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R2  作者: Mislgi
8/10

08


春翠は鍾乳石が幾つも存在する洞窟の中で目を覚ました。


「蓑井さん、大丈夫ですか?」


姫が声を掛けてきた。春翠は何も言わずに起き上がろうとしたが痛みに顔を歪めた。


「…まだ起きないほうがいいですよ、私の力では傷は癒せても痛みまでは消すこと出来ませんから…」


楓は岩壁に寄り掛かりながら弱々しい声で言い、楓の顔は青白く瞼が重々しく動いていた。


「何も言わず、休んでいて下さい」


結菜は楓の身体を気遣うように言った。


「私はもう…」


楓は咳き込み血を吐いた。


「…無理のようです、貴方達は他に遣るべきことがあるのでしょう?…私を置いて先へ…」


「神楽夜、貴女は蓑井を連れて先にリテルラボへ」


「分かりました」


姫は春翠を背負い、洞窟を進んだ。


「…貴女も早く」


「それは出来ません、貴女はまだあちら側にいってはいけない」


結菜は指先から針を一本出し、楓の首に突き刺して針を全て押し込んだ。


「…何を…」


楓は気を失うと見る見るうちに顔色が良くなった。そこへ洞窟を揺るがすほどの地響きが轟いた。


「彼も動き出したようね…」


結菜は上方を見上げた。


地上では、診療所のベッドで斎達が寝かされていた。そして、部屋の外には煙草を吸うぼさぼさの黒髪の男性医師(櫟莉徒)と知草がいた。


「皆さん、大丈夫でしょうか」


「心配いらねぇよ、眠らされているだけだ」


櫟は煙草を吹かした。


「それよりあんたは戻らなくてもいいのか?中央から学職員は緊急召集が掛かっているはずだが」


「私はあの子達を放って行くことは出来ないのです、それにそれをゆうなら櫟先生も人のこといえませんよ」


「俺は元より臨時の職員だ、その必要はねぇだろう」


そこへ爆発音が聞こえ、知草は急いで外に出るとすぐに戻ってきた。


「大変なのです!学院の方から煙が…」


そして、今度は崩れるような音と共に地響きがした。知草はまた外へ向かうと漸く莉徒も外へと向かった。


「にしても酷く騒がしい日だな」


外には立ちのぼる二本の黒煙と崩壊したセントラルタワーが見え、莉徒は驚きの余り銜えていた煙草を地面に落とした。


そして、西都中から警報音が鳴り響いた。


「…警報を止めろ」


凰璃は西都を管理している区画と通信していた。


「ですが…」


「何時までも鳴らしていても住民の不安感を煽るだけだ」


「分かりました」


西都中に鳴り響いていた警報は消えた。


「状況はどうなっている?」


「都市外周部の二件の爆発火災に関しては消防のお陰で鎮火しつつあります。セントラルタワーの件はタワー倒壊の影響で通路が断裂しており、タワー管理室にはまだ到っていない為、原因はまだ確認出来ておりません」


「やはり中枢にはまだ辿り着けていないか」


凰璃は通信を聞き、そう思うと目の前に繰り返し流れる映像を眺めていた。


映像には、失意し狂気に堕ちる竜源の様子が映し出されていた。そして、映像は消え、削除という文字が表示された。


「本体の覚醒が引き金となったのだろうが」


凰璃は映像の事象を読み取り思った。


「全て、彼の言う通りとは…」


診療所の開いた窓から見える倒壊したタワーを見詰める少女が一人いた。


そこへ莉徒と千草が入ってきた。


「ん?」


莉徒は窓辺に立つ見慣れない灰色の髪の少女が目に入った。だが突然、風が吹き込みカーテンをはためかすとカーテンは少女を包み込んだ。

そして、風が治まると少女の姿はもうそこにはなかった。


莉徒は窓辺に歩みより周囲を確認したがさっきの少女はいなかった。


「気のせいか」


「どうしたんですか?」


「いや、何でもない」


すると莉徒は窓を閉めた。


「ゼロには話したのか?」


Kは0(颯太)とJのいる部屋から出てきたQに聞いた。


「話したよ、真実を捩曲げてですが」


「あの娘が話す恐れはないのか?」


「その心配はない、ジュエルは元より真実を知らない」


「そうだったな。清浄無垢、名前に相応しい愚か者だな」


「だが、それ故に従順で扱いやすいよ」


そう言うとQは立ち去った。


Kと別れた後、Qは廃棄された研究所の外に広がる森の中にやってきた。


「人数が少ないようですが」


そこには姫と春翠がいた。


「私達だけ先に、後からすぐに来ると思いますが…」


「そうか、お前達は先に施設へ」


「分かりました」


姫は春翠を連れて廃棄された研究所に向かった。


「遅れてすみません」


姫と春翠が去ると結菜が現れた。


「それで彼女は?」


結菜は背後の木を示すと木に寄り掛かり眠る楓がいた。


「今は眠りに就いて進行を抑えているわ」


「そうか、なら今のうちに…」


Qは木の葉に向かって刃のような物を素早く投げた。すると木の葉の中から仮面で顔を隠した人物が落ちてきた。


「監視にこうも早く気付くなんて流石は夜神様の作り上げた作品ね」


人物が落ちてきた木陰から瑠那が現れた。


「夜神様の意志に背くことになりますが、致し方ないでしょう」


瑠那はそう言うとQと結菜の周囲の木陰から仮面で顔を隠した人物が次々と現れた。


「ということはこれは博士の指示ではないということですか」


瑠那が木に寄り掛かり眠る楓を抱き抱え、身を翻すと森の奥に消えた。そして、仮面の人物達は指に嵌められた真っさらなリングからサーベルを引き抜いた。


「君は彼女の奪取を」


Qは結菜に指示すると楓を連れて森の奥に消えた瑠那を結菜に追わせるためにその周囲にいる仮面の人物達の身体に向かって刃のような物を投げた。


刃を受けた仮面の人物達は倒れ、その隙をついて結菜は瑠那を追った。


結菜が去ると刃を受けた仮面の人物達は平然と立ち上がった。


「博士の自律行動型人形(ルーロロイド)


立ち上がった刃を受けた仮面の人物達は服の損傷だけで身体の損傷は見られなかった。


ルーロロイド達はサーベルを構え、一斉に切り掛かってきた。


Qは跳び上がり、サーベルを躱すと空中でルーロロイド達に刃を投げ、木の枝に着地した。


「やはりただのスティールナイフでは…」


Qの手には鉄で出来た小刀が持たれていた。


「…貫くことは出来ないか」


ルーロロイド達は立ち上がり、サーベルを構えるとルーロロイド達の内二体がQのいる木の幹を切り裂いた。


Qは別の木に跳び移ると今までいた木は木の葉を震わせながら倒れた。


木の幹に攻撃を行ったルーロロイド達とは別の一体がQの跳び移った枝を切り落とし、体勢崩し枝から落ちるQに枝を切り落としたルーロロイドの背後から跳び上がってきた別のルーロロイドがサーベルを突き立ててきた。そして、サーベルはQの蟀谷を掠めた。


Qは突き立てられるサーベルの中、手に持っていたスティールナイフをルーロロイドの頭に向かって投げた。


投げられたスティールナイフはサーベルを突き立てるルーロロイドの仮面に突き刺さり、ルーロロイドは地面に倒れ天を仰いだ。


Qが地面に着地するとルーロロイドに突き刺さっていたスティールナイフの傷から亀裂が広がり、仮面は崩壊した。


ルーロロイドは仮面の崩壊と共に両手で顔を覆い、身体を捩りながら苦しむ。そして、肉体はやせ細り枯木のようになった。


「弱点は仮面というわけか」


Qはすぐに他のルーロロイドにも同じ対応を取ると刃は全て命中し、前のルーロロイドと同じ経緯を辿った。


Qの瞼を覆っていた布がはらりと外れ地面に落ち、素顔が顕わになった。


「人形の成れの果てか、憐れだな」


歳老いた男の声が聞こえた。


すると枯木のようになったルーロロイドを踏み付け、Qの前に何者かが現れた。


「貴方は……」


結菜は瑠那を崖に追い詰めていた。


「逃げ場はもうありませんよ」


「そうでもないわ」


瑠那は振り返り、そう言うと楓を抱えたまま後ろ向きに倒れ崖から身を投げた。


結菜は崖の先に近付くと崖下から黒い翼の生えたルーロロイドが現れ、瑠那と楓を連れて飛び去った。


「まだ人形がいたのね」


結菜は遠くに去っていく瑠那達を見詰めるとQの元へ戻って行った。


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