトコト煮込んだ肉は柔らかく、頬っぺたが落ちる。
だが、半馬半山羊の肉を食べ慣れた今となっては…だ。
さて、大嵐はやる気十分だ。
「あわわわ…うちの労働馬が神馬になっちゃいましたあ〜。」
コラコラ、女中さん番号1よ。
忘れたのか、昨夜の契約内容を?
そう。大嵐は正式に俺のものになったのだ。
差し引きとして、破格の料金(1日で煌白銀貨8枚)で傭兵契約が成立した。
1日分で煌皇金貨を1枚出そうとした男装の貴族さんを、血相変えて止めたのはお前らだろうが?
とは言え、この突然変異?の神馬は非常に希少種であり、煌王家ぐらいしか所有できない高嶺の花。
売却を考慮すれば、恐らく煌皇金貨100枚は下るまい。
なかなかお目にかかれない「聖刻印貨」が拝めるだろうな。
いや、売らないよ?
ふははは。悔しがるがいい。悔しがって地べたを這い回るがいいさ。契約内容はもはや覆らない。
『その悪役キャラやめなさいよ。君は何のフラグを立てる気なの?』
そんなもんは知らん。
進路は北西。
川を越えてから石灰岩の岩肌が目立つようになってきたが、まだまだ草原であると言えよう。
なんとか車輪も回ってるし、足場は悪くない。
「いざ、進まん!」
風にたなびく黒い外衣。
俺は今、凄いカッコ良い。
後はそうだな、大嵐に見合った馬車が必要だろ。
何だ、このオンボロ馬車は?
『馬車は進化しないもんね〜。』
そう、それだ!
とりあえず、黒くてピカピカの馬車が欲しいな。
とは言え傍目から見ても、この異形の黒衣の傭兵と並外れて大きな骨格の神馬の取り合わせは、見る者に畏怖感を抱かせるに十分だった。
となれば、外敵と接触することが躊躇われるわけだ。
『囲まれてるみたいだねぇ〜。』
分かってるって(笑)。
分かってはいたのだが、なかなか接触してこないので放置していたのだ。
だが何とか釣れたようだな。
「釣れた獲物は…はてさて、どんだけ大きいのかなあ?」
『嬉しそうだね、君。』
かかって来るなら、潰しがいがある方がいいよね?
いや、その前に敵か味方かも判然としないけどね。
それでも、亜人種擁護派の貴族さんなんて、ここぞとばかりに潰そうと考える輩なんざ、ごまんと居るだろうがな。
俺はちょっとだけ大嵐に、速度落とすように命じる。
ヒヒヒーーーンンン
満を持して、灰褐色の断崖から軍勢が、文字通りワラワラと前方に広がった。
待ち伏せをするには都合の良さそうな、起伏のある断崖丘陵だ。
まあ、大嵐ならそのまま突撃して蹴散らすのは訳ないだろうな。
ただ、それをやっちゃうと真っ先に死傷者が出るのは間違いない。
「ス、ステリアス殿!これは一体!?」
さすがの男装の貴族さんも異変に気付き、何事かと顔を出す。
「ああ。取り囲まれてるが、一応、強行突破するつもりだ。お前らは中でしっかり掴まってろよ?」
そして反論は許さん。
そして、お前が今から着ようとしている、その全装甲冑に意味はない。
それから手を離せ。
「そ、そ、そんなあ〜。」
そんなもクソもない。
そんな御主人様を必死になだめる女中さん番号1。
女中さん番号2は昨夜の徹夜裁縫がたたって爆睡中だ。のん気だね。
そうこうやっている内に、俺達の背後に敵方(?)の馬車がつく。
後ろ側に追随する馬車が2台、両側から距離を詰める。
速度競争っぽい展開だ。
側面から抑えようってハラか。
こっちは速度を落としてやってるって言うのに、阿呆な奴らだ。身の程知らずめ。
それは2頭立ての、まあまあ良質な騎馬を使用している。
馬車自体は強靭な造りの天幕馬車だ。…羨ましいな。
幌部分が一部開閉式で、開けば攻撃兵や狙撃兵が飛び出る仕掛けだろう。
まあ、それよりも車輪軸に付いた鋼鉄製の突起槍で、こちらの車輪を破壊する気か。
『エゲツない方法を使うねぇ。』
全くだぜ。
よし、大嵐よ、旋回だ!
ヒヒヒーーーン
大嵐を軸に馬車が急回転する。
《大嵐の器用値が+1強化されました。》
砂煙りを上げて、急直角。
「「「きゃあああああああ。」」」
馬車の内部が騒がしいな。
俺は股下の覗き窓に手を突っ込み、女中さん番号1のメアリを引っ張り上げる。
「いやあああああ。」
大嵐!その右側のやつを蹴り壊せ!
旋回による急接近によって、目前に迫まった敵方馬車を、大嵐は前脚の4本で無造作に蹴り飛ばす。
グシャっ
天幕馬車は粉々に粉砕され、破片を振り撒いて撃沈。
《大嵐の戦闘力が+1強化されました。》
《大嵐は能力〈踏付け〉(NEW)を獲得しました。》
強いぞ、大嵐!!
「おい、手綱を持て。任せたぞ。」
メアリに手綱を持たせ、俺は御者席から飛んだ。
ああ、軽々と飛んだね。
そして、もう一方の天幕馬車の車輪を蹴り飛ばす。
バキッ
命中。車輪は根元から折れて弾け飛び、片輪となった馬車はグルグル回転しながら、遠方に転がり消えていった。
俺はそれを確認しながら、悠々と黒衣の外衣をたなびかせ、戦場に降り立つのだった。
「きゃああああ。ステリアスさまあああ。私には無理ですよおおおお。」
女中さん番号1よ。しっかり手綱を持て、だ。
◆ ◆ ◆
事は接敵する数刻前のこと。
この灰褐色の断崖に天幕を張り、周囲探索の術式を立ち上げて、早3日。
手ぐすね引いて待ちに待ち、ようやく網にかかりましたわ。と、少女は妖しい微笑みをたたえた。
革張りの高価な茶褐色の座椅子に身を預けたまま、片頬をつきながら少女は物憂げに言う。
幼いながらも、なんとも妖しい魅力の持ち主か。
幼い肉体に毛織胴衣と言うのもアンバランスではあったが、それさえも魅力的である。
「…さてと、噂の赤き竜人さんを引き連れて、お姫様はお気楽気まま旅ですって…どう?あなたなら、あれを倒せるのかしら?」
少女は背後に控える、筋骨逞しい破顔の青年に問いかける。
そんな質問ですか?と言う具合に青年はおくびにも出さず、笑い捨てた。
「お嬢、吾輩があの程度の亜人種に劣るとでも?」
ふふふ、と少女は自慢げに青年を眺めやる。
そして彼が身に纏う強化装甲と結合した、右腕の大盾と剣先を見詰め、指を伸ばす。
「ふふふ…そうよね。あなたには、その秘跡武具級の武器があるものね。」
少女の言葉に憮然とした顔で青年は、首を掻っ切る仕草をしてみせる。
無作法ではあるが、それが必ず倒してみせるという、千腕兵団の流儀である。
確かに「巨盾剣」は我が父、マツ・シマ・サムより授与された秘跡武具級ではあるが、あくまで武器は武器。
扱う者の技量が戦場では物を言う世界だ。
それは目の前で自軍の天幕馬車が2台、瞬時に粉砕されたのを目撃した今も変わらない。
なかなかやるが、それまでだ。
それよりも、むしろあの神馬はいいな。
あれは強い。
あれは我のような強者にこそ相応しい。
『…聴こえて?あなたが勝てば、よろしくてよ?』
お嬢の許可は得た。
ならばと、青年は崖を一気に降る。
落下もかくや、といった勢いだ。しかし、その鍛え込まれた肉体はしなやかで、難なく着地を可能とする。
我が軍は既に、標的を囲んでいる。
いかに一騎当千の力量を持つ人物であろうと、数という暴力に勝るものはない。
そして己れこそは、その両方を兼ね備えた者なのだ。
「軍旗を掲げよっ!!」
我が指示を受け軍勢が軍旗を立てる。
その紋章は「千腕」。白地に金糸雀色のかぎ爪である。
それを背に、今こそ我は満を持して戦場に姿を現す。
「我こそは千腕兵団が百人兵長の1人、百腕のチェリーブロ・サムである!!」
名目上は、ヘンド辺境伯領内に侵入した不審者を問い質すこと。
我が軍旗を見て、相手方の馬車に慌ただしい動きがあったようだ。
それはそうだろうな。
何しろ、我が「千腕兵団」はヘンド辺境伯の領土を守護する正規軍である。
ん?何か言っているな?
「…我らが主人をどなたと心得ているのだ!こちらのお方はアスラシア・トーパチオ士爵であられるぞ!」
何やら給仕事着に革鎧を着込んだ、よく分からない格好の女が恥じらいもなく、声を張り上げている。
しかも2人とか。
お嬢の言う、お気楽気まま旅ってやつだな。
しかし、その風変わりな女中姿もいいな。
戦場のお付き女中に、こんな格好させるのもいいな。
士気がグンと上がりそうだ。
よし、軍議に提案してみよう。
とりあえず、あれも何とかして吾輩のものにしたいところだ。
『聴こえて?それはちょっとドン引きよ…。』
◆ ◆ ◆
「あの軍旗は千腕兵団ですよー。どうしましょう、アーシア様!」
「な、何ですって!?何故、ヘンド辺境伯の正規軍がこんなところに!?」
女達が騒ぎ始めた。
って言うか、これははめられたっぽいな。
さてはて、問題は相手方が本気で命を取りに来たのか、ただの威嚇行為であるか?だが。
ちなみに、既に俺逹の馬車は停車中だ。停車させるのに苦労はしたが、な。
まあ、俺は女達が乗っている馬車を背に、臆するまでもなく敵方の動きを見守っていた。
ざっと見て、100人ぐらいの兵団に取り囲まれている。
ほほう。大層な名の兵団だけあって、軍服は統一されている。
金糸雀色がかった色合いで、馬装具状の補助鋼鉄装甲を装着しているな。
武器はまちまちだが、荒くれ者揃いって面構えだ。男臭い連中だ。
『あんまり暴れ過ぎると、前の国みたいに無駄に警戒されるからね?君は手加減ってものを知らないからさ〜。』
それは相手の出方しだいだろうが。
俺が責められる謂れはないぞ。
おっ?なんか出てきたぞ。
ガッチリした筋肉質の男が、その何とか兵団を割いて現れた。
見た目、かなりイカツイな。
短髪角刈りで男の暑苦しい雰囲気をムンムン出しているぞ。
『あれはイケメンマッチョって言うんだよ?』
それはどうでもいいが、お友達になったら無駄に鬱陶しいタイプだな。
これは確定だ(笑)。
「…我こそは千腕兵団が百人兵長の1人、百腕のチェリーブロ・サムである!!」
男が名乗りを上げた。
想像通りの野太い声だ。暑苦しい。
「あっ、あれはサム家のチェリーブロですよー!?」
馬車の座席の隅に頭をぶつけ、うずくまっていた女中さん番号2が、目を見開いて言った。
どうやら、完全に目が覚めたようだな。
なんだ、そのサム家とか言うふざけた名前の奴は?
「サム家はヘンド辺境伯の5指、筆頭の伯爵家ですわあ。百腕って言えば、彼の代名詞です〜。」
ふーん。女中さん番号1も知っているぐらいなら、それなりに有名人ってことか。
「しかしですわあ〜、ならばこそ無礼極まることなのですよ〜!」
待て待て。そんなに興奮するんじゃない。
しかし彼女達の怒りは天井知らず。2人は怒りの形相で馬車から飛び出す始末。
話しに取り残されたのは俺のみならず、ご主人様の男装の貴族さんも同様。
互いに顔を見合わせてしまった(笑)が、2人は俺の前に立ち、意気揚々と何とか兵団の何とかサムに向かって警告を発している。
しかしだな、お前らは自分達の姿を客観的に理解をしていないぞ。
この戦闘女中め。
「我らが主人をどなたと心得ているのだー!」
「こちらのお方はアスラシア・トーパチオ士爵であられるぞ!」
説得力に欠けるが、やむなく男装の貴族さんも馬車を降りて姿を現す羽目と相成った。
とは言え、男装のままなんだけどな。
「……。」
もっとも、それに対する返答は一向に返って来ない。
そればかりか、あのむさ苦しい男は不敵に微笑むと、俺達との距離を詰める。
いい度胸じゃないか。
俺は女中さん番号1と2を後方に引き下がらせ、前に一歩出て男と対峙する。
視線が激しくぶつかり合う。ああ、暑苦しい(笑)。
「ほう。貴様等がたとえアスラシア様御一行であったにせよ、不法な領内侵犯を許すかどうかは別の話しだ。」
男の言う通り、それはもっともな話しだ。
「そもそも、貴様等が本物のアスラシア様御一行である証拠も疑わしいがな?」
なんか、根本的なところから疑われてるぞ?
そういえば、煌太子直筆の通行証ってのも、今考えると怪しいな。
『薄情な男だねぇ〜。』
いや、事実だろうが。
偽物の片棒を担ぐなんざ御免だね。
ともあれ、この俺を相手に不用意に距離を詰めるなんざ、相当腕に自信があるのか、ただの馬鹿なのか。
『見た感じ、彼の盾っていうか、盾状の剣だけど、あれはなかなかのもんじゃない?多分、秘跡武具級じゃないかな?』
なるほど。武器に自信があるってか。
「無礼な!私は正真正銘、アスラシア・トーパチオ士爵であるぞっ!」
俺は息巻く男装の貴族さんを押しのける。こいつも怒る時は怒るんだな(笑)。
だが、今となっては本人確認の是非はどうでもいい。
挨拶程度のやり取りにすぎないのだ。
おっと、相手もそれを待っていたようだ。
実に余裕の表情で待ち受ける。それに乗ってみるのも面白いだろう。
「で?偽物だとしたら、どうする気だ?あ?」
俺の挑発を受けて、男は大仰に宣った。
「身の証を立てたくば、正々堂々と刃を交えるがいい。この我に一太刀でも入れる事が出来れば、考えてやらん事もない。」
正々堂々とは大きく出たな。
周りの観衆が騒ぎ立てている。
『完全な敵地だね、これ。』
馬鹿だな。逆に燃えるじゃないか。
そして俺は、問答無用で鉄拳をお見舞いしようと飛び込む。
反撃の構えで、男は突きを打ち込んで来る。
それがお前の自慢の武器だな。
俺の拳が、その自慢の武器に触れんとした瞬間、手首が何かに絡め捉えられ、俺の攻撃を逸らした。
《報告。百腕の束縛を受けています。》
「正々堂々が聞いて呆れるな。」
俺の言葉に、ニヤリと男が笑った。
そして刹那に繰り出してきた連撃が俺を襲う。
「ステリアス殿っ!?」
男装の貴族さんの悲鳴が轟く。
うるさいなあ。
俺の黒衣の外衣にガン、ガン、ガンと打撃が当たった…ような気がした。
だが衝撃は通らないな。案の定だが。
《黒衣の固有能力、結界種〈守護遮断〉の効力発動中。通過ダメージは0です。反射率は90%です。》
いやあ、試してみたけど、やっぱ丈夫だな。これ。
それどころか、男の剣にダメージが蓄積し、亀裂を生じさせていた。
《ステリアス・シーヴァの防御力が+1強化されました。》
ギョッとした顔で、男は己が武器を見ている。
顔面蒼白の隙に、俺は手首に絡みついた見えざる鎖を、力任せに引っ張り回す。
その鎖を生み出す男の巨盾剣もろとも、七転八倒させていた。
傍目には、何が起こったのかも分かるまい。
観衆は唖然としている。
何せ、突如に自らの将がバッタンバッタン地面に打ち付けられた挙句、大の字で気絶。
白目を剥いて血だらけでは、イケメンマッチョも見る影もない。
辺りはシ〜ンと静まり返っている。
『あ〜あ、やっちゃったねぇ〜。』
…ピクリとも動かないが、大丈夫かな、こいつ?
その時、懐に入れてあった何かが転がり落ち、男の眉間にズブリと突き刺さった。
あっ!
それは双角種の巻き角だ。あの半馬半山羊の角だ。
しかしやっちゃったなあ。
これは即死じゃね?
って思ったら、男の眉間にズブズブ入って消えてしまった。
傷痕もないな?
《報告。双角種の巻き角とチェリーブロ・サムが同期しました。半馬半山羊〈双角種〉の霊性が移行しています。移行率は60%です。》
あっ、目が開いたぞ。
そしてゆっくり立ち上がると、静かに地面に膝を着く。
いやあ、傷が残らないで良かったねえ。
『君は、のん気だねえ。その人の中身、どうやら君がやっちゃった半馬半山羊みたいだよ?しかし同期したって事は、あの巻き角は聖痕武器級に匹敵したみたいだね。』
あーん?って事は、あれか?
復讐だな?俺に今度こそ勝とうってつもりだな、この野郎。
「…お、お待ち下さい。いと力強きお方よ。どうか我が願いを聞き届けて頂きたい。」
おっ、予想外の反応。何だ、願いって。
「お前、あの半馬半山羊だろ?何が望みだ?」
男、もとい半馬半山羊は虚ろな眼差しで俺を見詰める。
なんだかな〜。
「…我は半馬半山羊。双角を得た後も、それ以上でもなく、それ以下でもなく。」
へ〜。そうなんだ。
「…どうか、あなた様から名前を承りたいのです。さすれば、我が魂が朽ちるその刻まで永劫、あなた様に仕えることを誓いましょうぞ。」
え〜。そういうの面倒くさいな。
でもまあ、面白い奴だ。
魔物の中に、そんな考え方をする奴がいるってのはいい。
『多分、君と大嵐を見てて羨ましかったんだと思うよ?』
そうなの?まあ、大嵐は可愛いからなあ。分かる、分かる。
名前ぐらい簡単に付けられるし、いいかな。
片手間だけどな。
「じゃあ、お前は喜劇だ。」
『あっ、君って奴はっ!?』
《命名の儀、了承》
《命名、喜劇はステリアス・シーヴァの運命補正効果により、大幅な成長補正を受けます。》
何だよ、名前ぐらい安いもんだろ。
元気が出そうな名前だし(笑)。
◇ ◇ ◇
ステリアス・シーヴァ【竜絶壁発動中】
種族〈シーヴァ族〉
階級〈傭兵〉
所属国〈傭兵大隊預かり〉
カテゴリー〈8.5-〉
戦闘力 59
防御力 56(↑1)
生命力 84(↑1)
回避値 55
知能値 47
器用値 41
魔力値 58
相生相剋〈火気〉属性 44
相生相剋〈木気〉属性 33
相生相剋〈金気〉属性 25
相生相剋〈土気〉属性 34
相生相剋〈水気〉属性 35
竜技
九十九式(下位)見えざる(ブリトマルティス)赫炎〈火気〉
九十九式(下位)束縛 (カリュプソ)の静謐〈水気〉
九十九式(下位)復讐 (エイレイテュア)の逆鱗〈土気〉
九十九式(下位)開闢 (アイオロス)の威風〈木気〉
戦技
一刀両断
十文字斬り
固有能力
竜の血眼(竜眼第1位階)
轟炎の気
川の乙女の加護〈5%〉付与
能力
大剣 剣 手斧 槍 棍棒 小盾 軽装 隠蔽 偽装 物理抵抗 精神抵抗 魅了
毒耐性 寒耐性 虚言耐性 邪眼耐性 敵意耐性 脚力 看破 打撃 軽業 殺気
嗅覚 聴覚 追跡 鑑定 察知 聴き流し 威圧 命名 馭者 疾走 解体 連携
釣り 加工
魔力系術式
下位(基本三原理)火属性付加
下位(基本三原理)火属性魔道弾
下位(基本三原理)火属性誘導波動
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)光属性付加
眷属
大嵐
喜劇(NEW)
称号
赤き竜人
傾国の貴公子
装備
竜刀アムドゥシアス〈大剣〉【竜絶壁発動中】
属性:暴君LV820〈聖遺物級〉
付与効果:暴君の加護〈第1位階〉
剣撃物理破壊力増幅
竜技増幅
所持者固定契約〈魂〉
耐久値:980/∞
竜面〈仮面〉
属性:竜面の者LV250〈聖痕武器級〉
付与効果:竜因子封印
自己再生
耐久値:200/∞
朱鎧〈皮鎧〉
属性:朱虎の皮LV15〈通常級〉
付与効果:物理抵抗〈皮〉
耐久値:85
携帯用小刀〈小剣〉
属性:雷鉱石LV30〈特殊兵装級〉
付与効果:物理特化
雷属性付加
耐久値:150
黒衣(黒色)〈外衣〉(NEW)
属性:結界種LV300〈聖痕武器級〉
付与効果:結界生成〈守護遮断(反射率)〉
物理特性〈闇・土〉30%増幅
防寒〈永続化〉
耐久値:350
所持金
煌皇金貨9枚
煌白銀貨68枚
煌赤銅貨20枚
所持品
賢者の核石×5
岩塩
獣油
下着〈服〉×5
◇ ◇ ◇
アスラシア・トーパチオ(アスラシア・ジ・ハド・プージャ)
種族〈人間種・煌王家〉
階級〈士爵〉
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈1.7-〉
戦闘力 15
防御力 13
生命力 25
回避値 18
知能値 38
器用値 26
魔力値 12
火属性2
水属性6
風属性10
土属性3
光属性5
戦技
重撃波
固有能力
能力
剣 槍 投槍 投擲 騎士槍 小盾 軽装 甲冑 隠蔽 偽装 男装 礼節 乗馬
魔力系術式
下位(基本三原理)風属性付加
下位(基本三原理)風属性魔道弾
下位(基本三原理)風属性誘導波動
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)水属性魔道弾
下位(基本三原理)水属性誘導波動
下位(基本三原理)光属性付加
下位(基本三原理)水属性魔道弾
下位(基本三原理)水属性誘導波動
称号
元煌王女
亜人種擁護派
士爵
装備
宝槍オクタゴン〈騎士槍〉
属性:結界種LV250〈王権威級〉
付与効果:結界生成〈守護遮断〉
耐久値:330
鋼鉄の剣〈剣〉
属性:鋼LV10〈通常級〉
付与効果:物理特化
耐久値:50
全装甲冑〈甲冑〉
属性:妖銀鉱LV100〈特殊兵装級〉
付与効果:霊力構築〈妖銀鉱〉
物理抵抗
耐久値:120
◇ ◇ ◇
メアリ・カンタダ
種族〈人間種〉
階級〈女中〉
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈2.0+〉
戦闘力 18
防御力 20
生命力 22
回避値 19
知能値 43
器用値 46
魔力値 22
火属性10
水属性5
風属性3
土属性3
光属性12
闇属性2
雷属性3
戦技
狙撃妙技
高性能誘導化弾
二重残撃
固有能力
能力
剣 小剣 細剣 弓 大弓 杖 楯 小盾 軽装 重装 隠蔽 偽装 奇襲 連携
調理 管理 精密操作 礼節 接待 騎乗 精神抵抗
魔力系術式
下位(基本三原理)火属性付加
下位(基本三原理)火属性魔道弾
下位(基本三原理)火属性誘導波動
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)水属性魔道弾
下位(基本三原理)水属性誘導波動
下位(基本三原理)光属性付加
下位(基本三原理)光属性魔道弾
下位(基本三原理)光属性誘導波動
中位(戦略級)火属性波動
中位(戦略級)光属性波動
中位(戦略級)光属性障壁
称号
文法強化級騎士 鶴の紋章
トーパチオ家の女中さん番号1
装備
魔弓ネブラディスク〈大弓〉
属性:魔鉱石LV80〈特殊兵装級〉
付与効果:魔力伝達〈戦技増幅〉
耐久値:150
革鎧〈軽装〉
属性:獣皮LV10〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
耐久値:50
給仕事着〈服〉
属性:麻製LV10〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
耐久値:5
携帯用小刀〈小剣〉
属性:鋼LV5〈通常級〉
付与効果:物理特化
耐久値:30
◇ ◇ ◇
アンリ・ヒヨシマ
種族〈人間種〉
階級〈女中〉
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈1.9+〉
戦闘力 20
防御力 22
生命力 25
回避値 19
知能値 35
器用値 41(↑1)
魔力値 8
水属性6
風属性5
雪属性5
戦技
斬り崩し (サイドブレイク)
跳ね返す領域 (ソードフィールド)
一撃必殺
固有能力
能力
大剣 剣 小剣 槍 投槍 騎士槍 騎士楯 盾 小盾 軽装 重装 甲冑
隠蔽 偽装 潜伏 連携 細工 裁縫 作成 精密操作 礼節 接待 騎乗
魔力系術式
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)水属性魔道弾
下位(基本三原理)水属性誘導波動
下位(基本三原理)風属性付加
下位(基本三原理)風属性魔道弾
下位(基本三原理)風属性誘導波動
下位(基本三原理)雪属性付加
下位(基本三原理)雪属性魔道弾
下位(基本三原理)雪属性誘導波動
称号
分析系広範囲活動級騎士 鶴の紋章
トーパチオ家の女中さん番号2
装備
魔剣ティル・オイレンシュピゲール〈大剣〉
属性:魔鉱石LV100〈特殊兵装)級〉
付与効果:魔力伝達〈戦技増幅〉
貫く刃
耐久値:180
革鎧〈軽装〉
属性:獣皮LV11〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
耐久値:55
給仕事着〈服〉
属性:麻製LV9〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
耐久値:4
轟炎の縫い針〈針〉
属性:軟化鋼鉄LV200〈聖痕武器級〉
付与効果:物理抵抗貫通〈永続化〉
相生相剋〈火気〉属性〈永続化〉
裁縫特化〈裁縫・加工・生産・作成 能力50%増幅〉
耐久値:250
双角種のファー(黒色)〈服〉(NEW)
属性:結界種LV250〈聖痕武器級〉
付与効果:結界生成〈守護遮断(反射率)〉
物理特性〈闇・土〉30%増幅
保温〈永続化〉
耐久値:300
◇ ◇ ◇
大嵐
種族〈飼育馬→神馬〉(NEW)
階級〈騎馬絶滅種+ →神馬変種+〉( NEW)
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈2.4+〉(↑0.5)
戦闘力 24(↑6)
防御力 29(↑5)
生命力 26(↑10)
回避値 26(↑5)
知能値 34(↑5)
器用値 21(↑6)
魔力値 13(↑5)
相生相剋〈金気〉属性 14(↑5)
相生相剋〈土気〉属性 1
戦技
固有能力
運命補正効果(眷属)
能力
脚力 聴覚 嗅覚 積載 牽引 疾駆 咆哮 迅雷(NEW)踏付け(NEW)
称号
ステリアス・シーヴァの神馬(NEW)
装備
馬鞍〈軽装〉
属性:獣皮LV8〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
耐久値:60
◇ ◇ ◇
喜劇(チェリーブロ・サム)(NEW)
種族〈人間種〉
階級〈千腕兵団百人兵長〉
所属国〈ジ・ハド煌王國 (ジ・ハド・トゥインコル・キングダム)〉
カテゴリー〈2.3+〉
戦闘力 25
防御力 28
生命力 38(↑10)
回避値 22
知能値 32
器用値 30
魔力値 22(↑15)
相生相剋〈土気〉属性10(NEW)
土属性12(↑8)
闇属性10(NEW)
戦技
三重残撃
高揚の帯気
固有能力
運命補正効果(眷属)(NEW)
邪眼(NEW)
同期霊性移行率60%〈双角種〉(NEW)
能力
大剣 剣 斧 槍 棍棒 盾 重装 甲冑 格闘 奇襲 暗躍 暗視(NEW)
礼節 騎乗 精神抵抗(NEW)捕食再生(NEW)幽体(NEW)
自己再生(NEW)即死耐性(NEW)闇耐性(NEW)石化耐性(NEW)
邪眼耐性(NEW)魅了(NEW)聴覚(NEW)嗅覚(NEW)
鉄面皮(NEW)覚者(NEW)
魔力系術式
下位(基本三原理)土属性付加
下位(基本三原理)土属性魔道弾
下位(基本三原理)土属性誘導波動
称号
百腕
ステリアス・シーヴァの眷属(NEW)
装備
巨盾剣アスピドケロン〈盾剣〉
属性:魔鉱石LV210〈秘蹟武具級〉
付与効果:百腕の束縛〈見えざる鎖〉
物理特性〈土属性〉20%強固
耐久値:200(−100)(亀裂)
強化装甲「百腕+」〈重装〉
属性:魔鉱石LV100〈特殊兵装)級〉
付与効果:魔力伝達〈戦技増幅〉
物理特性〈土属性〉10%強固
耐久値:100(−50)(損傷)




