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3の話

 とうとう試練の日がやってきました。ルナサファイアは朝からおなかが痛くて仕方ありません。

「ルナ! 今日は試練なんだろう?」

ルーアが訪ねてきました。ルナサファイアはルーアの顔をみると、ほっとしたような笑みを浮かべました。

「そうなのよ。まったく、どうしたら良いのか分からないの」

「ルナはなぁー、深く考えちまうから気楽にしたほうが良いぜ」

「そうねぇ、ありがとう」

ルーアのお陰か、おなかの痛みも和らいできました。

 ルナサファイアはお母さまに言われていたことを思い出しました。

「ルーア? あの、お母さまに聞けって言われたんだけど……」

「何だ?」

ルーアは笑ってルナサファイアを見つめました。

「る、ルーアって何者なの?」

ルナサファイアの震えた声が部屋中に響き渡りました。二人の間に気まずい沈黙が広がります。

 ボーン ボーン ボーン

三回鐘が鳴りました。六時の合図です。

「ごめんなさい、ルーア。私、行かなきゃ!」

ルナサファイアは慌てて駆けていきました。

 あとに残されたルーアは困ったように立ち尽くしました。

「『俺は俺』つっても毒婦には通じないであろうな。対抗する術はこれしか思いつかんかったが」

ルーアはそう呟くとドアを開けて去っていきました。

「お母さま。私、どんな試練を受けるのかしら?」

ルナサファイアは儀式の部屋でお母さまに訊ねていました。儀式の部屋で試練を行うのです。

「愛の試練よ。いいこと、私の言うとおりになさい。あなたは絶対に幸せになれるから」

お母さまは妖艶に微笑みました。

「分かりました、お母さま」

ルナサファイアは理解できていないような表情で答えました。お母さまをとても慕っていたからです。ルナサファイアの世界はお母さまとルーアで出来ていました。

「まず、この宝石をお飲みなさい。そうすると汚らわしい街に行きつくはずよ。その街は(すべ)てあなたのもの。だからどう扱っても構わないわ」

お母さまはいったんここで口を止めました。

「だから奪えるものは奪いなさい、ね?」

「はい」

神妙な顔でうなずくルナサファイアを見て、お母さまはさらに笑みを深めました。

「一番大事なことは『金』と『権力』のある人を選びなさい、てことよ。それじゃあ、お飲みなさいな」

ルナサファイアはその言葉を胸に刻み付けると、白くてきれいなその宝石を見つめました。握りこぶしより少し小さいくらいです。

「これを、飲むの?」

声が震えていました。

「ええ、そうよ」

ルナサファイアは目をつぶり、口へとそれを運んでいきました。

次回は試練

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