第1話 「邂逅の霊都」〈12〉女性優遇者(フェミニスト)
(^ー^)ノRPG要素追加です。
第1話 「邂逅の霊都」〈涙とともにパンをかじった者でなければ、人生の本当の味はわからない〉If you’ve never eaten while crying you don t know what life tastes like
〈12〉草創歴0444年4月13日
戦闘狂って言われる人種は、そうとうヒマ人なんだろう。
今しがた、俺の目の前に立ちはだかった奴を、鉄拳で軽く殴り飛ばしてやった。
《ステリアス・シーヴァは能力〈打撃〉(NEW)を獲得しました。》
反撃を予期しなかったのか、凄い勢いで公道の逆方向へと吹き飛び、ゴミ収集置き場に激突した。
ガシャーン!!と、生ゴミが宙に散乱する。
命中だ。
《ステリアス・シーヴァの器用値が+1強化されました。》
あまりの早業に、気付いた通行人は少ないようだ。
その激突音に何事だ?と集まるばかり。
当の本人は大の字になって伸びていた。
だらしなく口を開け、泡立つ口から長い舌がダランと垂れ下がり、ギョロッとした丸目は白目を剥いてビクビクしている。
爬虫類みたいな男だ。
正直、キモい。
あれ?
道行く人、道行く人、皆が素通りしてゆくぞ。
この爬虫類が服を着たような男が、まるで見えていないかのように。
『どうやら、透明化の付加系術式を永続的に纏ってるようだねぇ。継続時間の長さを考えると、血統因子を触媒にした戦技に近い系統かも。』
へー。
俺の「竜の血眼」には普通に見えるけどね。
とりあえず、俺は爬虫類男が向けようとした偃月刀(なかなか価値のありそうな品質だ)を拾い上げた。
もう一方は粉々に砕けている為、諦めた。
これは戦利品である。
そして、この暗殺者の正体を知る手掛かりになるやも知れない。
だがしかし、当の暗殺者(気絶中)を締め上げるのは面倒くさいし、周囲の目もある。
後々、問題が起こる可能性も加味して華麗に無視だ。
『君は生ゴミがクサいから面倒くさいんだろ〜?』
生ゴミの悪臭が広がって来たので、ともかく離脱だ。
さて、俺達(俺とアムの2人)は今、待ち合わせ場所を目指して「商業市場広間」に向かっていた。
時刻は夕刻の17時過ぎである。
思い返せば正午、喫茶「スタージョン」で悶々とした時間を過ごした俺は、そこで巨乳さんことワガセ嬢と別れ、一旦、宿泊先の「黒山羊の宿亭」に舞い戻った。
やはり女将さんは妖艶で美しい(笑)。
それが魔性のものであったとしても、だ。
俺の借りた客室は4階、東側の奥から2番目の個室である。
大きな造りの螺旋階段を登った先にある。
個室とは言え、ようやくひと心地つき、鎧の繋ぎ目を解除すると、革張りのソファに放り投げる。
『こらー。大事に扱いなさいよ〜。』
はいはい。
って言っても、この鎧は見た目を重視したもので、それほど価値のあるものではない。
良くて特殊兵装級。ほぼ通常級だ。
解除機能だけは秀逸で、瞬時に着脱可能の付与がされている。
どっちかと言ったら、このソファの方が高額そうだが。
何の革を使ってるのかな?
この国は予想以上の寒冷地。
本気でこのぐらいの革を使用した外衣は用意した方がいいかもな。
『後で女将さんに聞いてみれば〜?』
それだな。
北の雪原迷宮って寒そうだもんな。
『君、まだ諦めてないでしょ、雪ウサギ?』
当たり前だ。
ともあれ、予定の時間まではまだある。
俺はアム(竜刀)のやつを床頭台に立て掛け、寝台に飛び込む。
別れ際、あれだけ巨乳さんに「喰わせろ」と詰め寄っておいたのだ。
微妙な顔をしていたが、今度こそは、夕飯こそは大丈夫だろう。
『……。』
何だ、その無言は?
まあ、いいや。ちょっと、ひと眠りするか。
それにつけても、さすがは老舗の酒場宿。
布団の弾力性が半端じゃないフワフワ感。
これが噂の「卯の花羊」の羊毛ってやつか。
まあ、俺は目をつぶれば1分で寝れるがな。
『君はどこでも寝れるからいいね〜。』
ふっ。それが傭兵たるもの。
それにしても、気になる気配はあるが、まあ手を出してこない限りは無視だな。
しかし何だ、この爬虫類みたいな視線は。
しかもこれは男だな。
正直、キモい。
『あ〜。ゴスロリメイド服さん、懐かしいなあ〜。』
◆ ◆ ◆
「お気をつけて、お出かけ下さい。鍵は受付にてお預かりいたします。外套の貸し出しは煌赤銅貨80枚ですよ。」
女将さんの艶っぽい送り出しを背に、俺は「黒山羊の宿亭」を出た。
そしてまた出費してしまった。
麻製ではあるが、丈夫で厚手仕様の外套を借りた。
色は金糸雀色。
『綺麗な黄色だね〜。』
外衣や外套は商業市場広間の「運河屋」で購入を勧められた。
あそこか…今日、下着を買った場所じゃないか。
まあ、時間が出来たらまた行ってみるのもいいだろうな。
何しろ、夕刻を過ぎるとホント、寒いのだ。
そして公道は既に薄暗い。
明かりは立ち並ぶ店舗の軒先から漏れる燭台だ。
見上げれば、そろそろ月明かりが天に顔を出す時分。
霧による曇天ではあるが、仄かな明かりが道を照らす。
『青い月が2つ並んでるのを見ると、まさに幻想世界だな〜って実感するよ、僕。』
衛星の軌道ってどうなってるんだろう?同じ質量に見えるけど、ぶつからないのかな?とか何とか、アムのやつは相変わらずだ。
俺は今回も華麗に無視した。そして数分歩いた頃合いの出来事だった。
俺は、その爬虫類男が振り下ろした、妖銀鉱製と思われる偃月刀を首筋の手前、指で掴み取っていた。
《ステリアス・シーヴァの防御力が+1強化されました。》
轟炎の気を使うまでも無い。
単純に引けば血が噴き出そうなものを、2本の指が縫い止める。
俺の右手の薄皮さえも傷付けられず、うんともすんとも動かぬ刃に、爬虫類男は顔を赤くしたり青くしたり。
ちょっとイラっとしたので、掴んだ指に力を入れる。
バキバキっと、偃月刀の刃に亀裂が走ったかと思えば、砕け散った破片が爬虫類男の顔を抉る。
「ぷぎゃああーーー!?」
うるさい(怒)。
喚きながらも、爬虫類男は反撃しようと、懐から新たな偃月刀を抜き放つ。
と、その前に鉄拳をお見舞いさせていただいた。
そして冒頭に戻るわけだ。
『偃月刀と言えば、砂漠の民って印象だよね〜。中央大陸の南部内陸には砂漠があった筈だよ。暗殺者の本場はあるかも知れないね〜。』
そのコアな知識はどこから来てるんだ?
だが、この偃月刀に使われている刃は妖銀鉱だろう。
妖銀鉱と言えば、この国の特産品だ。
一筋縄ではいかないだろう。
どの勢力につくかも定まっていない今、こういった「ちょっかい」が当分の間は続くだろう。
ああ、面倒くさい。
そんな憂鬱な気分に浸りながら、俺は待ち合わせ場所に向かう。足が重い。
場所は商業市場広間の中心、藍白輝石の噴水前。
やれやれ、巨乳さんはどこだ?
『僕の爆乳ちゃんだぞ〜。』
はいはい。
彼女はそこに居るだけで衆目の視線を惹きつける。主に男共の、であるが。
しかしながら、今夜の嬌声は幾分歳若い婦女子のものか?
なんか様子がおかしい。
男共は興味なさ気に通り過ぎてゆく。
顔に多少の苛立ち(ひがみ)が浮かんでいる。
おや?そこに輪が出来ていた。
婦女子共の輪だ。
あれは?勿論、巨乳さんではあるまいな。
そうと分かれば関わり合いになるのは厄介なので、俺は反対側へ向かう。
「あっ!ステリアス様、私です!」
輪の中の中心人物が諸手を挙げて飛び出してきた。
強行突破に近い感じだ。
何事かと振り向けば、女性陣を引き連れた少年の姿。
傭兵大隊の大隊隊長の1人、今朝会ったばかりのナユタ・ゴブジョウ少年である。
困った顔をしているが、羨ましいな、この野郎。
『あっ、本音が出ちゃった。』
うるさい(怒)。
しかも、ナユタ少年を取られたと知って、女性陣の視線は攻撃的だ。
俺の知った事じゃないがな。
「すみません。ワガセ卿に急用が出来たようで、かわりに私が御案内をさせて頂くことになりました。」
なるほど、そういう事ね。
『……。』
しかし、朝に会った時分とは違い、外出用と思われる牡丹菊模様の着流しが随分と派手だ。中は黒衣の小袖。
真銀鉱製のかんざしに、肩に流した一房の黒髪。
物憂げな眼差しが美少年と言えなくもない(主観的に)。
『…負けん!負けんぞ、僕!』
何に対抗してるんだ、お前は。
「まあ、いい。俺は旨い肉が喰えればそれでいい。」
「はい。ではこちらへ。行先は白瓦屋根亭です。」
フードを被った外套姿の怪しい長身の男(俺)に、女共は良い目を向けない。あろう事か、警戒の眼差し。
ははーん。だがある意味、俺は勝者だ。
敗者共め、道を開けよ。
ナユタ少年はお前達ではなく、俺を待っていたのだからな(笑)。
そして俺は思わず、ナユタ少年の頭をナデナデしてしまった。
周囲から悲鳴が上がる。
何故だ?
《ステリアス・シーヴァは能力〈敵意耐性〉(NEW)を獲得しました。》
ええい、邪魔だ。邪魔だ。
竜面はフードに隠れて見えずとも、俺の眼光におずおずと下がり、道が少しづつ開く。
『女性を敵に回しちゃダメだよ〜。』
知らん。俺は女性優遇者じゃないからな。
「よし。行くぞ、ナユタ少年。」
俺はムンズとナユタ少年を脇の下に抱え、一気に包囲網を突破する。
きゃーー逃げたわーー追えーー。
などと言う嬌声が後ろから追いかける。
馬鹿め。お前達ごときが追いつけるものか。
俺の前を走る奴は許さねー。
そして顔が見られていないうちに脱出だ。
『なんだ、やっぱり女性を敵に回すのは嫌なんだね〜。』
うっ。図星ではないぞ。
ああ、この外套を着てて良かった…などと思うステリアスであった。
◇ ◇ ◇
ステリアス・シーヴァ【竜絶壁発動中】
種族〈シーヴァ族〉
階級〈傭兵〉
所属国〈傭兵大隊預かり〉
カテゴリー〈8.5-〉
戦闘力 59
防御力 54(↑1)
生命力 77
回避値 54
知能値 47
器用値 37(↑1)
魔力値 58
相生相剋〈火気〉属性 43
相生相剋〈木気〉属性 31
相生相剋〈金気〉属性 25
相生相剋〈土気〉属性 28
相生相剋〈水気〉属性 32
竜技
九十九式(下位)見えざる(ブリトマルティス)赫炎〈火気〉
九十九式(下位)束縛 (カリュプソ)の静謐〈水気〉
九十九式(下位)復讐 (エイレイテュア)の逆鱗〈土気〉
九十九式(下位)開闢 (アイオロス)の威風〈木気〉
戦技
一刀両断
十文字斬り
固有能力
竜の血眼(竜眼第1位階)
轟炎の気
能力
大剣 剣 手斧 槍 棍棒 小盾 軽装 隠蔽 偽装 物理抵抗 精神抵抗 魅了
毒耐性 寒耐性 虚言耐性 邪眼耐性 脚力 看破 打撃(NEW)敵意耐性(NEW)
魔力系術式
下位(基本三原理)火属性付加
下位(基本三原理)火属性魔道弾
下位(基本三原理)火属性誘導波動
下位(基本三原理)水属性付加
下位(基本三原理)光属性付加
称号
赤き竜人
傾国の貴公子
装備
竜刀アムドゥシアス〈大剣〉【竜絶壁発動中】
属性:暴君LV820〈聖遺物級〉
付与効果:暴君の加護〈第1位階〉
剣撃物理破壊力増幅
竜技増幅
所持者固定契約〈魂〉
耐久値:980/∞
竜面〈仮面〉
属性:竜面の者LV250〈聖痕武器級〉
付与効果:竜因子封印
自己再生
耐久値:200/∞
朱鎧〈皮鎧〉
属性:朱虎の皮LV15〈通常級〉
付与効果:物理抵抗〈皮〉
耐久値:85
携帯用小刀〈小剣〉
属性:雷鉱石LV30〈特殊兵装級〉
付与効果:物理特化
雷属性付加
耐久値:150
外套(金糸雀色)〈服〉(NEW)
属性:麻製LV7〈通常級〉
付与効果:物理抵抗
防寒
レンタル品
耐久値:10
所持金
煌皇金貨9枚
煌白銀貨39枚
煌赤銅貨10枚
所持品
賢者の核石×5
岩塩
獣油
下着〈服〉×5




