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R2  作者: Mislgi
6/10

06


弥生は生徒会の扉を開いた。すると机に伏せる楓がいた。


「楓!」


弥生は血相を変えて楓に駆け寄った。


「おい、楓!楓!…」


何度も名前を呼び掛けたが反応はなかった。


「…誰か来てくれ!」


弥生は大声で叫ぶと生徒会の扉が開いた。


「早く先生を!」


扉を開いた男子生徒に向かって言った。


「は、はい」


男子生徒は必死に訴える弥生に驚き、急いで駆けていった。それと入れ代わるようにレイがやってきた。


「大変よっ…………」


机に倒れている楓の姿を目にした途端、レイは動揺した。


「発作がこんなに酷くなっていたなんて…」


「それでも楓会長の幼馴染みなの!」


「すまない…」


「落ち込むでいる暇はないわよ、陽光の奴らが此処に攻めてきた」


「くっこんなときに!」


向かおうとしたが楓の様子が気掛かりになり、すぐに動きを止めた。


「会長は私が看ているから、あんたは行きなさい、指揮を取る人間がいないと会長も危ないじゃない」


「…会長を頼む」


弥生は楓を見詰めた後、生徒会室から出て行った。


「障壁がないとこうも容易に侵入できるとはな」


荘司は刀を手に学院の中を歩いていた。


「こっ、こここれ以上先には行かせない」


一学年の生徒達が荘司の前に立ちはだかった。すると荘司は刀を逆手に持ち替え、腕を後方に下げて体勢を低く構えた。


生徒達はその様子に身構えた。だがその瞬間にはもう荘司の姿はなかった。


「真影流剣術・炎舞」


荘司は同じ構えのまま、生徒達の後ろにいた。そして、刀身だけが空気が揺らめくほどの熱を帯びていた。


生徒達は次々と床に倒れ、身体から炎が燃え上がった。


「格上の相手にこの様な手合いを差し向けるなど、此処の長の力量が知れてるな」


そこへ弥生が現れた。


「その言葉、撤回してもらいましょうか」


弥生は眼鏡を指先で持ち上げた。


「撤回はしない、こちらが武器を出しているというのに手ぶらでくること自体がその言葉を裏付けている」


「その必要がなければ問題はない、それより…」


弥生の身体から電気が空気中に放たれた。


「…会長を侮辱した罪、その身を持って償って貰いましょうか」


荘司は逆手のまま刀を両手で握った。そして、腕を左右に広げると刀は分身するように二振りに分かれた。


「出来るものなら、やるがいいさ」


荘司と弥生が対峙している頃、執行部の面々もそれぞれ対峙していた。


「此処で会ったが百年目ね」


実技演習場の中、飛嵐の目の前に立ちはだかる凜がいた。


「貴方との因縁を此処でけりを着けてあげる、飛嵐」


「臨むところね」


そういうと飛嵐は蹴りを繰り出すと凜は腕で受け止めた。


「それで受け止めれるほど、牙龍拳法は甘くないね」


蹴り足から光が放たれた。


「雷蹴光」


「それはこっちの台詞よ、うちを嘗めて貰っては困る」


飛嵐の足元に凜が屈んでいた。凜は床に鉄甲を着けた拳を叩き込むと飛嵐の足元から角材が飛び出た。


飛嵐の身体は宙を舞った。


「まだこれから」


もう一方の拳も床に叩き込み、飛嵐に追い撃ちをかけるように二本の角材が湾曲した軌道を描き、左右から挟み込むように飛び出た。


「瞬雷」


飛嵐の身体は角材に挟まれる直前に雷音と共に消えた。


「消えた?」


飛嵐は凜の背後に現れた。


「これで終わりね」


飛嵐の拳が光を放った。


「一人でビショップ二人を相手にするなんて、ちと厳しいな」


学院中庭、リボルバー二丁を構えた明日葉の前にはりりんとかりんが宙で不適な笑みを浮かべていた。


「二人やなく三人やけどな」


薙は高台からライフル銃のスコープで明日葉を覗いていると何かに気付き、銃を持ったまま後ろへ飛び退いた。すると今までいた場所に銃弾が撃ち込まれた。


「狙撃?」


「あれ?外した…勘がいいのか、それとも…」


堂治郎は灯台の露台からスコープのないロングレンジのライフル銃を構えていた。


「何処からや」


薙は気を張っているとまた銃弾が撃ち込まれた。


「また躱された…あれを使うしかないか…」


堂治郎は片目を被っている眼帯を外した。


「あの灯台か、よくもあない遠い所から」


薙は建物の陰から灯台の方を伺った。


「あれだけ周りに何もないと迂闊に近付くこともでけへんな」


突然、薙の耳元を銃弾が掠めた。


「嘘やろ、あいつ建物ごと撃ち抜きよった」


薙は近くの扉に駆け込んだ。


「鉄骨で少し軌道が逸れた…」


堂治郎はそう言うと眼帯を着け直した。


「しょうがない、接近戦は得意じゃないんだけど…」


銃をリングに収納すると露台から飛び降りた。


「なに、この人…」


「全ての属性を持っているなんて」


「りりん」


「分かってる、かりん」


りりんとかりんは手を繋いだ。


「今度は何をする気?」


明日葉はリボルバーの弾倉から空薬莢を取り出し、弾倉をリボルバーに納めた。


「リロード」


そう言うと弾倉が回転しながら薬莢が次々に装填された。

明日葉はリボルバーを構えるとりりんとかりんは空いた手を上に翳した。


りりんとかりんの手から光と闇の属性が放たれた。二つの属性が空中で絡み合い、巨大な重力場を生み出す光る球体を成した。


「ちょっ、これはやばいよ…」


球体から発せられる重力場に耐えながら言った。


「グラビティノヴァ」


りりんとかりんは声を揃えて翳した手を振り下ろすと球体はゆっくり動き出したが突然、収縮し急激な加速した。


「えっ!?」


明日葉はリボルバーを構えていたが何も出来ずにグラビティノヴァは直撃した。


グラビティノヴァは接触すると元の大きさに還元し、明日葉の背後にあった建物ごと破壊した。


「りりん達に敵うものはないね」


「そうだね、かりん」


「あほ!来ないな所でそんな大技、出す奴がおるかい!」


薙は残された建物の一部から身を乗り出して言った。


「だって意外に強いだもん」


「動かない方がいいよ」


薙の背後から堂治郎がロングレンジのライフル銃を頭に突き付けた。


「あんたがわいを狙っとった狙撃手かい」


薙は落ち着いた語調で言った。


「こっちも動かない方がいい」


りりんとかりんの背後から明日葉が二丁のリボルバーの銃口を向けていた。


「どうして…」


「かりん達のユニゾンを…」


りりんとかりんは戸惑った。


「武器を納めて下さい」


身体の所々に包帯を巻いた斎が中庭に現れた。そして、その隣にはアイリッシュがいた。


「明日葉、堂治郎、この子の言う通りに」


二人は武器をリングに納め、薙、りりん、かりんと明日葉、堂治郎は中庭に降りた。


「斎、どうしたんや?その怪我」


薙は心配気な様子で聞いた。


「簡潔に言うと澤村副会長にやられました…」


「なんやて!なして副会長が?」


「それは…」


中庭に面した建物の硝子と壁を突き破り、傷だらけの弥生が中庭に放り出された。


「霧里」


アイリッシュは弥生に駆け寄った。


「仕留め損ねていたとは、不覚だな」


荘司は壊れた建物の間から斎を見下ろした。


「どういうことや、副会長さん」


薙は怒り気味に聞いた。


「死に逝く者には話すだけ無意味」


荘司は薙達に向かって刀を一振りした。すると切っ先から炎の刃が放たれた。


それを脇に弥生を抱えたアイリッシュが大剣で受け止め、炎の刃を振り払った。


「此処はわいが引き受ける、君達は霧里を連れて行きなさい」


アイリッシュは明日葉に弥生を渡すと大剣の切っ先を向けた。


「仲間に手を掛けるとはいけ好かないな」


「余計な事を…消え逝く時が一時延びたに過ぎないと言うのに…」


去って行く明日葉達を止める事もせず、見送ると中庭に飛び降り、逆手で刀を構えた。


アイリッシュは大剣を両手で握り、切っ先を地面に向けて後方で構えると荘司に向かって駆け出した。


荘司に到達する直前に切っ先を地面につけ、大剣を振り上げた。すると水柱が立ち上がり、荘司に襲い掛かった。


「真影流剣術・蒼炎」


身を翻しながら刀を振り上げると渦巻く蒼い炎が荘司を包み、身に掛かる水柱を打ち消した。


「本気じゃないとはいえ、霧里を退けるだけはある」


「本気ではないことは分かっていた、だが一度刃を交えたからには一振り一振りが真剣勝負」


「うちの会長は戦う事に乗り気ではないからね、副会長もしかり」


「やはり真実を知らないものは考えが浅はかだな……これ以上の会話は無意味」


荘司は刀を宙に放り投げた。


「真影流剣術奥義・千滅炎舞」


空から千本の刀が降り注ぎ、地面や壁に突き刺さった。


「…こいつは圧巻、これはわいも本気で掛からなければ骨が折れそうだ」


アイリッシュは大剣の切っ先を地面につけて、自らを囲むように弧を描くと大剣を真横に構えた。


荘司は近くに刺さる刀を抜くとアイリッシュに向けて投げた。

アイリッシュはそれを大剣で打ち払うと刀は砕け散り、その後ろから荘司が刀を次々に抜き投げながら近付いてくる。


大剣越しにその様子を見た瞬間、アイリッシュは手首を捻り、大剣を両手で扇風機のように回転させて次々に飛んでくる刀を粉砕した。すると砕けた刀は全て火の粉となり消えていく。


荘司はアイリッシュに近付くと跳び上がり、両手に握った刀に炎を纏わせた。そして、そのまま刀を交えながら空中で振り下ろし、交差した炎の刃が放った。


アイリッシュは放たれた炎の刃を大剣を盾のようにして防ぎ、刀を構えて降りてきた荘司を飛び退いて躱すと大剣を地面に突き刺した。すると始めに大剣で地面に付けた傷に沿って格子状の水が荘司を囲むように噴き上げた。


「水牢」


荘司の両手の刀が火の粉となり消えた。


「こんなもので攻撃を封じたつもりか」


「それは単なる牢じゃないよ」


アイリッシュがそう言うと格子の交わっている部分から先端が鋭い円錐状の水が荘司に向かって一斉に飛び出した。


円錐状の水は荘司とぶつかり合い、水牢の中を細かな水飛沫が被った。すると壁や地面に突き刺さった刀が次々と砕け、火の粉となって消えた。


アイリッシュは大剣を引き抜くと水牢は地に浸透するように消えた。

そして、水飛沫が晴れて来ると腰の両側に刀を着け、肩に荘司を担いだ仮面の男(夜湖)が立っていた。


「何者?」


男はアイリッシュが大剣を構えると荘司を連れて跳躍をして建物の陰に消えた。


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