#1 櫻井壮哉
春…。
春というものは、淡く儚い。
一瞬にして過ぎ去ってしまう季節である。
……なんて事を考えている俺、マジでかっこいいぜ。
桜が舞い散る今日。そう、今日は、入学式だ。俺はついにピッカピカの高校一年生だ。
フッ…この真新しい制服も、俺は世界一…いや、宇宙一似合っているぜ。
まぁ普通は、この時期に躓くとこれから三年間最悪な生活を送るのだろうが、俺にはその心配はいらない。
え?
何故かって?聞きたいか?
それはな、俺がかっこいいからだ。そもそも、俺という人柄が良いのだろうな。それから見た目。このルックスからして、惚れない女はいないだろう。
くっそ可愛い彼女でも作って、俺の高校生活を薔薇色にしてやるぜ!
…にしても、早く来すぎたか。式まであと一時間もある。可愛い女の子はもちろん、他の男共さえも誰もいねぇ…。
今日は、暖かい。桜も綺麗だ。俺はこうみえて、花は好きなんだ。花が好きとか、頭良さそう。いや、実際俺は天才なのだが。にしても、穏やかなら良い日だ。…と思った瞬間、
ーーーーブォォォオォ
いきなり強い風か吹いた。桜の花弁が一気に散った。それはそれで綺麗だが、いきなり何だ?風が収まり、顔を上げると桜の木の下に女の子がいた。
……可愛い。
その一言に尽きる。
…のはずだ。それなのに、何故か、何処か懐かしく感じる。儚くて、消えそうで。目が離せない。
俺は、その子がすごく気になった。
声をかけようと思った。それなのに、彼女は、すでにその場にいなかった。おかしい。
俺が彼女が何処か行くところを見逃したのだろうか。いや、ずっと彼女をみていたはずなのだが…。
まぁ、そんなことはいいのだ。
俺は、あの子と仲良くなりたいと思った。
いや、絶対に仲良くなって見せるのだ。
そして、俺の高校生活を素晴らしい薔薇色の生活にしてやるのだ。
と、心に誓った。