2の話
やっとできた……
ある、雪の降る寒い日のことでした。王宮でいつものようにルナサファイアが外を見つめていると、
「ルナ! 遊ぼうぜ」
という元気な声が聞こえてきました。ルナサファイアの親友のルーアです。ルナサファイアが心を許すことのできるたった一人の人でした。そのためか、ルナサファイアはルーアをとても大切にしていました。
「あら、ルーアじゃない。今日は何をして遊ぶのかしら?」
ルナサファイアは仔猫を撫でながら可愛らしい笑みをルーアに向けます。
「何が良いか?」
「そうね……トランプしましょ!」
「いい考えだな」
二人はトランプをすることにしました。
「ルナサファイア様、お菓子をお持ちしました」
三時間ほど経ちました。ドアの前にメイドがやってきます。
「今、ルーアに勝とうとしてるんだから、待っててちょうだい!」
二人は全く飽きてないようです。力量差が五分五分なのでしょう。
ルナサファイアは紺碧の髪をもてあそびつつ、真剣に考えています。
「こういうのはいかが?」
「そしたらこうだな」
メイドは一日中、そう、ルーアが帰るまで待たされていました。
その次の日のことです。
ルナサファイアはお母さまである王妃と会うことになっていました。ルナサファイアは走って王妃の部屋へと向かいます。
部屋の中では、お母さまがいつものように座っていました。
「お母さま、今日は何のお話しかしら?」
「あなたの試練についてよ、私のルナ」
「私の試練……?」
ルナサファイアは口を軽く開けました。お母さまが少し眉を顰めます。
「まだご存じでないのね。ここの王族であると認められるためには試練に合格せねばならないのよ」
「まぁ、そうなんですの。いつ頃なのかしら?」
ルナサファイアはすこし頬を染めながら尋ねました。試練のことを知らなかったことに少し恥じらっているようです。
「もうすぐですわ。あと一週間ぐらいでしょう」
「それだけしかないんですの!? 困りますわ」
お母さまはルナサファイアの発言に首をかしげました。
「どうしてお困りになるの、ルナ」
「だって、ルーアに仔猫の世話を頼まないといけないんですもの。早く頼まないとでしょう?」
お母さまは理解できなかったようです。疑問を目に映しています。
「ルナサファイア。あの、ルーアってどなた?」
「まぁ、お母さま。ルーアのことを既にご存知だと思っていましたわ」
ルナサファイアは上品に口に手を添えました。冬の国では、試練に合格しないと王女とさえ認められません。しかし、その様子は王女さながらでした。
「ルーアというのは、私の親友の名前よ。毎日遊びに来てくださるのよ」
「ルーアの名字は? どこの方なの? 何歳? 親は?」
お母さまの質問攻めに遭い、ルナサファイアは驚いて口を閉ざしてしまいました。
「え……っと。お母さま? 知らないのですが」
「知らない、とはどういうことかしら? 自分で訊ねてらっしゃいっ」
お母さまはキッとルナサファイアを睨みつけながらそう言い放ちました。
「はい、お母さま」
ルナサファイアは小さく返事をしました。
中盤まで完了!