表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

4の話

 そうして、試練が始まりました。ここは、ルナサファイアにとって初めての外の世界。一面真っ白で寒くて仕方ありませんでした。

「寒いわ。こういう時は物を奪えばいいのよね」

ルナサファイアは近くにいた村人に声をかけました。

「そこの方? 私用(わたくしよう)のコート、頂くわね」

「何を言ってる? 私も寒いんだぞ」

「何をおっしゃってるの? あなたは私のもの。当然、あなたのコートも同じよ」

ルナサファイアは怒ったように言うと、みすぼらしいそのコートを村人から剥ぎ取りました。

「においが気になるけれども仕方ないわね」

ルナサファイアは路地の奥深くへと歩いて行きました。

「そこのお嬢さん」

近くを歩いていた男性がルナサファイアに声をかけました。紳士のような身なりで、どうやら貴族のようです。

「何かしら。貴方はどこの方なの? 見たことないのだけれども」

「それは大変ですね。(わたくし)、かなり有名だと存じますが。シュジェ神と申します」

彼――シュジェ神――は優しく甘い声でそう言った。

「まぁ、そうなの。どうぞよろしく」

シュジェ神は、興味のなさそうなルナサファイアに驚き、少しばかり目を見開きました。

「それで……貴女に結婚を申し込みたいのですが」

ルナサファイアはシュジェ神に忌々しそうな視線を向けると、

「私には貴方より素晴らしい方がいまして。心に決めた方なのでお譲りすることはできないのです」

と吐き出すかのように言いました。

「わ、私に何が足りないというのですか!? 金も名誉も思いのままですよ」

「貴方には美の女神エハルナがいらっしゃるのでしょう?」

ルナサファイアは冷たく言い捨てると、もっともっと奥へ歩いて行きました。

 ルナサファイアはさらに貧しい者たちが住むエリアへと入っていきました。道端に孤児とみられる少年が座っています。

「きれいなお姉ちゃん、お金ちょうだい。のどがカラカラだよ」

その少年は擦れた声で言いました。

「ここにあるものは私のもの。きちんと管理しなくてはだめよね」

ルナサファイアはそう呟くとその少年に五百円程あげました。

「なんか、くらくらするわ……」

ルナサファイアは少年のお礼の言葉を聞いているうちに倒れてしまいました。

次で最終話~!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ